q(x,y,z): x+y=zとする
• ∀x∀y∃z q(x,y,z)を調べる
• どのようなx、どのようなyに対して も x+y=z を満たすzは存在する
• したがってこの命題は真
例 10
q(x,y,z): x+y=z とする
• ∃z∀x∀y q(x,y,z)を調べる
• この命題は、“あるzが存在し、どの ようなx、どのようなyに対してもx+ y=zを満たす”ことを主張している
• この命題は偽
∀ xp(x) とその否定
• ∀x p(x)は「任意のxについてp(x)が成 立する」ことを主張している
• ¬∀x p(x)は「任意のxについてp(x)が 成立することはない」、つまりあるxが 存在してp(x)が成立しないことがあるこ とを主張している
• この主張は∃x¬p(x)で表現される
したがって…
¬∀x p(x) ⇔ ∃x ¬p(x) 同様に
¬∃x p(x) ⇔ ∀x ¬p(x)
例 11 以下はすべて等価である
¬∀x∀y∃z q(x,y,z)
∃x¬∀y∃z q(x,y,z)
∃x∃y¬∃z q(x,y,z)
∃x∃y∀z ¬q(x,y,z)
例 12 以下はすべて等価である
¬(∀x∀y p(x,y)∨∃x∀y p(x,y))
¬∀x∀y p(x,y)∧¬∃x∀y p(x,y)
∃x∃y ¬p(x,y)∧∀x∃y ¬p(x,y)
証明手法
( 教科書: 3.7)
藤田 聡 (広島大学)
数学的推論
(Mathematical Reasoning)
ここでの目的は、以下の2点に答えることである 1. 数学的議論が正しいのはどの場合か
2. 数学的議論を構成するための手法は何か 特に、定理と呼ばれる言明に興味がある
– 定理(theorem)とは、正しいことが証明(proof)できる 言明(statement)のこと
– では証明とは何か?
証明 (proof) とは?
• 言明の列 S0
, S
1, S
2, …
Si:① 公理(axiom)、あるいは、仮定や既 に得られている定理等(postlude)
②S0,S1,S2,…,Si-1:から新たに 導かれる言明
どういう風に? (→推論規則)
用語の使い分け
• 補題(lemma)
ほかの定理を導くための定理
• 系(corollary)
定理から簡単に導かれる別の定理
推論規則 (rule of inference)
(p∧(p→q))→q
(modus ponensと呼ばれる) または図式的に
p p→q
q
例
• きょう雪が降ればスキーにいく
• きょうは雪である
↓
• きょうスキーにいく
例
• p: きょう雪である
• q: きょうスキーにいく ((p→q)∧p)→q
S0: p→q S1: p
S2: q
新しい言明を作り出している!
正当 (valid) な議論
• これらの推論規則を用いて構成された 議論は正当(valid)であるという
• では、誤った推論にはどのようなもの があるか?
例 誤った推論の例 ( 1 )
• “この本のすべての問題を解いたなら ば,離散数学をマスターできる”
• “あなたは離散数学をマスターした”
• したがって“あなたはこの本のすべて の問題を解いた”
どこがどうおかしいでしょうか?
例 ( つづき )
• p: この本のすべての問題を解いた
• q: 離散数学をマスターした ((p→q)∧q)→p
誤り!
