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中間評価時点における取引債権企業への融資継続・回収方針の決定

まず,相互取引よる債権を有している企業2に対する中間審査での融資継続・回収方針 について分析する.図11は,事業資産間の相関係数η が企業2の融資に対する融資継続 閾値bˆt に与える影響を示している.但し,Dtˆ= /0およびQt=180と置いている.

11 事業資産の相関係数ηに対する取引債権企業の融資継続閾値bˆt の感応度

95 100 105 110 115 120

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

b2t

η

G21=0 G21=10 G21=20 G21=30

基本設定の下では債権を有する企業の融資方針に相関係数η はほとんど影響を与えな いことを上の図は示している.一般的には,企業間の(債権債務関係を除いた)事業資産 の相関が高ければ,企業2の業況が悪化(Q2が下落)した時には企業1の事業資産も下が る傾向にある.したがって,企業2が受け取る取引債権G21が不良資産化して倒産確率が 高くなることが予想されるが,Qt =180≫B1T =100の設定(満期時点の倒産閾値に比 べて中間時点の事業資産価値が十分高い)ではそのような効果が数値計算上はほとんどな いことを示している.

図12は,債権の相手先企業である企業1の資産価値水準が,中間時点tˆにおける企業 2の融資回収閾値bˆt に与える影響について図示している.

12 取引債務企業の中間時点tˆにおける資産価値Qt に対する取引債権企業の融資 継続閾値bˆt の感応度

95 100 105 110 115 120

150 160 170 180 190 200 210

b2t

Q1t

G21=0 G21=10 G21=20 G21=30

図12からわかるように,債権の相手企業の中間時点資産水準Qt が上昇すると金融機 関は企業2に対して融資回収条件を緩和することができる.これは,直感的にもほぼ明ら かである.ここで注目すべきは,Qt=150の下では相互取引額G21に関して中間時点の 融資継続閾値bt が必ずしも単調ではない事実である.この結果に対しては,取引債権先 の信用力が低い状況では売掛債権G21 が不良資産と評価できるために融資継続閾値を高 く設定する必要があると解釈することができる.

相互取引額の非単調的効果を確認するために,中間審査時点において取引債務を有する 企業1の信用力が極端に低い状況での相関係数η の影響を見る.図13では,Qt =120 として計算している.

13 事業資産の相関係数η に対する取引債権企業の融資継続閾値bˆt の感応度( 引債務先企業の信用力が極端に低い場合)

110 115 120 125 130 135

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

b2t

η

G21=0 G21=10 G21=20 G21=30

図11の場合とは違って,上記の分析では融資継続閾値bˆt は相関係数η に関して単調 増加な関係であることがわかる.この事実に対しては以下のような解釈が可能である.い ま,時点tˆにおける企業1の事業資産Qt が低い値を取り,相関係数η が正の値である 設定を考える.満期での企業2の資産価値Q2T が下落する場合には,満期における企業 1の事業資産が同時に下落し,Q1T が倒産閾値を下回る事象が高い確率で生じる.このと き,企業2は相互取引による債権を全額回収できなくなり(即ちΓ21<G21),企業2の信 用力がさらに悪化することになる.この傾向はη の値が大きくなればなるほど強くなり,

取引債権G21 に対してより厳格にな資産評価が必要となる.結果として,η が高くなるに 従って融資継続閾値を高く設定することを意味している.また,図12におけるQ1t =150 の場合と同様に,図13では全てのηにおいて,相互取引額G21 に関して融資継続閾値btˆ が非単調となっている.即ち,G21 の限界的な増加は,G21 が低水準の場合(この数値例 ではG21 が10以下)に融資継続閾値を下落させるが,G21 が高水準の場合(この数値例でG21 が10以上)に融資継続閾値を上昇させる.この事実の解釈については後に詳しく

議論する.

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