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例 10

ドキュメント内 計算機基礎論 (ページ 65-98)

q(x,y,z): x+y=zとする

• ∀x∀y∃z q(x,y,z)を調べる

• どのようなx、どのようなyに対して も x+y=z を満たすzは存在する

• したがってこの命題は真

例 10

q(x,y,z): x+y=z とする

• ∃z∀x∀y q(x,y,z)を調べる

• この命題は、“あるzが存在し、どの ようなx、どのようなyに対してもx+ y=zを満たす”ことを主張している

• この命題は偽

∀ xp(x) とその否定

• ∀x p(x)は「任意のxについてp(x)が成 立する」ことを主張している

• ¬∀x p(x)は「任意のxについてp(x)が 成立することはない」、つまりあるxが 存在してp(x)が成立しないことがあるこ とを主張している

• この主張は∃x¬p(x)で表現される

したがって…

¬∀x p(x) ⇔ ∃x ¬p(x) 同様に

¬∃x p(x) ⇔ ∀x ¬p(x)

例 11 以下はすべて等価である

¬∀x∀y∃z q(x,y,z)

∃x¬∀y∃z q(x,y,z)

∃x∃y¬∃z q(x,y,z)

∃x∃y∀z ¬q(x,y,z)

例 12 以下はすべて等価である

¬(∀x∀y p(x,y)∨∃x∀y p(x,y))

¬∀x∀y p(x,y)∧¬∃x∀y p(x,y)

∃x∃y ¬p(x,y)∧∀x∃y ¬p(x,y)

証明手法

( 教科書: 3.7)

藤田 聡 (広島大学)

数学的推論

(Mathematical Reasoning)

ここでの目的は、以下の2点に答えることである 1. 数学的議論が正しいのはどの場合か

2. 数学的議論を構成するための手法は何か 特に、定理と呼ばれる言明に興味がある

定理(theorem)とは、正しいことが証明(proof)できる 言明(statement)のこと

では証明とは何か?

証明 (proof) とは?

• 言明の列 S

, S

, S

, …

Si:① 公理(axiom)、あるいは、仮定や既 に得られている定理等(postlude)

②S,S,S,…,Si-1:から新たに 導かれる言明

どういう風に? (→推論規則)

用語の使い分け

• 補題(lemma)

ほかの定理を導くための定理

• 系(corollary)

定理から簡単に導かれる別の定理

推論規則 (rule of inference)

(p∧(p→q))→q

(modus ponensと呼ばれる) または図式的に

p p→q

q

• きょう雪が降ればスキーにいく

• きょうは雪である

• きょうスキーにいく

• p: きょう雪である

• q: きょうスキーにいく ((p→q)∧p)→q

S0: p→q S1: p

S2: q

新しい言明を作り出している!

正当 (valid) な議論

• これらの推論規則を用いて構成された 議論は正当(valid)であるという

• では、誤った推論にはどのようなもの があるか?

例 誤った推論の例 ( 1 )

• “この本のすべての問題を解いたなら ば,離散数学をマスターできる”

• “あなたは離散数学をマスターした”

• したがって“あなたはこの本のすべて の問題を解いた”

どこがどうおかしいでしょうか?

例 ( つづき )

• p: この本のすべての問題を解いた

• q: 離散数学をマスターした ((p→q)∧q)→p

誤り!

• 正しくは,

((p→q)∧p)→q

例 誤った推論の例 ( 2 )

2 = 1

• abを等しい正整数とする

1. a=b : 仮定より

2. a = ab : 両辺をa

3. a –b = ab –b : 両辺からbを引く 4. (a-b)(a+b) = b(a-b) : 因数分解

5. a+b = b : 両辺をa-bで割る

6. 2b = b : a=bより

7. 2 = 1 : 両辺をbで割る

例 Indirect proof の例

3n+2が奇数ならばnも奇数である

対偶を考える。すなわち、nが偶数ならば 3n+2も偶数であることを示す。

nは偶数だから,n=2kとかける。よっ て3n+2=3×2k+2=2(3k+1)

