第 6 章 各研究のまとめと研究結果に基づく発達評価モデル
第 2 節 乳幼児期における発達評価モデルの提案
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また、検査用紙第 4 葉においては、じゃんけん課題の「勝ち判断」は「4:0-4:6」の年齢 区分に、じゃんけん課題の「負け判断」は「4:6-5:0」の年齢区分に、「絵並べ2/4」は「5:0-5:6」
の年齢区分に、「絵並べ3/4」は「6:0-6:6」の年齢区分に、それぞれ配置された。
Table 6-2-2 新版K式発達検査2001の検査用紙案(第4葉)
3:0-3:6 3:6-4:0 4:0-4:6 4:6-5:0 5:0-5:6 5;6-6:0 6:0-6:6
姿勢 運動
ケンケン
認 知
・ 適 応 領 域
四角構成例前
模様構成Ⅰ 1/5 模様構成Ⅰ 2/5 模様構成Ⅰ 3/5 模様構成Ⅰ 4/5
門の模倣例後 門の模倣例前 階段の再生
玉つなぎ 折り紙Ⅲ
十字模写例前 正方形模写 三角形模写
人物完成 3/9 人物完成 6/9 人物完成 8/9 重さの比較例後 重さの比較例前
C-A 積木叩き 2/12 積木叩き 3/12 積木叩き 4/12 積木叩き 5/12 積木叩き 6/12
言 語
・ 社 会 領 域
4数復唱 5数復唱
短文復唱Ⅰ
指の数左右 指の数全 打数数え
四つの積木 13の丸10まで 13の丸全 5以下の加算 2/3 5以下の加算 3/3 数選び3 数選び4 数選び6 数選び8
13の丸理解Ⅰ 13の丸理解Ⅱ
絵並べ 2/4 絵並べ 3/4
色の名称 4/4 硬貨の名称
勝ち判断 負け判断 絵の叙述
左右弁別全逆 左右弁別全正
性の区別 語の定義
L-S 了解Ⅰ 了解Ⅱ 了解Ⅲ
※ 新しく配置した項目名をグレーの網掛けで示した
新版K式発達検査2001において、検査用紙第3葉(Table6-2-1)の認知適応領域(C-A)
の項目数が33個であるのに対して、言語社会領域(L-S)の項目数は18個と、検査項目の 数が大きく異なる状況であった(松下・生澤, 2003)。本研究の結果、検査用紙第3葉の言 語社会領域の項目数を22個まで増加させられる可能性があり、まだ項目数の偏りは残るも のの、一定の改善が期待される。
検査用紙第4葉(Table 6-2-2)については、認知適応領域と言語社会領域で検査項目の 数は大きな差はなく、新版K式発達検査2001においては、それぞれ23個と27個であっ た。しかしながら、言語社会領域の 27 項目のうち、数の理解に関する項目(「数選び」や
「13の丸」など)が 14項目、文や数の復唱課題が 3項目を占め、言語理解や対人・社会 性の発達について評価できる検査項目は相対的に少ない状況であった。本研究で検討して きた「じゃんけん」課題や「絵並べ」課題は、対人・社会性の評価に関する部分を補うこ とが期待され、新版K式発達検査の精密化に寄与できるものと考えられる。
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2.乳幼児期の発達評価モデルとは
本研究では、五つの研究の中で、さまざまな検査項目の適切性や有用性について検討し てきた。これらの研究のうち、「ふり遊び」や「じゃんけん」などは従来から発達研究の中 で注目されてきたテーマであり、本研究においても「ふり遊び」や「じゃんけん」に関す る発達研究のさまざま知見に基づいて検討を進めてきた。
一方で、本研究で検討してきたのはあくまでもこれらの課題が発達評価の場面において 適切かつ有効に活用できるかどうかという点である。つまり、個別の発達検査という場面 設定の中で、有効に活用できるかどうかが重要であった。それゆえ、発達研究の中で重要 な指標と思われるものでも、個別の検査場面において有効に機能しなければ、検査項目と しての適切性、有用性があるとは言えないことになる。例えば、「自分に対する“ふり”が みられるかどうか」は「ふり遊び」に関する発達研究において重要な指標であると思われ るが、本研究で作成した「自己へのふり」においては、子どものふりが適切に観察されず、
個別の発達評価の場面では利用に適さないと判断された。
そのため、本研究の結果を整理するにあたり、本研究の成果として提示されるものは発 達研究の結果に基づく発達モデルではなく、個別的な検査場面において観察し得る、子ど もの発達評価の視点をまとめた「発達評価モデル」であると考えられる。
また、本研究で検討した課題は、従来の新版 K 式発達検査の検査項目から完全に独立し たものではなく、互いに関連し、発達評価の指標として補完しあう関係になるものと考え られる。
そこで、新版K 式発達検査の言語社会領域について、本研究で検討してきた検査項目も 含めた乳幼児期の発達評価モデルの案をFigure 6-2-1に示した。
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Figure 6-2-1において、本研究で新しく配置することを検討した項目(「慣用操作」、「人
形遊び」、「指示理解」、「手の形の理解」、「勝ち判断」、「負け判断」、「絵並べ2/4」、「絵並べ
3/4」)は青で示した。また、下位項目の変更について検討した検査項目(「語の定義」、「名
詞列挙」)は緑で示した。
Figure 6-2-1において、「原初的な象徴機能」に関連すると思われる項目は、今回新たに
検討した「慣用操作」、「人形遊び」、「手の形の理解」であった。これまでの新版 K 式発達 検査において評価の対象となっていなかった「象徴機能」の発達に着目した項目を配置で きたことが、本研究の成果の一つである。
また、「勝ち判断」、「負け判断」、「絵並べ2/4」、「絵並べ3/4」は「習慣・社会的経験・社 会スキル」に関連すると考えられる。新版K 式発達検査において「習慣・社会的経験・社 会スキル」の評価に関連すると思われる検査項目は他にも存在するが、それらの検査項目 は「了解」など、主として子どもの言語反応を評価する課題であった。そのため、対人コ ミュニケーションの問題から、音声言語によるやりとりにおいて適切な表現や説明ができ ない子どもの場合、「習慣・社会的経験・社会スキル」としては理解できていたとしても、
通過・不通過という検査の結果には反映されない可能性がある(門, 2015)。そのため、「習 慣・社会的経験・社会スキル」について、言語反応によらない形で評価できる項目を配置 できたことは、乳幼児期の発達評価において非常に有用な点であると思われ、本研究の成 果であると考えられる。
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