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事業運営、活動の概況

1.保険者としての活動範囲について

保険者としての機能を充分に発揮するためには、大きく2つの活動が重要になります。一 つは、協会が加入者や医療機関などからの求めに応じて行う「審査・支払などの受け身の業 務」、そしてもう一つは、診療を受ける加入者や地域の医療提供体制などに「協会から直接 的に働きかけを行う業務」です。

協会の設立時(20 年 10 月)における保険者としての活動範囲を振り返ると、まず一つ目 に旧政府管掌健康保険から引き継いだ審査・支払などの業務がありました。具体的には、加 入者への現金給付の審査、支払、医療機関から請求されるレセプトの再審査、支払などがこ れに当たります。もう一つは、新たな業務として健診や保健指導のほか健康づくりなど、協 会から加入者に対して直接働きかける業務がありました。これらは、それまで外部に委託し ていた業務を協会自らが行うことで、協会設立の本来の目的である保険者機能の発揮を更に 進めるための新たな業務です。

これらの業務内容からも解るように、協会の設立時点においては、協会から直接働きかけ る業務のうち、医療機関やこれを含めた地域の医療提供体制に対して働きかける業務は、制 度上、設けられていませんでした。

その後、26 年の医療介護総合確保推進法の成立により、医療保険者が地域の医療提供体制 に関与することとされ、地域医療への意見発信という業務が制度上新たに加わることになり ました。これにより、協会は診療を受ける側である加入者の皆様に加え、診療を行う側の地 域の医療提供体制の双方に対して、保険者として直接働きかけができるようになりました。

近年、このような活動範囲の拡大を受けて、都道府県の医療計画策定の場や地域医療構想 調整会議などに委員として参画するなど、地域の医療提供体制への関与を大きく進めること で医療政策における保険者としての存在感も高まりました。また、27 年 10 月に策定した保 険者機能強化アクションプランにおいては、協会の活動範囲の拡大を踏まえた 3 つの目標と その実現のための具体的な施策を明確にしました。

28 年度は、保険者の役割や環境変化を踏まえながら、協会の本来の設立目的である保険者 機能の強化・発揮を一層進めていく重要な年度となりました。

-49-[(図表 5-1)協会の保険者としての活動範囲について]

-50-2.医療、加入者への働きかけや新たな業務の取組

(1)保険者機能の発揮による総合的な取組の推進

保険者機能とは、加入者の皆様の健康増進を図り、また加入者の皆様が良質かつ効率的な 医療を享受することができるようにするという協会の基本理念を実現するために、医療提供 体制への働きかけや加入者の皆様の健康増進等の「戦略的な機能」から、レセプト点検や現 金給付の審査支払等の従来からの「基盤的な機能」に至るまでの保険者として効果的な保険 運営の実施に向けて取り組む全ての行動を指しています。

ⅰ)保険者機能強化アクションプラン(第 3 期)について

27 年 10 月に策定した、保険者機能強化アクションプラン(第 3 期)は、それまでの基本 となっていた考え方を踏まえつつ、更に発展させることを目指した 3 年間の中期計画です。

また、この計画については、保険者機能を「基盤的な機能」及び「戦略的な機能」と分類す ることで明確にし、加入者及び事業主に対して、あるいは地域の医療提供体制に対して、協 会から直接的に働きかけを行う「戦略的な機能」を更に強化することを目的としています。

保険者機能の実施 協会の基本理念の実現

(=保険者が果たしている(果たすべき)役割・機能の実現)

戦略的な機能

○ 医療の質や効率性向上のため の医療提供体制への働きかけ

○ 保健事業等を通じた加入者の 健康管理、健康増進

○ 広報活動による加入者への 医療情報の提供、疾病予防

基盤的な機能

○ 加入者の加入手続きと 資格管理、加入者サービス

○ 保険給付額等に見合った 保険料の設定、徴収

○ レセプトと現金給付の 審査及び支払

協会の基本理念

保険者として、健康保険及び船員保険事業を行い、加入者の皆様の健康増 進を図るとともに、良質かつ効率的な医療が享受できるようにし、もって加 入者及び事業主の皆様の利益の実現を図ることを基本使命としています。

基 本 コンセプト

○ 加入者及び事業主の皆様の意見に基づく自主自律の運営

○ 加入者及び事業主の皆様の信頼が得られる公正で効率的な運営

○ 加入者及び事業主の皆様への質の高いサービスの提供

○ 被用者保険の受け皿としての健全な財政運営

-51-28 年度は、保険者機能強化アクションプラン(第 3 期)の 2 年目であり、取組を満年度で 実施する初年度でした。この計画において設定した目標の達成に向けては、各種施策を着実 に実施する必要がありますが、これらの各種施策等に関する様々な情報を本部支部間で共有 することが重要となります。そのため、本部支部間において、保険者機能強化に関する意見 交換会を順次開催しました。この意見交換会は、5 月に地域医療構想に対する意見発信の強 化とジェネリック医薬品の更なる使用促進をテーマとして開催し、また、年度後半には地域 の共通課題の解消に向けた取組の促進をテーマに、47 支部を 7 つのブロックに分け、ブロッ ク単位で開催しました。

このほか、保険者機能強化アクションプラン(第 3 期)に沿った各種施策について、PD CAサイクルを的確に回す観点から、実施状況や目標の達成状況を検証するための具体的な 項目、検証方法を策定しました(詳細は巻末の参考資料を参照)。

なお、アクションプラン制定から 28 年度末までの実施状況の検証結果については、29 年 度上半期の運営委員会において報告することを予定しており、その結果については次年度の 事業計画や保険者機能強化アクションプラン(第 4 期)(仮称)へ反映させていきます。

