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9 論文発表抄録

9.1 他 誌

(保健衛生部門)

【和文発表】

オセルタミビル販売量を用いた兵庫県内における 感染症発生動向調査インフルエンザ罹患数推計値の 妥当性の検討

感染症学雑誌, 83, 107-112, (2009)

兵庫県立健康環境科学研究センター 山 本 昭 夫 谷 岡 絵 理 前 田 幹 雄 感染症発生動向調査(NESID)による定点医療機関から のインフルエンザ患者数をもとに全体の罹患数を推計す る方法が報告されているが,その妥当性の検証はなされ ていない.そこで,兵庫県において,インフルエンザ治 療薬であるオセルタミビル(商品名:タミフル)の販売 量を用いることにより推計値の妥当性の検証を試みた.

インフルエンザ流行シーズンは 4 シーズン(11 月~5 月,03~07 年)について検討した.NESID による罹患数 推計値(「NESID 推計値」)が正しいと仮定して,オセルタ ミビル販売量から求めた罹患数推計値(「オセルタミビル 推計値」)と「NESID 推計値」の比「推計処方率」はシー ズンによって 59~100%と大きく異なったが,04/05 年及 び 05/06 年については「推計処方率」94%及び 100%に対し て,オセルタミビル処方率に関する 05/06 年の全国的な 調査結果 90%と近い値を示すなど,仮定の妥当性が示唆さ れた.NESID によるインフルエンザ罹患数推計値の一般的 な妥当性の検証のためには,全国的な同様の解析並びに 他のシーズンにおけるオセルタミビルをはじめとするイ ンフルエンザ治療薬の処方率調査が必要と考えられた.

エンテロウイルス遺伝子診断法における市販 RNA 抽出 キット選択の影響

感染症学雑誌, 82, 55-57, (2008)

兵庫県立健康環境科学研究センター 近 平 雅 嗣 星薬科大学 宗 村 哲 也 辻 勉 国立感染症研究所 藤 本 嗣 人 木 村 博 一 西尾 治 吉田 弘

岡 部 信 彦 臨床検体からの病原ウイルス検出に,遺伝子診断法が 導入され,高感度且つ迅速に同定出来るようになった.

エンテロウイルス PCR 診断において診断の要となるのは プライマーであるが,ウイルス RNA 抽出も重要な要因と なっている.このため,数種の市販の RNA 抽出キットを 用いて臨床検体及び分離株から抽出した RNA について,

RT-PCR でのエンテロウイルス遺伝子検出について検討し た.臨床検体からの 1st PCR では陽性率が 24~48%と検出 率に差が認められたが,semi-nested PCR を行うと陽性率 は 76~81%と差は無くなった.ウイルス数を調製した分離 株での検討した結果から,ウイルスが少ない検体におい てキットの抽出効率の差が顕在化したと思われた.

神戸市における時間帯別のスギ科花粉飛散量と 風向との関連性

日本花粉学会会誌,54,93-102(2008)

兵庫県立健康環境科学研究センター 後 藤 操 気象解説研究所 南 利 幸 西脇市立西脇病院 小笠原 寛 神戸におけるスギ科花粉の時別飛散量の日内変動特性 を解明するため,2002 年,2003 年および 2005 年の時別 飛散量と風向との関連性の検討を行った.時別飛散量は 4 つの風向群,さらに 4 つの時間帯の計 16区分し,Kruskal

-Wallis の順位和検定および多重比較による統計的解析 を行なった.

その結果,主な花粉源である丹波山地および中国山地 の在る北西から北寄りの風の時の飛散量は,以下の特徴 がみられた.13時から 18時の時間帯での花粉飛散量は,

他の風向や他の時間帯に比べて多い傾向であった.1時か ら 6時の時間帯では,他の風向に比べて少ない傾向であ った.2003 年および 2005 年には北東から東寄りの風に対 しBonferroniで有意(p<0.05)に低かった.また 1時か ら 6時の時間帯において,低気圧の接近に伴う北東から 東寄りの風で日最大の時別飛散量となるケースが認めら れた.

すなわち,主な花粉源方向からの風でも時間帯により飛 散量への影響に差異のあることが明らかとなった.また,

夜間の時間帯の飛散量が増大した時には,低気圧の接近

という気象状況の影響もあることがわかった.

【欧文発表】

Quantitative modeling for risk assessment of Vibrioparahaemolyticus in bloody clams in southern Thailand

Int. J. Food Microbiol,124, 70-80, (2008) 兵庫県立健康環境科学研究センター 山 本 昭 夫 高知大学医療学系 岩 堀 淳一郎 Prince of Songkla University V. Vuddhakul

W. Charernjiratragul BVBA Vose Consulting D. Vose

東北大学大学院 小 坂 健 国立感染症研究所 重 松 美 加 国立医薬品食品衛生研究所 豊 福 肇 山 本 茂 貴 京都大学東南アジア研究センター 西 渕 光 昭 国立医薬品食品衛生研究所 春 日 文 子 タイ南部における赤貝(bloody clam)喫食による腸炎 ビブリオ感染症のリスクアセスメントを行った.赤貝の 漁獲から流通,調理,喫食に至る全課程を現地における 調査データを用いてモデル化し,シミュレーションによ ってリスクを算出した.その結果,赤貝喫食による腸炎 ビブリオ感染症の発症リスクは年間5.4×10-4と算出され,

感度分析により不完全加熱が主要な要因と考えられた.

