5月18日(水)
前下小脳動脈領域梗塞 7 例の検討
1日本大学医学部 内科学系 神経内科学分野,2日本大学医学部 内科学系 総合内 科学分野○小川克彦1,秋本高義1,高橋恵子1,鈴木 裕1,亀井 聡1,相馬正義2
[目的]前下小脳動脈 (anterior inferior cerebellar artery;AICA) 領域梗塞の臨床像 を検討した.[方法]MRI で AICA 領域に梗塞を認めた 7例 (32 ~ 72歳,男性6例・
女性1例) を対象とし,神経所見・画像所見・危険因子を解析した.[結果]梗塞の分 布:小脳 1 例,両側中小脳脚 1 例,橋外側 1 例,中小脳脚・橋外側 1 例,橋外側・中小 脳脚・小脳 1 例,中小脳脚・小脳 2 例 (1 例は両側)であった.初発症状: 起立歩行障 害は 5 例にみられた.急性めまいは 4 例 (回転性;3 例,浮動性;1 例) にみられた.
頭痛・頚部痛は 2 例にみられた.難聴と耳鳴はそれぞれ 1 例にみられた.神経所見:
起立歩行障害は7 例にみられた.めまいは 4 例(回転性;3 例,浮動性;1 例)にみら れ,四肢の協調運動障害は 4 例にみられた.眼振は 6 例(注視方向性;3 例,定方向 性;3 例)にみられ,1 例は Bruns 眼振であった.眼球運動障害では側方注視麻痺が 1 例,外転神経麻痺・内斜視が 1 例にみられた.構音障害は 3 例にみられ,1 例は鼻声 を伴っていた.末梢性顔面神経麻痺は 2 例にみられた.聴覚障害は 5 例にみられ,
難聴 4 例,耳鳴 1 例であった.ホルネル症候群は 2 例にみられた.軽度の片麻痺は 1 例にみられ,交代性表在感覚障害が 2 例にみられた.危険因子: 7 例に確認され,高 血圧症5例・高脂血症3例・糖尿病3例・喫煙2例であった.血管所見:6 例に血管検査が 施行され (血管造影 ; 1例,MRA;5 例),血管造影が施行された 1例では後下小脳動 脈の動脈瘤がみられた.MRA施行例では,片側椎骨動脈狭窄が 3 例,脳底動脈狭窄 が 1 例,両側椎骨動脈/脳底動脈狭窄が 1 例にそれぞれみられた.[結論]聴覚障害に 小脳失調やめまいを呈する患者には AICA 領域梗塞を考慮する必要があるが,5 例で 聴覚障害と歩行や体幹の失調を呈していた.また,1 例は前庭症状のみを呈しており,
AICA 領域梗塞の診断には注意する必要がある.
Pj-083-4
延髄内側梗塞-25例の検討
日本大学医学部内科学系神経内科学分野
○秋本高義,小川克彦,森田昭彦,鈴木 裕,亀井 聡
【目的】延髄内側梗塞の臨床所見と画像所見について検討した.【方法】1999年3月
~2015年5月までに当科を受診しMRIにより延髄内側梗塞が証明された症例の臨 床症状・所見,画像について後方視的に検討した.【結果】25例(男性20例,女性 5例,27~88歳)が該当し,そのうち延髄内側梗塞のみのものが17例,橋梗塞を合 併したものが6例,延髄外側梗塞を合併したものが1例,小脳梗塞を合併したもの が1例であった.延髄内側の梗塞巣は上部限局が21例,下部限局が1例,上部~中 部に連続するものが2例,上部~下部に連続するものが1例であった.初診時の主 訴は運動麻痺が19例と最も多く,感覚障害11例,構音障害9例,歩行障害6例,嘔 気・嘔吐5例,頸部痛2例,複視1例であった.神経学的所見は眼振11例,顔面神経 麻痺9例,舌下神経麻痺4例(病巣側1例,対側3例),単麻痺3例,片麻痺19例,四 肢麻痺1例,感覚障害を呈したものが18例であった.梗塞巣は拡散強調画像にお いて,最も早いものでは発症6時間で陽性となったが,66時間時点でも陰性の例も あった.原因は大血管アテロームによるものが12例,心原性塞栓症1例,椎骨動脈 解離5例,不明7例であった.【結論】延髄の血管支配は腹内側,腹外側,外側,後 側に分けられ,前2者の虚血により延髄内側梗塞が生じる.本検討では梗塞巣は 上部が最も多く既報と一致した.症候学的には運動麻痺を主訴とするものが最も 多く,腹側に錐体路が存在することと一致した.Dejerine症候群は既報において 3.5~71%と報告されているが,本検討では4%であった.延髄内側梗塞では橋梗 塞を合併するものや腹内側と腹外側両方に梗塞範囲が及ぶものがあり,アテロー ム血栓性機序により複数の分枝が梗塞し生じることが多いと考えられた.
