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中心市街地活性化法に基づく支援制度のメリットに関する考察

第2章 転機を迎えた商業まちづくり政策

3. 中心市街地活性化法に基づく支援制度のメリットに関する考察

以上,2014年改正中活法において「裾野拡大」と「重点支援」という2つの政策目標が 掲げられたこと,そして前者についてはその要件緩和対応によって一定の政策効果が表れて いるが,一方の後者,すなわち特定民間中心市街地経済活力向上事業制度に関してはその活 用拡大を図る上で協議会の活動不全が大きなネックとなっていることを確認した。

しかしながら,そのような改善の余地を残す課題があるとはいうものの,中活制度それ自 体は市町村の中心部を対象に4つの事業分野に及んで国の手厚い支援を受けることができ るという内容を備えたものであり,自治体にとっては魅力的な制度であるはずである。

だが,特に人口20万人以上の都市クラスを中心として,現在,中活制度の活用が低下傾 向にあるということは前章において確認したとおりである。こうした状況については,どの ように理解すればよいのであろうか。

このような観点から,ここでは現行制度下における自治体にとっての中活制度のメリット やデメリットを明らかにするとともに,今後の同制度の活用をめぐる市町村の動向について 実態的に検証を行うこととする。

なお,それを知る手がかりとして,今回の中活認定自治体へのヒアリング調査においては,

今後の中活制度の継続活用の意向,および現行中活制度の評価等に関する聞き取りを行った

(中活認定期間が終了している八代市と大村市には,再認定を目指す予定があるかを質問し た)。

その結果,今後の中活の継続活用について,グループ1〜3に属する自治体(人口5万人 以上)においては,「認定を目指さない」,または「おそらく次期の申請はない」といった 消極的な回答が全体の約半数にも達した。

一方,グループ4(人口5万人未満)に分類される3市については,いずれも新規に認定 を受けたばかりということもあり,すべての自治体から中活の取り組みに対して期待や意欲 を示す回答が寄せられた。

まず,中活制度の今後の活用に消極的な意見を示した都市について,その理由として上げ られたのは次の2つである。第1は,中活制度そのものに対する魅力の低下である。これら の自治体では,今回の再改正で認定要件の緩和対応等が行われたとはいえ,これまでの中活 の取り組みを振り返ると,そこから得られた便益がかかるコスト(時間・労力)に見合った ものとはいえず,今後もあまり期待を持てないということであった。

第2は,立地適正化計画制度(立適制度)への移行を検討しているという理由である。立 適制度は改正都市再生特別措置法(2014年8月施行)に基づき創設された支援制度である が,その特徴を端的にいえば,都市内に複数の地域拠点を設定し,そこに居住や各種の都市 機能を誘導した上でそれらの拠点間のアクセス性を確保するための公共交通網の整備を図 る,という枠組みで示されるものである 。(8)なお,中心市街地のみへの集約を目指す「単心 型コンパクトシティ」の中活制度と異なり,この制度は「多極ネットワーク型コンパクトシ ティ」として定義される。

立適制度は,中心市街地のみならず準中心市街地や副都心等へも様々な都市機能の立地誘 導を図ることができるものであるため,例えば「平成の大合併」によって旧合併町村の市街 地など複数の拠点エリアを有することになった自治体にとっては,この制度の活用によって 行政区内の各所で総合的なまちづくりを目指すことができる。

また,中活制度とは異なり,この制度には都市郊外部の住民や郊外選出の議員等からの幅 広い理解が得られやすいという優位性がある。さらには,同制度は国土交通省の所管制度と いうこともあり中活制度よりも予算規模が大きく,また補助率の大きい補助金が用意される など,自治体にとっては財政・金融上のメリットも多い内容となっている。

この立適制度に基づく立地適正化計画(立適計画)については,2016年2月の箕面市を 皮切りにこれまでに4つの都市が作成・公表済みである。また,全国で309の自治体が同計 画策定のための具体的な取り組みを行っているところであるが(いずれも2016年12月末現

このような観点から,ここでは現行制度下における自治体にとっての中活制度のメリット やデメリットを明らかにするとともに,今後の同制度の活用をめぐる市町村の動向について 実態的に検証を行うこととする。

