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中国の労働法制

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労働法律の制定、労働法律の運用にて労働者の合法的権益を保護し、経済の発展を促進 する事が中国政府の長期的追求目標である。現行の中国労働法制体系は主として 1994 年に 公布された『中華人民共和国労働法』を立法の中心として、労働関係双方の保護、特に労 働者の合法的権益を目標として確立された。本章では、中国法制構築の歴史、現状および 動向を紹介して、中国国内企業(中国資本企業および外資企業を含む)に適用される 4 つの 関連法律内容および雇用手続、労働契約、休暇制度、賃金体系、労働条件、社会保険制度 等 6 つの分野での中国国内企業の雇用過程における関連規定を紹介する。

1.中国労働法制現状概論 (1)労働法制発展史

『中華人民共和国憲法』第 42 条では「公民は労働の権利および義務がある。国家は各種 手段を通じて、労働就業条件を創造し、労働保護を強化して、労働条件を改善し、同時に 生産を発展させる基礎において、労働報酬および福利待遇を向上させる」と規定されている。

『憲法』の指導思想に基づき、関連部門は『中華人民共和国労働法』(以下略称:『労働法』) を制定したが、『労働法』は 1994 年 7 月 5 日に公布され、1995 年 1 月 1 日に正式に実施さ れて、中国労働法制が全面的発展段階に入った事を象徴した。これ以前において、中国政 府は常に「労働法律を制定し、労働法律を適用して従業員の合法的権益を保護し、経済発展 を促進する」を宗旨として労働立法作業を展開して来た。1949 年の新中国成立以降の中国 労働立法の変遷は以下の表 3-1 の通りである。

表 3-1:中国労働立法の変遷

期間 労働立法内容

1949 年

~1954 年

中国中央人民政府の憲法公布後、政府は各分野の基本法の制定を要 求したが、労働分野も含まれた。

1956 年 中国中央人民政府労働部は『労働法』起草グループを組織したが、

関係分野の干渉を受けた。

1978 年 12 月 中国国家指導者は『労働法』を緊急制定立法項目の中に入れる事を 指示した。

1979 年

中国国家労働総局および全国総工会等の部門は第二次『労働法』の 制定作業を開始し、大量の作業実施後、起草グループは『労働法(草 案)』を国務院に提出した。

1983 年 7 月

国務院常任委員会会議はこの草案を審議通過させたが、労働制度の 改革は創造経験段階に入ったばかりであるので、多くの問題を統一 的に認識する事は懇談であった事から、『労働法(草案)』は全国人 民代表大会常任委員会会議では審議されなかった。

1990 年 『労働法』の第三次起草作業が開始され、国務院は専門の『労働法』

起草グループを設置した。

(次頁に続く)

期間 労働立法内容

1991年

『労働法(草案)』は再度国務院に提出され、経済体系改革の市 場動向方向が不明確である事から、『労働法』の立法原則も明 確にする事が困難であるとされ、国務院常任委員会会議では審 議されなかった。

1993年初頭

中国政府は「中国の特色を持つ社会主義市場経済の建設」の目 標を確立して、『労働法』の第三次起草作業が順境に入る事を 支援し、草案は徐々に整備された。

1994年1月7日 国務院第 14 期常務委員会会議は原則『労働法(草案)』を可決 した。

1994年9月4日 全国人民代表大会常任委員会において『労働法』が審議可決さ れ、正式に公布された。

注:関連専門家の編著による『<労働法>公布十周年記念』および関連文献の内容を整 理した。

1979 年より 1994 年の 15 年間において、中国政府関連部門は『労働法』の各種草案 30 余稿を起草した。当該期間において、中国政府は常に法典的労働法規を公布せずに、応急 的に一部の労働行政法規を制定するのみであった。この中では、企業従業員労働紀律違反 の比較的深刻な状況に基づき制定された『企業従業員賞罰条例』や労働契約制度普及の為 に制定された『労働契約暫定規定』、失業レイオフ問題を処理する為に制定された『失業従 業員保険暫定条例』等があるが、行政法規に照らして労働問題を処理する為である。但し、

これらの法規は立法的にはレベルが低く、内容的にも相互矛盾のあるヶ所も存在し、中国 は常に正規の労働法制体系を形成せずに来た。

1994 年 7 月 5 日、『労働法』が公布され、1995 年 1 月 1 日より正式に実施された事で、

「労働」は中国法制の軌道に乗って、労働者の合法的権益の保護の為の法律根拠が提供され て、中国法制建設の一つの空白が埋められた。中国労働法制の思想的基礎は、労働関係双 方の主体が各自独立した経済利益関係を保有している事を認める事である。労働者の関心 は、就業保障、賃金報酬および各種労働条件等である。雇用者の関心はコスト低減であり、

人件費コストを含む。この種の独立した経済利益関係において、利益の衝突は不可避であ る。中国が『労働法』を実施する目的はこの種の利益衝突を調整し解決する為である。

『労働法』および一連の付帯規則制度の公布は、中国労働法制体系の基本的枠組みを形 成して、労働者の基本的権利の保障、労働関係の調整、労働基準の規範化に対して、重要 な役割を果たしている。これと同時に、公民労働法律意識は顕著に増加しており、労働法 制観念も一定の向上が見られ、中国的特色を持つ労働法律体系が徐々に形成されている。

(2)労働法制の現状

『労働法』は「労働」関連の各分野を規範化し、労働行政部門、雇用者、労働組合組織の 労働関係分野における各自の職権を明確にして、「労働」に対する法律保障を与えた。『労働 法』の実施十数年以降の成果は顕著であり、労働保障制度の確立を促進し、従業員の合法

