学校 令︵ 昭和 一八 年一 月二 一日
勅令
︶ 中学 校規 程︵ 昭和 一八 年三 月二 日 文部 省令
︶ 中学 校教 科教 授及 修練 指導 要目
︵昭 和一 八年 三月 二五 日 文部 省訓 令︶
!
中等 学校 令 主旨!ア 中等 学校 の目 的に つい て︑ 第一 条で 次の よう に規 定し た︒ 中等 学校 ハ皇 国ノ 道ニ 則リ テ高 等普 通教 育又 ハ実 業教 育ヲ 施シ 国民 ノ錬 成ヲ 為ス ヲ以 テ目 的ト ス︵ 傍線 は 引用 者︒
︶ 国粋 思想 の一 端を 如実 に表 現し た規 定と なっ てい る︒
!イ 第二 条の 次の 規定 によ り︑ 中学 校・ 高等 女学 校・ 実業 学校 すべ てを 包含 して 中等 学校 と称 する こと にな
る︒ 松山
大学 論集
第十 七巻
第四 号
三六 227
中等 学校 ヲ分 チテ 中学 校︑ 高等 女学 校及 実業 学校 トス
!ウ それ ぞれ 修業 年限 を一 年短 縮し て四 年と する
︒
!エ 中等 学校 の教 科書 を︑ 今ま での 検定 制か ら国 定制 とす る︒
!
中学 校規 程 主旨!ア 教科 は︑ 国民 科・ 理数 科・ 体練 科・ 芸能 科・ 実業 科及 び外 国語 科と する
︒
!イ 従前 の﹁ 国語 漢文
﹂は
﹁国 民科 国語
﹂と して
︑修 身︑ 歴史 及地 理の 三科 とと もに 国民 科の 中に 統合 され る︒ 国民 科の 要旨 とし て︑ 第三 条で 次の よう に規 定さ れた
︒ 国民 科ハ 我ガ 国ノ 文化 並ニ 中外 ノ歴 史及 地理 ニ付 テ習 得セ シメ 国体 ノ本 義ヲ 闡明 シテ 国民 精神 ヲ涵 養シ 皇 国ノ 使命 ヲ自 覚セ シメ 実践 ニ培 フヲ 以テ 要旨 トス 国民 科ハ 之ヲ 分チ テ修 身︑ 国語
︑歴 史及 地理 ノ科 目ト ス
!ウ
﹁書 道﹂ は︑ 芸能 科の 一科 目と なる
︒
"
中学 校教 科教 授及 修練 指導 要目 主旨
!ア
﹁国 民科 国語
﹂は
︑講 読︵ 国文
・漢 文︶
・文 法・ 作文 及話 方の 四領 域と なる
︒﹁ 教授 要旨
﹂と して
︑次 のよ うに 定め られ た︒ 国語 科国 語ハ 正確 ナル 国語 ノ理 会ト 発表 トノ 能力 ヲ養 フト 共ニ 古典 トシ テノ 国文 及漢 文ヲ 習得 セシ メ国 民 226
国語 科教 育課 程の 成立 と展 開
三七
的思 考感 動ヲ 通ジ テ国 民精 神ヲ 涵養 シ我 ガ国 文化 ノ創 造発 展ニ 培フ モノ トス 国民 科国 語ハ 講読
︑文 法︑ 作文 及話 方ヲ 課ス ベシ
!イ また
︑﹁ 教授 方針
﹂と して
︑次 のよ うに 示さ れて いる
︒ 一 国語 ガ国 民的 思考 感動 ノ具 現ニ シテ 且之 ヲ形 成ス ルモ ノナ ル所 以ヲ 明ニ シテ 国語 ノ正 確ナ ル理 会・ 発 表ノ 能力 ヲ養 ヒ国 語尊 重ノ 精神 ヲ涵 養ス ベシ 一 古典 トシ テノ 国文 ヲ通 ジテ 皇国 ノ伝 統ト 其ノ 表現 トヲ 会得 セシ メ国 民生 活ノ 発展 ト皇 国文 化ノ 創造 ト ニ培 フベ シ 一 古典 トシ テノ 漢文 ヲ通 ジテ 皇国 及東 亜ノ 思想