• 正しくは,
((p→q)∧p)→q
例 誤った推論の例 ( 2 )
2 = 1
• aとbを等しい正整数とする
1. a=b : 仮定より
2. a2 = ab : 両辺をa倍
3. a2 –b2 = ab –b2 : 両辺からb2を引く 4. (a-b)(a+b) = b(a-b) : 因数分解
5. a+b = b : 両辺をa-bで割る
6. 2b = b : a=bより
7. 2 = 1 : 両辺をbで割る
例 Indirect proof の例
3n+2が奇数ならばnも奇数である
• 対偶を考える。すなわち、nが偶数ならば 3n+2も偶数であることを示す。
• nは偶数だから,n=2kとかける。よっ て3n+2=3×2k+2=2(3k+1)
証明終了
proof by contradiction ( 背理法 )
¬pを仮定して矛盾を導く。あるいは
¬(p→q)=p∧¬qをTと仮定して矛盾を導く
例 proof by contradiction の例
sqrt(2)が無理数(irrational)であることを示 そう
• sqrt(2)が有理数a/bであると仮定して矛盾 を導く(aとbは互いに素とする)
• sqrt(2)=a/bより、2=a2/b2
• a2=2b2より、aは偶数2cである
• したがって4c2=2b2より2c2=b2、
• すなわちbも偶数。これは矛盾
proof by cases
(p1∨p2∨…∨pn)→q を示すのに
(p1→q)∧(p2→q)∧…∧(pn→q) を示す
proof by cases の例
もし整数nが2でも3でも割り切れないと き、n2-1が24で割り切れることを示せ
• 整数nを6で割ったときの余りによって場 合わけする:6m+j, j=0,1,2,3,4,5
• j=0,2,3,4のときはnは2で割り切れるか 3で割り切れるので、考えるべき場合は
、6m+1と6m+5の2通りだけであることが わかる
proof by cases の例
• n=6m+1のとき、
n2ー1=(6m+1)2 – 1 = 36m2+12m=12m(3m+1)
mが偶数の場合も奇数の場合もm(3m+1)は偶数
• n=6m+5のとき、
n2ー1=(6m+5)2 – 1 = 36m2+60m+24
=12m(3m+5)+24
mが偶数の場合も奇数の場合もm(3m+5)は偶数
定理と限定作用素
• ∃xp(x)の証明
…存在性の証明(existential proof)
1) constructive(構成的)
p(a)がTとなるaを構成する
2) nonconstructive(非構成的)
例 Constructive proof の例
任意のnに対して、あるxが存在して,
すべてのi(1≦i≦n)に対してx+iは合成 数である
x=(n+1)!+1とする 任意のiについて
x+i≡(n+1)!+(i+1)≡0(mod i+1)
例15 Nonconstructive proof の例
どのような整数nに対しても、nよりも大きな 素数が存在する(⇒素数は無限に存在する)
• 整数x=n!+1を考える
• xは2からnまでのどの整数でも割り切れない
• したがって、xが素数であるか,あるいはn以 上の素数が存在してxはその素数で割り切れる
例 前向き推論と後ろ向き推論
互いに異なる実数a, bに対して、
(a+b)/2>sqrt(ab)であることを示せ
• 結論からはじめて、その結論が常に成立 することを示す(推論の向きが後ろ向きな だけで、p→qを示すのにq→pを言おうと しているのではないことに注意
• (a+b)/2>sqrt(ab)
• (a+b)2/4 > ab
• (a+b)2 > 4ab
• a2+2ab+b2 > 4ab
• a2-2ab+b2 > 0
• (a-b)2 > 0, これはa≠bのときつねに成立
例 前向き推論と後ろ向き推論
予想 (conjecture) の重要性
• いくつかの観測された事実から予想をたてる
• 予想が正しいかどうかを証明する
• 予想が正しいことが証明できれば「定理」と なる。予想が正しくないことを証明するため には、反例(counterexample)を示せばよい
「予想⇒定理」の例
• いくつかの連続した合成数の列が存在す る
24,25,26,27,28
90,91,92,93,94,95,96
そのような列の長さはいくらでも長くで きるか?
• つまり、任意に自然数nを与えたとき、
x+1,x+2,…,x+nがすべて合成数であるよ うな自然数xが存在するか(証明済み)
「予想⇒反例」の例
• ピタゴラスの定理: 32+42=52
• フェルマーの最終定理: n>2かつxyz≠0 のとき、 xn+yn=znを満たすような整数x,y,z は存在しない
• オイラーの予想: 3以上の任意の整数nに対 して、n-1個の自然数のn乗の和が別の自然 数のn乗になるようなものは存在しない
(x1)n+(x2)n+…+(xn-1)n = yn
「予想⇒反例」の例
• オイラーの予想に対する反例:
275 + 845 + 1105 + 1335 = 1445
Landerとpartkinによって1966年に発見された
未解決の予想の例
• 3x+1予想
• 次のような関数f(x)を考える:xが偶数の ときf(x)=x/2, xが奇数のとき、
f(x)=3x+1
• このとき、どのようなxを与えても、関 数f(x)を繰り返し適用することにより、い ずれは必ず1に収束する(予想)