本解析は、1999年10月から2001年7月までに収集された積分ルミノシティ
29.4fb;1のデータを用いた。これは31:3106個のBB事象の生成に対応する。
3.2.1 B
B事象の選別
J=粒子を含む崩壊過程の再構成のためにハド ロン事象は次のような条件よ り選ばれる。
ビーム軸に最も近いところで、jrj<2:0cm、jzj<4:0cm
xy平面に投影した運動量が0.1GeV/c以上
この2つの条件を満たす飛跡が3本以上あり、この飛跡がECLにつくるシャ
ワーのエネルギーは0.1GeV以上とする。さらに、
0:1E < EECL <0:8E P+EECL >0:2E
jPz+EzECL j<0:5E
ここでEECL :全シャワーのエネルギー、P:全飛跡の運動量、E:全重心系エネ
ルギーである。以上の条件をすべて満たす事象をハド ロン事象とした。モンテ カルロシュミュレーションによると上の条件で選別されたハド ロン事象の99%
以上がBB事象とJ=粒子を含んだ事象となっている。
3.2.2 荷電中間子と荷電K中間子の識別
Belle検出器では荷電中間子と荷電K中間子の識別は、CDC、TOF、ACC
の3つの検出器の情報を組み合わせて行う。すなわち、CDCでのエネルギー
損失(dE/dx)、TOFでの飛行時間、ACCでの光電子数(Npe)の情報の組み合
30 3 B J=
わせであり、識別可能な運動量領域はそれぞれ0.8GeV/c 以下、1.2GeV/c以
下、1.23.5GeV/cとなっている。以上3つの検出器の情報から粒子同定確率
(Likelihoodratio)、Prob(i:j)は、
Prob(i:j) = Pi Pi+Pj
のように定義される。ここでiは選別したい粒子、jはbackgroundの粒子で、
eKpのいずれかで、Pi、Pjはi、jそれぞれの粒子のLikelihoodである。
Prob(i:j)は粒子iと測定される確率のようなものであり、Prob(i:j)の区間
は0,1]、ど ちらの粒子かわからない場合はProb(i:j) = 0:5となる。Piは3つ
の検出器の情報から求めた確率の積で、
Pi =PidE=dxPiTOF PiACC
となっている。
3.2.3 電子識別
電子識別はJ=!e+ e;の再構成のために必要であるが 、この他にもavor taggingやb!c(u)e 崩壊に関する解析などにとっても非常に重要である。電 子の識別には次の6つの観測量を用いる。
1. ECLにおける、clusterの位置と外挿した飛跡の位置とのMatching 2. ECLで測定されたclusterのエネルギーEとCDCで測定された荷電粒子
の飛跡の運動量pとの比
3. ECLでのshowerの形状(E9/E25) 4. CDCによるdE/dx
5. ACCによるチェレンコフ光の収量
6. TOFで測定される粒子の飛行時間
(1) Matching
電子識別において最も重要なのはmatching、つまりE/pの正し い値を得
るために、ECLでのシャワーの位置と飛跡がECLと交わる位置との正し
い組み合わせを見つけることである。ハド ロンよりも電子の方がECLで
の位置分解能が良いので、電子の方がmatchingの質が高くなる。図3:3は ECLでのシャワーの位置と外挿した飛跡の位置の、の差を、と
して、電子と荷電について示している。
電子を識別するためにとを用いてmatching を
2
2+
2
と定義する。ここでは電子の、分布をGaussianでtして得られ
るである。電子と荷電中間子の 2分布を図3:4に示した。それぞれの
飛跡について 、最小の 2をもつシャワーをmatchしたシャワーと定義す
る。さらに 2はE/pやE9/E25を算出するためにも用いられる。もし 2 が50以下ならば 、その飛跡はシャワーを形成しなかったと見なし 、この場 合ECLの情報は電子識別に用いられない。
(2) E/p
電子がECLに生成するシャワーのエネルギーEは、電子の運動量Pとほぼ
等しい(Ep)。これに対してハド ロンの場合は、ECLに生成するシャワー
のエネルギーは粒子の運動量よりも小さくなる(E < p)。したがってE/p
が1に近いものは電子である確率が高い。図3:5は電子と中間子のE/p
分布である。運動量領域は実験室系の運動量で0:53:02GeV/cとなって
いる。この分布から電子とハド ロン( 又は粒子)の区別が容易にできる。
図3:6は実験室系での運動量とE/pの分布である。これから特に運動量が 高い領域で電子とハド ロンが良く分離できることがわかる。
(3) showerの形状
電磁シャワーとハド ロンシャワーとでは縦横両方向で異なった形状をする ので、この違いから電子とハド ロンを区別することができる。まず横方向の
showerの形状を比較するために、E9/E25を定義する。ここでE9は33、 E25は55の結晶で検出されたエネルギーである。3:7に電子と中間子の E9/E25を示した。3:7からわかるように 、中間子は電子よりも低い領域 を占める割合が多い。これはradiation lengthとnuclear interaction length
の違いのために、電磁シャワーはハド ロンシャワーよりも速く生成するか らだ。さらに中間子の分布のE9/E25=1付近の鋭いピークは 、nuclear interactionをせずにECLを突きぬける中間子に相当する。
(4) dE/dx
CDCでのエネルギー損失はdE/dxとして測定される。dE/dxで電子とハ
ド ロンを効果的に選別することができる。3:8は電子と中間子のdE/dx
分布である。
32 3 B J=
図3.3: 上段:電子と中間子の分布下段:電子と中間子の分布
図3.4: 電子と荷電中間子の 2分布
図3.5: 電子と中間子のE/p分布
図3.6: 実験室系での運動量とE/pの分布
34 3 B J=
図3.7: 電子と中間子のE9/E25分布
図3.8: 電子と中間子のdE/dx分布
3.2.4 粒子識別
粒子識別には 、CDC、SVD、KLMの情報を用いる。荷電粒子の飛跡は 、
CDCから出た位置とKLMに入った位置から外挿して再構成し 、その飛跡がハ ド ロンであるか粒子であるか識別するために次の二つの量を用いる。
R : 飛跡が貫いたレ イヤーの数の測定値と期待値との差
2 : RPCまで外挿した飛跡と実際にKLMで観測された点との偏差
Rと 2はほとんど 独立なので確率密度は
p(R 2) =p1(R)p2( 2)
となる。