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6―1 調査について

6―1―1 調査体制

昨年度と同様、本年度も、運転者、車両、道路・交通安全施設、救急、人身被害・医療等それぞれの調査 分野について、担当機関を定めて調査が行われた。いずれも本来の業務を別に有している者によって行われ たため、日常業務に負担がかかることはやむを得ないことだが、2年目ということもあり、昨年度ほどのト ラブルは生じなかった。また、発生場所、調査日時により従事する調査員が異なり、また、調査員は各分野 について専門知識は有するものの、今回のような交通事故の調査に熟達しているわけではないので、記入状 況にバラッキが生じるなど今後に課題を残している。さらに、車両、カメラ等の調査用資器財等も十分では なく、人的、物的の両面にわたる体制の整備が今後の課題である。

いずれにしても、現体制は、臨時的なものと位置付けられるべきものであり、交通事故の調査を継続的に 実施するためには、人的にも、物的にも、所要の体制を整えることが必要である。

調査対象事故についての各調査担当機関への連絡は、昨年の実績もあり、交通事故を最初に認知する警察 の全面的協力を得つつ、電話及びファクシミリの双方による連絡を行うことなどによってほぼ円滑に行われ た。

6―1―2 調査時期及び期間

調査時期及び期間は、昨年とほぼ同時期の平成3年9月1日から同年10月31日までの2ヵ月間を選定した。

現体制のもとでは、2ヵ月に50件の交通事故について調査することは、過密であり、より余裕のある期間を 設定することを要望する意見もあった。

また、将来的には、あらゆる時期が調査の対象となり得、またそうしなければならないであろうから、ど のようにこれに対応できる体制を作るかが今後の検討課題である。

6―1―3 調査件数

自動車又は二輪車の車両相互又は車両単独事故のうち死亡事故及び重傷事故を中心に、約300件を目標と して調査が行われた。現体制においては、概ね妥当と考えられるが、分析課題によってはデータ不足と考え られるものもあった。

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6―1―4 調査対象

本年度も昨年度との継続性と的を絞った調査分析という視点から歩行者事故を対象外としたが、歩行中等 の人身損害も交通事故の防止等の重大な課題であることから、歩行者事故の調査方法は今後の課題である。

また、死亡又は重傷事故ばかりに重点を置くのではなく、軽傷又は無傷の事例についても同数程度調査し、

両者を比較することにより、さらに有効な分析結果を導き出せるのではないかと考えられる。特に、車両被 害が大きく、人身被害の軽いもの、すなわち特異事故について調査分析を増加させれば、車両被害と人身被 害の関係について一層明らかになるものと考えられる。

また、昨年度にも行った事故調査票による調査と並行して、アンケート調査という方法を試行した。本調 査研究は、調査分析の方法論の確立を主たる目的としたものであることから、調査対象を一定の範囲に絞っ て行うことが、効率的であると考えられる。そこで、今回は、増加傾向にある若者による夜間の事故に焦点 を当て、アンケート調査の調査対象の対象とすることとした。

今後、しかるべき調査分析体制が整備された際には、継続的にデータを蓄積していくべき調査分析と一定 期間においてテーマを絞って行う調査分析を組み合わせて効果的に交通事故調査分析を行って行くことも重 要な課題になると考えられる。今回のアンケート調査はその一つの試みとしての意義も有しているものであ り、今後ともこうした方向での検討も積み重ねていく必要があると考えられる。

6―1―5 調査方法

(1)全般について

昨年度同様、委員会名による調査への協力依頼文書を調査対象者に調査前に送付し、又は持参することに よって、事故当事者、車両保有者等の協力を確保することができた。特に、警察が、調査対象者に対して調 査について交通事故発生当初の段階から調査の趣旨について説明を行うなど、積極的な協力をしたため、調 査対象者の協力を円滑に確保することができた。

それでもなお、協力に消極的なところも一部には見られ、いかに協力を得ていけばよいかが、今後も引き 続き検討していく課題である。調査員の身分を明確にすることや、個人のプライバシーの保護を確実にする など、調査対象者が協力をちゅうちょする要素を除去すれば、さらに事故調査に対する理解と協力を円滑に 確保されるものと考えられる。確実な事故調査の実施できる体制を整備し、実績を積み重ね、事故調査に対 する信頼を確立していくことが必要である。

また、交通事故の調査分析の成果や交通事故防止と交通事故による被害の軽減に資するという交通事故の 調査分析の意義をドライバー等に広報することにより知ってもらい、ドライバーが調査に協力する気運を醸 成し、調査への協力を確保することも重要である。

また、事故発生直後にではなく、事故発生後時間を置いて調査したのでは、現場に残っている痕跡が、調 査対象事故によるものかどうかが分からない場合がある。事故発生直後に専従調査員による現場臨場を行い、

