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第 6 章 議論

6.2. 今後の課題

ステムの主記憶が,これらの不揮発メモリで構成されることは十分に予測されるこ とである.

表 6.1: メモリデバイスの性能比較(「情報処理」Vol.45 No.1 pp.43より)

MRAM FeRAM NAND

Type A TypeB Flash DRAM

不揮発性 ×

書き込み速度(ns) 10 2030 200,000 (per page) 50 読み出し速度(ns) 500 50 2030 Random Access

4,000 50 セルサイズ

0.6 1.3 2 0.6 1

(DRAMとの相対値)

書き換え耐性 No-limitation 1012 106 No-limitation 消費電力(mW) 100400 10 100 400

動作電圧(V) 1以下 2.5/1.2 12 2.5

クロスポイント型

選択トランジスタ型

そのような場合には,データベースシステムはリモートメモリではなく不揮発メ モリを永続デバイスとして利用することになることも同時に予測される.

6.2.2. 周期的発信に関する課題

本論文の周期的発信に関する貢献は,KSEを用いて周期的発信を実現することに より,モニタ数が1000の場合でも平均ギャップを12µ秒程度に抑えられることを センサデータベースシステムKRAFTにおいて実証できた点である.

スレッドスケジューリングの実現手法は2つあり,それらはユーザレベルでの実 現とカーネルレベルでの実現である.スレッドスケジューリングをカーネルレベル で実現すれば優れた性能を出せる利点があるものの,カーネルコンパイルに長時間 を要すると共にバグが引き起こすOS停止により開発期間が長期化するという欠点 がある.一方,スレッドスケジューリングをユーザレベルで実現すればコンパイル 時間をカーネルレベルでの実現に比べて短縮できると同時にバグでもOSが停止す るおそれはないという利点があるものの,カーネルレベルでの実現に比べて低い性 能しか出せないという欠点がある.

本論文ではユーザレベルでの実時間スケジューラを実現し,実現方式によりQ周期的応答 を解決することを示したが,より優れた性能を出すためには,カーネルレベルでの スケジューリングに手を入れたり,実時間OSを用いる必要があるだろう.

6.2.3. 時系列処理に関する課題 6.2.3.1. 距離尺度

本論文では状況認識を支援するためにKRAFTに類似シーケンス検索手段を提供 させた.このときに距離尺度としてDisteuclid,Distdtw を提供した.

しかしKRAFTはSoundCompass[小杉 他 04]で用いられているCity-block距離 [高根 80]およびHURMA[本田03]で用いられているLCSS距離を提供しない.そ れゆえ今後は両距離尺度を提供する必要がある.

6.2.3.2. 時系列データへのアノテーション

SoundCompassやHURMAなどのセンサ応用システムには共通点がある.それは

原データに何らかのフィルタ処理をかけて特徴抽出を行い,その特徴をキーとして 原データを検索することである.これを図6.6に示す.図6.6では原データから特 徴抽出をおこなうことにより時系列メタデータが得られ,時系列メタデータから原 データへのポインタが張られている構成を示している.

Feature Extraction

Time-Series Metadata Raw Sensor Data

Data Pointer

図 6.6: 時系列アノテーション

この処理を支援するには,データベースシステムは様々なフィルタ処理手法を支 援すると共に,抽出された特徴をアノテーションとして原データへ貼り付けられる 機能を提供する必要があるだろう.

この機能はセンサ応用システムを支援するために重要であると考えられる.

6.2.4. 過負荷制御に関する課題

過負荷制御に関する本研究の貢献は,従来は考えられてこなかったインプリサイス 永続化方式の一手法を提案し,専用実験システムを通してその有効性を示したこと にある.

第3.4.3節で示したように,過負荷制御技術には4種類ある.それぞれ一長一短

であり,どれか一つが優れているというわけではない.それゆえ場合に応じてこれ らの手法を組み合わせることが望ましい.

過負荷制御が困難である理由は,過負荷制御方式はアプリケーションによって変 わり,さらにアプリケーションの状況に応じても変わることである.それゆえデー タベースシステムは全ての過負荷制御技術を持っておき,アプリケーションも過負 荷制御時に許す品質劣化(例えば実時間性や鮮度)をデータベースシステムに知ら せておき,過負荷制御時にはデータベースシステムがアプリケーションの許す範囲 で品質劣化を行うような過負荷制御を選択する技法を考えることが望まれる.

6.2.5. KRAFTの総合的

上では各機能毎に課題を述べてきたが,総合的にKRAFTを見直した時には次の 課題がある.

6.2.5.1. 並列化

本研究では単一CPU上で動くセンサデータベースシステムのプロトタイプとして

KRAFTを開発したが,地震データのように大量に生じるデータに対応するために

は並列化をおこない性能を向上させる必要があると考えられる.

6.2.5.2. 組込化

一方,移動機やPDAにKRAFTを組み込む場合には,データ溢れ時の対応や省電 力化およびサーバとの効率的連携機能の実現が要求されると考えられる.