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ルール(基準・標準)の策定は、ビジネスに直結する活動であり、

自動走行分野で世界をリードし、競争力を強化する観点から戦略的 な取組が求められる。検討会の中間とりまとめでは、ルールづくり に戦略的に取り組むため、基準・標準横断的な情報共有や戦略検討 を行う仕組みについて、経済産業省と国土交通省が共同で、基準・

標準の関係機関と連携しながら検討を行うこととした。

(1)

基準の検討体制

自動車の国際的な安全基準は、国連欧州経済委員会(UN-ECE)の 政府間会合(WP29)において策定されており、我が国も積極的に参 加して国際調和活動に貢献している。

この中で、自動走行については、自動走行の定義やセキュリテ ィなど一般的なテーマを取り扱う「自動運転分科会」(2014年

11

月設立)と自動操舵を禁止している現行の国際基準を改正するた めの「自動操舵専門家会議」

(2015

2

月設立)が設立され、議論 が進められている。我が国は、「自動運転分科会」及び「自動操 舵専門家会議」について、それぞれ英国、ドイツとともに共同議 長を務めており、国際的な議論を主導している。

これら国際的な活動に臨むにあたり、我が国の方針を検討する ため、政府、(独)交通安全環境研究所、自動車メーカの他、サプ ライヤも参加した産学官連携の体制が整っており、引き続きその 体制の充実を図ることとしている 49。他方で、中間報告でも指摘 されたように、現状では必ずしも標準化の動向を勘案した検討は 組織的には行われておらず、今後、自動走行分野のルールづくり の重要性が高まる中、連携強化が課題である。

49 2015年度については、自動車基準認証国際化研究センター(JASIC)が、このような国際

基準化活動の場を提供している。

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(2)

標準の検討体制

自動走行に関係する国際標準についても、重要な

TC

に我が国 から議長が選出される 50など、我が国は議論を主導できる立場に あるが、国内の検討は、一般に国際的な検討の場(TC や

WG)ごと

に行われ、横断的な情報共有や戦略検討が必ずしも十分ではなか った。そこで、

ISO/TC204(ITS)と TC22(車両)の関係が複雑になっ

てきたことも踏まえ、この分野の国内審議団体である(公社)自動 車技術会に「自動運転標準化検討会」51を設置し、横の連絡を円 滑にすることとした。

自動運転標準化検討会では、

(一社)日本自動車工業会から提示

された「戦略的標準化領域と重点テーマ」52に基づき、具体的な 標準化項目を整理した上で、日本自動車工業会等とも連携しなが ら、優先すべき標準化項目の設定等、戦略を検討、立案すること としている。

なお、自動走行への関心が高まる中、

NWIP(New Work Item Proposal)

53の提案数が近年は顕著に増加しており、これに対応す るため、標準化活動を行う専門家人材や予算と行ったリソースの 確保の仕組みの強化についても引き続き検討する必要がある。

50 TC22では、情報セキュリティや機能安全等を扱うSC32(Electrical & Electronic

components and general system aspects)の議長・幹事国、TC204では、地図情報を扱

WG3(ITS Database technology)、自動車走行制御を扱うWG14(Vehicle/Roadway

warning and control systems)のコンビーナ(議長相当)が我が国から選出されている。

51 20153月に「自動運転標準化連絡会」として設置した後、201512月に本名称に改

称。

52 「走行制御」や「マップ」,HMI」などが重点テーマとされている。

53 新たな規格制定、現行規格改訂のための作業項目提案。

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(3)

基準・標準の横断的な情報共有と戦略検討

今後、自動走行の発展に向けて基準や標準の整備は大きな役 割を果たすことになるが、例えば機能安全のように、両者が相 互補完関係となる場合が想定される。基準では、故障検知後に 十分な時間的余裕(4 秒間)をもってドライバーに運転操作の交 代を求める旨の規定が検討されているが、他方で標準では、故 障検知後の安全対策の検討が進んでおり、双方は密接に関係し ている。また、基準や標準は、世界各国で行われている車の安 全性能を評価する「自動車アセスメント」をはじめとした、各 国の各種評価法、試験法に大きな影響を与えることとなる。し たがって、ルールを基盤に展開される自動走行を巡る競争で国 際的に優位に立つには、基準と標準を俯瞰した国際戦略を持つ ことが不可欠である。

(1)(2)で触れたように、基準、標準それぞれについては、既

に国内の検討体制が確立していることから、それぞれの体制を 基本に、検討会(事務局)のリードの下、基準と標準をつなぐ戦 略的な検討を行う場を設置し、自動走行に係る重要なテーマ(例

えば、

2.で指摘された協調領域のテーマ)について基準化と標準

化の国際動向を共有するとともに、我が国としての将来像を踏 まえ、国際的な活動をリードできる戦略づくりを進めていくべ きである。

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