Pj-083-5
診断までに時間を要した急性期延髄外側梗塞例の特徴について 川崎医科大学病院 脳卒中科
○和田裕子,植村順一,山下 睦,北野貴也,祢津智久,向井智哉,
八木田佳樹
[目的]急性期の延髄外側梗塞例では,非典型的な症状を呈する例やMRI拡散強 調画像(DWI)での偽陰性例があることから,診断に難渋することがある.本研 究では急性期延髄外側梗塞の診断について検討した.[方法]2010年1月~2015年 8月に発症7日以内に入院した急性期脳梗塞のうち,DWIで延髄外側に限局した梗 塞巣を認めた連続26例を対象とした.頭頚部痛を除く神経症状の出現から初めて DWI陽性を確認するまでのMRI検査回数と所要時間を検討した.次に発症から DWI陽性確認までの所要時間を48時間未満と以上の群に分けて,症状や背景因子 を比較した.[結果](1)MRIの回数は,1回12例(46.1%),2回11例(42.3%),3 回3例(11.5%).(2)所要時間は,6,12,24,48,72,96時間以内が各々2例(7.7%),
5例(19.2%),12例(46.1%),19例(73.1%),22例(84.5%),23例(88.5%)であっ た.96時間以上必要であったのは3例であった.(3)48時間未満の群では,以上の 群より,めまい・構音障害(各57.9% vs 14.3%),悪心嘔吐・ホルネル徴候・嚥下 障害(各63.2% vs 14.3%),眼振(52.6% vs 14.3%),四肢の失調(47.3% vs 0%)
を高率に認めた.解離性の感覚障害(94.5% vs 71.4%)は,48時間未満では顔面
+半身型が多い(53% vs 14.3%)一方,以上の群では分節性や顔面の一部などの 型(26.3% vs 42.9%)が多かった.一方,病変側へ倒れるbody lateropulsion(BL)
は,両群ともに多かった(94.7% vs 85.7%).[結論]画像所見や典型的な症候を 欠く例でもBLは陽性であることが多く,BLは延髄外側梗塞を疑う手がかりとな る可能性が示唆された.
Pj-083-6
延髄梗塞,小脳梗塞と耳性めまいとの判別における,生命徴候や生化学検査の有 用性
近森病院 神経内科
○佐島和晃,葛目大輔,森本優子,金子恵子
【目的】救急外来の初診において,延髄梗塞や小脳梗塞と耳性めまいとの判別に苦 慮する場合も少なくない.これらの判別における生命徴候や生化学検査の有用性 について検討した.【対象】2013年10月1日から2015年9月30日の間に当院に入院 した延髄梗塞や小脳梗塞27人 (平均年齢77.7±11.6 歳,男性 11人,入院時NIHSS 3.0±3.5),耳性めまい56人(平均年齢68.0±16.1 歳,男性 24人). 【方法】年齢,
身長,体重,Body Mass index(BMI),来院時収縮期血圧,来院時拡張期血圧,体 温,SPO2,心拍数,WBC,リンパ球数,RBC,Hb,Ht,CRP,LDH,GOT,GPT,
ALP,γ-GTP,BUN,Cre,eGFR,CRP,T-Cho,TG,HDL,LDL,ChE,血 糖値,HbA1c,BNP,PT-INRを評価した.統計解析はIBM SPSS 19.0 regression を用いて行った.二群間の群間差検定はMann-Whitney U検定もしくはχ2検定 を実施した.二群間で群間差を認めた項目において,ロジスティック解析を用い て,耳性めまいの要因分析を行った.いずれの統計解析においても,p < 0.05を 有意差ありと判断した. 【結果】二群間で有意差を認めた項目として,年齢(脳 梗塞vs耳性めまい 77.7±11.6 歳 vs 68.0±16.1 歳,p=0.01),リンパ球数(脳梗塞vs 耳性めまい1410±780/μL vs 2460±1230/μL,p=0.001),ALP(脳梗塞vs耳性め まい266±91/μL vs 217±71/μL,p=0.02),eGFR(脳梗塞vs耳性めまい57±29.7/
μL vs 82.9±33.1/μL,p=0.001),ChE(脳梗塞vs耳性めまい259.8±62/μL vs 304
±73/μL,p=0.001)で群間差を認めた.上記の項目でロジスティック解析を行っ たところ,リンパ球数(OR=1.114 95%CI 1.044-1.189 p=0.001),eGFR(OR=1.027 95%CI 1.006-1.047 p=0.011)で耳性めまいとの間で関連性を認めた.【結語】延髄 梗塞や小脳梗塞と,耳性めまいとを鑑別する指標として,リンパ球数とeGFRが 関連性を認めた.
