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乗法的理論

ドキュメント内 量指標をもつゼータ函数 [改訂版] (ページ 40-46)

以上ではDの測度が 1であることを使って計算してきたが,これらの議論の全てはD の測度, それを µ(D) とする,が必ずしも定まっていなくともそのまま成り立つ. そのとき補題 4.2.2の反 転公式は

φ(x) = 1 µ(D)

ξk

b

φ(ξ)e2πiΛ(xξ) となり, Poissonの和公式は

1 µ(D)

ξk

fb(ξ) =∑

ξk

f(ξ)

となる. これをもう一度繰り返すことにより µ(D)2 = 1 となることがわかり,結局 µ(D) = 1 なる.

[証明]補題 4.1.2より, 集合αD (加法的な) 測度はD の測度に ∥α∥ を掛けたものに等しい. ここで αk =kであるから, αD D と同じく加法的な基本領域を与える: V =⨿

ξk(ξ+αD).

従って

D=⨿

ξk

(D(ξ+αD)) =⨿

ξk

(ξ+ (−ξ+D)∩αD).

また,V =⨿

ξk(ξ+D) =⨿

ξk(−ξ+D) より αD=⨿

ξk

((−ξ+D)∩αD).

これよりαD の測度は Dの測度に等しいことがわかり,∥α∥= 1 を得る. 次に,連続な全射準同型

I a7−→ ∥a∥ ∈R>0

に注目する. その核は I の閉部分群であるが,これが重要な役割を演ずる. この部分群を J と書 き,その一般の元 (絶対値が1 であるようなイデール)を bと書く. このとき

1 −−−−→ J −−−−→ I −−−−→ R>0 −−−−→ 1

なる完全列が得られるが, この短完全列は分解する. すなわち, I の閉部分群 T で写像 I R>0

T への制限が同型になるようなものが存在し,そのときI I =T×J と直積に分解される. (あまり美しくなく,本当に必要な訳ではないが) 便宜上,上に述べたような T 1つ固定して おくことにする. そのためにk の無限素点p0 を任意に固定し,

T :={a∈I ; ap0 R>0, ap= 1 p̸=p0} と置く (これが I の閉部分群であることは明らか). このとき

T a7−→ ∥a∥ ∈R>0

は(位相群としての) 同型写像で,その逆写像

t7−→



(t,1,1, . . .) kp0 =Rの場合 (

t,1,1, . . .) kp0 =Cの場合

∥·∥:I R>0 の右逆写像を与える(p0-成分を先頭に書いた). 以下,この逆写像による t∈R>0

の像を単にt と書くことにする. このとき任意のイデール a a=tb (tR>0, b∈J) の形に一意的に表せる.

J のHaar測度db1つ決めるために,T =R>0 のHaar測度dt= dt

t をとり,da=dt·db により db を定める. このときI 上の可積分函数 f(a) に対して

I

f(a)da=

0

(∫

J

f(tb)db )dt

t =

J

(∫ 0

f(tb)dt t

) db が成り立つ. なお,こうして定めた測度db p0 の選び方には依らない*22.

さて, 積公式により k J が成り立つ. 以下では剰余群 J/k に関する基本領域を求める ことを考える. 容易にわかるように, イデール群からイデアル群への全射 φ : I I J に制 限したものは再び全射になる. また, 先に述べたようにφ(k) k の単項イデアル群 P に含ま れる. 従ってφ J/k から k のイデアル類群 I/P への全射準同型を引き起こし, その核は kJS/k = JS/(k ∩JS) となる. ただし, JS :=J ∩IS (これはI の閉部分群). ここで, k∩JSk の単数群u:=o に一致するから,完全列

1 −−−−→ JS/u −−−−→ J/k −−−−→ I/P −−−−→ 1 が得られたことになる.

以下しばらく r:=r1+r21は正であると仮定し,JS の性質を調べるために,写像 l:JS b7−→(logbpp)p∈S Rr

を考える*23. ここでS :=S− {p0}. l は群 JS から加法群Rr への連続な準同型である. ま た各 log∥·∥p:kp R(p∈S ) は全射で,SS から p0 を除外したものであるから,l は全 射になることがわかる(p0-成分で∏

pS∥bpp = 1となるように調整すればよい).