︑文 化ト 其ノ 表現 トヲ 会得 セシ メ国 民精 神ノ 涵養 ニ資 ス ベシ
︵傍 線は 引用 者︒
︶ 戦時 下に あっ て︑
﹁皇 国ノ 伝統
﹂︑
﹁皇 国文 化ノ 創造
﹂と いっ た思 想が
︑国 語科 教育 全体 をお おう 時代 とな っ てい たの であ る︒
!ウ
﹁教 授事 項﹂ とし て︑ 次の よう な事 項が 定め られ
︑﹁ 国語 の醇 正化
﹂並 びに
﹁古 典の 読破 力の 錬成
﹂の 二つ が眼 目と され た︒ 一 講読 ハ皇 国ノ 道ノ 具現 タル 各時 代ノ 国文 ト皇 国ノ 発展 ニ寄 与セ ル漢 文ト ノ中 ヨリ 醇正 ナル モノ ヲ選 ビ 之ガ 正確 ナル 読誦 ト解 釈ト ヲ課 シ教 材ニ 依リ テハ 暗誦
・書 取ヲ 課ス ベシ 二 文法 ハ口 語法
・文 語法 ノ大 要ト 国語 ニ関 スル 基本 的事 項ト ヲ授 ケテ 国語 ノ正 確ナ ル理 会・ 発表 ノ能 力 ヲ修 練シ 国語 ノ構 造及 特質 ヲ会 得セ シメ 国語 意識 ノ確 立ニ 資ス ベシ 三 作文 ハ書 簡・ 日記
・報 告・ 記録
・説 明・ 感想 及主 張等 各種 ノ文 ヲ綴 ラシ メ思 想・ 体験 ノ正 確自 由ナ ル 発表 ニ付 テ指 導シ 醇正 ナル 国語 ノ表 現力 ヲ修 練ス ベシ
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文体 ハ口 語文 ヲ主 トシ 文語 文・ 候文 ヲモ 併セ 課ス ベシ 四 話方 ハ各 自ノ 生活 ニ即 シテ 思想
・体 験ノ 正確 ナル 発表 聴取 ヲ訓 練シ 醇正 ナル 国語 ノ使 用ニ 習熟 セシ メ 敬語 ノ使 用ニ 慣レ シム ベシ
︵傍 線は 引用 者︒
︶
!エ 授業 時数 は︑ 一年 から 四年 まで 毎週 五時 間と し︑ 領域 ごと に時 間配 当が なさ れて いる
︒ 学年 ごと の時 間配 当は
︑次 のよ うに なっ てい る︒ 第一 学年
百七 十時
︵毎 週五 時︶ 講読 国文
六十 八時
︵毎 週二 時︶ 漢文
三十 四時
︵毎 週一 時︶ 文法
三十 四時
︵毎 週一 時︶
作文
・話 方 三十 四時
︵毎 週一 時︶ 第二 学年
百七 十時
︵毎 週五 時︶ 講読 国文
六十 八時
︵毎 週二 時︶ 漢文
三十 四時
︵毎 週一 時︶ 文法
三十 四時
︵毎 週一 時︶
作文
・話 方 三十 四時
︵毎 週一 時︶ 第三 学年
百六 十時
︵毎 週五 時︶ 講読 国文
六十 四時
︵毎 週二 時︶ 漢文
六十 四時
︵毎 週二 時︶ 文法
十六 時︵ 隔週 一時
︶ 作文
十六 時︵ 隔週 一時
︶ 第四 学年
百六 十時
︵毎 週五 時︶ 講読 国文
六十 四時
︵毎 週二 時︶ 224
国語 科教 育課 程の 成立 と展 開
三九
漢文
六十 四時
︵毎 週二 時︶ 文法
十六 時︵ 隔週 一時
︶ 作文
十六 時︵ 隔週 一時
︶
!オ
﹁教 授ノ 注意
﹂と して
︑精 細な 指導 事項 を一
〇箇 条に わた って 示し てい る︒ 一 講読
