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上越市における中山間地域対策の現状

第2章 上越市における中山間地域対策の現状

2-1 上越市の中山間地域振興に対する考え方

(1)上越市中山間地域振興基本条例の制定

平成

20

5

月、「限界集落、耕作放棄地の増大など多くの課題を抱える中山間地域の再生を図る ため、地域資源を活用した産業振興の促進や集落維持機能の強化など、安全、安定をもたらす基盤 づくりを検討し、あわせて条例制定について調査研究する」ことを目的に上越市議会に中山間地対 策特別委員会(以下「特別委員会」という。)が設置された。約

3

年間で特別委員会を

27

回、条例 の策定作業を行う作業部会を

14

回開催したほか、現地調査、先進地視察、市内

9

会場での「市民 の意見を聴く会」、パブリックコメントなど、積極的な調査研究を行い、市議会が主体となって 取りまとめてきた。

特別委員会では、中山間地域の多面的な機能が市民の安全・安心な生活に欠かせないものである との認識に立って、それらを維持するため、まずは、市民全体が中山間地域の重要性を理解し、

市民全体で支えていかなければならないこと、そして、中山間地域に焦点をあてた施策を総合的 かつ計画的に行っていくことが重要であるとの考えに基づき、議員の発議により平成

23

年第

3

(6月)上越市議会定例会に上越市中山間地域振興基本条例案を提案し、全会一致で可決された(即 日施行)。

本条例では、施策等を実施するにあたっての基本理念や市の責務、市民の役割を明らかにし、

施策に関する指針や基本理念に沿った取組方針など、中山間地域の振興に関する施策を継続的に 推進していくための基本となる事項を定めている。

(2)上越市の中山間地域対策の経緯

上越市では、中山間地域における集落の暮らしを守り、さらには集落の活力の維持・向上を図る ため、平成

22

年度の実態調査の結果を踏まえて平成

23

7

月から本格導入を行った集落づくり 推進員を活用して集落の実態を把握するとともに、集落の実情に応じた支援等を行っている。

<これまでの経緯>

・平成

22

4

月から組織横断的に中山間地域の集落を支援する体制を強化するため、各総合 事務所次長及び総務・地域振興グループ班長等を「集落支援担当」として任命し、中山間地域 振興に対する仕組みを導入。

・平成

22

6

月に中山間地域における高齢化の進む集落の実態調査を実施。(対象:100集落)

→集落の維持等に不安を感じているものの、「愛着のある集落で暮らしていきたい」という 世帯が

8

割を占めていることを把握

・平成

22

10

月から集落づくり推進員

2

人を採用し、実態調査により把握した日常の暮らしに 強い不安を感じている集落や、集落そのものの維持が難しいと考えている集落を中心とした

21

集落(大島区・牧区)において、モデル事業を実施。

※支援の対象は、おおむね

65

歳以上の高齢者が

50%以上を占める集落

・平成

23

6

月に中山間地域振興基本条例(以下「条例」という。)を施行。

・平成

23

7

月から集落づくり推進員を本格導入。

5

人増員(安塚区・柿崎区・吉川区・板倉区・

名立区に配置)し、7人体制で

71

集落を支援。

・平成

24

3

月に条例に基づき「平成

24

年度中山間地域振興に関する取組方針」を策定。

2-2 これまでの中山間地域対策の取組

(1)上越市の中山間地域対策の基本的考え方

上越市では、条例第

1

条に規定する目的、第

3

条に規定する基本理念などに基づき、上越市の目指 すまちの姿「すこやかなまち」の実現に向け、総合的かつ計画的に施策を実施していくこととして いる。

なお、施策の実施にあたっては、第

5

次総合計画及びそれに基づく各種計画や市長公約との整合 を図りながら、条例第

6

条に規定する

7

つの指針により事業を区分し、実効性のある事業の展開を 図るものとされている。

すこやかなまちの実現

中山間地域振興基本条例における

7

つの指針 中山間地域の現状・課題

集落づくり推進員の巡回等による 継続的な状況把握

実情や特性を踏まえた施策の検討

地域の住民や公益的機能への理解 地域を支援する取組の実施や参加

市の総合的な施策の展開 市の責務

市民の役割

①自然環境の保全 ②市民の意識の共有化

④産業の振興

③生活環境の向上

⑤定住の促進 ⑥地域間交流の推進 ⑦自主的取組への支援

安全・安心で快適な暮らし 公益的機能の維持と継承

活力ある生産活動

(2)主な中山間地域対策事業

上越市が平成

24

年度に条例の

7

つの指針の達成に向けて実施している主な事業は以下のとおりで ある(〔 〕内は所管課と平成

24

年度予算額)。

自然環境の保全

過疎、高齢化に伴い、これまでのような地域住民による自然環境の維持・保全が困難な状況と なっており、市民全体で将来にわたり森林を健全に守り育てるなど自然環境の保全を図る事業を 実施する。