647
-20日
㈮ ポス ター
(日 本語 ) Pj-083-1
Mass effectを伴う広範な小脳梗塞6例の臨床的検討 横須賀共済病院 神経内科
○五十嵐奨,下田 浩,高橋祐子,新美祐介,入岡 隆
【目的】小脳梗塞の実地臨床では,軽いめまい症状のみ呈する例から重篤な意識障 害を呈する例まで幅が広く,治療方針も病状に応じて変わる.今回,Mass effect を伴う広範な小脳梗塞6例において,臨床的検討を行い,その特徴を抽出した.【方 法】67歳から87歳までの男性3例,女性3例の6例の臨床症状・経過,脳卒中危険因 子・病型分類,脳MRI・CT画像診断,転帰を解析した.【結果】全6例とも発症時 は意識清明だったが,うち3例は頭痛・嘔吐または血圧や脈拍の上昇を認めた後,
最大7時間以内にJapan coma scale(JCS)3桁の意識障害となった.病型はアテ ローム血栓性梗塞が5例,椎骨動脈解離が1例だった.脳MRI・CT画像による梗塞 巣の検討では,6例中後下小脳動脈(PICA)領域+上小脳動脈(SCA)領域+前下小 脳動脈(AICA)領域+延髄が1例,PICA領域+SCA領域+AICA領域が1例,PICA領 域+SCA領域+延髄が2例,PICA領域+SCA領域が2例だった.転帰については,2 例は発症2日目に閉塞性水頭症となり,うち1例は開頭外減圧術・脳室ドレナージ を施行,後に回復期リハビリテーション病院へ転院.もう1例は内科的管理のみ で,死亡退院となった.1例は発症14日目に小脳梗塞が再発し,再発2日目に閉塞 性水頭症となり,開頭外減圧術を施行.後に回復期リハビリテーション病院へ転 院した.残り3例は内科的管理のみで症状悪化なく,リハビリテーション期間を 経て,自宅退院となった.【結論】外科的治療介入した2例と死亡退院した1例は何 れも急速に意識障害を呈する前に頭痛・嘔吐または血圧や脈拍の上昇があったが,
その場では迅速な対応はとられなかった.また,発症時の症状・所見や画像診断 は,外科的治療介入した例と内科的管理のみの例の間で明らかな差はなかった.
Mass effectを伴う広範な小脳梗塞症例の入院管理において,頭痛・嘔吐や血圧・
脈拍の変動が病状進行の警告となりうるため,注意を要する.
Pj-083-2
椎骨動脈解離の画像的検討 仙台市立病院
○池之内初,渋井 彩,遠藤 薫,樋口じゅん
[目的]椎骨動脈解離の画像に関する所見の陽性率を検討する.[方法]2014年11月 15日より2015年11月14日までに当科入院した椎骨動脈解離例に対して,その臨床 的背景と画像所見を検討した.画像所見は頸動脈エコー,MRI,脳血管撮影を全 例で施行し,エコーでは椎骨動脈の平均血流速度を検討し,MRIは入院時に拡散 強調像(DWI),MRアンギオグラフィー(MRA),T2*強調画像(T2*WI),入院中に DWI,T1強調画像(T1WI),BPASを撮像した.解離の診断はSCADS-Japanの診 断基準に従った.[結果]同期間に入院した急性期脳梗塞は194例であり,椎骨動脈 解離は6例であった.解離症例の平均年齢は48±10歳,女性は1例であった.高血 圧症は2例,脂質異常症は2例,糖尿病はおらず,喫煙歴を5例に認めた.全例で後 頸部痛を認め,発症から来院までは中央値4日(IQR 3.83-5.75)であった.解離は全 例片側であり,部位はV3が1例,V4が5例であった.頸動脈エコーでは全例で病 側の平均血流の低下もしくは拡張末期血流の消失を認めた.DWI陽性は来院時 に は 2 例,再 検 で も 3 例 の み で あ っ た.BPAS/MRA の 乖 離 は V4 の 5 例 で,
Intramural hematomaは全例で認めた.来院時血管閉塞例は2例で血管形態の変 化は4例,double floorは2例で認めた.[結論]DWIは必ずしも参考にはならず,一 方でIntramural Hematomaは全例,BPAS/MRAの乖離は多く認められ,T1WIや BPASを積極的に撮像する意義がある.また,エコーでは全例で平均血流または 拡張末期血流が低下しており,症状が軽微な症例においても精査のきっかけとな る.