先に述べたように,

k∩JS =k∩IS ={ε∈k ; ∥ε∥p = 1 p̸∈S}

k の単数群 u に一致する. また,l(ζ) = 0 なる単数 ζ とはk における 1 の冪根に他ならない (l(ζ) = 0 より∥ζ∥p= 1 ∀p∈S となるが, 積公式より

p∈S∥ζ∥p= 1 であるから∥ζ∥p0 = 1

もわかる). Dirichlet の単数定理より,そのような ζ の全体は有限巡回群をなし, この群による単

数群 uの剰余群は階数 r の自由アーベル群になる(その証明には単数群の像l(u) Rr 内の格子 になるということが用いられる).

いま, ν}1νr を上で述べた自由アーベル群の基底 (の代表系) とする. このとき{l(εν)}ν

はRr R上の基底となり,任意の b∈JS に対して l(b) =

r ν=1

xνl(εν)

*22定理A.1.4を参照のこと.

*23原論文の“R-space”はミスプリント.

なる(xν)ν Rr が一意的に存在する. P, Q をそれぞれ{l(εν)}ν から定まるRr 内の平行体, Rr 内の “単位立方体とする:

P :=

{∑r

ν=1

xνl(εν) ; 0≤xν <1 }

, Q:={(xp)pS

; 0≤xp <1}.

補題 4.3.1

l1(P)

db= 2r1(2π)r2

|d| R.

ただし

R:=det(log∥ενp)1νr

pS

k の単数基準.

[証明]l は連続かつ固有な全射準同型であるから,

l1(P)

db

l1(Q)

db

= Vol(P)

Vol(Q) =|det(log∥ενp)|=R

が成り立つ*24. よって ∫

l−1(Q)

db= 2r1(2π)r2

|d|

を示せばよい. さて,l1(Q) ={b∈JS ; 1≤ ∥bpp< e p∈S } であるから, Q:={a∈IS ; 1≤ ∥app< e ∀p∈S}

と置くと, ∫

Q

da=

J

(∫

tbQ

dt t

) db となる. ここで,b∈J に対して

tb∈Q ⇐⇒ b∈l1(Q) かつ 1≤t∥bp0p0 < e が成り立つから,上の積分は

l−1(Q)

(∫ e∥bp0p01

bp0−1p0

dt t

) db=

l−1(Q)

(∫ e

1

dt t

) db=

l−1(Q)

db に等しい. 従って

Q

da= 2r1(2π)r2

|d|

*24A.1.4を参照のこと.

を示せばよい.

いま,p∈Sに対してQp :={ap∈kp ; 1≤ ∥app < e}と置いて,Q Q=∏

pSQp× IS と直積に表す. このとき,

Qp

dap=











( ∫ 1

e

+

e

1

)dx

|x|= 2 kp=Rの場合*25

0

e

1

2dr dθ

r = 2π kp=Cの場合 .

また, ∫

IS

daS = ∏

p̸∈S

up

dap = ∏

p̸∈S

Ndp1/2 = 1

√d.

故に ∫

Q

da= ∏

p∈S

Qp

dap·

ISdaS = 2r1(2π)r2

|d|

と求める式を得る.

定義 4.3.2 hkの類数とし,イデールb(1), . . . ,b(h)∈J をイデアルφ(b(1)), . . . , φ(b(h))I イデアル類群 I/P の完全代表系を与えるようにとる. また, wk に含まれる 1 の冪根の個数 とし,

E0 :=

{

b∈l1(P) ; 0argbp0 <w

}

と置く. 集合

E :=

⨿h i=1

E0b(i)

を乗法的基本領域という(i̸=j ならばE0b(i)∩E0b(j) = となることは明らか).

定理 4.3.2 (i)

J = ⨿

αk

αE.

(ii) ∫

E

db= 2r1(2π)r2h R

|d|w .

[証明] (i)b∈J とすると,φ(b(b(i))1)Pをみたすiが一意的に存在する. 従ってφ(b(b(i))1) = αoとなるような α∈k u を法として一意的に定まる. このときφ(b(b(i))1α1) =o,すなわ ちb(b(i))1α1 ∈JS となる. そこで b :=b(b(i))1α1 と置くと

l(b) =

r ν=1

xνl(εν) =

r ν=1

[xν]l(εν) +

r ν=1

(xν [xν])l(εν)

*25原論文の

Qdapはミスプリント.