・地球環境学校管理運営事業(環境学習施設管理運営事業)

[環境保全課 13,388

千円]

・市民の森管理運営費

[農林水産整備課 361,963

千円]

市民の意識の共有化

中山間地域の資源やそれらが生み出す恩恵は地域住民のみが受けているのではなく、市民共有 の財産であることを理解しあい、市民全体で支える仕組みを考えていく。

・中山間地域振興に関するシンポジウムの開催

[自治・地域振興課 568

千円]

生活環境の向上

中山間地域における生活に住みよさを実感することができるよう、交通弱者や買い物弱者に 対するサポートなど、中山間地域の実情に応じた支援策を実施する。

・乗合タクシー試験運行及び検証事業

[新幹線・交通政策課 11,694

千円]

・地域商業活性化事業補助金(買い物利便性向上モデル事業) [産業振興課

5,500

千円]

・地域づくり講座、地域リーダー育成講座

[公民館 304

千円]

・冬期集落保安要員設置事業

[防災危機管理課 6,710

千円]

・バス運行対策費補助金

[新幹線・交通政策課 344,174

千円]

・要援護世帯除雪費助成事業

[高齢者支援課 44,518

千円]

・地域バス運行事業(通院、通学、通園)

[健康づくり推進課 6,481

千円]

・メルカート上越事業補助金

[産業振興課 1,137

千円]

・地方道路整備事業(8路線、延長

961m) [道路課 474,085

千円]

・市単独道路新設改良事業(17路線、延長

2,342m) [道路課 178,691

千円]

・スクールバス等運行事業

[学校教育課 138,087

千円]

産業の振興

地域住民の生活の糧となる農林業を活性化するため、中山間地域の農地を保全すると共に、

新規就農者を確保し、農業生産活動を維持、継続するための支援策を実施する。

・中山間地域元気な農業づくり推進事業

[農業振興課 5,543

千円]

・緊急消雪促進対策事業費補助金

[農業振興課 15,848

千円]

・新規就農者確保事業費補助金

[農業振興課 30,000

千円]

・高性能林業機械導入支援事業補助金

[農林水産整備課 1,440

千円]

・豊かな森林を守る調査研究支援事業補助金

[農林水産整備課 250

千円]

・集落間連携支援モデル事業

[農業政策課 4,755

千円]

・農産物等庭先集荷サービスモデル事業

[農業政策課 1,593

千円]

・特産品開発研究

[農業政策課 600

千円]

・森林整備事業補助金

[農林水産整備課 6,297

千円]

・中山間地域等直接支払交付金

[農業振興課 568,205

千円]

定住の促進

集落の新たな担い手となる定住人口を確保するため、中山間地域への移住と定住を促進し、

移住者の受け入れ団体の支援と連携体制を構築する。

・上越市ふるさと暮らし支援センター

[自治・地域振興課 889

千円]

地域間交流の推進

中山間地域の資源を活用し、都市部や同じ中山間地域に居住する様々な主体との交流を促進 することにより、中山間地域の魅力を発信し、交流人口の拡大と地域の活力向上につなげる。

・越後田舎体験推進事業

[観光振興課 4,327

千円]

自主的取組への支援

自主的・自発的に地域づくり活動を行う取組を支援し、地域の現状や、課題を把握すると共に、

集落の維持や活性化方策についての話し合いを促進する。

・中山間地域の活性化方策の共同調査研究

[自治・地域振興課 4,000

千円]

・集落づくり推進員の活用

[自治・地域振興課 16,135

千円]

・地域支え合い体制づくり事業補助金

[自治・地域振興課 24,000

千円]

第3章 モデル集落における地域活動・事業及び

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