Pj-083-3
前下小脳動脈領域梗塞 7 例の検討
1日本大学医学部 内科学系 神経内科学分野,2日本大学医学部 内科学系 総合内 科学分野○小川克彦1,秋本高義1,高橋恵子1,鈴木 裕1,亀井 聡1,相馬正義2
[目的]前下小脳動脈 (anterior inferior cerebellar artery;AICA) 領域梗塞の臨床像 を検討した.[方法]MRI で AICA 領域に梗塞を認めた 7例 (32 ~ 72歳,男性6例・
女性1例) を対象とし,神経所見・画像所見・危険因子を解析した.[結果]梗塞の分 布:小脳 1 例,両側中小脳脚 1 例,橋外側 1 例,中小脳脚・橋外側 1 例,橋外側・中小 脳脚・小脳 1 例,中小脳脚・小脳 2 例 (1 例は両側)であった.初発症状: 起立歩行障 害は 5 例にみられた.急性めまいは 4 例 (回転性;3 例,浮動性;1 例) にみられた.
頭痛・頚部痛は 2 例にみられた.難聴と耳鳴はそれぞれ 1 例にみられた.神経所見:
起立歩行障害は7 例にみられた.めまいは 4 例(回転性;3 例,浮動性;1 例)にみら れ,四肢の協調運動障害は 4 例にみられた.眼振は 6 例(注視方向性;3 例,定方向 性;3 例)にみられ,1 例は Bruns 眼振であった.眼球運動障害では側方注視麻痺が 1 例,外転神経麻痺・内斜視が 1 例にみられた.構音障害は 3 例にみられ,1 例は鼻声 を伴っていた.末梢性顔面神経麻痺は 2 例にみられた.聴覚障害は 5 例にみられ,
難聴 4 例,耳鳴 1 例であった.ホルネル症候群は 2 例にみられた.軽度の片麻痺は 1 例にみられ,交代性表在感覚障害が 2 例にみられた.危険因子: 7 例に確認され,高 血圧症5例・高脂血症3例・糖尿病3例・喫煙2例であった.血管所見:6 例に血管検査が 施行され (血管造影 ; 1例,MRA;5 例),血管造影が施行された 1例では後下小脳動 脈の動脈瘤がみられた.MRA施行例では,片側椎骨動脈狭窄が 3 例,脳底動脈狭窄 が 1 例,両側椎骨動脈/脳底動脈狭窄が 1 例にそれぞれみられた.[結論]聴覚障害に 小脳失調やめまいを呈する患者には AICA 領域梗塞を考慮する必要があるが,5 例で 聴覚障害と歩行や体幹の失調を呈していた.また,1 例は前庭症状のみを呈しており,
AICA 領域梗塞の診断には注意する必要がある.
Pj-083-4
延髄内側梗塞-25例の検討
日本大学医学部内科学系神経内科学分野
○秋本高義,小川克彦,森田昭彦,鈴木 裕,亀井 聡
【目的】延髄内側梗塞の臨床所見と画像所見について検討した.【方法】1999年3月
~2015年5月までに当科を受診しMRIにより延髄内側梗塞が証明された症例の臨 床症状・所見,画像について後方視的に検討した.【結果】25例(男性20例,女性 5例,27~88歳)が該当し,そのうち延髄内側梗塞のみのものが17例,橋梗塞を合 併したものが6例,延髄外側梗塞を合併したものが1例,小脳梗塞を合併したもの が1例であった.延髄内側の梗塞巣は上部限局が21例,下部限局が1例,上部~中 部に連続するものが2例,上部~下部に連続するものが1例であった.初診時の主 訴は運動麻痺が19例と最も多く,感覚障害11例,構音障害9例,歩行障害6例,嘔 気・嘔吐5例,頸部痛2例,複視1例であった.神経学的所見は眼振11例,顔面神経 麻痺9例,舌下神経麻痺4例(病巣側1例,対側3例),単麻痺3例,片麻痺19例,四 肢麻痺1例,感覚障害を呈したものが18例であった.梗塞巣は拡散強調画像にお いて,最も早いものでは発症6時間で陽性となったが,66時間時点でも陰性の例も あった.原因は大血管アテロームによるものが12例,心原性塞栓症1例,椎骨動脈 解離5例,不明7例であった.【結論】延髄の血管支配は腹内側,腹外側,外側,後 側に分けられ,前2者の虚血により延髄内側梗塞が生じる.本検討では梗塞巣は 上部が最も多く既報と一致した.症候学的には運動麻痺を主訴とするものが最も 多く,腹側に錐体路が存在することと一致した.Dejerine症候群は既報において 3.5~71%と報告されているが,本検討では4%であった.延髄内側梗塞では橋梗 塞を合併するものや腹内側と腹外側両方に梗塞範囲が及ぶものがあり,アテロー ム血栓性機序により複数の分枝が梗塞し生じることが多いと考えられた.
