資本,分配,成長
(43)
ないということ。」
いま,
73
r &
a
唱
n
︒
( 2 )
Sp>sw
,即ち,H>l
の場合。S
曲線は下に凸形となる。カノレドアモ デノレの安定条件として示されるものである1"なんとなれば, Sp<sw
であd
品
S B
ν
ルザ
図
h 7
n/﹄
第
r
t
1 S
Br o
第 28 図
J 1
,
い
資本,分配,成長 75 れば物価の低落は需要の減少を生ぜしめ,さらにまた物価の低落を誘発せし める。同様に,物価の上昇も累積的となるo体系の安定度は限界性向の差即 ち,
1 / ( s p ‑ s w )
に依存するD これは所得分配の感応係数と定義することが( 44)
できる口」
(3)
sp<sw
,即ちH<l
の場合。s
曲線は下に凹の形をとるom =
1である と,s
点がB点の左側にあるかぎり二つの曲線は交叉しない。いま, m > 1, H > 1の場合を考えようO 第29図で二つの曲線の交点でr とfとがきまるo gを所与としておの上昇は,
s
点を左l乙移行せしめるか らfを低下せしめる。またs p
を一定としてSwの上昇はS
点をシフトせしめ ないが,曲線のふくらみを縮少せしめるから,s
曲線の左シフトと同じ効果 をもっo fは低下する。またおと Swと同じ割合で上昇したとしても,日は 不変であるが r= g j s p
は縮少するからS
点は左にシフトし fは低下す る。これらはすべて消費支出縮少のWidow's C r u s e
効果を示しているo連続的な技術変化が可能な場合,第30図のようなケースが示されるなら
I
S ' S B
第
2 9
図1 1 , ト
ば,貯蓄率の変化が利潤率にどう影響するかは価格数量曲線と貯蓄曲線との 交点の位置に依存する。
S
曲線のシフトの範囲が右下り的な価格数量曲線の 部分にあるかぎり,利潤率の低下,手Ij i[l~ 分配率の上昇が生じる o 乙の点で貯 蓄率が利潤率に及ぼす関係は明確であるが,手Ij潤分配率にあたえる効果は不 確実であるr
私が示そうとしたものは,ただ成長均衡径路を比較している 場合でさえも,貯蓄性向(貯蓄性向の階級的差異を含めて)は要素分配の上 に明確な関係を及ぼすものではないということである。それは,要素分配に 影響するかもしれない。しかし,他のなにものかも影響するかもしれない口しかし,貯蓄の増加は(いかに分配されたといえ)事実利潤率を減少せしめ る傾向があるにちがいない。しかし,それでも貯蓄増加の利潤分配率にあた
出)
える効果は全く不確実であるoJヒックスによれば利潤分配率にあたえる効 果は価格変化にたいする技術の感応度,代替の弾力性に依存する。
fT M
S " S ' S
「
O
第
3 0
図資本,分配,成長 77
8
ここで多数資本財のモデノレに移ろう。われわれが前節まで展開したモデル では技術の複数的存在を考慮に入れたが,資本財産業と消費財産業で使用さ れる資本は同一であり,また単一資本財の存在を仮定してきた。そこで,複数 資本財を考慮した場合,いままでの分析方法とその結果についてどの程度の 修正が必要であるかを吟味したい。モデノレの展開は全くヒックス的である。
(崎)
n
個の資本財が使用され, j番目の資本財一単位の生産に必要な i番目の 資本の量を b[jで示し,そのための減価償却を固定的な比率 d[Jでなされると仮定するo
まずn個の資本財の価格方程式を考ょうo ここでもまたタイムラッグは無 視されるo
PJ = ~ p[ (rb[ J
+
e[ J)+ wa
J (1) ここで,消費財を価値の尺度財と仮定するD この式で e[J =d[Jb[J, aJ ま,j番目の資本財生産の労働係数を示す。消費財の価格方程式は単一消費財を 仮定して,
1 = ~P[ (rb[o
+ε[) + wa
o (2) b[ 0は消費財 (0番目の財とおく)の生産に必要な各資本財の投入係数,a 。
はこの生産における労働投入係数を示す。手Ij潤率rと実質賃金率wはすべて の生産部門で同ーと仮定されている
Dε 1
はd[0
b[ 。を示している。ところで, (1)より明らかであるごとく rの上昇には一定の限界があるo
乙の限界値をこえると
w
がマイナスとなる。rの上限値ではw=o
である。そ の上限値以下の範囲内で,( 1 )
式は許容解をもつことになるD 以上の式より,す=戸(与)(向。 + ε 1 )+a
o (3) そこで rがその上限値以下であるかぎり rの上昇につれて (p[/w)は 上昇するob [
0とε 1
はすべて非負であるからr
の上昇とともにl/w
も上 昇する。賃金曲線(要京価格曲線)は右下りの線で示されることになる。単 一資本財の場合と同じであるO ただ,この場合,曲線の誠片が前の場合と具なるo減価償却費が含まれるから r=Oとなるwの最高水準はl/aより小で ある。単一資本財モデノレの場合,
w= 0
である極大利潤率は資本資本係数 (ヒックス)b1の逆数で示された。多数資本財の場合には,乙の上限が存 在するが,単一資本財の場合のごとく単一の投入係数では示されない。さら に,乙の曲線の形状も単一資本財の場合と異なるD 単一資本財の場合,両産 業部門の資本労働比率の差異が曲線の形状を決定する霊要な要因であった。多数資本財の場合,このような決定ルーノレは見出されない。事実,全範囲 にわたって曲線が同じような傾向を示すとは限らない。むしろ,この曲線は 二次以上の高次の曲線となり,曲りくねった形をとるかもしれない。
