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まず、企業がどのような比率で多様な男女の就業者を雇用しているかを、日中韓 3 カ国 について明らかにする。表 3-2-1 は中国および韓国、表 3-2-2 で日本について表す。本稿 1.5 で既述のように、中韓と日本で調査対象や調査方法が異なることに留意されたい。

“経営層”の女性比率は、中国で 30%前後、韓国では一桁である。日本の女性役員は、

中企業の11.9%の企業で、大企業では同7.1%の企業において存在する。おそらく女性役員

がいる企業でも、一企業に 1 人というケースが大半であると考えると、女性比率は非常に 低いことが分かる。“部長と課長クラス”の女性比率は、中国で4割弱、韓国では中企業で

90.0 84.3

90.0 71.4

81.4 79.1 68.9

75.7 63.8

77.9 99.0 98.0 94.1 63.4

87.1 98.0 98.0 92.5 67.8

87.4

1.4 11.4

10.0 17.1

8.6 10.2 18.3

18.7 24.3

11.9 5.9 36.6

12.9 7.5 32.2

12.6

8.6 4.3 11.4

10.0 10.6 12.8

5.5 11.9

10.2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

5)株主・顧客・従業員・得意先・地域社会などにも配慮した経営をおこなっているか 4)環境に配慮した経営をおこなっているか 3)従業員への教育研修を定期的におこなっているか 2)企業倫理・CSRの担当部門はあるか 1)倫理綱領はあるか. 5)株主・顧客・従業員・得意先・地域社会などにも配慮した経営をおこなっているか 4)環境に配慮した経営をおこなっているか 3)従業員への教育研修を定期的におこなっているか 2)企業倫理・CSRの担当部門はあるか 1)倫理綱領はあるか.

5)株主・顧客・従業員・得意先・地域社会などにも配慮した経営をおこなっているか 4)環境に配慮した経営をおこなっているか 3)従業員への教育研修を定期的におこなっているか 2)企業倫理・CSRの担当部門はあるか 1)倫理綱領はあるか.

5)株主・顧客・従業員・得意先・地域社会などにも配慮した経営をおこなっているか 4)環境に配慮した経営をおこなっているか 3)従業員への教育研修を定期的におこなっているか 2)企業倫理・CSRの担当部門はあるか 1)倫理綱領はあるか.

韓国:大韓国:中中国:大中国:中

はい いいえ わからない

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各7.7%と14.9%、大企業では4.9%と17.4%である。中企業のほうが部長の女性比率が高

く、逆に大企業では課長の女性比率が高い。日本では、同比率は非常に低く、大企業の部

長の0.9%から、最大でも中企業の課長で 3.1%である。日中韓の基準を揃えて“ホワイト

カラーの正規従業員”の女性比率をみると、中国は50%強で、中企業で30%強、大企業で

40%台半ばであるが、日本はおよそ20%に留まる。

次に、就業者の人的資本の一つの指標として、3カ国の高校および高等教育の実状および 進学率を各国の統計書に基づいて比較する。まず日本の進学率をみると25、高等学校等へは

女性97.1%・男性96.5%である。高校の授業料無償化が実施されているが、導入以前から

時系列でみて概ね100%に近い。高校卒業後の進路は、四年制大学が女性44.9%・男性49.6%、

短期大学は同10.6%・1.3%であり、高校卒業後の大学等への進学率は同55.5%、50.9%で 女性のほうが 4.6 ポイント高い。これらに専門学校の同 20.5%・13.6%を加えると、高校 卒業後の高等教育への進学率は女性76.0%・男性64.5%となり女性のほうが11.5ポイント 高くなっている。次に中国における進路のうち26、筆者の計算した中学から高校への進学率

(男女計、以下同じ。)は 50.9%で女子生徒比率は 49.4%、高校から四年制大学への進学 率は 47.3%で女子学生比率は 51.0%、短期大学への進学率も高いため四年制・短期大学へ の進学率も高く 87.0%で女子学生比率は 51.4%に上る。但し、中国では飛び級制度や、義 務教育後の職業学校、高校卒業後の職業技術学院の他、成人教育も広く普及している点が 他と異なる。最後に韓国における進学率をみると27、高等学校等には男女計99.7%、就学率

は同97.6%である。高校卒業後の進学率は、四年制大学が女性54.5%・男性54.2%、短期

大学は同26.0%・23.4%であり、大学等への進学率は同80.5%、77.6%で女性のほうが2.9

ポイント高い。

本調査データを用いて、表 3-2-1上部分の“四年制大学以上卒”の女性比率を比較する。

ここで、中韓と日本で数値の対象が異なるので留意されたい。中国は男女の“四年制大学 以上卒業者”数が同程度であるのに比べ、韓国は中企業で 3割程度、大企業では4割程度 と比率が異なることが分かる。表の下部分の女性割合では、中国は、男性 100 に対する女

