第4章 制御プログラム
5.4 今後の課題
本研究では
PIC
プロセッサの性能をあまり考慮せず、PIC16F84A
を使用した。使用したPIC16F84A
は8
ビット、18ピンのPIC
プロセッサである。そのため、ひとつの変数では255
が限界であり、角度(0~359)を表現できない、ピン数が少ないためにスイッチなどのPIC
プロセッサに接続できる部品点数が限られるなど、PIC の性能不足問題が常に生じ、プログラム製作にも時間が掛かった。また発振器を
4[MHz]としたためプログラムの処理速
度が遅く、ロータリーエンコーダを素早く回すとエラーが起きてしまうものとなった。今 後、改良を行うのでれば、ピン数が多く、16
ビットが扱えるPIC
プロセッサを利用すれば、容易に高機能でメンテナンス性の高いプログラムが製作できると考えられる。また発振器 は
PIC
プロセッサで使用できる速度最大の20[MHz]を推奨する。
本研究で製作した投影機では架台部分の強度の問題から、副軸の下に補強用のパイプが 取り付けられている。そのため、そのパイプが邪魔となり副軸は緯度
0
度を基準として±90
度ずつしか回転できない。プラネタリウム投影上は問題ないが、副軸用回転モードのプ ログラムは回転範囲を制限するリミッターを付加する必要がある。しかし、回転モードを 一度切り替えるとPIC
プロセッサはリセットされてしまう回路構成となっているため、プ ログラム上で回転範囲の制限が不可能なものとなってしまった。またエンコーダモードに はスタートスイッチしか搭載していないので、回転中に一時停止することが出来ない。し たがって、副軸が90
度を向いている時でも、どの回転モードでもスイッチを押せば、更に 回転させる事が出来てしまうものとなってしまった。更に主軸周期20
分のゆっくりとした 動きを再現するため使用したウォームギアやモータが原因で主軸側が重くなり、設計上、全体の重量バランスを欠いた結果、それを支える副軸のモータに過度な負担(モーメント)
がかかる構造となってしまい、副軸の回転モード切替時などに起こる一時的なトルクが掛 からない時間には副軸が回転してしまうなど、電子回路以外の部分では予想外の結果とな った。最終的には副軸へのモーメントを軽減するためバランスウェイトを2ヶ所に取り付 けた。主軸側の低重心化、軽量化が必要である。副軸の回転範囲を図
5.1、副軸の回転モー
ド切替時に起こる軸の回転を図5.2
に示す。図
5.1 副軸の回転範囲
図
5.2
副軸のずれモータの雑音に関しては、支持のアルミ板との微小な干渉が共振して生じると考えられ る。モータやギアの支持に関しては、ベアリングを介した滑らかな回転を実現すれば雑音 問題を改善できると見込まれる。
①投影機の光源の明るさ調整機能
投影時に使用するエアドームは遮光性が無いため会場となる部屋の暗さによって星の明 るさが変わってしまう。そのため光源の調整を行い星の明るさを調整する必要がある。
3
端 子レギュレータと可変抵抗を用いた単純な回路で実現できると考えられる。②オーディオ機能
投影時は
BGM
を流しながら行っているため、投影機とは別にスピーカーとアンプを使用 している。足元は配線だらけになっており、準備に手間が掛かる。そこで投影機にスピー カー、コントロールボックスにアンプを搭載することで、準備が楽になるのではと考えら れる。③方位と角度の投影機
投影機は星のみを投影する。そのため投影されている星だけで素人が方位や角度を理解 する事は難しい。そのため東西南北の方位と角度を表示する投影機が今後必要だと考えら れる。
④流星の表現
サーボモータを使用した流星用の投影機を製作してはどうだろうか。
最後に、現在のエアドームは明るさの調整を行うことが出来ないため、夕方や朝方の空 を表現できない。エアドームの明るさを調整できるようにすれば、夕方から朝方までの星 空をより忠実に表現できるようになると考えられる。投影機だけの制御でなく、エアドー ムの光源調整なども含めたプラネタリウムの総合的な制御ができる装置の発展を期待する。
第6章 結論
本研究では
PIC
マイコンを用いたプラネタリウム投影機の自動制御システムの開発を行 った。研究内容としては、制御回路、プログラム、投影機、コントロールボックスの設計 から製作と、もの造りの全てを行うものであった。そのため、研究当初から自分の考えを 全て形にすることは難しいと考え、コントロールボックスやプログラムは次の担当者にも 改良し易いものを製作しようと考えた。その結果、性能としてはまだ不十分だが、改良し 易いシステムが開発できた。本研究における目標は達成したと考える。本研究を通して、ハードウェアからソフトウェアまで、モノ造りの全てを一人で行った。
ギアボックスの製作では精度が要求され、最後までプログラムなどの微調整は続き、もの 作りの過酷さを経験した。今後、この経験は自分の人生に役立つと考えられる。