調査することが不可欠であり、そのような事項を抽出するとともに、どのような体制で現場臨場を行うこと

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が望ましいのか検討する必要がある。

(2) 事故調査票による調査

事故調査票については、昨年度の実績を踏まえ、重複している項目を統合して調査票を整合性のあるもの にするとともに、不要項目の削除、必要項目の追加を行い、かなり改善された。また、最短時間で最大の能 率を上げるという観点も重要であり合理的な調査票の作成に向けて不断の検討が必要である。

今回の調査についても、昨年と比べ改善は見られたものの、判断基準及び記入状況に差異が見られた。専 門の調査員ではないことから限界もあるが、調査実施前の早期の段階から調査マニュアル、講習等を通じて 調査員に対し、記載要領の徹底をしなければならない。また、調査方法を斉一なものにし、調査レベルを統 一的なものとするためには、専従調査員を配置するなど可能な限り専従体制を整備し、調査について十分に 理解した少人数のものにより調査票の記入がなされることが望ましい。

また、マニュアルだけでは記載要領が十分に明確でないところもあり、より具体的に記載例を示してほし いとの調査員からの要望も多く、マニュアル自体にもなお一層の工夫が必要であると考えられる。特に車両 損壊程度のように判断について裁量の余地が大きいものについては、記入する側と記入されたものを解釈す る側との二重の判断で誤差が一層大きくなるおそれがあるので、見本写真を適切に添付するなど工夫を加え て、より基準を明確にし、評価の統一を図る必要がある。

また、調査分析の結果を一般に提供することに際しては、各用語の定義を明確にし、かつ日常の用語の語 感から解離することなく、わかりやすい情報を提供し、交通安全思想の普及に努めていくごとが必要である。

また調査項目については、以下の指摘があった。

① 自動車学校名、心身状態概要、速度選択の理由、危険認知時の状態、他の車両の挙動、交通規制の認知、

勾配の認知、カーブの認知、MCI、信号交差点の記述、無信号交差点の記述、主要な傷害の○印等記入 の少ない項目があった。

② 共通項目について

・路線名、路線番号のいずれか一つにしてほしい。

・キロポストは国道と高速道路以外は調査が困難である。

・最初の衝突以降のラフな車両の挙動の図示をしてはどうか。

③ 運転者・同乗者項目について

・無免許の項目を追加し、場合分けしたらどうか。

・身長、体重は、死亡者、重傷者及び女性の場合に調査が困難である。

・産業別では正確性を欠くので職業別のコードを設けてはどうか

・被加害部位をより明確化する必要があるのではないか。

・損傷部位、損傷状態等については医療項目に委ねてはどうか。

④ 車両項目について

・バンパーの高さについては、測定の仕方について統一を図る必要がある。

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・タイヤの構造、種類、パターン、ヘッドライトの種類、構造、ランプの種類、色、明るさ、バックミラー の位置等追加したらどうか。

⑤ 道路・交通安全施設項目について

・「危険認知時の相手の車両位置」については、道路管理者には調査困難であり、警察が調査する項目と してはどうか。

⑥ 救急・医療項目について

・D.O.Aなどの項目の追加、救急を依頼しなかった場合分けをしたらどうか。

(3) アンケート調査

本年度の調査では、調査方法として、新たにアンケート調査を実施した。ただ、今回の調査では、調査方 法についての注意事項が、充分に徹底しなかったために、アンケート調査結果を十分に分析に活かしきるこ とができなかった。しかしアンケート調査を実施する上での問題点は、いくつか明らかになった。

まず、アンケート調査を事故調査票による調査と並行して行う際の最低限の留意点は双方の調査のマッチ ングを正確に行うことである。そのようにすることによって、初めて双方の調査が相侯って調査結果を有効 に活かすことができる。事故調査票による調査は、継続的に実施し、それと並行して特にテーマを設定して 特別調査を実施し、双方の調査結果を効果的にリンケージするという方法が今後も行われていくべきであろ う。

アンケート調査そのものについては、アンケート調査の宿命であるが、回答者の理解度によって、回答の 正確さ、粗密について差異があり、この差異ができるかぎり生じないように質問項目や選択肢の設定等アン ケートの調査の実施方法について検討するとともにアンケート調査結果からできるかぎり多くの情報を導き だしかつ正確に分析する方法についてもさらに検討する必要がある。

またアンケート調査の限界に関して、聞き取り調査にしてしてはどうかという意見もあった。将来的に人 的に余裕のある体制が整備されれば、より詳細に分析するための一方法として考慮する必要がある。

6―2 分析について

6―2―1 分析体制

調査結果の分析は、昨年と同様、運転者・道路関係及び車両関係の二つのワーキンググループを設けて行 われた。調査と同様、分析についても専従者ではないことから時間由に制約があるとともに、調査対象事故 数にも制約があるなど様々な制約の下で行われた。

総合的な分析を実施するためには、各分野の専門家が分野の枠を超えて相互に意見を交わすことが必要で あるが、上記のような各分野の専門家が総合的な交通事故分析に専念できる体制の整備が急務であると考え られる。

このような制約を少しでも克服するには、最も効率的な分析体制を組織することが必要である。その際、

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