[(図表 5-2)保険者機能強化アクションプラン(第 3 期)の骨子]

ⅱ)パイロット事業の実施について

協会として医療費適正化や保健事業などの先駆的な取組を行うにあたって、まずは、課題 の洗い出しや解決策などを含めて効率的な実施方法を検討し、全国的な展開のための基盤作 りを行うため、21 年度から支部においてパイロット事業及び支部調査研究事業(以下、「パ イロット事業等」という)を実施しています。21 年度から 28 年度までに延べ 113 件のパイ

実現すべき目標 目標実現に向けた着目点 具体的な施策(項目)

Ⅰ 医療等の質や 効率性の向上

・加入者の医療の選択の質の向上

・患者(加入者)の満足度の向上

・必要な医療・介護サービスの確保

・医療提供体制等を効率化するための働きかけ

(1)医療等の質や効率性の向上のための調査研究等

(2)意見発信及び政策提言に必要となる加入者・事業 主への情報提供

(3)医療・介護の情報に基づく意見発信及び政策提言

Ⅱ 加入者の健康 度を高めること

・加入者の健康状態の把握

・加入者の健康増進、疾病予防

・事業所における健康づくりを通じた健康増進

・早期治療の促進

・データヘルス計画の実施

(1)データヘルス計画の実現

(2)データ分析による効果的な保健事業の実施

(3)特定健康診査・特定保健指導の着実な実施

(4)事業所における健康づくりを通じた健康増進

(5)重症化予防等の先進的な取組みの実施

(6)国や関係機関と連携した保健事業の推進

Ⅲ 医療費等の 適正化

・加入者の健康増進、疾病予防

・医療提供体制等を効率化するための働きかけ

・同質ならばより安価な手段の選択

・不適切な利用や不正行為の防止

(1)ジェネリック医薬品の使用促進

(2)レセプト、現金給付等の審査強化

(3)医療機関の適切な利用を促す広報活動

(4)各種審議会での意見発信

Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの目標 を達成するための 基盤強化

・人材育成等による組織力の強化

・調査研究に関する環境整備

・加入者・事業主との双方向の コミュニケーション

・外部有識者との協力連携

(1)人材育成等による組織力の強化

(2)調査研究に関する環境整備

(3)加入者・事業主との双方向のコミュニケーション

(4)外部有識者との協力連携

(5)パイロット事業の積極的な実施と全国展開

-52-ロット事業等を実施しており、パイロット事業等を経た後、効果的な取組については順次全 国展開しています。

[(図表 5-3)パイロット事業(支部調査研究事業含む)の実施件数の推移]

年度 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 合計

実施件数 20 件 12 件 14 件 14 件 11 件 9 件 10 件 23 件 113 件

①28 年度に実施したパイロット事業等について

28 年度の実施件数は、パイロット事業が 16 支部で 20 事業、支部調査研究事業が 3 支部で 3 事業と過去最大の実施件数になりました(図表 5-4 参照)。なお、パイロット事業について は単年度での実施を原則としていますが、27 年度に実施したパイロット事業の一部について、

全国展開の可能性を見極めるために、28 年度も継続して実施しました。28 年度に完了した パイロット事業等については 29 年度中に効果検証を行います。

[(図表 5-4)28 年度に実施したパイロット事業等について]

[ジェネリック医薬品の更なる使用促進に関して≪アクションプラン目標Ⅲ(1)≫]

福井

件名 『糖尿病』と『小児層』に特化したジェネリック医薬品軽減額通知等の実施

概要

『糖尿病』治療者及び『小児層(主に 5~9 歳)』を対象にジェネリック医薬品軽減額通知を送付するほか、一定 条件を満たした調剤薬局に対して、(医師会)・薬剤師会・協会けんぽの三者連名で認定する。さらに、県内の調 剤薬局のジェネリック医薬品保有割合を掲載した『Ge医薬品使用割合結果票(仮称)』を送付し、その後に医療 機関及び調剤薬局に対して「意識調査アンケート」を実施し、意識の変容を探る。

静岡

件名 データジェネリック~薬局向け「ジェネリック通信」と分析による階層化別勧奨~

概要

県内の調剤薬局に対して、調剤薬局の使用割合等を数値化した「ジェネリック通信」を発送する。項目として は、薬局ごとの順位、市内平均・県内平均調剤率、後発医薬品体制加算状況、薬効別に調剤率が高い品目等 を掲載し、使用促進を図る。

滋賀

件名 レセプトデータに基づく調剤薬局に対するジェネリック医薬品情報提供サービスの提供

概要

ジェネリック医薬品の使用率向上のために、レセプトデータから広く普及しているジェネリック医薬品を薬効分類 などのデータを調剤薬局に対して、情報提供を行う。また、使用率の高い沖縄支部のデータと比較し、ジェネリッ ク医薬品使用割合の差が生まれる要因の分析を行う。

兵庫

件名 若年者に対するジェネリック医薬品軽減額通知送付業務

概要

通知対象者の拡大を図るため、0~19 歳の被扶養者を有する被保険者に軽減額通知を送付する。

また、通常のジェネリック医薬品軽減額通知書に加え、親子で一緒に読むことができる漫画形態のリーフレット を封入する。

徳島

件名 ジェネリック医薬品使用促進に向けた加入者等意識調査 【支部調査研究事業】

概要

使用割合の低い徳島支部加入者と使用割合の高い鹿児島支部の加入者及び薬剤師にアンケート調査を実 施し、ジェネリック医薬品に関する意識度の比較や医師の対応、院内処方・院外処方薬局の対応について分析 する。

同時に、医療機関別・薬効分類別等の使用状況の分析を行い、使用促進に向けた施策を検討する。

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