25 日本は、文部科学省『学校基本調査』(2013 年 3 月卒業者調査)による。「高等学校等」では、中学校卒 業者等のうち、高等学校等・高等専門学校に進学した者の割合であるが、通信制課程(本科)への進学者 は含まない。「四年制大学・短期大学」は、入学者数(過年度高卒者等を含む)を 3 年前の中学卒業者等で 除した割合であるが、通信制への入学者は含まない。なお、「専門学校」の卒業者は、準学士の「称号」

を授与される。2005 年 10 月の学校教育法改正により、米国など諸外国に倣い、短期大学修了者には短期 大学士という「学位」が授与されるようになった。専門学校も短大も、大半が 2 年制であり、四年制大学 への編入学が可能である。

26 中国は、教育部発展計画司編『中国教育統計年鑑』(2012 年調査)(国家統計局『中国統計年鑑』、表 20-2)

の数値に基づき、筆者が計算した。各進学率は、次の式による。高校進学率(50.9%)=高校入学者(8,446,071 人)÷中学卒業者(16,607,751 人)、四年制大学進学率(47.3%)=四年制大学入学者(3,740,574 人)÷

高校卒業者(7,915,046 人)、四年制・短期大学進学率(87.0%)=四年制・短大入学者(6,888,336 人)

÷高校卒業者(7,915,046 人)である。なお計算式は本稿と異なるが、南・牧野・羅(2008)の図 5-1 に 2005 年までの進学率が示されていて参考になる。また、飛び級制度について『人口普査調査』(2010 年、上巻、

表 4-1)によると、大学在学者は 18 歳以上で急増するが、最も若ければ 10 歳の大学生もいる。

27 韓国は、高校等進学率・就学率は韓国教育科学技術部(日本の省に相当)・教育開発院「教育統計分析 資料集」(2010 年調査)、大学等進学率は教育開発院『教育統計年鑑』(2010 年調査)に基づく。

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性割合が100をいくらか超えている。韓国でも100前後で、男女が概ね同割合といえる。

一方、日本は、“男性正規従業員中の四年制大学卒業者割合”の数値は中企業59.9%、大企

業74.7%で、中韓の男性よりも高く、男性の高学歴傾向が認められる。然しながら、“女性

正規従業員の中の四年制大女性割合”の数値は大企業が51.6%で中韓の中間程度であるが、

中企業では同28.2%と低い。

すなわち、女性の労働供給量を職位などのレベル別にみると、日中韓共に男性に比べて 低い。なかでも日本は、正社員・管理職・経営層の全レベルにおける女性比率が、3カ国で 最も低い。同比率は、中国が最も高く、韓国も日本よりは高い。但し、中韓においても、

上位の管理職の女性比率は低い。また人的資本の観点から就学についてみると、日本では 短期大学および職業専門学校まで加えると、高等教育進学の男女差は殆どないが、四年制 大学に限定すると、中韓との差が認められる。

表 3-2-1 従業員属性別にみる女性比率など(中国・韓国、企業規模別)

注1. 太字の数値は、女性比率が 40%超の場合に付す。

注 2.管理者のうち、中国の表では、部長クラスは「上層管理幹部」、課長クラスは「中級管理幹部」、係長クラスは「下 級管理幹部」を表す。日中韓共に、部長クラスおよび課長クラスが管理職であり、係長クラスは管理職ではない。

女性(人) 男性(人) 女性比率

(%) 女性(人) 男性(人) 女性比率

(%) 女性(人) 男性(人) 女性比率

(%) 女性(人) 男性(人) 女性比率

(%)

