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行動指標については,「合計出生率」がフランス1.89,アメリカ2.06とともに高い水準 にある。「婚外子出生率」はフランス32.8%,アメリカと42.61%と高い水準にあるもの のアメリカの方が高い。ただし,フランスの婚外子出生率が同棲の一般化によるもの(小 島2003)であり,アメリカは10代の出産と人種差によるものが多く(善積1993;Chen

and Morgan l 991),30代以上の出生力が高い(レスタギ・モース2000;Martin 2000)こと

が指摘されている。「平均初婚年齢」はフランスの2000年は23.5歳と特異に低く,1990 年25.6歳1995年26.9歳と時系列的には高い水準にあり,アメリカは25.1歳と1990年 23.9歳,1995年24.5歳と低い水準にある。それに対応し「第1子出生時年齢」はフラ

ンス28.7歳アメリカ24.8歳と差がある。これはアメリカの出生力パターンが学歴な ど社会階層によって異なることによるものである。レスタギ・モース(2000)でアメリカ の出生力の特徴として,第1に「10代の出生力は非常に高いまま」であり,第2に「20−24 歳,25−29歳の出生力は1960年代後期および1970年代初期に再生産年齢に達したコウ ホート以降,低下していない」ことがあげられ,第3に「30歳以上,さらに35歳以上 ですら出生力が順調に上昇している」ことが指摘されている。この背景には「低,中位 の教育集団の女性」が依然として18−20歳の間に出生力のピークがあり,高等教育を受 けた女性の高いテンポによる高年齢での出生カパターンに追随しない二重構造にある ことを示している。「合計初婚率」はフランスが0.63でアメリカが0.51であり,「合計 離婚率」はフランス0.38,アメリカ0.50とアメリカが若干高い。これはユニオン形成方 法に関して婚姻形態をどの程度重要視しているかという点で,フランスは同棲形態を経 た上の婚姻が多いため初婚率は高く離婚率は高水準にあるもののアメリカより低い。一 方アメリカはフランスよりも婚姻形態に重点が置かれているためユニオン形成と分散 が初婚率と離婚率の高さに反映していると考えられる。イギリスと「北欧」諸国に関し て,この関係はPhinelli et aL(2001)でも指摘され,地政学的な理由による家族行動指標 での共通性があると説明している。

2−6 GDI指数とGEM指数の合計出生率と婚外子出生率に対する影響

 ジェンダー指標と家族指標に関して,国連開発計画(United Nations Development Program)が作成するHDI(Human Development Index:人間開発指数), GDI(Gender

Development Index:ジェンダー開発指数), GEM(Gender Empowemlent Index:ジェンダ

ーエンパワーメント指数)という指標がある。HDI(人間開発指数)は出生時平均余命(Life

expectancy at birth),成人識字率(Adult literacy rate),進学率(Combined l st,2nd,3「d level

gross enrollment rate),一人あたり実質国内総生産(Real GDP per capita),人間開発指数値

(Human Development Index Value),一人あたり実質国内総生産順位から人間開発指数順 位を減じた数値(Rea1 GDP per capita rank minus HDI rank)の6つの指標で構成され,ある 一国の人間の能力が平均的にどの程度伸びているのかを測る指数である。GDI(ジェンダ

一開発指数)はHDIを男女別で測定し,その差の程度を指標化したものである。男女差 がある国ではその数値が低くなる。GEM(ジェンダーエンパワーメント指数)は,国会の

女性議員割合(Seats in parliament held by women),女性行政職・管理職割合(Female

administrators and managers),女性専門職・技術者割合(Female professional and technical

workers),女性稼・所得割合(Women s GDP per capita US$)の4つの指標で構成され,ある

一国のHDIにみられる開発された能力を活用しているか,その機会は男女平等に利用

されているかをみる指標である。

 ここでジェンダー・システムに関するGDIとGEMを用い,合計出生率と婚外子出生 率との二変量関係および多変量関係をみてみる。図2−5・2−6はGDIと合計出生率およ

び婚外子出生率との二変量関係である。HDI(人間開発指数)はPhinelli・et・al.(2001)でいう

近代化指標に近い指数であるため,GDIの水準における日本は北西欧諸国と同水準に位 置している。相関係数はそれぞれ「GDI×合計出生率」0.559,「GDI×婚外子出生率」0.430 で統計的に有意を示している。合計出生率と婚外子出生率の二変量関係は強い関係性

(図4−2)を示しているが,GDIとの関係性は合計出生率とやや強い線形関係を持ち,婚 外子出生率は若干弱い線形関係であるといえる。図2−7・2−8はGEMと合計出生率およ

び婚外子出生率との二変量関係である。GEMはPhinelli et al.(2001)のジェンダー指標に

近い指数であるため,GDIとは異なり日本は東欧諸国や南欧諸国と同水準に位置してい

る。相関関係はそれぞれ「GEM×合計出生率」0557,「GEMx婚外子出生率」0。742で統 計的に有意を示している。合計出生率との関係はやや強めの線形関係を示し,婚外子出 生率とは強めの線形関係を示している。婚外子出生率はGDIよりもGEMに強く線形関 係を示していることが示された。これは近代化よりも女性の政治参加度や労働参加度が 婚外子出生率と強い関係性をもつことを示している。

 次にGDIとGEMと合計出生率および婚外子出生率の多変量関係をみたものが図 2−9・2−10である。図2−9では合計出生率に対するGDIとGEMの重回帰分析結果

(TFR・・−O.93+0.59GEM+2.28GDI)とR2値(0.37;寄与率37%)を示してある。合計出生率に

対しては,GDIとGEMは相関係数では同水準であるものの偏回帰係数でみるとGDI の方が一単位当たりの合計出生率の増加量が大きいことが示された。図2−10は婚外子

出生率に対するGDIとGEMの重回帰分析結果(EXB irth・23.31+118.48GEM+[−86.29]GDI)

とR2値(0.57:寄与率57%)を示している。婚外子出生率に関してGDIは負の効果を持

つことが示された。

図2−5 GDI(ジェンダー開発指数)と合計出生率の二変量関係

22a

2.oo

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 1.60

1.40

1.20

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婚外子出生率

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ポーランド  ハンガ リー

図2−6

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ギリシャ

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       崇

       フランス

アイルランド崇  崇  ノルウェー       崇

      デンマーク

       オ−ストラリア

    。.ン誹秦オランダ

       繁ベルギー

       イギリス

      スイス   崇

      スウェーデン       ドイツ

       旗崇躰

     オーストリア

スペイン

   爆

    イタリア

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       GDI(ジェンダー翻発指数)

GDI(ジェンダー開発指数)と合計出生率の二変量関係

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         フィンランド

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         嶺アメリ力     崇崇

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     崇スイス

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      崇日本

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  GD理{ジェンダー開発指数)

o.94 o:9δ

図2−7GEM(ジェンダーエンパワーメント指数)と合計出生率の二変量関係

220

2.00

 1−80

合 計 出 生

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1−40

129

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       アイルランド

       崇     ノルウェー        楽

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       ベルギー

        ポルトガル 崇        楽スウェーデン 韓国      

楽      スイス

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      GEM(ジェンダーエンパワーメント指数)

図2−8GEM(ジェンダーエンパワーメント指数)と婚外子出生率の二変量関係

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婚外子出生率

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  ノルウェー

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GEM(ジェンターーンパワーメント指数}

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図2−9 GDI・GEM・合計出生率の多変量関係

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