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実験方法

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 34-44)

第 3 章 粉体層せん断力測定による化粧品用粉体の特性評価

3.2 実験方法

評価に使用した5種類の化粧品用粉体の物性をTable 3-1に示す。Aはパウダ ーファンデーションなどに代表される粉末状化粧品製剤の基材として用いられ るセリサイト(SA-セリサイトFSE,シリコーン処理,三好化成社製),Bは紫 外線防御剤として用いられる微粒子酸化チタン(SI-UFTR-Z,シリコーン処 理,三好化成社製),CおよびDはいずれも微粒子酸化チタンをセリサイトに 被覆した複合粉体で,それぞれ異なる表面処理が施されている。前者はシリコ ーン処理品(SA-STA-20C,シリコーン処理,三好化成社製)で,第2章で開発 した機能性粉体のひとつに相当し,後者はステアリン酸処理品(プルセア

MTS-FT31,ステアリン酸処理,鈴木油脂工業社製)である。また,EはCと

同一組成比となるようにAとBを混合し,ヘンシェルミキサー(日本コークス

社製FM5RC/I類似の自社作製機,全容量5L),およびハンマーミル(ラボミル

LM-05,不二パウダル社製)により均一混合した試料である。セリサイト表面 に微粒子酸化チタンを固着させた複合粉体Cと,それぞれが単独で存在する混 合粉体Eを比較することで,複合化による感触特性への影響についても調査し た。Fig. 3-1に各粉体の表面状態参照のため,セリサイトおよび微粒子酸化チ タンのそれぞれ単独の粉体と,複合粉体を代表し複合粉体CのSEM像を示し た。

Table 3-1 Properties of sample powders

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Fig. 3-1 SEM images of sample powders : (a) Sericite, (b) Titanium dioxide, (c) Composite powder coated with substantially spherical TiO2 on sericite

a b

c

3.2.2 官能評価

社内の化粧品開発者8名を被験者とし,室温293〜300 K,湿度45-55 %の静 かな部屋で官能評価試験を実施した。官能評価は,手の甲あるいは前腕内側部 に粉体をとり,指先で擦ることで,感触の評価項目のうち,「すべり性」と

「しっとり感」について5段階(非常に低い1点⇔非常に高い5点)で相対的 に検討した。評点は,評価者各人が試料ごとに付け,合計点からその平均値を 算出して官能評価スコアとした。尚,官能評価の実施に際しては,被験者に評 価試料の安全性を十分に説明した上で,インフォームドコンセントを事前に取 得している。

3.2.3 物性評価 3.2.3.1 表面摩擦測定

Table 3-1に示した5種類の化粧品用粉体について,Fig. 3-2に示す静・動摩

擦測定機(TL201Ts,トリニティーラボ社製)を用いて,室温293〜300 K,湿

度45〜55 %で表面摩擦測定を実施した。本装置は,一定垂直荷重下において,

試料表面を塗擦治具(接触子)で水平方向に摺動させることで,塗擦における 摩擦プロファイル(Fig. 3-3)を検出するものである。本プロファイルから,表 面摺動測定における摩擦係数などを算出することができる。厚さ100 μmのウ レタン製人工皮革(バイオスキンプレート100 μ粘着シート付き,ビューラッ クス社製)をスライドガラス(20 mm × 75 mm)に貼付して,その上に試料を

30 mg量りとり,ニトリルグローブを着用した指先で均一に塗り広げてサンプ

ルを作製した。測定面を摺動する塗擦治具として,ウレタン製触覚接触子(接

触面積1.5 cm2)を用いた。この接触子は,人の指紋形状を模した表面構造を有

し,指先の感触を再現することができる35)

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測定は以下に示す条件に従って実施した。摺動速度は10 mm/s,摺動距離は

15 mm,測定回数は試料毎に5回,データ取込み間隔は1 msとした。垂直荷重

については,官能評価時の指先に作用する圧力を考慮して0.49 Nに設定した。

Fig. 3-3に示す摩擦プロファイルにおいて,平均動摩擦係数µkは,摺動距離3

〜12 mmの範囲における動摩擦係数の平均値として求め,粉体試料表面粗さの

指標となる標準偏差も算出した。

Fig. 3-2 Friction meter (TL201Ts)

Fig. 3-3 A typical friction profile in surface friction testing

32 3.2.3.2 粉体層せん断力測定

Table 3-1 に示した5種類の化粧品用粉体について,粉体層せん断力測定試験

(定容積せん断試験)は,Fig. 3-4に示すMSN-V100(ナノシーズ社製)10)を用 いて,室温293〜300 K, 湿度45〜55 %で下部セル直動法により実施した。セ

ルは内径43 mmの円筒型で可動部と固定部からなる上下2分割の構造である

(Fig. 3-4(b))。下部可動セルの深さは5 mm,上下セルのクリアランスは0.2

mm,サーボシリンダの進行速度は200 µm/s,リニアアクチュエータの進行速

度は10 µm/s,粉体層面積は14.5 cm2,測定回数は試料毎に3回,データ取込み

間隔は100 msでおこなった。

Fig. 3-4 Direct shear tester (MSN-V100) (a) Photograph (b) Schematic diagram

(a)

(b)

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粉体層せん断力測定試験は,綱川らが提唱する一回のせん断操作で粉体層破 壊包絡線(Powder Yield Locus : PYL)を得る方法に従った36, 37) 。Fig. 3-5に,

本測定で得られる垂直応力とせん断応力の各波形を示し,一連の測定プロセス を以下に詳述する。

過程1:セルに一定量の試料を充填し,粉体表面に上杵を静かにのせた。サー ボシリンダにより規定の初期垂直応力を負荷した後,圧密動作を停止し定容積 状態を保持した。

過程2:定容積状態で,100秒の応力緩和時間を設けた後,せん断操作を開始 した。

過程3:せん断操作は,一定速度で,垂直応力,およびせん断応力が定常状態

(各応力が一定となる状態)に達するまで実施した。

過程4:定常状態に達した後,下部セルを下方向に僅かに移動させていくこと によって,徐々に垂直応力を減少させ,それに対応するせん断応力をほぼ連続 的に測定し,PYLを得た(Fig. 3-6)。

Fig. 3-5 A series of measurement process in direct shear testing of powder bed

Fig. 3-6 Powder yield locus (PYL) and physical properties derived from PYL

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内部摩擦係数μiは,PYLの傾きとして得られるが,本研究では,実際に粉体 を肌に塗擦する際の応力を考慮して低応力範囲(0 < σ ≦ 10 kPa)における PYLの回帰直線の傾きとして算出した。また,せん断付着力τcは,PYLのτ軸 切片の値(σ = 0のτ値)として得た。さらに,PYLの曲線性を物性指標として 用いるために,次式(Eq. 3-1)を定義することでPYL曲線度を算出した。

(Eq. 3-1)

尚,上記物性指標値は,各試料に対してそれぞれ3回測定を実施し,その平 均値として算出した。

3.3 結果と考察

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