Pj-083-5
診断までに時間を要した急性期延髄外側梗塞例の特徴について 川崎医科大学病院 脳卒中科
○和田裕子,植村順一,山下 睦,北野貴也,祢津智久,向井智哉,
八木田佳樹
[目的]急性期の延髄外側梗塞例では,非典型的な症状を呈する例やMRI拡散強 調画像(DWI)での偽陰性例があることから,診断に難渋することがある.本研 究では急性期延髄外側梗塞の診断について検討した.[方法]2010年1月~2015年 8月に発症7日以内に入院した急性期脳梗塞のうち,DWIで延髄外側に限局した梗 塞巣を認めた連続26例を対象とした.頭頚部痛を除く神経症状の出現から初めて DWI陽性を確認するまでのMRI検査回数と所要時間を検討した.次に発症から DWI陽性確認までの所要時間を48時間未満と以上の群に分けて,症状や背景因子 を比較した.[結果](1)MRIの回数は,1回12例(46.1%),2回11例(42.3%),3 回3例(11.5%).(2)所要時間は,6,12,24,48,72,96時間以内が各々2例(7.7%),
5例(19.2%),12例(46.1%),19例(73.1%),22例(84.5%),23例(88.5%)であっ た.96時間以上必要であったのは3例であった.(3)48時間未満の群では,以上の 群より,めまい・構音障害(各57.9% vs 14.3%),悪心嘔吐・ホルネル徴候・嚥下 障害(各63.2% vs 14.3%),眼振(52.6% vs 14.3%),四肢の失調(47.3% vs 0%)
を高率に認めた.解離性の感覚障害(94.5% vs 71.4%)は,48時間未満では顔面
+半身型が多い(53% vs 14.3%)一方,以上の群では分節性や顔面の一部などの 型(26.3% vs 42.9%)が多かった.一方,病変側へ倒れるbody lateropulsion(BL)
は,両群ともに多かった(94.7% vs 85.7%).[結論]画像所見や典型的な症候を 欠く例でもBLは陽性であることが多く,BLは延髄外側梗塞を疑う手がかりとな る可能性が示唆された.
Pj-083-6
延髄梗塞,小脳梗塞と耳性めまいとの判別における,生命徴候や生化学検査の有 用性
近森病院 神経内科
○佐島和晃,葛目大輔,森本優子,金子恵子
【目的】救急外来の初診において,延髄梗塞や小脳梗塞と耳性めまいとの判別に苦 慮する場合も少なくない.これらの判別における生命徴候や生化学検査の有用性 について検討した.【対象】2013年10月1日から2015年9月30日の間に当院に入院 した延髄梗塞や小脳梗塞27人 (平均年齢77.7±11.6 歳,男性 11人,入院時NIHSS 3.0±3.5),耳性めまい56人(平均年齢68.0±16.1 歳,男性 24人). 【方法】年齢,
身長,体重,Body Mass index(BMI),来院時収縮期血圧,来院時拡張期血圧,体 温,SPO2,心拍数,WBC,リンパ球数,RBC,Hb,Ht,CRP,LDH,GOT,GPT,
ALP,γ-GTP,BUN,Cre,eGFR,CRP,T-Cho,TG,HDL,LDL,ChE,血 糖値,HbA1c,BNP,PT-INRを評価した.統計解析はIBM SPSS 19.0 regression を用いて行った.二群間の群間差検定はMann-Whitney U検定もしくはχ2検定 を実施した.二群間で群間差を認めた項目において,ロジスティック解析を用い て,耳性めまいの要因分析を行った.いずれの統計解析においても,p < 0.05を 有意差ありと判断した. 【結果】二群間で有意差を認めた項目として,年齢(脳 梗塞vs耳性めまい 77.7±11.6 歳 vs 68.0±16.1 歳,p=0.01),リンパ球数(脳梗塞vs 耳性めまい1410±780/μL vs 2460±1230/μL,p=0.001),ALP(脳梗塞vs耳性め まい266±91/μL vs 217±71/μL,p=0.02),eGFR(脳梗塞vs耳性めまい57±29.7/
μL vs 82.9±33.1/μL,p=0.001),ChE(脳梗塞vs耳性めまい259.8±62/μL vs 304
±73/μL,p=0.001)で群間差を認めた.上記の項目でロジスティック解析を行っ たところ,リンパ球数(OR=1.114 95%CI 1.044-1.189 p=0.001),eGFR(OR=1.027 95%CI 1.006-1.047 p=0.011)で耳性めまいとの間で関連性を認めた.【結語】延髄 梗塞や小脳梗塞と,耳性めまいとを鑑別する指標として,リンパ球数とeGFRが 関連性を認めた.
