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住民・中央政府・欧州連合との関係他

第1節 住民と地方行政 第2節 中央政府との関係

第3節 州および地方団体の相互関係 第4節 欧州連合との関係 第5節 州および地方団体の全国組織 第6節 外国の地方団体との関係 第1節 住民と地方行政

1 概要

地方自治法典においては、「請求・請願・提案」、「住民投票」等、住民が行政に対して 意思表示をし、また何らかの行為を求める手段が規定されている。行政に対する情報公開 請求、一定の行政手続きに対する住民参加、また地方団体による行政上の行為に関する住 民による裁判所に対する訴訟提起なども定められている。住民の権利を擁護するために、

ディフェンソーレ(市民擁護者)という役職が設置されている。

2 請求・請願・提案

コムーネの憲章は原則として請求、請願、提案という手続きを定めなければならない(地 方自治法典第8 条第3項)。これらの手続きは、個人、団体を問わず利用することができ る。

(1)請求(istanza)は、地方団体および関係官庁に対して、行政手続きの遂行を求める ものである。すなわち実行可能、適用可能な措置を要求し、また不十分な行政上の措置に 対して、改善を求めるものである。

(2)請願(petizione)は、地方団体および関係官庁に対して提出する要望であり、公共 的利益の状況に対して、関係行政当局自ら措置を講ずることを要求する行為である。

(3)提案(proposta)は、行政に対する協力的手段であり、行政上の決定の草案、計画 および提案に対して、住民が行うものである。

3 住民投票

(1) 概要

住民投票は、特定の行政課題について住民の直接投票を行うものであり、憲法において も規定されている直接民主主義的手法である。地方住民投票、州住民投票、区域住民投票 等がある。

(2)地方住民投票(referendum locale)

地方住民投票は、これを通じて全住民が地方団体の事務事業に関する意見を表明すると いう典型的な直接民主主義的制度である。これは、地方団体の排他的な権能に対してのみ 行われる。

住民投票の実施方法は各地方団体によって定められ、これについて法は、地方選挙(州、

県、コムーネ)と同時に住民投票を実施することを禁止するのみである(地方自治法典第 8条第4項)。

ア 諮問住民投票(referendum consultivo)は、当該地方の利益にとって重要な問題につ いて住民に諮問するものである。地方団体は、その制度について憲章で定めなければなら ない(地方自治法典第8 条第3項)。諮問に留まるため、地方団体は結果を無視すること もできる。

イ 行政行為等廃止住民投票(referendum abrogativo)は、地方団体の機関によって決 定され、発効している行政上の行為および措置に関して、それを確定または廃止するため の住民投票である。1999年法律第265号によって導入された。

ウ 提案承認住民投票(referendum propostivo)は、地方団体または他の公的団体によっ て提案された法的効力を生ずる決定などを、地方団体の有権者が承認するものである。

(3)州住民投票(referendum regionale)

各州の憲章の規定により、州法律案および州条例案に対して州住民投票が行われる。ま た、特定の問題についての諮問、州法律等の廃止、制定について住民投票が行われること もある。

州法律等の改廃に関する住民投票は、有権者、県等が実施を請求できるが、一般に税法、

予算に関する内容には適用されない(例:カンパーニャ州憲章第55条ほか)。

(4)区域住民投票(referendum territoriale)

州の区域内における新しいコムーネの設立、既存コムーネの区域、名称変更などについ ては、州の権限とされている。このような措置については、関係する住民による区域住民 投票にかけることが定められている(憲法第 133 条)。また州境界の変更に関して、関係 住民の意見を問う住民投票が存在する(憲法第132条)。

4 行政手続きへの参加

地方自治法典は、個人、団体を問わず、地方団体による決定、それに関連する決議等に 関連する情報へのアクセス権について、各地方団体の憲章上に定めるものとしている(地 方自治法典第8条第2項)。各地方団体の憲章は1990年法律第241号に定める規定に従わ なければならない。

同法は行政手続きに関して、行政当局に課せられる義務および当事者の権利に関する事 項を以下のように定めている。

(1)行政手続きを開始した旨を以下の者に通知する義務

・手続き完了時に何らかの影響を受ける者

・手続きの直接当事者ではないが、不利な立場に陥る可能性がある者(対象となる者が 明らかにできる場合に限る。)

(2)当事者に係る以下の権利

・行政手続きに関する文書の閲覧(例外あり)

