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現状分析と今後の課題

1年間の病棟行事を振り返り、その企画・運営に ついて現状を分析し、今後の課題を述べる.I.

治療を受けている子どもには、特に安全面‑の配 慮が重要である。治療による副作用で免疫力が低下

していたり、自分自身の安全を守る行動が発達途上 にある子どもたちの感染や身体損傷などを考慮した 上で各種催しを考えている。しかし、行事の企画や

運営について細かい注意事項などを明記したものは ない。コ 安全には配慮しているが、スタッフやボラン ティアがより共通認識を持って取り組めるような安 全指針を盛り込んだマニュアルなどの作成が必要で

はないかと考える。

年間を通して多くのボランティア団体からイベン ト開催の申し出がある.= 現在、ボランティア団体と の連絡・交渉やイベント行事の計画や開催について は、師長が中心となって病棟管理の仕事と併せてコ ーディネーターの役割を担っている.=催しを依頼す るボランティアの選定基準として配慮していること は、子どもたちが楽しめる内容であること、安全で あること、イベントの開催により病棟スタッフに過 度の負担がかからないこと、日時が適当であること を重視しているl⊃村市ら6Jは、病院総務課でのボラ ンティア・コーディネーターの採用と活動を取り上 げ、小児を対象とする施設において、安全や保育の 視点からのボランティアの活動の有効性を報告して いる,コ これを参考に今後は、ボランティアの積極的 な活用を目指し、病棟全体の状況を把握している病 棟看護師の中から、行事全体のマネジメントを保育 士と共に中心になって実施できる担当者(行事コー ディネーター)を病棟内の新たな役割として設ける ことはできないか考案中である。

クリニクラウンの訪問を例にとると、実施前後に 師長と保育士、クリニクラウンがミーティングを行 っている。実施前は子どもたちの状況を伝え、実施 後には子どもたちや家族の反応を振り返るなど、次 回、より楽しい催しになるようにつなげている,,.こ のような準備や振り返りを毎回実施することで、よ り良い催しの開催につながると思われる。‥。他のイベ ントでは実施できていないため、質の向上を目指す うえで、打ち合わせや振り返りの時間の確保と記録 の積み重ねが大切であると思われる.=.

改めて1年間の行事を振り返ると、行事開催の時 期と回数に季節や月ごとの偏りが見られ、下半期に くらべると上半期の開催はわずか2つであったQ こ の理由として、特に1月〜6月は、年末年始休暇、

年度末から新年度にかけての新旧スタッフの交代な ど、イベント行事の開催が困難な状況があげられるo 行事開催の場所としては、宿泊行事を除くほぼすべ てが病棟内で開催されている,,年間を通じての行事

を屋外で実施している施設もありTI 、今後は、季節 が感じられる日本の伝統行事を多く散り入れ、病棟 外で外気に触れられるような催しが実現できればと

考えている.=また、小児看護の対象は0‑15歳と幅が 広く、イベント参加者の年齢層によって、全員が楽 しめるものを準備することが大切である。.辛い治療 生活の中でも希望となるよう、子ども達の気持ちを 汲みとって工夫を重ねたいo

病棟行事は、財団法人和仁会と病院運営経費によ り運営されているo 行事の回数を増やし、内容の充 実をはかるには、予算の確保が必要である。小児科 病棟看護師1人当たりの看護量の多さ・n 、小児看護 の業務量は成人看護の2‑3倍である別といわれて いるが、安全なイベント開催にあたっては、治療中 の子どもを守る看護スタッフの確保も重要であると 考える,〕病棟行事の準備時間の多くは看護業務に含

まれておらず、イベント開催日には看護業務として 扱っているが、ボランティアで参加し支援してくれ る非番スタッフも多い.コ.今後もボランティアや専門 家の協力による行事の開催は必須であり、継続して いきたいと考えており、他部署や他の職種との連携

も今まで通り大切にしていきたい。‥。

お蠎eM5

1年間の病棟行事を振り返った.:.子どもたちの入 院生活が豊かなものになるよう、今後、病棟内では 以下の課題に取り組んでいきたい。

1.行事の企画・運営について、スタッフが共通認 識をもって取り組めるよう、手順や注意書きを記し たマニュアルを作成し、将来的に行事コーディネー

タ‑を育成する.‥.

2.行事開催の前後で担当者間のミーティング時間 を確保し、記録を重ねることで、行事内容の充実を 目指す,〕

3.より楽しく安全な行事開催のため、費用と人の 確保の工夫が必要である.=

謝辞

入院生活を送る子どもたちのために、楽しい催し を提供し、その運営を支援してくださる多くの方々 に感謝申し上げます。,

‑50‑

滋賀医科大学看護学シャ‑ナル, 10(1), 46‑51

引用文献

1)塩飽仁:実践に必要な倫理的配慮とQOL.浅倉次 男監修:子どもを理解する「こころ」 「からだ」

「行動」へのアプローチ, 5‑14,へるす出版, 2008.

2)日本看護協会:小児看護領域で特に留意すべき子 どもの権利.小児看護領域の看護業務基準, 1999.

3)江本リナ:病院における保育を巡る現状と課題.

小児看護, 32(8), 1020‑1023, 2009.