なお,それを知る手がかりとして,今回の中活認定自治体へのヒアリング調査においては,

今後の中活制度の継続活用の意向,および現行中活制度の評価等に関する聞き取りを行った

(中活認定期間が終了している八代市と大村市には,再認定を目指す予定があるかを質問し た)。

その結果,今後の中活の継続活用について,グループ1〜3に属する自治体(人口5万人 以上)においては,「認定を目指さない」,または「おそらく次期の申請はない」といった 消極的な回答が全体の約半数にも達した。

一方,グループ4(人口5万人未満)に分類される3市については,いずれも新規に認定 を受けたばかりということもあり,すべての自治体から中活の取り組みに対して期待や意欲 を示す回答が寄せられた。

まず,中活制度の今後の活用に消極的な意見を示した都市について,その理由として上げ られたのは次の2つである。第1は,中活制度そのものに対する魅力の低下である。これら の自治体では,今回の再改正で認定要件の緩和対応等が行われたとはいえ,これまでの中活 の取り組みを振り返ると,そこから得られた便益がかかるコスト(時間・労力)に見合った ものとはいえず,今後もあまり期待を持てないということであった。

第2は,立地適正化計画制度(立適制度)への移行を検討しているという理由である。立 適制度は改正都市再生特別措置法(2014年8月施行)に基づき創設された支援制度である が,その特徴を端的にいえば,都市内に複数の地域拠点を設定し,そこに居住や各種の都市 機能を誘導した上でそれらの拠点間のアクセス性を確保するための公共交通網の整備を図 る,という枠組みで示されるものである 。(8)なお,中心市街地のみへの集約を目指す「単心 型コンパクトシティ」の中活制度と異なり,この制度は「多極ネットワーク型コンパクトシ ティ」として定義される。

立適制度は,中心市街地のみならず準中心市街地や副都心等へも様々な都市機能の立地誘 導を図ることができるものであるため,例えば「平成の大合併」によって旧合併町村の市街 地など複数の拠点エリアを有することになった自治体にとっては,この制度の活用によって 行政区内の各所で総合的なまちづくりを目指すことができる。

また,中活制度とは異なり,この制度には都市郊外部の住民や郊外選出の議員等からの幅 広い理解が得られやすいという優位性がある。さらには,同制度は国土交通省の所管制度と いうこともあり中活制度よりも予算規模が大きく,また補助率の大きい補助金が用意される など,自治体にとっては財政・金融上のメリットも多い内容となっている。

この立適制度に基づく立地適正化計画(立適計画)については,2016年2月の箕面市を 皮切りにこれまでに4つの都市が作成・公表済みである。また,全国で309の自治体が同計 画策定のための具体的な取り組みを行っているところであるが(いずれも2016年12月末現

在),中活制度が現行の中心市街地活性化協議会体制となった2006年以降における認定地 域数が140にとどまっている状況と比べるとその浸透の早さは際立っており,立適制度が多 くの自治体にとっていかに魅力的な支援制度として受け止められているかがわかる。

以上,人口5万人以上の中活認定都市(グループ1〜3)へのヒアリング結果をまとめる と,この都市クラスにおいては,中活制度への諦めがあることに加え,立適制度が創設され たことによって中活制度の魅力低下が増幅されており,そうしたことから,いわば“中活離 れ”ともいうべき傾向が表れはじめているということが明らかとなった。なお,このグルー プでは,中活制度の継続活用の意向を示しつつ,立適制度との併用を検討中とする自治体も いくつかみられた。

一方,グループ4(人口5万人未満)の自治体については,本調査においてはすべての自 治体が中活の取り組みに意欲的な姿勢を示したわけであるが,このことは前章でみたこの都 市クラスにおける全国的な認定自治体数の増加傾向を裏づける結果になったといえる。

このように小規模自治体を中心として中活制度への支持が多い傾向については,次の2つ の要因が指摘できる。第1は,規模の小さい自治体であるほど中活制度そのものに対する期 待が依然として大きいことである。

そのことを如実に示す事例として,倉吉市(人口48,400人,中活認定2015年6月)の2014 年9月議会で同市が答弁した以下のコメントをみてほしい。「中心市街地活性化基本計画は,

これからの倉吉市にとって本当に大事な取り組みになってくる(中略)倉吉にとっても最後 のチャンス,本当に難しい時期にこれから来ているので,しっかりと今取り組んでいかない といけない 」(9)。これは,小規模自治体における中心市街地の衰退の深刻さと,そうした問 題への地域の強い危機感,さらには活性化の頼みの綱として中活制度に託す期待や思いの強

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