証明終了

proof by contradiction ( 背理法 )

pを仮定して矛盾を導く。あるいは

(pq)p∧¬qTと仮定して矛盾を導く

例 proof by contradiction の例

sqrt(2)が無理数(irrational)であることを示 そう

• sqrt(2)が有理数a/bであると仮定して矛盾 を導く(aとbは互いに素とする)

• sqrt(2)a/bより、2=a2/b2

• a2=2b2より、aは偶数2cである

したがって4c2=2b2より2c2b2

すなわちbも偶数。これは矛盾

proof by cases

(ppp)q を示すのに

(pq)(pq)(pq) を示す

proof by cases の例

もし整数nが2でも3でも割り切れないと き、n2-124で割り切れることを示せ

整数nを6で割ったときの余りによって場 合わけする:6m+j, j=0,1,2,3,4,5

• j=0,2,3,4のときはnは2で割り切れるか 3で割り切れるので、考えるべき場合は

6m+16m+52通りだけであることが わかる

proof by cases の例

• n=6m+1のとき、

n2ー1=(6m+1)2 – 1 = 36m2+12m=12m(3m+1)

mが偶数の場合も奇数の場合もm(3m+1)は偶数

• n=6m+5のとき、

n2ー1=(6m+5)2 – 1 = 36m2+60m+24

=12m(3m+5)+24

mが偶数の場合も奇数の場合もm(3m+5)は偶数

定理と限定作用素

• ∃xp(x)の証明

存在性の証明(existential proof)

1) constructive(構成的)

p(a)Tとなるaを構成する

2) nonconstructive(非構成的)

例 Constructive proof の例

任意のnに対して、あるxが存在して,

すべてのi(1≦i≦n)に対してx+iは合成 数である

x=(n+1)!+1とする 任意のiについて

xi(n+1)!+(i+1)≡0(mod i+1)

例15 Nonconstructive proof の例

どのような整数nに対しても、nよりも大きな 素数が存在する(⇒素数は無限に存在する)

整数x=n!+1を考える

xは2からnまでのどの整数でも割り切れない

したがって、xが素数であるか,あるいはn 上の素数が存在してxはその素数で割り切れる

例 前向き推論と後ろ向き推論

互いに異なる実数a, bに対して、

(a+b)/2>sqrt(ab)であることを示せ

結論からはじめて、その結論が常に成立 することを示す(推論の向きが後ろ向きな だけで、pqを示すのにqpを言おうと しているのではないことに注意

• (a+b)/2>sqrt(ab)

• (a+b)2/4 > ab

• (a+b)2 > 4ab

• a2+2ab+b2 > 4ab

• a2-2ab+b2 > 0

• (a-b)2 > 0, これはa≠bのときつねに成立

例 前向き推論と後ろ向き推論

予想 (conjecture) の重要性

いくつかの観測された事実から予想をたてる

予想が正しいかどうかを証明する

予想が正しいことが証明できれば「定理」と なる。予想が正しくないことを証明するため には、反例(counterexample)を示せばよい

「予想⇒定理」の例

いくつかの連続した合成数の列が存在す

24,25,26,27,28

90,91,92,93,94,95,96

そのような列の長さはいくらでも長くで きるか?

つまり、任意に自然数nを与えたとき、

x+1,x+2,…,x+nがすべて合成数であるよ うな自然数xが存在するか(証明済み)

「予想⇒反例」の例

ピタゴラスの定理: 32+42=52

フェルマーの最終定理: n>2かつxyz≠0 のとき、 xn+yn=znを満たすような整数x,y,z は存在しない

オイラーの予想: 3以上の任意の整数nに対 して、n-1個の自然数のn乗の和が別の自然 数のn乗になるようなものは存在しない

(x1)n+(x2)n+…+(xn-1)n = yn

「予想⇒反例」の例

オイラーの予想に対する反例:

275 + 845 + 1105 + 1335 = 1445

Landerとpartkinによって1966年に発見された

未解決の予想の例

3x+1予想

次のような関数f(x)を考える:xが偶数の ときf(x)=x/2, xが奇数のとき、

f(x)=3x+1

このとき、どのようなxを与えても、関 f(x)を繰り返し適用することにより、い ずれは必ず1に収束する(予想)

ドキュメント内 計算機基礎論 (ページ 65-98)

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