均衡成長において現存資本ストックと労働量とは,各資本財と消費財の生 産lζ投入される量にひとしい口
Kl ヱ b1 J
ムKJ+b10C L = ヱ aJ
ムKJ+ aoC
資本ストックの成長率をgで示すと,gKl
ムKl‑
~elJ ムKJ 一 εlCg(~blJ ムKJ
+ b10C)
=ムKl‑
~elJ ムKJ 一 εlCム
Kl ヱ ( g b1 J + e
1J)ムK1+(gb1 o
十ε1 )C
(4) (5)
(6) (7) (8) 乙乙ではg=Oであってもム
KjC>
0の条件がみたされねばならぬし,ま た, gがある臨界値以下でなければならぬという条件がみたされねばならな い。単一資本財の場合では,r <
l/b1, g <l/b1であった。資本財生産と 消費財生産の比はgの値に依存する。 gが大であるほど,この比もまた大で ある。単一資本財モデノレにおける命題はそのまま多数資本財モデルにおいて も妥当する。K1/C
とLjC
もまた以上の式よりえられるD これらの比もg
が 大であるほど大である。Pc を 1 とすると,資本は ~PIK1' 純産出高は C+g~PIKl その比は
g
+‑4L‑
~PIKl (9)
資本,分配,成長 79 もし価格がコンスタントであると gの上昇とともに(9)の第2項目は小とな るO そ乙でgの上昇は第1項目の増大と第2項の減少を生じるO 二つの効果 が丁度相殺し合う場合も理論的には考えうる。勿論純効果はいづれの方向に 働くことも可能である。そこで,成長均衡において資本産出比率は成長率より 独立的であるとはいいえない。しかし,必ず一方の方向に影響されると言い うる理論的根拠もない。もしそうであれば単純化としてはこれをコンスタン
トとして取扱った方がよいかもしれない。
所得分配率についてつぎの式がえられる。
f ̲ r:kP 1 K 1 ̲ 1 '" { P I ¥ V
1 ‑f wL L ム...1 ¥ w J "'>'1
)
nH u
eE'E& (
そこで,あたえられた技術のもとでは,利潤率が上昇すれば各
PJw
の水準 も上昇するo gが上昇するとK/C
,L / C
の比も上昇する rをコンスタント とすると上の式はK/L
の加重総和となる。そこでrがコンスタントである と分配率がコンスタントであるような中心的なケースを考える乙とができ るo単一資本財の場合,中心的なケースはm=l,M = lで価格数量曲線は 直線であった。しかし,複数資本財の場合,乙の曲線が直線となる乙とがあ っても,乙の直線のための条件と, g ~乙依存しないための条件とは異なる o しかし,いづれにしても,利潤率が上昇すると,各 PI/Wは上昇す。そ乙 で,gがコンスタントであれば, rの上昇とともにfも上昇する。貯蓄曲線は 単一資本財の場合と全く同じ性質をもっている。ただ,上述の二つの曲線が 交叉する点が複数的に存在する可能性は増すかもしれない。乙乙でさらに複 数技術選択の可能性をいれると,多数資本財の場合,要素価格曲線が直線と なる条件と価格数呈曲線(要素分配率曲線)が直線となる条件とは同じもの でなく,また,価格数呈曲線は利潤率がある水準に達すると下方にまがり rとfのうどきが平行しないケースが考えられよう。貯蓄性向の変化と利潤 率,分配率との聞に一義的な関係を設定することはそれだけむつかしくな
るo
註
( 1 )
G. C. Harcourt, Some Cambridge Controversies in the Theory of Capital, 1972.(2) J. Robinson,The Production Function 'and the Theory of Capital,"
Review of Economic Studies, 1953‑4,
J. Robinson, The Accumulation of Capial, 1956.
Piero Sraffa, Production of Commodities by means of Commodities, 1960.
D. G. Champernowne,The Production Function and the Theory of Capital, " Review of Economic Studies 1953. pp. 112"""'35.
(3) E. Burmeister and A. R. Dobell, Mathematical Theories of Economic Growth, .1970, p. 247.
(4) J. Robinson, The Accumulation of Capital, pp. 396"""'7. 拙著「ウイクセノレ資本理論の研究J(1971,第二版)参照
(5) J. Robinson, "The Measure of Capital: TheEnd of The Controversy, "
Economic Journal, 1971, pp. 597...602,
(6) J. R. Hicks, Capital and Growth, 1965, p. 153.
(7) G. C. Harcourt, Some Cambridge Controversies in the Theory of Capital, p. 122.
