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図II−2−10
江東区周辺の平成3年の地価分布推計値(岩場・川向他,2001)単位:万円/㎡
H−3 都心部の新築マンション市場GIS分析一マンションと地価一
ニヒ地に対する国民の意識は,平成13年度土地白書によると,土地の資産としての有利性 に関して,「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産である」と考えるかを尋ねたとこ ろ,全体でみると「そうは思わない」と回答した者の割合が38.8%,「そう思う」と回答した 者の割合は34.2%であった.
平成6年度調査では「そう思う」が「そうは思わない」を圧倒的に上回り(約3対1),い わゆる「土地神話」が根強く残っていることを示していた。しかし,その後地価の下落が 継続する中で土地の資産としての有利性を肯定する割合は減少している.このような傾向 は,国民の意識の中で「ニヒ地神話」が崩壊しっっあることを示している.
また一方で企業に対する意識ではどうだろう.企業の土地所有に関する意識に関して,
今後,土地・建物について,所有と借地・賃借ではどちらが有利になると思うかを尋ねた ところ,平成13年度土地白書において,初めて「今後,借地・賃借が有利になる」(45.8%)
が「今後,所有が有利になる」(39.3%)を上回った.つまりここでも土地は所有から利用へ と意識が移行しつつある傾向が伺える.
つまり,保有する不動産から利用する不動産あるいは価値を生み出す不動産へと意識が 徐々に変化しつつあるともいえよう.その土地が生み出す空間としての価値は昨今の都心 市街地中心部の建物の高層化の進展に環れており,具体的には商業ビル・マンション等々 があげられるがその第一歩として東京都23区内の新築マンションの市場動向に関して地理 情報システムを用いて2000年と2001年とで比較してみることでその価格的変化・エリア 的変化を分析してみたい,なお,路線価・新築マンションデータおよび分析用地図データ はマンションデータマップ(リッツ総合研究所,2000:200!)を採用した.
ll−3−1 動向および分析の考え方
2000年(平成12年)から200!年(平成13年)の路線価による価格推移を検証する.東 京23区では概ね下落傾向が続いている.表H−3−1は23区内路線価を区別に集計した 結果である.しかし,ここで注目すべきことは渋谷区・港区・世田谷区等では明らかに上 昇に転じた路線があったこと,他の23区内においても一部上昇に転じた地点が観測された ことである.この傾向ははたして土地の価格のみついて語られるものなのだろうか.この 原因追求および傾向性分析については個別の課題があるとしても厳然と上昇に転じた地点 があることを鑑みて地理的情報を用いて空間価値としての不動産をエリア的に分析してみ ることは今後の土地政策・都市計画等々を決定する場合にも重要な要素となりうると考え られる.そこで,今回不動産利用の空間的価値という観点でマンション市場に着目し,こ の路線価からみた地価動向と表H−3−3に示すように東京都23区内の2000年(平成12 年)に分譲された新築マンションの価格と2001年に分譲された新築マンションのものとの
比較を行った.
この表H−3−1と表H−3−2の結果から区別の地価変動率とマンションの単価変動
率との直接的相関は見当たらないという結果であった.つまり区別平均で見た場合は地価 上昇地区が必ずしもマンション価格上昇地区ではないという結果である.∬一3−2 容積率当り価格の推計
地価とマンション価格の推移は全く関連性がないのだろうか.ここで,GISを用いて路線 価の2000年から2001年の推移の変動率分布を見てみる.図H−3−1は各路線ごとの変 動率を色分けで示したものである.濃く表示されているエリアは変動率1%以上の上昇傾向
を示したエリア,グレーは変動率一1%以上1%未満の横ばいまたは下げ止まり傾向を示した エリア,無色は一1%より低い下落率を示した依然下落傾向のエリアである.図H−3−1 からはやや上昇傾向にある地域が渋谷区・世田谷区・新宿区・港区等城南地区に示される.
中野区・杉並区は概ね横ばいを示した.
先ゐ表H−3−2から渋谷区・世田谷区・新宿区はマンション単価の平均も大きく上昇 傾向を示しており,一方で台東区・荒川区・葛飾区といったいわゆる下町地域にっいては
マンション単価は大きく下落傾向を示している.これらの地域の路線価の動向にっいてど うだろうか,表H−3−1からまず渋谷区・世田谷区は平均で1%台の下落にとどまってい る.新宿区・港区も下落はしているが,3%台となっている.一方台東区・荒川区・葛飾区 にっいては5%前後の下落率と依然地価も下落傾向が強い.また,マンション分譲では販売 を開始してから1ケ月以内の販売状況を初月販売率といい,そのマンション分譲の成否の 鍵ともいえる数値である,この初月販売率を表H−3−2に区別の平均に示したものであ
る.例えば千代田区は単価は一3.8%と下落傾向だが初月販売率は95%と群を抜いて高い.