経営層 2.5 5.9 29.3 6.3 11.7 35.1 0.6 6.9 8.0 0.6 11.6 4.6

うち生え抜き 0.78 2.51 23.7 2.44 5.40 31.1 0.18 2.22 7.6 0.11 2.53 4.3

社外取締役 0.13 0.24 35.6 0.25 0.82 23.1 0.09 0.96 8.9 0.09 2.20 3.8

部長クラス (正規) 2.6 4.0 39.2 9.4 14.9 38.7 0.97 11.7 7.7 1.8 35.5 4.9 課長クラス (正規) 6.3 9.7 39.5 29.0 45.2 39.1 4.4 25.5 14.9 15.6 74.3 17.4 係長クラス (正規) 13.0 16.7 43.6 92.9 108.5 46.1 6.9 19.7 26.0 23.9 57.0 29.6 役職無し (正規) 107.9 116.0 48.2 1643.3 1898.8 46.4 31.4 68.7 31.3 242.8 238.2 50.5 正規従業員(計) (正規) 133.2 155.1 46.2 1783.6 2085.3 46.1 44.6 135.7 24.7 284.9 421.3 40.3 非正規従業員 (非正規) 0.19 0.29 40.0 1.93 6.00 24.3 2.8 9.4 23.0 86.4 71.1 54.9 全従業員(合計) 133.4 155.4 46.2 1785.5 2091.3 46.1 47.4 145.1 24.6 371.3 492.3 43.0 外国籍正規従業員 (正規) 0.40 0.52 43.2 0.77 0.88 46.7 0.29 1.52 15.8 0.38 0.98 27.8 外国籍非正規従業員 (非正規) 0.00 0.00 ― 0.00 0.00 ― 0.02 0.04 27.6 0.23 0.06 80.3 正規ホワイトカラー (正規) 99.9 98.7 50.3 1170.5 995.1 54.0 37.2 77.9 32.3 179.7 209.7 46.1 非正規ホワイトカラー (非正規) 0.67 0.00 ― 5.63 0.00 ― 5.87 8.01 42.3 193.27 99.43 66.0 正規ブルーカラー (正規) 30.3 47.7 38.8 604.1 1072.3 36.0 14.0 53.9 20.7 121.3 211.0 36.5 非正規ブルーカラー (非正規) 12.0 19.0 38.7 18.8 60.6 23.6 4.6 22.7 16.9 8.2 42.7 16.2

都市戸籍 (正規) 94.5 99.0 48.8 1046.6 1241.4 45.7 ― ― ― ― ― ―

農村戸籍 (正規) 35.3 46.9 42.9 727.2 825.2 46.8 ― ― ― ― ― ―

四年制大学以上卒 (正規) 87.6 96.2 47.7 930.3 1064.1 46.6 30.6 77.0 28.5 143.0 228.6 38.5

四年制大学以上卒÷正規従業員計 65.8% 62.0% 106.2 52.2% 51.0% 102.2 68.7% 56.7% 121.2 50.2% 54.3% 92.5

【中国】 【韓国】

中企業 大企業 中企業 大企業

*参考(一社当たり)

女性の中 の該当者 比率(%)

男性の中 の該当者 比率(%)

女性割合

(男性

=100)

女性の中 の該当者 比率(%)

男性の中 の該当者 比率(%)

女性割合

(男性

=100)

女性の中 の該当者 比率(%)

男性の中 の該当者 比率(%)

女性割合

(男性

=100)

女性の中 の該当者 比率(%)

男性の中 の該当者 比率(%)

女性割合

(男性

=100)

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表 3-2-2 従業員属性別にみる女性比率など(日本、企業規模別)

注 1.当該数値は、「役員か執行役員に女性有り」企業の、全企業に対する比率を示した。

注 2.「役職無し」の人数は、正規従業員数から部長および課長の人数を差し引いて、筆者が計算した。

注 3.企業調査は 1,200 ケース、従業員調査は 6,433 ケースである。

次に、企業における女性雇用量拡大の実状をみる。まず図 3-2-1 によると、女性社員 を増やそうとしていると回答したのは、中国では中企業で 63.3%、大企業が 70.3%と相対 的に高く、韓国は中企業で 38.3%と低いが、大企業では 68.6%と高くなる。大企業のほう が、取り組みが積極的といえる。但し、図 3-2-2 でさらに産業別にみると、中国では第 2 次産業の大中企業・第 3 次産業の大企業で積極的であるが、韓国では第 3 次産業の大企業 のみが積極的といえる。特に中国の第 2 次産業は日韓に比べて女性の雇用者も多いうえ(本 稿 図 2-2-4)、中企業では出稼ぎ女性を多数雇用していることも要因の一つかもしれない。

韓国では、大企業対象の「積極的雇用改善措置制度」の効果や、第 3 次産業における先進 国の女性雇用の特徴として「雇用の女性化」により女性を多用してきたことが背景にある と考えられる。

図 3-2-1 「貴社では、女性社員を増やそうとしているか」の回答(企業規模別)(単位:%)

注1. 無回答および非該当は無く、ケース数は表 1-5-1 に従う。

女性(人) 男性(人) 女性比率

(%) 女性(人) 男性(人) 女性比率

(%)

役員か執行役員に女性有り(注1) (正規) ― ― 11.9 ― ― 7.1

部長 (正規) 0.09 7.6 1.1 0.45 50.2 0.9

課長 (正規) 0.58 17.9 3.1 3.62 160.7 2.2

役職無し(注2) (正規) 36.5 112.7 24.4 284.9 1001.1 22.2 正規従業員(計) (正規) 37.1 138.2 21.2 289.0 1212.0 19.3

四年制大学以上卒 (正規) 28.2 59.9 47.1 51.6 74.7 69.0

参考:【日本】(企業調査)

中企業 大企業

参考:【日本】(従業員調査)

女性の中 の該当者 比率(%)

男性の中 の該当者 比率(%)

女性割合

(男性

=100)

女性の中 の該当者 比率(%)

男性の中 の該当者 比率(%)

女性割合

(男性

=100)

68.6  38.3 

70.3  63.3 

31.4  61.7 

29.7  36.7 

0% 20% 40% 60% 80% 100%

大企業 中企業 大企業 中企業

【韓国】【中国】

はい いいえ