的権益を保護して、調和の取れた労働関係を確立して、経済発展の為の条件を創り出し、

労働争議処理制度等を確立した。但し、近年来、労働関係の多元化に伴って、労働争議が 絶えず発生し、労働争議案件が急増する傾向を見せている。労働・社会保障部の統計デー タによれば、1987 年に労働争議処理制度を復帰させて以降の 20 年間において、労働争議 仲裁案件の年平均増加率は 27.3%に達し、2006 年の全国仲裁機関が受理して審議結審した 労働争議仲裁案件は 44.7 万件であって、1 日当たりの平均発生数は 1,224 件に達している。

これらのデータは側面的に現行の法制体系およびその核心法律である『労働法』の実施過 程において多くの不足部分が存在している事を反映しており、例えば、法律規定が過度に 原則に縛られて、操作性に欠ける、内容に不充分なヶ所が存在する、完全に整備されてい ない、国家が公布した一部の弁法に対応していない、『労働法』違反の行為に対する罰則規 定が充分ではない等である。

『労働法』にこれら問題が存在する以外にも以下の四大原因により労働法制の更なる改 善が労働者、雇用単位および政府部門の普遍的関心事となっている。

1)労働就業情勢の深刻化

長期間に渡り、中国の就業情勢は常に深刻であり、今後一定期間、この深刻さは続く。

現在、深刻な就業情勢を緩和する為に一部の効果的対策、措置が法律規範化のレベルが必 要となる所迄上ってきている。

2)労働関係矛盾の先鋭化

中国における労働関係は経済発展に伴って日々複雑化しており、その中の各種矛盾が 徐々に明らかになって来て、労働制度が規範化されていない事や労働者と雇用者の双方に バランスを欠く問題等、両者の矛盾が日々先鋭化している。労働関係は既にその調整が焦 眉の急である重要段階に入っており、労働法制の確立を通して、労働関係の規範化、バラ ンス回復を図らなければならない。

3)労働者権益の損害現象の深刻化

現在、労働者の合法的権益を侵害する現象が普遍的に発生しており、非常に深刻な問題 も発生している。例えば、就業市場に普遍的に存在する蔑視差別現象、労働契約の非規範 的締結、労働時間の任意の延長、労働者に対する賃金不払、労働者社会保障に未実施等で あり、各種労働者権益の損害現象は法制確立により早急に解決すべき問題である。

4)労働立法の遅れ、法執行力の不足

立法および法施行の角度から見れば、現在の中国労働法制制定は情勢発展の改革需要に 対応しきれず、これは主として労働立法上の相対的遅れや法執行と司法との間の力量や調 整不足、労働法学研究上の深刻な弱点として現れている。

この様な背景の下、中国政府は高度に労働法制の制定確立を重視し始めて、立法上の実 施に移行し始めた。労働法制制定確立は全国人民代表大会および全国政治協商会議代表お

よび委員達の提案の焦点および重点となり、同時に全国人民代表議案の焦点および重点と なった。労働立法に参与する官僚によれば、労働立法分野の議案のみでさえ、毎年 20 数件 以上存在し、参与している代表および委員は 100 人弱にのぼり、共同で労働法制立法の更 なる整備を推進している。

2007 年、労働立法では顕著な進展を見た。反復審議と修正を重ねた基礎的法律『中華人 民共和国労働契約法』(以下略称:『労働契約法』)は、2007 年 6 月 29 日に第 10 期全国人 民代表大会常務委員会第 28 回会議の審議を通過した。その後、8 月 30 日、第 10 期全国人 民代表大会常務委員会第 29 回会議では『中華人民共和国就業促進法』(以下略称:『就業促 進法』)が審議通過して、この 2 つの法律は 2008 年 1 月 1 日より正式に実施される。

また、別の 2 つの労働法律である『社会保険法』および『労働争議調停仲裁法』も既に 関連部門の起草作業を完了し、草案は既に国務院に提出されて、立法計画に照らして、2007 年末にはこれらの 2 つの法律の草案が全国人民代表大会常任委員会の審議を受けて、近い 将来、公布される予定である。

2007 年に審議通過した労働関連法律および審議が計画されている労働関連の 4 つの法律 については、以下の表 3-2 の通りである。

表 3-2:2007 年度審議通過労働関連法律および審議計画中労働関連 4 法規

法規名称 現在の状態 主要役割

1 労働契約法 公布日:2007/06/29 実施日:2008/01/01

労働関係を規範化し、労働者の 合法的権益を保護する。

2 就業促進法 公布日:2007/08/30 実施日:2008/01/01

労働職場の増加に努力して、就 業機会を増やす。

3 労働争議調停仲裁法

初 稿 完 成 、 草 案 は 2007 年 年 内 に 審 議 提出

労働関係存続期間中に発生した 労働争議処理を規範化する。

4 社会保険法

初 稿 完 成 、 草 案 は 2007 年 年 内 に 審 議 提出

労働者就業過程の社会保障権益 を規範化して確立する。

注:中国メディアに公布された情報を整理した。

(3)労働法制制定確立の情勢

2008 年 1 月 1 日より、『労働契約法』が正式に施行され、『労働契約法』は労働契約制度 を整備して、労働契約双方当事者の権利および義務を明確にし、同時に労働者の合法的権 益保護に重点を置き、安定した労働関係の確立を目指している。同時期に実施される『就 業促進法』は労働者の最も関心の高い就業問題に則した、効果的積極的就業政策対策の向 上を法律規範として、就業の作業メカニズムおよび体系法制化を促進するものであり、就 業の各種政策対策および資金投入の制度化を促進して、中国の積極的就業政策の長期効果 的実施および運営を保障するものである。

この 2 つの法律の正式公布は労働法制内容の充実および発展を目的としたものであり、

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