(8) J. Robinson,The Production Function and the Theory of Capital, tt Review of Economic Studies, 1953, pp. 81"""'106.
(9) J. Robinson, Accumulation, p. 414. (10) J. Robinson, Accumulation, p. 109. (11) J. Robinson, Accumulation, p. 110. (12) J. Robinson, Accumulation, p. 148.
(13) J. R. Hicks, Capital and Growth, 1965, pp. 153...4.
(14) P. A. Samuelson,A Summing Up," Quarter1y Journal of Economics, 1966, pp. 568...83.
( 1
日 ガレニヤーニは定常的経済を想定し,綜合的消費財産業という概念を導入し,資 本財の生産はその消耗部分にひとしいとしたモデルを展開している。
P. Garegnan, Hetrogeneous Capital, the Production Function and
資本、分配、成長 81 The Theory of Distribution, "The Review o[ Economic Studiらs,1970,
pp. 407"'‑"36.
(16) J. Robinson, A Reconsideration of the Theory of Value," Collected Economic Papers,
m
, 1965, p. 177.(17) K. Wicksell, Lectures on Political Economy, Volume One, p. 293. ウイクセノレ努果については拙著「ウイクセノレ資本理論の研究」参照。
(
18) C. E. Ferguson, The Neoclassical Theory of Production and Distri‑ bution, 1969, pp. 259"'‑'60
(
19) J. Robinson,The Production Function and the Theory of Capital,"
Review of Economic Studies, 1953"'‑' 4 .
J. Robinson, The Accumulation of Capital, 1956.
G. C. Harcourt, Some Cambridge Controversies in the Theoly of Capital, p. 124.
W. A. Eltis, Growth and Distribution, 1973, p. 97. 間)1 G. C. Harcourt, ibid., p. 40.
(
21) ロビンソンは, ウイクセノレ効果を financial pseudo wicksel1 effectとreal wicksell effectとに区別し,ロビンソンによれば,最初の原因が価格変化にあ
り,論ぜられるべき現象は簿記学的なものであり,後者は最初の原因は生産能力 の増大にあり,論ぜらるべき現象は産出呈,消費及び所得の分配に関係してい るo J. Robinson, Collected Economic Papers, Volume Two, 1960, p. 190.
(22) L. L. Pasinetti,Changes in the Rate of Profit and Switches of Techniques," Quarter1y Journal of Economics, 1966, pp. 516"'‑'7. (お:) J. R. Hicks, Capital and Growth, p. 153.
凶 J. R. Hicks, ibid., p. 154. (
お)1 C. E. Ferguson, The Neoclassical Theory of Production and Distri‑ bution, 1969, p. 266. p. 269.
M. Brown,Substitution‑Composition Effects, Capital Intensity Uni‑
queness and Growth," Discussion Paper No. 2, Economic Research Group, State University of New York, 1967, pp. 334~47.
邸,) R. Findlay,Ecnomic Growth and the Distributiue Shares," Review of Economic Studies, 1960.
/27) N. Kaldor, A Rejoinder to Mr. Findlay," Review of Economic Studies, 1960, p. 179.
側 N. Kaldor, ibid, p. 181.
(2司
J .
M. Keynes, A Treatise on Money, 1930, Volume One, p. 139. (30)J .
Robinson, The Accumulation of Capital, p. 255.(31) 拙著「巨視的分配の理論J(1968)参照。レンティヤーという時,それは単に金 利生活者だけでなく,もっと広義に解釈して企業者的側面と対照的なものとし て,
r
われわれは,資本家を宮の所有者としての面一企業者としての面に対眼的 なーにおいて表わすために, レンティヤーという用語を拡張した意味において用 いる。利子報酬と同様に配当をもレンテイヤ一所得のなかに含め,また自分の事 業を所有する企業者が自分遠の家計に渡す金額をも合ましめる。J
Accumula‑tion,p.247,
r
レンティヤーを導入する場合には、企業者的機能を遂行する個々 人は,同時に, レンティヤーとみなされ,そして,彼らの家計は消費者となる。その場合には同ーの個人が二つの役割を演ずるが,役らはそれら二つの役割を 峻別しているものと考えられる。彼は事務所で一つの生活をもち,そとでは彼は 彼の企業の運命に関心をもち,そして,彼はもう一つの生活を家庭でもち,そこ では彼は彼等の家族の消費と貯蓄とに関心をもっ。 JAccumulation, p. 69. (担:)
J .
Robinson, Accumulation of Capital, p. 256.(お:)
J .
Robinson, Accumulation, p. 55.(34)
J
an Pen, Income Distribu tion, 1971, p. 188. (話)J .
R. Hicks, The Theory of Wages, 1932,First Edition and 1963, Second Edition.
彼は第1版日本語版への序でつぎのごとく述べている。「他の誰れにもまして
『賃金の理論』に影響をあたえた理論経済学者はウイクセノレであった。当時私が 真に徹底的に研究した経済理論に関する少数の書物のひとつは,ウイクセJレの『
経済学講義』第一巻であった。私の本は, ウイクセノレの技術の特殊問題への応用 以上には出ない。」内田忠寿訳p.xviii.
(3日