Detection and quantification of enterovirus 71 genome from cerebrospinal fluid of an encephalitis patients by PCR application

Jpn.J.Infect.Dis, 61, 497 - 499, (2008) 兵庫県立健康環境科学研究センター 近 平 雅 嗣

国立感染症研究所 藤 本 嗣 人 谷 口 清 洲 篠 原美智子 西 尾 治 岡 部 信 彦 神鋼加古川病院 吉 田 茂 横浜市食肉検査所 宗 村 哲 也 手足口病の原因となるエンテロウイルス71は無菌性髄 膜炎を起こすことが知られているが,髄液からのウイル ス検出例の報告は少ない.著者等は無菌性髄膜炎を発症 した 20ヶ月例の乳児から同ウイルス遺伝子を検出した.

遺伝子は PCR 法で咽頭拭い,直腸拭い,髄液から検出さ れ,各々の検体に含まれるウイルス数はリアルタイムPCR 法では,1.8x104,9.8x104,1.8x10 copy/μLであった.

細胞培養では直腸検体からウイルスが分離され,PCR 法で 検出された同種のウイルスであった.

(環境部門)

【和文発表】

ダイオキシン類生物検定法における精度管理手法 エンバイオ, 3, 10-14 (2008)

兵庫県立健康環境科学研究センター 北本 寛明 近年,ダイオキシン類の測定において,これまでの高 分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(HR-GC/HR-MS)に よる測定より,迅速で低廉な簡易測定法の導入が求めら れていた.環境省は,平成16 年 12 月 27日にダイオキシ ン類対策特別措置法施行規則(平成11 年総理府令第67 号)の一部を改正し,廃棄物焼却炉からの排出ガス,ば いじん及び焼却灰その他燃え殻(ばいじん及び燃え殻)

に含まれるダイオキシン類の測定の一部に生物検定法に よる簡易測定の追加等を行った.環境大臣は平成17 年 9 月 14日付告示により 4 つの方法を定めた.環境大臣が定 めた具体的な4つの簡易測定法は,3 種のレポータージー ンアッセイ法(環境省平成17 年告示第92号第1 の 1~3)

及び 1 種のイムノアッセイ法(環境省平成17 年告示第92 号第2)である.

本報告では品質管理システム等を除く,測定技術面で の精度管理の各方法について概説すると共に,一部につ いて,イムノアッセイ法を例に示しながら考察を行った.

光化学オキシダントと VOC

あおぞら, 32, 24-25 (2008)

兵庫県立健康環境科学研究センター 岡田 泰史 光化学オキシダントの原因物質の一つである揮発性有 機化合物(VOC)の排出を抑制するため,2006 年 4 月より VOC の排出規制が開始され,施設ごとにトータルVOC の基 準値が設定された.しかし,施設ごとのVOC削減対策を 考える場合には,どのような成分がどれだけ含まれてい るかを把握する必要がある.

本稿では先述の内容について,VOC削減に向けた当セン ターの取り組み状況を含め解説した.

イソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン 及びトリイソプロピルナフタレンの分析法(底質、生物)

化学物質と環境(平成19年度)(環境省編),389-410

(2008)

兵庫県立健康環境科学研究センター 鈴木 元治

PCB代替品であり化審法の第一種監視化学物質に指定

されたジイソプロピルナフタレン(DIPN)とその同族体

であるイソプロピルナフタレン(IPN)及びトリイソプロ ピルナフタレン(TIPN)の底質及び生物試料水を対象と した同時分析法を確立するための検討を行った.

回収率,夾雑物の除去及びコンタミネーションを考慮 した前処理方法を検討し,昨年度に確立した水試料の分 析方法と同様の条件でGC/MS による定量分析を行った.

その結果,底質中のIPN 及びDIPN の定量可能なレベルは,

それぞれ 0.32ng/g-dry及び 0.47ng/g-dryとなった.ま た,生物試料中では,それぞれ 0.20ng/g-wet及び 0.27ng/g-wetとなった.TIPN は標準品が市販されていな いが,工業原体を用いて検討を行なった結果,定量下限 値は IPNやDIPN とほぼ同程度と推定された.

この分析方法を用いて,姫路沖から採取した底質及び 魚試料(スズキ)を分析した.その結果,底質中の IPN , DIPN 及び TIPN は,それぞれ 1.2ng/g-dry, 20ng/g-dry 及び 2.4ng/g-dryであった.また,魚試料(スズキ)か らは,DIPN が 5.2ng/g-wetで検出されたが,IPN 及び TIPN は操作ブランクと同程度であった.

イソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン 及びトリイソプロピルナフタレンの分析法(大気)

化学物質と環境(平成19年度)(環境省編),762-778

(2008)

兵庫県立健康環境科学研究センター 鈴木 元治 PCB代替品であり化審法の第一種監視化学物質に指定 されたジイソプロピルナフタレン(DIPN)とその同族体 であるイソプロピルナフタレン(IPN)及びトリイソプロ ピルナフタレン(TIPN)の大気を対象とした同時分析法 を確立するための検討を行った.

エアポンプに接続した PS-Airカートリッジに,3L/min で 24時間大気を通気させ,対象物質を捕集した.コンタ ミネーションの低減のため,前処理はできるかきり簡略 させ,昨年度に確立した水試料の分析方法と同様の条件 でGC/MS による定量分析を行った.その結果,良好な回 収率が得られ,大気中の IPN 及び DIPN の定量可能なレベ ルは,それぞれ 0.44ng/m3及び 0.21 ng/m3となった. TIPN は標準品が市販されていないが,工業原体を用いて検討 を行なった結果,定量下限値は IPNやDIPN とほぼ同程度 と推定された.

この分析方法を用いて,当センター須磨庁舎屋上の大 気を分析した結果,IPN 及び DIPN は,それぞれ 0.33 ng/m3

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