となるような (xν)ν Rr が一意的に存在し, l

( b

r ν=1

εν[xν] )

=

r ν=1

(xν[xν])l(εν)∈P, すなわちb

νεν[xν]∈l1(P)となる. さらに1の冪根を掛けてp0-成分の偏角を調整することに より

b(∏

ν

εν[xν] )

ζ1∈E0

をみたすζ が一意的に定まることがわかる(l(ζ) = 0であることに注意). よってα(

νεν[xν]1 を改めてα と書くと b∈αE0b(i) を得る. また,このようなα ∈k の一意性は容易にわかる.

(ii)E =⨿

iE0b(i)l1(P) =⨿

ζζE0 より

E

db=h

E0

db= h w

l1(P)

db で,先の補題によりこれは

2r1(2π)r2h R

|d|w

に等しい.

4.3.1 k J (従って I ) 離散的な部分群で,剰余群 J/k はコンパクトになる.

[証明]まず, 容易にわかるように E0J において内点をもつ. 従って E J において内点を もち,k は離散的である. またb∈l1(P) とすると,p̸∈S に対しては bp ∈up ,p ∈S 対しては 1≤ ∥bpp < e. 従ってbp0p0 = (∏

pS bpp)1 も有界となる. 故にl1(P) は相対 コンパクトで,E も相対コンパクトになる. よって J/k はコンパクトである. ここまでr >0だとして議論を進めていたが,r= 0 の場合,すなわち kが有理数体または虚2 次体の場合にも上と同じ結果が成り立つことを示す(このときにはk の単数群は有限であるから 議論はかなり簡単になる).

まず,補題 4.3.1の証明と同様にして

JS

db= 2r1(2π)r2

|d| =







2 k=Qの場合

√2π

|d| kが虚 2 次体の場合

が示される(Q として{a∈kp0×IS ; 1≤ ∥ap0p0 < e} をとると,b∈J に対して tb∈Q ⇐⇒ b∈JS かつ 1≤t∥bp0p0 < e

が成り立つ).

h,b(i) ならびに wは定義 4.3.2と同じとし, E0:=

{

b∈JS ; 0argbp0 <w

}

と置いて,定義 4.3.2と同様に

E :=

⨿h i=1

E0b(i)

と定める. このとき定理 4.3.2と同じ結論が成り立つ (証明も同様).

いまU kp0 における1の近傍で, 1以外にkの単数を含まないものとする. このときU×ISI における 1の近傍で,

(U ×IS)∩k ={1}.

よって k I 内で(従って J 内で) 離散的である. 同様の方法でE0J において内点をもつ ことも示せる. また

JS =



{ ±1} ×IS k=Qの場合 T×IS k が虚 2次体の場合

で,これらはコンパクトであるから,E は相対コンパクトになる. よって系 4.3.1と同じ結論も成 り立つ.

以下の議論においては, I の準指標のうち k 上自明であるようなものだけを扱う(これから先 は,そのようなものを単に “準指標” と呼ぶことにする). 最後に I の準指標についていくつか注 意を述べておく.

まず, I の部分群 J 上では準指標は指標になる(i.e. |c(b)|= 1 b ∈J). これは剰余群 J/k がコンパクトであることによる.

次に,J 上自明であるような準指標はc(a) =∥as の形のものに限る. ここでscによって一 意的に定まる複素数である. 実際,cJ 上自明であるから c(a)a のみによって決まり, こ

れより R>0 から C への連続な準同型が得られる. 既に示したように, そのような写像は t7→ts

の形のものに限る.

各準指標c に対し,|c(a)|=∥a∥σ なる σ∈Rが一意的に定まる. 実際,準指標 |c(a)| J 上自 明であるから|c(a)|=∥a∥s (sC) と書けて,|c(a)| ∈R>0 よりs∈Rがわかる. σc の指数と いう. 準指標が指標であるためにはその指数が 0 であることが必要かつ十分である.

ドキュメント内 量指標をもつゼータ函数 [改訂版] (ページ 40-46)

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