・自己の見解および提案などの提出

(3)対象案件について、当事者の提出した見解および提案を行政当局が検討する義務

(4)個人当事者との合意

個人当事者の提出した見解および提案に基づき、行政当局と個人当事者の間で合意を結 ぶことを認めている。この合意は、公共の利益を図ることを目的とし、第三者の権利を侵 すことなく締結され、手続き上の合意1または措置上の合意2という形をとる。

5 住民訴訟(azione popolaire)

住民訴訟は、コムーネおよび県に属する行為等につき、公益を守る目的で有権者が裁判 に訴えることを認めた制度である(地方自治法典第9条)。すなわち、特定の地方団体の有 権者が地方行政の円滑なる遂行を図る目的で、法廷で争う権利が住民に保障されている。

訴訟の結果、地方団体に責任ありとされた場合、訴訟費用は地方団体の負担となる。

住民訴訟の中にはシンダコ、県知事、コムーネ議会議員、県議会議員、区議会議員の解 職請求を目的とする訴訟が存在する(地方自治法典第70条)。この住民訴訟は、地方団体 内のあらゆる有権者、利害関係人、および地方長官によって提起される。

6 地方団体の情報公開

(1)概要

住民の行政文書へのアクセスについては、地方自治法典第 10 条に定められている。地 方団体に関する文書および情報へのアクセス権(開示請求権)は、特定の直接的利害の有 無に関わらず、個人、団体、および国籍を問わず、法的に重要な状況を擁護することを目 的とする者に属するとされている。

法により公開が明白に禁止されている文書、および公開によって個人、団体、企業の秘 密が冒されうる文書については公開されない。文書の閲覧によって行政活動の円滑な推進 が阻まれる場合、文書へのアクセスを行政当局の判断で延期することができるが、これは シンダコおよび県知事の権限である。

文書の公開請求に係る規定が、各地方団体において定められていない場合においても、

1 行政当局側が新たに行政措置を適用することを前提としており、全般的に適用できる。

2 行政措置を全般的に取消し、新たな措置を行うものであり、法により明確かつ具体的に定められ ている場合のみに行いうる。

アクセス権を有する者は文書の公開請求を行うことができる。公開の対象とされるのは、

行政記録(録音された記録を含む)および地方団体の公共掲示板に公示された文書である。

同法は文書の公開請求権の他、行政当局の所有する情報への公開請求権も認める。

行政の事務事業の計画および企画段階に係る準備的文書、措置の適用が完了していない 手続きに係る文書などは、開示請求権行使の対象から原則として除外される。

(2)1990年法律第241号と地方自治法典の定めるアクセス権の関係

1990 年法律第241号は行政当局の全部門において、地方自治法典は地方自治の部門に 限り、行政上の文書へのアクセス権を規定している。1990年法律第241 号は、原則的に 地方自治の分野にも当てはまると考えられている。また、地方自治法典では、行政上の文 書だけでなく、行政が有する情報も対象にしており、その意味で適用範囲は広い。

(3)アクセス権とプライバシー権

文書および情報へのアクセス権の行使については、1996年法律第675 号等に規定され るプライバシー権が考慮されなければならない。申請者の法的利害を擁護する場合には、

アクセス権は第3者のプライバシー権に優先されるが、アクセス権が申請者の単なる経済 的利害を守る場合には、第三者のプライバシー権が優先される。

またプライバシー権擁護のため、関連文書の閲覧のみ可能であり、写しは交付されない 場合もある。

7 ディフェンソーレ(市民擁護者)

地方自治法典第11条の規定に従い、地方団体はディフェンソーレ(difensore civico: 市民擁護者)を設置することができる。ディフェンソーレの選出および権限等については、

地方団体の憲章等に従って行われる。

ディフェンソーレは、住民に対する行政行為に関して、当事者または第三者からの訴え に基づき、住民に対する行政の権限濫用、機能不全、事務事業の遅滞、不十分な事務事業 などに対する警告を発し、コムーネ行政および県行政の公平な実施と円滑な推進を図るこ とをその目的としている。

1997 年法律第127号により、ディフェンソーレは、地方団体の機関における決議をチ ェックする役割も持つようになった。

第2節 中央政府との関係 1 国と州・地方団体との関係

2001年の憲法改正により、中央政府による州および地方団体(県およびコムーネ)に対

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