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主眼は成長と雇用

ドキュメント内 EU 12 EUEurope in 12 lessons EU European Union, 2013 ISBN: (ページ 54-57)

単 一 市場

II. 主眼は成長と雇用

2010年春に開かれた欧州理事会は、「リスボン・プロセスの開始から10年が経 過したが、目標は未達成である」との認識を共有しました。EU諸国の失業率 は多くの国で依然として高く、EUは成長と雇用創出に力を入れる必要があり ました。さらに、各国経済の生産性を高め、社会的結束を強めるには、研究と イノベーションおよび教育と訓練への投資を増やす必要もありました。そこで 欧州理事会は、ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員会委員長の構想による、

今後10年の新戦略「欧州2020(Europe 2020)」を採択しました。

国際競争がますます熾烈になる中、EUは新技術の実用化を進めている

© Massimo Brega/The Lighthouse/ Science Photo Library

高等教育と産業界の連携を強めることは「欧州2020」が掲げる目標のひとつ

© EKA/reporters

EUの全加盟国は「欧州2020」の下、以下に取り組みます。

 リスボン・プロセスを推進するにあたり、欧州委員会により大きな役割 を与える。特に、欧州のベストプラクティスを幅広く普及することに尽 力させる。それにより、プロセスを「開かれた政策協調(open method of coordination)」として知られる政府間協力にとどまらせないようにする

 金融市場と社会保障制度の改革、電気通信とエネルギーの各市場の開放と 競争促進を急ぐ

 教育制度を改善し、若年層の就労支援をさらに充実させ、産学連携を強化 する。「エラスムス」、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」、「エラスムス・ムンドゥス」

の各教育プログラムを継続する。これらのプログラムは他のプログラムと 合わせ、2014年から教育・研修・青少年・スポーツを統括する「エラスムス・

プラス」計画の下に統合される

 研究者や知識、技術が欧州域内で自由に移動できる、研究分野での欧州単 一市場を実現するため、税制や社会保障制度を調和させるといった措置を より迅速に講じる

 国内総生産(GDP)に対する研究およびイノベーション分野の支出を3%

にまで引き上げる(米国と同じ数値目標)

 欧州連合(EU)加盟国の市民は、EU域内のどこでも移動・

居住・就労できます。

EUは、特に教育と文化の分野で、市民のつながりを強 化するさまざまな計画を奨励し、これらの計画に資金を 提供しています。

EUに帰属しているという意識は、EUが目に見える成果 を生みだし、市民にどのような便益をもたらしているの かをより明確に説明する中で、徐々に強まっていくもの です。

 人々は、単一通貨、欧州の旗および欧州の歌を欧州共通 のアイデンティティの象徴として認識しています。

 欧州規模の政党の存在で「欧州の公共領域(European public sphere)」が出現しつつあります。市民は5年ご との選挙で欧州議会議員を選出し、欧州議会議員は欧州 委員会委員の諾否を決めます。

欧州市民

欧州連合(EU)条約はEUの市民権を次のように定めています。「加盟国の国 籍を有するあらゆる人をEUの市民とする。EUの市民権は各国の市民権に対 し追加的に付与されるものであり、各国の市民権に取って代わるものではない」

(「欧州連合の機能に関する条約(Treaty on the Functioning of the European Union)」第20条(1))。では、具体的にEUの市民であるとは何を意味するの でしょうか。

ドキュメント内 EU 12 EUEurope in 12 lessons EU European Union, 2013 ISBN: (ページ 54-57)