・文 法・ 作文 及話 方ハ 常ニ 相互 ノ関 連ヲ 緊密 ニシ テ指 導ス ベシ 一 講読 ニ於 テハ 読誦 ヲ重 ンジ 反復 練習 ニ依 リ解 釈ノ 根基 ヲ確 立ス ルコ トニ 力ム ベシ 一 読誦 ニ於 テハ 発音 ヲ正 シク シ句 読及 文脈 ヲ明 確ニ 読ミ ナラ ハシ ムル ヤウ 注意 スベ シ 一 講読 ニ於 ケル 解釈 ハ読 誦ニ 依リ テ得 タル 意味 ノ把 握ヲ 中心 トシ テ語 句・ 文章 ノ的 確ナ ル理 会ニ 導キ 表 現ニ 即シ テ国 民精 神ヲ 涵養 スル コト ニ留 意ス ベシ 支那 ノ典 籍ニ 取材 セル 文章 ハ民 族ノ 特性 及歴 史ニ 照シ テ理 会セ シメ 国民 精神 トノ 関係 ヲ明 確ニ スベ シ 一 文法 ニ関 スル 事項 ハ生 活ノ 実際 ニ即 シテ 之ヲ 習得 セシ メ国 語ノ 理解 力ト 発表 力ト ヲ的 確ナ ラシ ムル ト 共ニ 国語 ニ対 スル 関心 ヲ深 カラ シム ルベ シ 一 作文 ニ於 テハ 情操 ヲ涵 養シ 識見 ヲ錬 磨シ 国民 生活 ノ発 展ト 国民 的自 覚ノ 深化 トヲ 期ス ベシ 一 作文 ニ於 テハ 推敲 ノ必 要ヲ 自覚 セシ メ且 之ニ 習熟 セシ ムベ シ尚 初学 年ニ 於テ 正確 ナル 表記 法ヲ 習得 セ シム ベシ 一 話方 ハ時
・処
・位 ニ応 ジテ 適切 ヲ期 シ特 ニ真 実ヲ 尊ビ 言責 ヲ重 ンズ ルノ 精神 ヲ養 フベ シ 一 話方 ニ於 テハ 訛音
・訛 語ヲ 矯正 シテ 醇正 ナル 発音
・語 彙・ 語法 ニ習 熟セ シム ルト 共ニ 適正 ナル 話方
・ 聴方 ノ姿 勢態 度ヲ 修練 セシ ムベ シ 一 話方 ハ特 設セ ル時 間ニ 於テ ノミ ナラ ズ学 校生 活ノ 全般 ニ亙 リ之 ガ修 練ニ 力ム ベシ
︵傍 線は 引用 者︒
︶ この 注意 事項 の特 色と して は︑ 音声 言語 に関 する 指導 にお いて
︑新 生面 を切 りひ らい たと いう 点で ある
︒そ
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の特 色を まと める と︑ 次の よう なこ とに なる
︒
!﹁ 話方
﹂が
︑講 読・ 文法
・作 文と とも に︑ 学習 指導 内容 の一 分野 とし て位 置づ けら れた こと
︒
!﹁ 相互 ノ関 連ヲ 緊密 ニシ テ﹂ とあ るよ うに
︑音 声言 語指 導と 文字 言語 指導 との 相互 関係 を明 確に した こと
︒
!﹁ 適正 ナル 話方
・聴 方ノ 姿勢 態度
﹂の 修練 とあ るよ うに
︑聞 き方 に関 する 指導 を提 示し
︑聞 くこ との 分野 を 取り 上げ たこ と︒
!﹁ 話方
﹂に 関す る指 導は
︑特 設の 時間 だけ でな く︑ 学校 生活 全般 にわ たっ て指 導す べき こと を示 した こと
︒
!音 声言 語の 分野 で︑ 各自 の生 活に 即し た生 活言 語を 重視 しよ うと する 姿勢 がう かが える こと
︒ この 中に は︑ 今日 の高 等学 校の 国語 教育 にも 生か して いく こと ので きる もの も多 い︒ 非常 に示 唆に 富む
︑ユ ニー クな 指導 事項 とな って いる
︒ しか しな がら
︑こ の当 時の 戦時 下に おけ る学 校教 育の 中で
