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第 2 編 イギリス小売商業の地域政策の展開と小売商業開発

する SC の開発申請(売場面積 50 万平方フィート以上)は,1980 年代後半 を中心に 50 を数えることとなった( BDP  Planning  and  Oxford  Institute  of  Retail  Management,  1992:25 29 )。

2 .小売商業の立地動向

 1980 年代以降の全般的な小売商業の開発・発展によって,地域の小売商 業はさまざまな変化をみることとなった。以下では,小売商業の立地をめぐ る一般的な動向について検討しよう。

⑴ 小売商業の離心化

 イギリスにおける小売商業の地域的動向の一つとして,小売商業の離心化 decentralization が進展してきたことがあげられている。

 イ ギ リ ス に お け る 小 売 商 業 の 離 心 化 の 展 開 過 程 に つ い て は,シ ラー Schiller,  R. の研究が広く知られているところである( Schiller,  1986,  13 15 )。シラーによると,小売商業の離心化は,新たな小売業態の生成・発展 と関連して展開し,1970 年代にスーパーマーケットの郊外地域での発展に よって,食料品部門の離心化が始まった(第 1 段階)。こうした動きを決定 的にしたものは,1980 年代のスーパーストアの発展である。それに続いて,

1970 年代末から 1980 年代には,リテイルウェアハウスさらにはリテイルパ ークの発展によって,大型家庭用品 bulky  goods  部門の離心化が進展する こととなった(第 2 段階)。以上のような離心化は,最寄品部門や大型家庭 用品に限定されたことから,衣料品等の買回品に特化するシティセンターな どの高次のクラスの小売商業地区にとっては,その影響は総じて大きいもの とはならなかった。

 しかしながら,当時の最大の小売企業であり,多くのシティセンター,タ ウンセンターに店舗を開設しているマークス・アンド・スペンサー Marks 

&  Spencer が,1984 年に郊外型 SC メトロセンターに店舗出店するとともに,

今後は郊外にも店舗を展開していくとの表明は,小売業界に大きな衝撃を与 えることとなった。また,リージョナルクラスのアウトオブセンターに立地

第 4 章 1980 年代の小売商業の地域政策と小売商業開発

する郊外型 SC の開設ないし開発申請が増大してきたことから,1980 年代後 半以降,衣料品・高級買廻品部門の離心化の過程に至ることとなり,その結 果小売商業の離心化は,直接的にタウンセンターとも競合しうる段階を迎え ることとなった(第 3 段階)。

 こうしたシラーが提起した第 3 段階に相当する小売商業の離心化は,実際 には限定された地域だけで展開したものとなったが( Howard,  1995:231 233 ),同段階に至った地域においては,当該のシティセンター・タウンセ ンターに大きな影響をもたらすこととなった。

⑵ 小売商業立地の多様化

 1980 年代の小売商業開発は,地域計画による開発コントロールの緩和に ともなって,新業態の小売商業施設の開発が進み,小売商業立地の多様化が 進展してきたところにも特徴がある。1980 年代以前の小売商業立地は,総 じて伝統的に存続・維持されてきた既存の階層的な小売商業地区群に限定さ れてきたが,例えばカーディフ市の事例のように( Guy,  1984:81 ),幹線 道路沿線にスーパーストアやリテイルウェアハウス・リテイルパークおよび 新しいディストリクトセンターの発達がみられるなど,1980 年代以降では 小売商業立地は多様化してきたものといえる(図 4 4 )。

 ガイ Guy,  C.  M. の研究によると ( Guy,  1984:80 81 ),新業態の小売商 業施設の典型的な立地点の類型は,以下の 5 つに区分されている(表 4 2 )。

 ①  既存のタウンセンターおよびディストリクトセンター:既存の小売商 業地区の再開発や拡張をめざした事業にもとづいて開発されるケースで ある。

 ②  新設のディストリクトセンター:郊外化にともなう住宅地の拡大によ って,『開発計画』に新たに開発することが明示されているディストリ クトセンターで,スーパーストアが核となって開発されるケースが多い。

通常は主要幹線道路沿線に立地しているが,そこには例えばバスのター ミナルが設置されるなど,公共交通でも容易にアクセスが可能となるよ うに計画された小売商業地区である。

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第 2 編 イギリス小売商業の地域政策の展開と小売商業開発

新設のディストリクトセンター 新設のディストリクトセンター

主要幹線道路 主要幹線道路 built-up areaの境界 built-up areaの境界 タウンセンター タウンセンター ディストリクトセンター ディストリクトセンター ネイバーフッドセンター ネイバーフッドセンター ローカルセンター ローカルセンター スーパーストア

スーパーストア リテイルウェアハウス リテイルウェアハウス NN

00 11 2km2km

図 4 4 カーディフ市の小売商業地・小売商業施設の立地

[資料]Guy.  C.( 1984 )p.76 および p.81 による(筆者修正)。

 ③  都市地域の縁辺部:住宅地等の都市地域と農地・森林とのフリンジに 位置するところで,主要幹線道路沿線に立地。

 ④  工業用地:工場跡地(ブラウンフィールド)を含む未利用の工業用地 で,多くは既存の小売商業地区とは離れた位置関係にある主要幹線道路 沿線に立地。

 ⑤ その他の都市的用地:通常,主要幹線道路沿線の未利用地に立地。

 以上の立地点の類型では,①は既存の小売商業地区のネットワークの存続,

強化に繋がるものとして,地方計画庁には歓迎されてきたもので,1970 年 代にスーパーストアが開設されてきた最も多いケースに相当する立地点であ った。②の典型的な開発形態は,主に 1980 年代以降に,『開発計画』に基づ いて地方計画庁が主体となって,人口増加した郊外地域を中心に,新たに計 画,開発されてきたディストリクトセンターで,スーパーストアなどの進出 をみたもので,大都市圏に多くみることができる。以上の①,②の類型は,

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