この初月販売率が80%を上回ることが販売成否の一つの目安となるが,足立区・墨田区・
杉並区のように70%を下回る区もある.足立区・墨田区については路線価の変動率も足立 区が一7.1%,墨田区一5。2%と大きな下落傾向を示した.
ここで2001年に分譲された新築マンションデータをポイントデータとして図H−3−1 にプロットすると図H−3−2の分布を示す.概ね地価の上昇地区または横ばい地区にマ ンションの分布が見られるのがわかる.つまり土地の住宅としての利用価値がある地域に マンションは建てられておりその利用価値が高いエリアはマンションとしての購買力も高 く結果的にその地域の地価の上昇要因となりうるのではないかという仮説が立つ。この傾 向をマンション立地という観点から見てみたい.マンションを計画する場合,その土地上 に設定された都市計画法・建築基準法に基づく用途地域・建ぺい率・容積率等により建設 可能な高さ,有効利用できる実効容積率等は非常に大きなファクターとなる。例えば,1000
㎡の土地の上にマンションを建設するものとした場合,その土地の容積率が200%である場 合は延床面積2000㎡の建築物までしか建設できないが,容積率が400%であれば延床面積
4000㎡の建築物となりうる.つまり同じ土地であってもその上に建つ建物として利用可能 な空間には違いが大きい.ここで不動産業界ではしばしばマンションの底地に対する価値 を測る目安として一種当り単価という表現を使うことがある.これは,土地1㎡(または1 坪)当り容積率100%当りの土地単価のことである.例えば,1㎡当100万円の土地があっ たとして,その容積率が200%であれば!㎡100%当の土地代は50万円ということになる。
こうした業界での考え方を含めて東京都23区を各区別に分析してみる.今回マンション DATA甑P(リッツ総合研究所,2003)のデータから2000年および2001年の分譲床面積(表
11−3−3参照)・開発敷地面積(表■一3−4参照)の区別の総和を算出し実効容積率を 求めた結果,表H−3−5のようになった.r2001容積」とは200!年新築分譲マンション の各区別の平均実効容積率,「増減対2000」とは2000年の新築分譲マンションの実効容積 率との増減値,「100%当単価」とは路線価をこの各の実効容積率で割って1㎡当100%当単 価(いわゆる1種当土地単価)を求めたもの(表H−3−6参照),「変動率」は2000年の 新築分譲マンションの実効容積率から求めた1種当土地単価との変化率である.
この結果,非常に興味深い傾向性が発見された.実行容積率の増減値と1種当土地単価 の変動率のプラスおよびマイナスが概ね逆転するという結果である.!種当土地単価とはい わゆる!㎡当の土地から空間の価値として生みだされるマンションとしてみた場合の売上 効率ともいえ,実効容積率の増減はその土地の実質有効な空問量の増減であり,実効容積 が増加するということは空間的ボリュ,一ムが増加しマンションについては高層化したこと を示している.つまり,2000年から2001年にかけてのマンション市場においては,高層化 した地域において土地の面積1㎡当容積率100%当の価値は下落傾向を示し,反対に低層化 した地域においては上昇傾向を示すという結果が得られたのである.
この結果はどういう意味を持つのだろうか,一般的にマンション開発の際,それを計画 する開発業者はその土地の最有効利用を考えマンションを計画するため法規制上に定めら れる容積率を最大限有効に活用しようとするので,例えば,容積率600%の地域に実効容積 率100%のマンションを建てるようなことは皆無といってもいい.つまり,先の表H−3−
5の結果に示す実効容積率の増加,特に千代田区・台東区・墨田区・荒川区・練馬区のよ うに大きく増加した地域は商業的立地でのマンション建設が増加した結果ともいえ,反対 に新宿区・江東区・品川区・大田区・北区のように減少した地区は低層住宅地でのマンシ
ョン建設が進んだ結果ともいえる.
E−3−3 高額マンション単価の傾向
さらに図H−3−3は2001年に分譲された東京都23区内の新築マンションの住戸別平 均単価を大字単位で色分けして示したものである.図H−3−1と図II−3−3を比較し てみるとマンションの高額地域の方が土地の価格の上昇地域が多いという傾向性が伺える.
一方,高額マンションだけをとって分析してみる.表H−3−7は2001年新築分譲マン ションの内坪単価300万円以上のマンションだけ取り上げて区別に2000年の平均とを比較