648
-20日
㈮ ポス ター
(日 本語 )
Pj-084-1
胸部大動脈ステント内挿術後の脳梗塞合併についての検討
1新潟大学医歯学総合病院 神経内科,2新潟医大学脳研究所 神経内科学分野,3新 潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野
○赤岩靖久1,二宮 格1,上村昌寛2,鳥谷部真史2,長澤綾子3,岡本竹司3, 青木賢治3,榛沢和彦3,名村 理2,3,下畑享良2,西澤正豊2
【目的】胸部大動脈ステント内挿術(TEVAR)は,高齢者や合併症を有するハイリスクな 症例に対しても,胸部大動脈置換術に比べて低侵襲で行えるが,ステントグラフト留置の 際にステントグラフトが頸部分枝に及ぶため,脳梗塞の合併が常に危惧される.TEVAR 術後の脳梗塞の発症頻度とその特徴について検討した.【方法】2011年1月から2015年11月 にTEVARを施行した185例(男性146例,平均年齢70.4歳)を対象とした.TEVARが実施 された胸部大動脈瘤(TAA)と胸部大動脈解離(DAA)の内訳は,2011年TAA22例:DAA1 例,2012年22:9,2013年28:19,2014年24:16,2015年22:22であった.【結果】TEVAR後に症 候性の急性期脳梗塞を認めた症例は10例(男性10例,平均年齢74.1歳)であり,脳梗塞を認 めなかった群と比べて年齢が高い傾向にあったが有意差は認めなかった(p=0.292).内訳 は,TAA7例:DAA3例であり,2011年0例,2012年1例(DAA1),2013年0例,2014年3例 (TAA3),2015年6例(TAA4:DAA2)と経年的に増加傾向にあった.ステント留置部位は,
上行から弓部が1例,弓部が6例,遠位弓部が3例であった.症状は,片麻痺,四肢麻痺,構 音障害,失語,遷延性意識障害であった.頭部MRIにて,後方循環系を主体に病変を認め た症例と,前方循環系の左側を主体に病変を認めた症例があったが,前方後方および左右 どちらにも散在性に病変を認めた症例が多かった.退院時のmRSは,1-3が4例,4-5が5例,
6が1例であった.【考察】TEVARは,手術適応とならないようなハイリスクな症例も対象 となりうるため,大動脈の粥腫病変からの塞栓症のリスクも高まることが予想される.
TEVAR症例の増加とともに脳梗塞発症例も増加しており,脳梗塞発症後の予後も不良で あるため,TEVAR後に脳梗塞を発症しやすいリスク因子の検討や,脳梗塞発症を防ぐた めの手技の確立が早急に必要であると考える.
Pj-084-2
放射線照射部位の遅発性血管狭窄により脳梗塞が生じた2例
1田附興風会医学研究所 北野病院 神経内科,2田附興風会医学研究所 北野病院 脳神経外科
○細木 聡1,小松研一1,里井 斉1,岩崎孝一2,松本禎之1
【目的】放射線治療の進歩で頭頸部癌の長期生存例が増えている.一方,照射後の血管障害 で脳梗塞やTIAは2~5倍へ増加する.しかし,照射後に脳血管の評価が継続されることは 稀で,また患者教育や動脈硬化リスク因子の管理に関しても十分とはいえないのが現状で ある.今回,頭頸部腫瘍へ放射線照射を受けた後13~23年遅れて主幹動脈狭窄による脳梗 塞をきたした2例を経験したため報告する.【方法】放射線照射既往があり,主幹動脈の狭 窄ないし閉塞により脳梗塞をきたした2例で,照射野と狭窄部位の対応やリスク因子の管 理状況を検討した.【結果】[症例1] 40代男性.13年前頭蓋咽頭腫に手術放射線療法を施行.
喫煙継続中.右大脳半球に分水嶺梗塞を発症,2時間7分でrt-PAを投与し血管撮影を施行.
右内頸動脈末端部以遠で描出が不良であったが側副路の発達は良好であった.症状改善と 血管撮影所見から血栓回収は行わず.アスピリンとクロピドグレルで加療していたが2カ 月後に同様の梗塞を再発.血行再建術は希望されず,シロスタゾールを追加.以後再発認 めず.[症例2] 60代男性.23年前上咽頭癌に放射線化学療法を施行.虚血性心疾患にステ ント留置されアスピリンとクロピドグレルを内服中.高脂血症は十分治療されていたが,
喫煙は継続中であった.今回左小脳梗塞を発症.CTアンギオグラフィーで両側椎骨動脈 起始部に限局的狭窄を認めた.同部位は,照射野に含まれてはいるものの相対的に低線量 の部位であった.アスピリンとクロピドグレルを継続し,以後脳梗塞再発認めず.【結論】
2例とも放射線照射後の遅発性血管狭窄により脳梗塞を生じた.特に上咽頭癌の場合には リンパ節転移を想定し広範囲に照射されることが多く,頸部血管起始部や鎖骨下動脈まで 含めた評価が必要である.また,2例とも放射線照射後脳梗塞に至るまで喫煙を継続して おり,悪性腫瘍の観点に加え脳梗塞リスクの観点からも十分な患者教育が必要である.
