第2章 組織再編税制の現状 第 1 節 組織再編税制の概要
第 4 節 会計基準と組織再編税制の関係
1.会計基準と適格又は非適格との関係
第 1 章の会計基準では、組織再編行為が三つに分類され、移転する資産及び負債の引継ぎ 価額及びのれんの計上の取扱いが異なるということを示した。また、第2章の組織再編税制 では、組織再編行為が二つに分類され、移転する資産及び負債の引継ぎ価額及び資産調整勘 定の計上の取扱いが異なるということを示した。移転する資産及び負債の引継ぎ価額及びの れん又は資産調整勘定の計上という二つの点に絞って、会計基準と組織再編税制の関係を整 理すると、図表8のとおりとなる。
33 被合併法人の株主対する新株等に対応する金額。
(図表8)
適格 非適格
取得 A B
共同支配企業の形 成
共通支配下の取引
組織再編税制の分類
企業結合会計基準 における組織再編
行為の分類 C D
2.移転する資産及び負債の取扱いに差異が生じる場合
図表8における A の領域は、会計基準では取得とされ、法人税法上は適格とされる組織再 編行為である。この場合、移転する資産及び負債について、会計基準ではパーチェス法によ り時価で移転が行われ、法人税法では税務上の帳簿価額で移転が行われ、取扱いに差異が生 じる。また、会計基準では、のれんが発生する余地があるが、法人税法上は資産調整勘定の 計上はない。移転する資産及び負債の取得価額については、会計基準ではパーチェス法によ って時価により、法人税法では税務上の帳簿価額によるという差異が生じる。この差異から 生じる確定決算主義における問題点については、第 4 章「適格合併における確定決算主義の 問題点」で論じることにする。
3.のれんと資産調整勘定が生じる場合
図表8における B の領域は、会計基準では取得とされ、法人税法上は非適格とされる組織 再編行為である。この場合、移転する資産及び負債については、会計基準と法人税法ともに 時価で移転が行われ、取扱いに差異はない。また、会計基準では、のれんが発生する余地が あり、法人税法上は資産調整勘定が発生する余地がある。会計基準におけるのれん、法人税 法における資産調整勘定の取扱いの差異から生じる営業権の問題点については、第 3 章「非 適格合併における営業権の問題点」で論じることにする。
図表8における D の領域は、会計基準では共同支配企業の形成あるいは共通支配下の取
引とされ、法人税法上は非適格とされる組織再編行為である。移転する資産及び負債につ いて、会計基準では帳簿価額で移転が行われるが、法人税法上は時価で移転が行われるた め取扱いに差異が生じる。会計基準ではのれんが発生する余地はないが、法人税法上は資 産調整勘定が発生する余地がある。
4.会計基準と法人税法の差異が生じない場合
図表8における C の領域は、会計基準では共同支配企業の形成あるいは共通支配下の取引 とされ、法人税法上は適格とされる組織再編行為である。この場合、移転する資産及び負債 について、会計基準では帳簿価額で移転が行われ、法人税法では税務上の帳簿価額で移転が 行われるため取扱いに差異はない34。会計基準ではのれんが発生する余地はなく、法人税法 上は資産調整勘定の計上はなく、会計基準と法人税法の差異が生じない組織再編である。
34 厳密には、移転する資産及び負債の適正な帳簿価額(会計基準)と税務上の帳簿価額に差 異があれば移転する資産及び負債について差異が生じる場合がある。