第 2 章 TTC と事故発生確率
2.3. 事故発生確率
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2.3.2. 事故発生確率の計算
事故発生確率を,出会い頭の四輪車が自転車を認知し制動を開始した時刻で求めた結果を図 2.11に示す.事故発生確率が50%となるのは0.82Gである.しかし,図2.8のヒヤリハットに着 目すると,自転車が回避した場合,自転車と四輪車の両方が回避した場合などがあり,これらは 事故と同様な条件でも発生している.そこで,ヒヤリハットは四輪車のみが回避したもののみを 抽出して事故発生確率を求めた(図2.12).図から事故発生確率が50%となるのは0.49Gである.
図2.8の事故に着目すると,四輪車速度が約15 km/hの出会い頭事故は,回避が可能な領域(図 の直線の下)に存在している.低速(15 km/h以下)の事故は停止しつつ交差点を徐行で進入し ている等,他の出会い頭事故と状況が異なる.また,この速度域ではドライブレコーダの速度の 精度の問題もある.そこで,さらにヒヤリハットを15 km/h以上の事故と四輪車が回避したもの に限定した.事故発生曲線を図2.13に示す.事故発生確率が 50%となるのは0.55Gである.車 両減速度を0.55Gとした際の 𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇 とVの関係を図2.14に示す.また,図2.11, 2.12, 2.13を比 較すると,曲線の傾きが急になっている.これは事故とヒヤリハットをより明確に判別できるこ とを示している.
Fig. 2.11 Accident occurrence probability in accidents/near-miss incidents
Fig. 2.12 Accident occurrence probability in accidents/near-miss incidents that vehicle avoided (cyclist avoidance data were omitted)
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Fig. 2.13 Accident occurrence probability in accidents (car velocity less than 15 km/h, and cyclist avoidance data were omitted)
Fig. 2.14 TTCb vs. Vb of accidents and near-miss incidents (car velocity less than 15 km/h, and cyclist avoidance data were omitted)
2.4. 2章のまとめ
本章では TTC を用いて事故とヒヤリハットの比較を行った.さらに事故発生確率曲線を用い て,事故とヒヤリハット発生の差を定量化した.
出会い頭では2種類の事故が存在した.1つは四輪運転者が自転車に気づくのが遅れ,それに 伴い制動開始も遅れたために事故に至った事故,もう1つは自転車が飛び出してきたために四輪 運転者が即座に制動を開始しても衝突回避が困難な事故の2形態が存在した.出会い頭は無信号 交差点で多く発生しており,住宅等の建物の影から自転車が現れ事故に至っている.事故につい て自転車の回避行動をみると,約半数で回避行動がみられない.第1の事故形態では自動ブレー キ,第 2の事故形態では運転者の死角からの自転車の接近を知らせるシステムが事故の削減に有 効と考えられる.
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右左折時については,TTCは事故とヒヤリハットともに自転車が交差点に進入した時点では事 故回避可能な時刻域であり,四輪運転者が事前に対象に気付くことができれば事故が回避される と考えられる.しかし,右左折時の場合,四輪運転者の回避行動のない割合が出会い頭に比べて 多いことや,四輪運転者は衝突直前まで対象の自転車に気づいていないことが多い.右左折時の 事故は,比較的大きな交差点で多く発生し,四輪運転者が対象以外の歩行者や自転車に注意を向 けていることが多い.道路の幅員が大きいと,見るべき範囲が広がったり,交通量が増えるため 対象に気が付きにくいこともあると考えられる.そのため,四輪車の前方のみに限らず,広範囲 で自転車の検知を行い,自転車や歩行者の接近を運転者に知らせることが事故削減にとって重要 であると考えられる.
事故とヒヤリハットの差を明確化するために,四輪車速度 V と TTC から求めた車両減速度
(𝑎𝑎=𝑉𝑉/(2∙ 𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇𝑇))を変数として,事故発生確率曲線 𝑃𝑃(𝑎𝑎) を求めた.出会い頭事故の発生確率
50%は車両減速度0.55Gであった.これにより,出会い頭の事故とヒヤリハットは,四輪車が制 動を開始した時点において,四輪車が停止までに減速度が0.55G以上必要とする領域に自転車乗 員が入っているかどうかでヒヤリハットと区別される.
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