Pj-084-3
心臓血管手術に伴う症候性虚血性脳卒中の発症頻度
熊本大学大学院生命科学研究部 先端生命医療科学部門脳神経科学講座神経内科 学分野○波止聡司,稲富雄一郎,佐藤寛紀,関東祐喜子,池田知聡,神宮隆臣,
本多由美,永沼雅基,池野幸一,米原敏郎,安東由喜雄
【目的】当院における心臓血管手術後の虚血性脳卒中発症頻度と発生予測因子に ついて調査した.【方法】対象は2014年10月から2015年9月の1年間に単施設で行 われた心臓血管手術222例(冠動脈バイパス術 55例,弁置換術60例,胸腹部大動脈 瘤手術 107例).術後2週間内に症候性虚血性脳卒中を発症する頻度とその背景因 子を調査した.【結果】症候性虚血性脳卒中は全体で6例(2.7%)に発生し,内訳は 冠動脈バイパス術 1例(1.8%),弁置換術1例(1.6%),胸腹部大動脈瘤手術4例 (3.7%)であった.手術症例の平均年齢 69.8±10.8 歳で,男性は 66.2%(147例)で あった.高血圧75.7%(168例),脂質異常症45%(100例),LDL 102.1±34.0,喫煙 36.0%(80例)で,発症群,非発症群間での統計学的有意差はなかった.糖尿病は 非発症群 25.1%(54例),発症群66.7%(4例)と発症群で多く認めた(p = 0.03).
HbA1cは非発症群5.9±0.8,発症群7.3±1.6と発症群で高値であった(p = 0.06).
【結論】心臓血管手術後に症候性虚血性脳卒中は2.7%に発症していた.糖尿病の 有無は心臓血管手術後に症候性虚血性脳卒中の発生予測因子となりえた.
Pj-084-4
睡眠中に発生した脳卒中症例
1青森県立中央病院 神経内科(脳卒中ケアユニット),2青森県立中央病院 神経 内科○布村仁一1,冨山誠彦2,鈴木千恵子2,新井 陽2,西嶌春生2,上野達哉2, 羽賀理恵2,今 智矢2,船水章央2,馬場正之2
【目的】脳卒中発症の危険因子についての検討は多く,対策が叫ばれているが,個々 の症例における直接的な発症の原因についてはほとんど検討されていない.一般 に虚血性脳卒中は睡眠中,起床時に発症しやすく,出血性脳卒中は日中活動時に 多く発症すると言われているが,睡眠中発症と思われる出血性脳卒中も稀ならず 経験する.今回我々は睡眠中に発症したと思われる脳卒中症例について,病型ご との頻度について検討した.【対象・方法】6か月間に入院した全脳卒中患者を対 象に発症時間を後方視的に検討し,睡眠中発症と思われる症例を抽出してその病 型の頻度を検討した.【結果】一過性脳虚血発作を除いた全脳卒中入院は249例,
内訳は脳梗塞(CI)144例,脳出血(ICH) 67例,くも膜下出血(SAH) 38例であっ た.睡眠中に発症したと思われる症例は35例(14%)で,内訳はCI 25例(17%),
ICH 8例(12%),SAH 2例(5%)であった.CIにおいてはラクナ梗塞7例,アテ ローム血栓性8例,心原性10例であった.【考察】今回の検討で睡眠中発症と思わ れる症例は確かに虚血性脳卒中に多かったが,出血性脳卒中でも決して稀ではな いことが確認された.また虚血性脳卒中でも活動中に多いと思われていた心原性 塞栓症が少なくなかったことが注目される.睡眠中に発症する脳卒中の発症機序 は現時点では不明であるが,睡眠のステージ変化に伴う自律神経機能の変化が関 連する可能性が指摘されている.今後根本的な脳卒中発症機序の解明,予防法の 確立において,発症時のより詳細なデータの収集,解析が必要と思われた.【結論】
脳卒中は睡眠中に虚血性,出血性問わず稀ならず発症する.脳卒中発症機序の解 明,予防法の確立等に重要な知見と思われ,今後の詳細な検討が必要である.
