入する (すなわち14,000フィート以上へ上昇す る) 場合には、 その10分前に三亜管制センター へその旨の許可を要求しなければならない。 ま た 「海洋低空空域」 内の航空機は、 三亜管制セ ンターと無線交信を確立し、 管制許可を取得し てはじめて海南島内管制空域の境界から20マイ ルの範囲内を飛行できるとされる。 前述したよ うに、 海南島内管制空域の境界線が明確でない が、 それは海南島陸地部分上空であるとすると、
陸地から20マイル以内の洋上を飛行する場合に も、 管制当局から許可を得なければならないと いうことである。 海南島へ接近する航空機の監 視と管制を目的とした措置であると考えられる。
なお、 「海洋低空空域」 を計器飛行方式によっ て飛行する航空機は三亜管制センターと無線交 信を確立しなければならないとされていること は、 計器飛行方式である以上当然である注12。 しかしおかしなことに、 「三亜管制センターは 三亜 FIR 海洋低空空域内を飛行する航空機に 対して、 航空交通管制業務を提供しない。 すな わち、 管制間隔と管制許可を発出しないという ことである」 と告示されている。 さらに 「もし 航空機の乗員が必要ならば、 三亜管制センター に要求することで関係する飛行情報業務と警告 業務を受けることができる」 とされている。 そ もそも計器飛行方式とは、 当該航空機による飛 行の全過程において管制当局とのコンタクトが 保持され、 管制当局は他機との管制間隔を確保 して飛行の安全性と効率性を保障する仕組みで ある。 そうでありながら 「海洋低空空域」 では 航空交通管制業務を提供しないということでは、
それはそもそも計器飛行方式とは言えない。 告 示には、 「海洋低空空域」 に入った計器飛行方 式による航空機は、 その時点で計器飛行方式が 取り消される (キャンセルされる) とは書かれ ていないので、 国際的な管制方式基準から逸脱 することになる。 (次号へつづく)
註
1 神奈川新聞 、 2006年12月2日。
2 共同通信 、 2005年11月25日。
3 「中国の安全保障と航空管制」、 国際安全保障
(国際安全保障学会) 第30巻第4号 (2003年3月)、
35〜55頁。
4 世界の空域は、 ICAO 非加盟国の領域と公海の 一部上空を除いてほぼ全域が FIR に指定されてい る。 FIR は航空交通の流れを促進するよう考慮さ れており、 必ずしも各国の領空とは一致しない。
つまり航空管制のため世界の空域を便宜上区分し てそれぞれの航空路管制センターが担当するしく みであり、 必ずしも各国の領空とは一致せず、
FIR の名称は国名でなく、 これら管制センター名 がつけられている。 AIM-JAPAN 編纂委員会編
Aeronautical Information Manual JAPAN 第37号 、 日本航空機操縦士協会、 2002年、 2−
1頁。 航空管制用語解説編集委員会編 航空管制 用語解説 、 航空交通管制協会、 1985年、 I−28頁。
5 読売新聞 、 2001年12月13日。
6 「関於三亜責任区試運行及修改的南中国海空中 交通服務航路結構三亜責任区與河内、 胡志明、 香 港及馬尼拉飛行情報区之間空中交通活動的応急安 排 」 、 航 行 資 料 彙 編 (AIP CHINA) Supple-ment, Nr.01/03, Oct 1, 2002. なお 航行資料彙 編 については、 次の註7を参照。
7 この 航行資料彙編 は、 一般に AIP (Aero-nautical Information Publication) といわれる もので、 ICAO に加盟する各国はその基準に則っ て各々発行している。 中国では中国民用航空総局 が発行する。 わが国では 航空路誌 といわれ、
国土交通省航空局が編集発行する。
8 上記註7参照。
9 た と え ば NOTAM A1984/04, Summary NOTAM Series A, People's Republic of China, March, 2006, p.6. NOTAM (Notice to Airman:
ノータム) とは、 AIP によってカバーしきれなかっ た航空情報で、 一般にテレタイプ回線等によって 配布される。 中国の場合、 その主要なものが印刷 配布もされる。
