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中国企業の環境保全活動

ドキュメント内 i (ページ 42-48)

[五]2007 年

2. 中国企業の環境保全活動

法律法規などが整備されて行政の指導・取締りが強化され、一般大衆・メディア・NGO な どが厳しい目を企業に向ける中、中国企業は現在どのような環境保全活動をしているのかを見 てみる。その前に企業が環境保全活動を行う場合、一般的にはどのような行動をしているのか を概観する。

(1) 環境保全活動における一般的な企業行動

地域住民・メディア・NGO・従業員などの苦情や指摘に対応する段階、企業が自社の関係部 署に法令順守(compliance)を徹底する段階、企業内部で環境保全意識を向上するため或いは環 境保全活動の継続性を担保するために仕組み作りを行う段階(環境マネジメント)、

企業全体で環境対策を徹底するために数値目標管理をする段階(環境会計)、各段階において並 行して行なわれる環境保護を中心とした社会貢献活動、大まかに言うとこうしたものが一般的 な企業行動として現われている。

  いずれの段階にあっても企業の広報活動と連携して行なわれる情報開示が徹底して行なわれ る場合には対策・仕組み作りが行なわれやすいし、外部機関が審査を行うような環境マネジメ ントシステムを構築すれば企業内において緊張感を保ちながら環境保全活動が続くこととなる。

更に企業全体で環境保全活動にかかった費用と効果を金額表示したり、企業活動で使用する原 材料(インプット)と生産物・排出物(アウトプット)の数量を明示するなどの環境会計を行 い、その状況を社内外に公表することでより効果的な環境保全活動が行われることとなる。こ の、どういう仕組みを構築し、目標と成果はどうであったのかなどを定期的に報告するものが いわゆる「環境報告書」と呼ばれるもので、こうした報告書を公開する段階に至った企業の環境 保全活動は、報告書をまとめない企業と較べて、格段に進んでいると言える。

新聞報道**によるとSRI(Social Responsibility Investment)に特化した投資信託(社会的責

** 2007年4月18日の日本経済新聞朝刊

任を積極的に果たしている企業や環境保全活動を積極的に行っている企業に対してのみ投資を 行うことを投資の基準とすることを宣言し投資家の資金を集める投資信託のこと)は、米国で は既に20兆円規模、英国では1兆円規模となっているが、日本では未だ3500億円規模(内、

環境に配慮している企業に投資する投資信託は 1500 億円規模)に過ぎず、日本企業において は「環境報告書」などの形で情報開示は進んでいるが、ほとんどは地域社会や顧客などを対象に しているため投資家にとっては使い勝手が悪く、投資判断がしやすいような情報の開示がない という批判がある、とのことである。欧米の投資家は、環境保全活動や企業の社会的責任を果 たす活動の収支バランスや将来の姿を更にきめ細かく数値化したものの情報開示を望んでいる ということだと思われる。

  日本の環境省の出している「環境報告書ガイドライン(2003年度版)」は、最初に作成された 2000年度版を改定したものであるが、そこでは「環境報告書」を次のように定義づけしている。

「環境報告書とは、その名称並びに公表媒体に関わらず、事業者が環境コミュニケーションを 促進し、事業活動における環境配慮の取組状況に関する説明責任を果たすとともに、利害 関係者の意思決定に有用な情報を提供するためのもの。

  環境報告書は、事業活動における環境配慮の方針、目標、取組内容・実績及びそのための 組織体制・システム等、自らの事業活動に伴う環境負荷の状況及び事業活動における環境 配慮の取組状況を、環境報告書の一般的報告原則に則り総合的・体系的にとりまとめ、こ れを広く社会に対して定期的に公表・報告するもの」

  そして環境報告書に記載することが重要だと考えられる分野として以下の5つの分野(その 具体的なこととして25項目)を挙げている。

    ①  基本的項目(誓約など経営者の言葉、報告の対象・期間、事業の概況など)

    ②  事業活動における環境配慮の方針・目標・実績等の総括

③  環境マネジメントに関する状況(環境マネジメントシステム・環境情報開示・規制遵 守などの状況)