Pj-084-5
内頸動脈超音波検査を用いた卵円孔開存症の診断
1獨協医科大学 神経内科 脳卒中部門,2獨協医科大学 超音波センター,3獨協医 科大学 神経内科
○鈴木綾乃1,竹川英宏1,2,鈴木圭輔3,塚原由佳1,岩崎晶夫1,西平崇人1, 岡村 穏1,平田幸一3
【目的】奇異性脳塞栓症の原因として肺動静脈瘻や卵円孔開存症(patent foramen ovale:PFO)が 知 ら れ て お り,そ の 診 断 に は 経 食 道 心 臓 超 音 波 検 査
(transesophageal echocardiography:TEE)や経頭蓋超音波ドプラ検査が用いら れ る が,検 査 困 難 例 も 存 在 す る.わ れ わ れ は 頸 動 脈 超 音 波 検 査(carotid ultrasonography:CUS)を用いたPFOの診断率について検討した.【方法】虚血 性脳卒中で入院し,TEEおよびCUSを施行した連続21例(55.5±13.5歳,男性13例,
女性8例)を対象とした.PFO診断はTEEを用い,Valsalva負荷に,右肘静脈から 生理食塩水9mlと空気1mlを撹拌したコントラスト剤を注入して行った.PFOの 径は左房内に出現した粒状エコーの最大数が5個以下の場合は「小」,6~25個は
「中」,26個以上は「大」と定義した.CUSによるPFOの診断はセクタ型探触子を 用い右内頸動脈で施行した.Valsalva負荷中にコントラスト剤を右肘静脈から注 入し,注入後約5秒後にValsalva負荷を解除し,パルスドプラ波形にhigh-intensity transient signalsが出現したものと定義した.【結果】TEEでPFOが検出されたの は5例でCUSは8例であった.TEEを基準とした場合,CUSのPFO診断率は,感度 80.0%,特異度25.0%,陽性的中率25.0%,陰性的中率80.0%であった.PFO径が
「大」であった症例は3例存在し,CUSでPFOの診断がなされたのは感度50.0%,
特異度92.3%,陽性的中率80.0%,陰性的中率75.0%を示した.【結論】CUSでPFO を否定することが可能であり,さらにPFO径が大きい例では高い診断率が得られ る.
Pj-085-1
脳梗塞の危険因子としての喫煙の意識調査(人間ドック受診者対象に)
1熊本赤十字病院 神経内科,2熊本大学大学院 神経内科
○和田邦泰1,長尾洋一郎1,平原智雄1,2,寺﨑修司1,安東由喜雄2
【目的】脳梗塞発症予防のためにも禁煙が普及することが望ましい.そこで,市民の 喫煙の実態および喫煙と脳卒中(脳梗塞)に関する意識を知ることを目的として調査 した.【方法】2014年12月の当施設人間ドック受診者全員を対象にアンケート調査を 行った.本人の喫煙状況,家族の喫煙状況,喫煙を含む脳卒中の危険因子について質 問した.【結果】総受診者2362人中1413人から回答が得られた(回収率60%;52±10歳,
男性760人,女性653人).本人の喫煙状況は,喫煙者220人(15.6%),過去喫煙者323人 (22.6%),非喫煙者758人(76.5%)だった.家族に喫煙者がいるのは,282人(20.0%)
で,その割合は回答者本人が喫煙者の場合23.6%,喫煙者でない場合21.0%だった.「脳 卒中を起こしやすくすると思われるものを選んでください.」という問で,高血圧を 選んだのが,1292人(91.4%),脂質異常症が1067人(75.5%),喫煙が1004人(71.1%),
肥満が921人(65.2%),家族に脳卒中を起こした人がいることが668人(47.3%),糖尿病 が604人(42.7%),飲酒が502人(35.5%),不整脈が282人(20.0%)だった.喫煙を危険 因子と考える割合は,男性で760人中541人(71.2%),女性で653人中463人 (70.9%)と 男女間で差はなかった(p=0.91).一方,喫煙者で225人中176人(78.2%),過去喫煙者 で323人中239人(74.0%),非喫煙者で758人中520人(68.6%)と喫煙者で喫煙を脳卒中 の危険因子と認識する割合が有意に高かった(p=0.011).なお,喫煙量が脳梗塞に与 える影響については,喫煙量に関係なくリスクと考える人が1413人中475人(33.6%),
喫煙量が多いほどリスクが高いと考える人が1413人中716人(50.7%),低くなると考 える人が1413人中12人(0.8%)だった.【結論】脳卒中(脳梗塞)の危険因子としての 喫煙の認知度は,高血圧,脂質異常に次いで高く,非喫煙者よりもむしろ喫煙者が認 識している.禁煙指導の強化が脳梗塞予防に有効であることが示唆された.