4)厚生労働省:平成18年年度診療報酬改定の概要 について. 2011年1月23日(入手日)

http : //www. mhlw. go. jp/shingi/2006/02/dl/s021 5‑3u. pdf

5)阪中順子: 「院内学級」の役割と課題および区政 連携の留意点.小児看護, 30(8), 1144‑1149,

2007.

6)村市美代子,梶山祥子:小児病棟におけるボラン ティア活動の実施と看護管理上の留意点.小児看 護, 31(9), 1150‑1155, 2008.

7)森本克,大野尚子,細谷亮太:小児病棟の12カ 月一病棟行事への取り組み‑.小児看護. 21(7),

780‑786, 1998.

8)大谷和子:回帰分析による看護度と看護量の関係 について.看護展望, 25(4), 106‑Ill, 2000.

9)岡本暁美,石井まゆみ,塚本雅子,野中文子,柑谷圭 子:小児看護業務量調査に基づく看護必要度の検 討.第32回日本看護学会論文集 看護管理,

249‑251, 2001.

一実践報告‑

化学療法を受ける子どもと家族‑の内服に関する援助

渡遁詩穂美1西原静香1白坂真紀:桑田弘美ご川根伸夫1

1滋賀医科大学医学部附属病院 コ滋賀医科大学医学部看護学科臨床看護学講座

要旨

小児看護における内服困難とは、経口摂取に特に問題がないにも関わらず、処方薬を子どもが飲めない、あるいは母 親が内服させられない状況を指す,今回,化学療法を受けている内服困難な状況にあった患児に対して、看護師だけで なく医師・薬剤師・保育士と連携して関わり、患児に合った内服方法を導き出せた.,その看護の経過を振り返り、患児 とその母親‑の服薬支援について考察したこ,

内服援助の実際では、はじめは効果的な内服方法がみつからず、苦みが強く飲みにくい内服薬は1回の内服に1時間 以上かかったり、内服できずに点滴投与となることも。あった.、内服薬の形態の変更や、シロツゾや好みのジュー刈こ溶

かす等の工夫を試みたがどの方法も苦みの強い薬を内服する事には適さなかった,母親と話し合いながら、根気強く児 や母親に理解を促す介入を行った=.最終的にカプセル化による内服の成功体験を実現させ、他の処方薬もスムーズに内 服できるようになった.

キーワード:内服困難,小児看護 Iはじめに

化学療法を受ける患者は、治療により骨髄抑制、消 化器症状などの強い副作用を引き起こす= それらを予 防するためにも内服治療が重要となる。それらの薬剤 は小児用に作られているわけではないため苦くて飲み にくいものも多く、薬の種類も多いo 児も初めの1種 執ま内服できていたが、次に苦味の強い薬が増えたこ

とで内服できなくなった.= 当病棟では内服困難な子ど もに対して、錠剤を散剤やシロップに変更する・散剤 をシロップで溶く・ジュースに浪ぜるなどの対応を行 っている{:.児にもこれらの方法を用いて経口与薬を試 みたがうまくいかなかった。母親は内服を嫌がる児に 対して、 「かわいそう」という気持ちが先行し積極的に 飲ませることができないでいた.:.小児看護におけるr内 服困難」とは、経口摂取に特に問題がないにも関わら ず、処方薬を子どもが飲めない、あるいは母親が内服 させられない状況を指す= 先行研究では、内服困難 な児に対して薬剤をアイスクリームやゼリーなど で包むなど補助食品を利用して援助する手法がみ られ、その効果について述べたものが多いl)‑31.,今 回の事例は、内服困難にあった児とその母親に対して、

看護師だけでなく、医師・薬剤師など他職種との連携 で児に合JJた内服方法が導きLUせ、さらに母親の意識 改革にもつなげることができた。

小児の内服援助についての研究は、短期治療の患児 の内服状況に対する調査や症例報告が多く今回、この 事例を振り返り、内服困難のある子どもやその母親‑

の援助、母親の服薬支援への工夫を明らかにすること を目的とし、今後の内服指導に還元したいと考えた。.

Ⅱ患者紹介 1.ケースの紹介 患児:男児、 5歳9カ月

診断名:急性リンパ性白血病(批ute lymphc町tic leukemia :Aは)

病識: 「身体の中に憩いヤツがいて元気がないから、薬 を飲んだり、注射をして悪いヤツをやっつけなくては ならない=」と説明されている.=

家族背景:父親(会社員) ・母親(主碩) ・妹(3歳) ・妹(l 歳)の5人家族

2.ケースの背景

入院1ケ月前から胃腸炎の症状と易疲労感出現=

2011年4月15日精査のため入院〕入院3日目骨髄穿 利の結果からALLと診断される。 4日目からALL cc1ぷGスタンダードリスクの寛解導入療法より治療 開始となる。 5日目より内服治療が開始となる.ユ初め は苦みがないものだったためスムーズに内服できた.:.

6日目より二次感染を防ぐために苦みの強いST合剤 が内服開始になった= ST合剤が苦いためこの時より 内服困難になった, 6日目の朝は父親の促しで内服で きたが、それ以降は付き添いが母親のため母親の促し では、口に含んでも吐き出し、単シロップを使用して も内服できなかJJた,3.内服を拒否する児に対し医師と 看護師で説得しても児は黙っていることが多く、医師 や看護師から促されると、泣きながら母親を蹴ったり

して反抗していた。.母親は児に対してrかわいそう」

という気持ちが強く、積極的に内服させることができ ないでいた。

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