④  事業活動に伴う環境負荷及びその低減に向けた取組の状況(総エネルギー投入量及び その低減対策・総物質投入量及びその低減対策・温室効果ガス等の大気への排出量及 びその低減対策・総製品生産量又は販売量・廃棄物等総排出量及びその低減対策など)

    ⑤  社会的取組の状況(事業者の社会的側面について情報開示すること)

  環境報告書を定期的に発行する企業は増えつつあるようだが、上記のようなことを踏まえて 中国企業の状況を見てみたい。

(2) H株企業の環境保全活動調査のポイント

中国最初の株式市場である上海株式市場が誕生したのは1990年12月であり当初は8社の企 業が上場したのみであった。翌年に深圳株式市場ができ現在これらの市場に上場している企業 数が約1400社余ある。(2007年9月時点では上海証券取引所に845社、深圳証券取引所に629 社が上場している)これらの上場企業の株式は中国本土以外で上場している企業の株式等と区

別するためA株と呼ばれており、中国の一般大衆が投資の対象としているのがこのA株である。

外国人投資家は特別に購入許可を取得した証券会社以外、A株を購入することはできない。一 方、企業登録地は中国本土であるが海外の投資資金を集めるために香港株式市場に上場してい る中国企業がある。この株式はH株と呼ばれるもので外国人投資家が自由に売買できる(以下 これらの企業を「H株企業」と呼ぶ)。A株の場合と異なり、現時点では中国の一般大衆はH株 を購入することができない。H株企業の中には2007年12月時点で株式時価総額が世界一とな った中国石油天然ガス股份有限公司(「股份」とは株式のこと)を筆頭に中国工商銀行、中国石 油化工股份有限公司、中国建設銀行など巨額の株式時価総額を有する企業が多数存在し外国人 投資家の関心を集めている。したがって、これらのH株企業は外国人投資家の興味を引き付け るような情報を自社のホームページ等を通じて発信していると予想されるし、自社で行ってい る環境保全活動についても同様にホームページを通じて発信していると考え、H株企業145社

††を調査の対象とした。

地球温暖化が世界的にホットな話題となっている昨今、多くの企業がインターネット上に経 営トップの言葉や経営理念の項目を設けて「真剣に環境問題に取り組んでいる」とか「積極的に 環境保全活動を推進している」というようなアピールをしているが、こうした定性的表現から実 際の取組み状況を判断するのは非常に難しい。したがって 145社の H 株企業のホームページ を通じ、各社がどのような環境保全活動をしているのかを調査するにあたり、そうした定性的 なものは調査の対象外とした。

インターネットに公開されている情報から読み取るものとしては、先ず情報開示の道具につ いてである。即ち企業がホームページを開設しているのかないのか、ホームページで使用され る言語は母国語以外に英語版を作製しているのかいないのか、という点を見た。次に環境保護・

環境対策に関する項目を設けているのかいないのか、という点を見ている。更に環境マネジメ ントシステムとして実質的な世界標準になりつつあるISO14001の認可取得を行っているかど うかを見た。最後に環境報告書を発行しているかどうかを調べた。また今回の調査では、これ ら145社のH株企業と比較するため、2008年2月29日時点で東京証券取引所第一部に上場 する企業1749社から同業者と思われる145社を任意に抽出した。

(3)  調査結果

上記の5つの項目に関して単純に「あるか、ないか」という点だけを見た比較調査の結果概略 は次頁の表の通りである。(企業ごとの集計表は別途添付)

H 株企業の中にホームページを持っていない企業が本当に存在するのか若干疑問が残るが、

「ホームページが見当たらない」と判断せざるを得なかった企業が 10 社存在する。これは香港 上場企業の基本情報を掲載している『中国株二季報』‡‡にホームページアドレスの記載がなく、

「ヤフーチャイナ」や中国で最も使われているというインターネット検索サイト「百度(Baidu)」

†† 2008年2月29日時点の中国情報局http://www.searchina.ne.jpの分類にしたがった。

‡‡ ㈱T&Cトランスリンク社が企画編集し2007年7月1日発行のもの

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