・放射線防護原子力安全研究所(IRSN)による 評価事例をもとに、過酷事故の被害額を
1,200億ユーロと想定。
・40年間で上記の1,200億ユーロを積立てると 想定。利率は5%。
・年間の積立額は9.9億ユーロ。
フランスの年間発電量で除すると、
0.24ユーロセント/kWhとなる。
52
[参考] 各種団体等による評価例
53
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18
コスト等 検証委員会
(35万円/kW)
実績値
(エネ研試算)
自然エネルギー 財団
(50万円/kW)
自然エネルギー 財団
(70万円/kW)
事故リスクコスト 政策コスト 廃炉コスト 運転維持コスト 核燃料サイクルコスト 資本コスト
円/ kWh
2.5 2.7 3.7 5.1
1.4 1.9 2.1
3.3 2.1 2.1
4.7
6.2
0.1 0.2
0.3
0.3
1.1
1.8
1.8 1.8
1.8
0.5 8.9 ~
7.0+α
14.3
17.3
・ 自然エネルギー財団はコスト等検証委員会試算に対し、「欧米での近年の建設費上昇、福島事故後の安全対策強化 などを考慮して」、原子力の建設単価を50万円/kW・70万円/kWに増やして原子力発電単価を試算。
但し、上記とは別途、更に「安全対策費用」として194億円/基→495億円/基と追加的に計上。
なお、これらの数字の根拠については、必ずしも明確に記されていない。
・ 更に、建設単価上昇分に比例して、運転維持コストも上昇するものと想定。日本の過去の実績値からみて、明らかに 大きい。建設コスト上昇を見込む理由と、運転維持コストの増大との関連について再検証が必要と思われる。
・ 核燃料サイクルコストについては、「第二再処理工場にかかるコストの増加」を追加的に想定し、1.4円/kWh→2.1円/kWh と増額。実際には、「コスト等検証委員会」試算には第二再処理工場のコストも既に織り込まれている。
・ 政策経費としては、緊急時計画区域の拡大による交付金増額を適用(その妥当性については後述の日経センター参照)。
・ 事故被害額については、日本経済研究センターを引用し20兆円と想定。追加的安全対策を見込むにもかかわらず 安全性の向上(事故発生確率の低減)を見込んでおらず、試算自体方法に再考が必要。
[参考] 自然エネルギー財団による発電コスト評価例
(出所)
コスト等検証委員会(2011)、
自然エネルギー財団「「エネル ギー基本計画」への提言」
(平成25年12月)
及び当所試算
54
[参考] 大島( 2010 )による試算方法
発電単価 : 各社の有価証券報告書をもとに、供給約款料金算定要領に準じて 試算。
営業費用+(電気事業固定資産 etc. )×報酬率 発電単価 =
発電電力量(送電端)
開発単価 : 電源開発促進対策特別会計(電源特会)及び一般会計
(科学技術新興費、エネルギー対策費)のうち、
原子力・火力・水力に係るものを全て計上。
その合計値を、 9 電力合計の発電電力量で割る。
立地単価 : 電源立地対策費の合計値を、 9 電力の発電電力量で割る。
[1970~2007平均] 原子力1.64円、火力0.02円、水力0.12円、原子力+揚水1.68円
[1970~2007平均] 原子力0.41円、火力0.08円、水力0.06円、原子力+揚水0.42円
55
[参考] 大島( 2010 )による「発電単価」試算結果
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
1970 1980 1990 2000 2011
原子力 火力
水力 円/kWh
・ 大島(2010)は発電コストに支払利息を含める代りに、事業報酬を推定した値を加算。
全般的にコストを高めに評価するが、特に発電量に比して核燃料資産等を多く有していた1980年代以前の原子力 単価を高く評価する傾向あり。
・ 大島の試算では、1970~2007年度の「名目」発電単価をそのまま加重平均。その意味するところは不明。
・ 「発電コスト」とは発電を行う主体が発電のために要したコストを意味するものであり、それ以外の事業報酬等を 加算するのは誤り。少なくとも、「発電コストは安価であったが、電気事業に係る制度のために、それ以上の負担が 国民に課されていた」と述べるべき。
実線:当所試算 点線:大島(2010)
56