︑国 語教 育を はじ め︑ 教育 活動 その もの が︑ 十分 に実 践さ れる 情勢 には なか った ので ある
︒ 昭和 二〇 年五 月に は︑
﹁戦 時教 育令
﹂が 公布 され るな ど︑ 生徒 は勤 労奉 仕で 工場 に動 員さ れる など して 混乱 のう ちに あっ たの であ る︒
︵参 考︶ 高等 女学 校・ 実業 学校 にお ける 実践 一 高等 女学 校 高等 女学 校に おけ る概 略を
︑学 科目
︑授 業時 数等 を中 心に して まと める と︑ 次の よう にな る︒
"
高等 女学 校規 程︵ 明治 二八 年一 月二 九日
文部 省令
︶
!国 語に 関す る科 目に は︑
﹁国 語﹂ と﹁ 習字
﹂と があ り︑ 随意 科目 とし て﹁ 漢文
﹂が 設け られ た︒ 222
国語 科教 育課 程の 成立 と展 開
四一
!﹁ 国語
﹂は
︑
﹁講 読﹂ と﹁ 作文
﹂に 分か れ︑ 読方
︑話 方︑ 作文
︑文 法等 の領 域が 指導 内容 とさ れた
︒
!古 典の 教材 を﹁ 中古 以降
﹂と 規定 して いる
︒
!授 業時 数は
︑﹁ 国語
﹂
︵講 読・ 作文
︶は
︑第 一学 年と 第二 学年 は毎 週五 時間
︑第 三学 年か ら第 六学 年ま では 毎週 四時 間と なっ てい る︒
!こ の規 程が 公布 され るま では
︑多 くの 学校 では
︑読 書科 を設 け︑
﹁講 読﹂ では
﹁漢 字交 リ文
︑漢 文︑ 和文
︑ 文法
﹂を
﹁作 文﹂ では
﹁叙 事文
︑日 用文
﹂を 主に 指導 して いた よう であ る︒
"
高等 女学 校令 施行 規則
︵明 治三 四年 三月 二二 日 文部 省令
︶
!古 典教 育の 教材 の範 囲が
︑従 前の
﹁漸 ク中 古以 降ノ 平易 ニシ テ雅 馴ナ ル文 章及 歌ニ 及ホ シ﹂ から
︑﹁ 進ミ テハ 近古 ノ文 章ニ 及ホ シ﹂ と改 めら れた
︒
!そ れま で学 科目 とし て独 立し てい た﹁ 習字
﹂は
﹁国 語﹂ に編 入さ れ︑ また 随意 科目 とし て認 めら れて いた
﹁漢 文﹂ は省 かれ るこ とと なっ た︒
!毎 週授 業時 数も
︑四 年制 の場 合は
﹁六
六 五 五﹂
︑五 年制 の場 合は
﹁六
六 六 五 五﹂ とな った
︒
# 高等 女学 校教 授要 目︵ 明治 三六 年三 月九 日 文部 省訓 令︶
!要 目の 中で
︑﹁ 講読 ノ材 料﹂ や﹁ 材料 ノ配 当﹂ など
︑詳 細な 規定 がな され た︒
!﹁ 国語
﹂は
﹁講 読︵ 読方
・解 釈・ 暗誦
︶﹂
︑﹁ 文法 及作 文﹂
︑﹁ 習字
﹂で 構成 され
︑そ のい ずれ につ いて も詳 細 な規 定が なさ れた のは
︑中 学校 の場 合と 同様 であ る︒
$ 高等 女学 校及 実科 高等 女学 校教 授要 目︵ 明治 四四 年七 月二 九日
文部 省訓 令︶
!﹁ 国語
﹂の 四分 科は 前回 と同 じで ある が︑
﹁講 読﹂ は︑ 読方 及解 釈・ 話方
・暗 誦・ 書取 をそ の内 容と して い る︒
松山 大学 論集
第十 七巻
第四 号
四二 221