10 NOTAM A1806/06, Summary NOTAM Series A, People's Republic of China, August 06, 2006, p.12.
11 本節の記述は、 主として 「ENR 2.1.1 三亜飛行 情報区、 管制区飛行規程」、 前掲 中国航行資料 彙編 (AIP CHINA)、 ENR 2.1-41〜46等の該当 箇所に基づく。
12 これに対してこの空域を有視界飛行方式によっ て飛行する航空機は、 三亜管制センターの指定す る無線周波数をモニターし、 必要なときには無線 交信を確立しなければならないとされている。 前掲 中国航行資料彙編 (AIP CHINA)、 ENR2.1-43。
中国飛行情報区
三亜 FIR
小型プロペラ機の機外騒音につきましては、
Pilot 誌2003年7月号の ジェネアビ情報 に 掲載をさせていただきましたが、 早いもので、
それから既に5年が経過しました。
今回の掲載にあたり、 内容の多くは重複する のですが、 小型機の運用にとって機外騒音問題 の深刻さは増大するばかりです。 また、 騒音低 減に対する積極的な動きもありますので、 改め て小型プロペラ機の機外騒音の問題を掲載させ ていただくことにしました。
航空機の運航において、 機外騒音の問題は避 けては通れません。 小型機の分野において、 そ れは、 近隣からの騒音苦情として深刻な問題と なります。 新しい飛行場や、 場外離着陸場にお いては、 先ずこの騒音問題をクリアーすること が必要になります。
航空法においても、 耐空証明の際の必要事項 として、 機外騒音の基準値が定められています。
しかし、 実際の飛行における、 対地騒音を配慮 した飛び方の話は、 殆ど聞いたことがありませ ん。 騒音問題が発生しますと、 騒音苦情地域の 情報を気にして避ける程度で、 空に上がってし まいますと、 地上騒音への配慮がおろそかにな りがちです。
この狭い国土では、 飛行場周辺の住宅化と共 に、 離陸すれば必ず人家の上を飛ばなければな らないのですから、 安全と共に、 地上騒音への 配慮も重要な要素となります。 そのような訳で、
小型プロペラ機の機外騒音の問題に対する理解 を深めることが大切です。
航空機の機外騒音については、 ICAO (国際 民間航空機構) において、 世界的に共通した基 準が定められ、 それに適合することが必要とさ れています。 日本の航空法においても、 ICAO に従った、 航空法施行規則付属書第2 「航空機 の騒音基準」 の項があり、 ジェット機、 回転翼 航空機から小型のプロペラ機まで、 機外騒音の 基準値が定められています。
この航空法施行規則の、 小型プロペラ機の騒 音基準は、 機体の重量によって機外騒音の許容 最大値を定めたもので、 ICAO の付属書16-1-6 に従ったものです。 重量8,618kg 以下のプロペ ラ機に対しては、 最大離陸重量600Kg までは 68dB (A)、 1,500Kg を超えるものは80dB (A)、
600Kg から1,500Kg の間は、 直線変化として います。
飛行規程の性能の項には、 証明された機外騒 音の値が記載されています。 この基準値を超え ている場合は、 航空の用に供することはできま せん。 また、 騒音に影響するような整備、 修理、
改造も厳格な管理が要求されます。
この騒音基準値は、 モーターグライダーにも 適用となります。 また ICAO の基準に従い、
曲技用、 農業用、 及び、 消防用の航空機は適用 外とされていますが、 これらの機体においても 騒音に配慮した運航が望ましいことは、 言うま でもありません。
騒音基準適合証明
G
GA A: :ジ ジェ ェネ ネア アビ ビ情 情報 報
小
小型 型プ プロ ロペ ペラ ラ機 機の の機 機外 外騒 騒音 音
奥
奥貫 貫 博 博
飛行機の機外騒音の基準では、 離陸経路にお ける、 以下の3要素が配慮されています。
・音の大きさ
・音のやかましさ (不快感)
・音の持続時間
音の大きさは、 文字通り、 最も基本的な要件 となるものです。 音源が発する音の大きさと、
音源からの距離が影響します。
次は、 音のやかましさですが、 これは、 人間 が感じる音の不快感は周波数帯毎の構成による 影響を受けるため、 測定した騒音を、 人が 「や かましい」 とする感覚の周波数特性を模した方 法で評価することが必要とされています。 詳細 については省略しますが、 その結果得られた騒 音値を dB (A) と表記します。
次は、 音の持続時間です。 これは、 機体の速 度や、 経路による影響を受けます。
機外騒音値は、 これらを全て評価するもので すから、 本来であれば、 離陸経路直下で測定す れば良いのですが、 測定の技術が難しく、 また、
測定値のばらつきも大きいため、 実施には難し い面があります。
そこで、 小型プロペラ機の騒音適合性の証明 では、 対地1000FT の高度を最大離陸重量、 離 陸出力で水平飛行したときの騒音値を測定し、
それを周波数分析して前述の dB (A) の値と し、 離陸騒音影響を配慮した性能補正値を加え て、 最終的な騒音値としています。
この性能補正値は、 離陸距離、 離陸後の上昇 率及び、 上昇速度から構成されます。
離陸距離が短く、 上昇率が良ければ、 離陸経 路の高度は高くなりますから、 音源の大きさが 同じでも、 対地騒音は軽減されます。 また、 上 昇速度が速ければ、 騒音影響の大きい時間が短 縮されますので、 これまた、 対地騒音軽減の効 果があるということになります。
グライダー曳航の場合は、 これらがいずれも 不利な状況になりますので、 騒音対策は深刻な 問題となります。
プロペラ小型機の機外騒音源は、 以下の2つ に大別されます。
・エンジンからの騒音
・プロペラからの騒音
機体にもよりますが、 通常は、 エンジン騒音 とプロペラ騒音は、 大体同じようなレベルにな るように設計されていると考えて良いと思いま す。 従って、 有効な騒音対策とするには、 この 両方に対し、 同時に対策をすることが必要とな ります。
先ずはエンジンですが、 エンジンからの騒音 は、 排気管から出てくる排気ノイズが主成分で す。 一般的な量産機にもマフラーが装備されて いて、 絶対的な音圧を下げると共に、 排気音を
機外騒音の構成要素 プロペラ小型機の機外騒音源
機外マフラーの装備例 標準仕様のマフラー