[参考] 原子力を早期廃止した場合にかかるコスト
・ 燃料構成や化石燃料価格、為替レート、火力発電効率等の変化に応じて2~4兆円/年程度の 費用増(2010→2012年度の実績レベルでは3.6兆円/年)。
・ 化石燃料の購入増加は日本にとって純粋な国富の流出であることに注意する必要あり。
( A ) コスト: 化石燃料の購入額増加
仮に原子力発電を直ちに停止し、以後発電所維持等の費用を一切かけないとした場合、
以下の(A)と(B)の差が正味のコスト増となる。
※ 原子力発電を全廃した場合にも必要な原子力関連費用
(B) ベネフィット: 原子力発電の継続に係る費用の節約
・ 原子力発電所の操業等に係る費用 ・・・ 運転管理費や、核燃料サイクル関連費用・廃炉費用・
放射性廃棄物処分費用等の追加分。
(H23年度実績ベースで合計1.2兆円/年)
・ 立地対策・研究開発等に係る費用 ・・・ 実績ベース(コスト等検証委員会)では0.3兆円/年。
・ 原子力発電の資本費用(減価償却費等) ・・・ H23年度実績ベースで0.5兆円/年。
・ 廃炉費用の未積立分 ・・・ 全社計で1兆円超と推計される。
・ その他、バックエンド費用等
※ 実際には、仮に即時廃止したとしても操業や立地・研究に係る費用をすぐに全廃はできない上に、
電力会社の経営悪化や電気料金値上げに伴う混乱・社会的損失も決して無視できない。 57
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0
大島
(2011)
火力発電への 代替
大島
(2011)
実績値より 推計
コスト等 検証委より
推計
コスト ベネフィット
立地対策・研 究開発等 高レベル放射 性廃棄物処分 再処理
原子力運転費 用等
再生可能増加
火力増加 兆円/年
・ 大島(2011)は今後15年間の「脱原発」のコストとベネフィットを概算。特に再処理費用が高く評価されており、
「全量再処理を実施する場合にのみ原子力は高価」であることを主張する試算結果と理解される。
・ 再処理については六ヶ所再処理工場及び第二再処理工場のコストを合計して15年で除し、年間の費用としている。
実際には再処理工場は15年間のみ稼働するものではない。一方、もし今後15年間にかかり得る費用を単純に合計する のであれば、第二再処理工場の費用は計上されないはず。
・ 一方で火力の燃料増加は、15%の節電分を控除して計算。実際には、脱原発の如何にかかわらず省エネルギーの 努力は続けるべきであり、脱原発のオプションとその可否を考える際に、一方にのみ節電を想定すべきではない。
・ 仮に脱原発のコストとして2030年に向けた火力効率向上や輸入天然ガス価格低減を想定、ベネフィットとして実績値、
もしくは「コスト等検証委員会」に準じて推計すると、上図の通りとなる。
・ 化石燃料の輸入は再生可能エネルギーや原子力のコストとは異なり、純粋な国富流出である点にも注意が必要。
[参考] 脱原子力によるコストとベネフィット
(出所)
大島堅一『原発のコスト』
岩波新書 (2011)
及び当所試算
58
[参考] 脱原発の費用試算例
(出所)日本経済研究センター
「原発を残すには-事故対応費用の 明示、官民の事業団へ一本化を」
(平成25年1月9日)
・ 日本経済研究センターは原子力継続/脱原子力の2つのケースについて、2050年までの累積費用総額をそれぞ れ120兆円/90兆円と評価。但しCO2削減目標を高く設定すれば、高い保険料を支払っても原子力維持が望ましく なる、とも述べられている。
・ この試算においては図1-1に示される通り、原子力継続ケースで「電源立地交付金」が非常に高く設定されている ことが大きな特徴。防護地域が30kmに拡大されたことに伴い、交付金が「6.7倍に増加」するものと想定。
・ 実際には、立地交付金は防護地域の範囲によって定められるわけではなく、30km範囲の緊急時防護措置準備区 域(UPZ)の考え方が導入された後も、交付金制度は変更されていない。
・ 平成21年度の電源立地地域対策交付金予算額1,117億円のうち、周辺自治体への交付分(原子力発電施設等 周辺地域交付金相当部分)は303億円のみ※。40年間の累積では1.2兆円程度であるが、仮にこれが数倍に増加し たとしても、日本経済研究センター試算の50兆円規模には達しない。
※資源エネルギー庁「電源立地制度の概要 地域の夢を大きく育てる」 59