謝辞
本研究、論文製作を行うにあたり、ご指導ご鞭撻を賜りました高知工科大学電子・光シ ステム工学科山本真行助教授に深く感謝いたします。
同研究室内で共に研究した研究室メンバーの大利氏、西山氏、埜口氏、梶野氏、横山氏、
森岡氏、齋藤氏、別役氏、渡辺氏、には大変お世話になりました。回路製作に関して助力 して頂いた綿森研究室の前田進氏にも、深く感謝いたします。最後に、楽しく充実した学 生生活を送ることが出来たのは、私を支え続けてくれた家族のおかげです。心から、感謝 いたします。
参考文献
・「はじめての
PIC
アセンブラ入門」 光永法明、後田敏 著, CQ出版社,2005.・「PICマイコンによるメカトロニクス入門」 河西真史、鶴見惠一、山本健一 著,
CQ
出版社, 2005.・「作りながら学ぶ
PIC
マイコン入門」 神埼康宏 著,CQ
出版社, 2005.・「マイコンと表示機をつなぐ10の方法」 後藤敏 中西一雄 世古伸治 長田直之 著,
CQ
出版社, 2006.・「電子工作の実験室」(http://www.picfun.com/) 後閑哲也 著,
2007
年2
月参照.付録
1、使用方法
1.1 スイッチ配置
1.2 マニュアルモードの使い方 1.3 エンコーダモードの使い方 1.4 オートモードの使い方 1.5 緊急時
2、投影機のメンテナンス 2.1 投影機の組み立て 2.2 主軸側の組み立て 3、配線
3.1 コントロールボックス内の配線 3.2 コネクタ配線
4、プログラム
1、使用方法
1-1 コントロールボックス
コントロールボックスに配置してある各種スイッチ、表示機について述べる。コントロ ールボックスの配置図を図
1.1
に示す。図
1.1 スイッチ配置図
①主電源スイッチ
コントロールボックスに搭載されている3つの電源のスイッチである。
メンテナンスの際、主電源スイッチの絶縁テープなどが剥がれかかってい る場合は、直す事。漏電した場合、すべての搭載部品が壊れる恐れがある。
②光源スイッチ
投影機に搭載されている光源(電球)のスイッチである。
③ストップウォッチ
①表示機の
ON/OFF
②スタートスイッチ
③ストップスイッチ
④リセットスイッチ
④主軸角度表示機
①表示機の
ON/OFF
②3桁目の設定スイッチ
③2桁目の設定スイッチ
④1桁目の設定スイッチ
⑤副軸角度表示機
①表示機の
ON/OFF
②+0.7度
③-0.7度
④リセット
⑥主軸回転モード切替スイッチ ⑦副軸回転モード切替スイッチ
①マニュアルモード ①マニュアルモード
②エンコーダモード ②エンコーダモード
③オートモード
⑧マニュアルモードスイッチ
①主軸の回転スピード調整
②副軸の 〃
③主軸の左回転
④〃 右回転
⑤副軸の左回転
⑥〃 右回転
⑨エンコーダモードスイッチ
①主軸エンコーダスイッチ
②主軸スタートスイッチ
③副軸エンコーダスイッチ
④副軸スタートスイッチ
⑩オートモードスイッチ
①20分で180度回転するモード
②10分で180度回転するモード
③未開発
④未開発
⑤未開発
⑥スタートスイッチ
⑦ストップスイッチ
⑧リセットスイッチ
1.2 マニュアルモードの使い方
使用例、主軸を回転させる場合まず、主軸回転モード切替スイッチを「①マニュアルモード」に切り替える。次にマニ ュアルモードのスイッチを押し続け、投影機を回転させる(③と④)。なお、回転中でも回 転速度調整を行っても問題ない。
1.3 エンコーダモードの使い方
使用例、副軸を回転させる場合まず、副軸回転モード切替スイッチを「②エンコーダモード」に切り替える。次にエン コーダモードスイッチのエンコーダ(③)を回転させたい角度分だけ回転させる。なお、
1クリック1度づつ回転するので、10度回転させたければ、10クリック回す。最後に スタートスイッチ(④)を押し、副軸を回転させる。※エンコーダを速く回さないこと
1.4 オートモードの使い方
まず、主軸回転モード切替スイッチを「③オートモード」に切り替える。次にオートモ ードスイッチのモード切替スイッチで①から⑤を選択する。次にスタートスイッチ(⑥)
を押し、オートモードを開始する。途中で一時停止したい場合は、ストップスイッチ(⑦)
を押す。一時停止中、再び開始するには、スタートスイッチを押す。リセットしたい場合 は⑧を押す。なお、リセットスイッチ(⑧)は一時停止中のみ応答するため、回転中はリ セットできないため、ストップスイッチを押し、一時停止させること。
1.5 緊急時
コントロールボックスから異臭や異常な発熱が見られる場合はまず、主電源を切り、コ ンセントを抜くこと。原因として考えられるのは、電源や3端子レギュレータの発熱であ る。また、コントロールボックスに搭載している3つの電源にはそれぞれヒューズが取り 付けられているので、確認すること。コントロールボックス内に搭載されているヒューズ の位置を図