3.4 ミニモデルを用いた検証
3.4.2 三相電圧平衡化補償試験
RPC模擬装置と模擬負荷装置を用い,き電用変電所における単相き電回路の電 力融通・無効電力補償・高調波補償の各動作について確認試験を行った。試験回 路構成を図3.13に示す。なお,試験回路ではスコット結線変圧器の代替として既 存の変形ウッドブリッジ結線変圧器を用いたため,以下に示す試験設定及び結 果はM座の代わりにA座,T座の代わりにB座として表現する。受電側には線 路リアクトルを設けて送電線を模擬した。試験回路 A 座にはタップ制御車模擬 負荷,B座にはサイリスタ位相制御車模擬負荷をそれぞれ接続した。ただし,三相 側相電流を IU,IV,IW, 三相側相間電圧を VUV,VVW,VWU, 補償されたき電側座電流を IA,IB,負荷電流を ILA,ILB,座毎のRPC 補償電流をICA,ICB,座電圧を VA,VBとそれぞれ 表す。
A座の負荷電流を10Aとして,RPCによる有効電力融通と無効電力補償を行っ た結果の瞬時波形を,三相側とき電側をまとめて図3.14に示す。負荷電流はA座B 座が不平衡でかつ高調波を含んでいるが,RPCの補償動作によってき電側両座電 流が平衡し,さらに三相側線間電圧,電流がほぼ平衡したことがわかる。
図3.15は同じくB座負荷電流10Aで,RPCが力率と高調波を補償する様子を示
す。B座において補償前の電圧と電流はサイリスタ位相制御に伴う大きな位相差 を持っているが,補償動作によってき電側電圧波形のひずみが小さくなっている。
これに伴って,三相側U・V・W相それぞれの電流も補償されている。
U
電力変換装置
電力変換装置
V W
線路リアクトル
変形Woodbridge
Transformer B座
B座負荷
(サイリスタ位相制御車模擬)
A座負荷
(タップ制御車模擬)
A座
R
Tr Tr
<RPC>
R L
C L
+ +C
ICA ICB IU
IV IW
IA IB
ILA
ILB VUV
VWU VVW
VB
VA
図3.13 RPCの試験回路
交流電気車には電圧変換のために主変圧器が搭載されている。変電所及びき 電区分所の異相セクションでは,車両が電源を切換える瞬間に車両主変圧器への 大きな無負荷励磁突入電流(以下,突流と略す)が発生することがある。この突流の 波形は上下非対称であり,その大きさは開放時,投入時のき電電圧位相,さらに車 両主変圧器二次側の回転機補機からの逆加圧容量等,種々の要因によって変化す る。
図3.16はRPCの応答速度を確認した試験結果である。B座負荷側にトランスと
遮断器を接続し,切替セクション等における車両主変圧器の突流を模擬した。B 座負荷電流ILBの急激な変化に対して,同位相でB座側補償電流ICBが追随して高 調波補償を試みていること,A 座側 ICA では電流の有効分が融通されて出力され ていることがわかる。すなわち励磁突入電流のような負荷急変に対しても,交流 基本波 1 サイクル以内に応答している。この結果,RPC は負荷電流の急変に対し ても,き電側のIAとIBとの電流不平衡を最小限に押さえることによって,三相側の 電圧不平衡を抑制していることを確認できた。
(a) 三相側 (b) き電側
図3.14 三相電圧とき電電流の平衡化補償
(a) 補償前 (b) 補償後
図3.15 力率と高調波補償結果
(a) 三相側 (b) き電側
図3.16 変圧器励磁突入電流への応答