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【報告者】眞藤邦彦(指導者養成ダイレクター)

ロジェ・ルメール(元フランス代表監督)

本誌、JFAコミュニティ等の情報提供ツールと組み合わせることに よって、日本の進むべき方向性を示す最新情報を提供しています。

それが、指導者のベクトルや質の認識に関するレベル合わせをして いく中で、「JFA2005年宣言」を果たす原動力になると確信してい るからです。

 リフレッシュ研修会は、指導者のさらなるレベルアップを図る研 修としてだけではなく、全国の指導者のベクトル合わせとしての意 味も持っています。なぜなら、ライセンス取得講習の機会のみでな く、リフレッシュ研修の機会にも日々発展していく世界のサッカー の動向に対応した、さまざまな施策の根拠等を発信し、折々にベク トルを合わせることが重要なことと考えているからです。研修会 は、画一化されたものではなく、各指導者の指導現場や関心のニー ズに応えるものを提供できるように、さまざまな種類を用意してい ます。内容や形式により、2日コース、1日コース、半日コースがあ り、それぞれ相応のポイントが割り当てられています。

 その他、2年に一度のフットボールカンファレンス、また、JFA 公認指導者海外研修、ナショナルトレセンU-12・14、ナショナル トレーニングキャンプU-16の指導者講習会も設定されています。何 度もお伝えしていることですが、更新に必要な最低限のポイントを 取得するというよりも、本来の目的を見失うことなく、ぜひさまざ まな講習に積極的に参加し、研修を積んでいただければと思いま す。

 このたび上記のリフレッシュ研修会以外で企画したことをご紹介 します。

① S級リフレッシュ研修会

 2008年度S級リフレッシュ研修会の1回目は、JFAアドバイザー であるイビチャ・オシム氏に講師を務めていただきました。オシム 氏はS級リフレッシュ研修会に参加された方々に元気な姿を見せて くれました。サッカーに対する情熱が少しも薄れていない、深みの ある内容に、参加者は安心し、同時に勇気づけられたことと思いま す。

 研修会は、UEFA EURO 2008 JFAテクニカルスタディを題材 に、日本の進むべき方向性について参加者とディスカッションする 形で進められました。はじめに、UEFA EURO 2008の大会全般や 技術・戦術的な部分での解説、そして日本の目指す方向性としての 育成年代への示唆を、映像を交えて私がTSG(テクニカルスタディ グループ)メンバーを代表して説明しました。その後、オシム氏に はご自身のサッカー観や世界のトレンドについてお話しいただき、

参加者とのディスカッションで研修を深めていきました。

 オシム氏は、「EUROで活躍している姿のみを分析するのではな く、選手がそれぞれの国のリーグ戦でいかに闘っているのか、どの ような過酷な状況から国を代表して集まってきているのかの背景も 探りながら分析していくことが大事である。またあらゆる観点から EUROで起こっていることの現実を目の当たりにし、将来のサッ カーを予測していくこと、そして将来の準備として、今を大事に取

り組まなければならないことを洗い出していくことが重要である」

と述べられました。最後にオシム氏が述べられた含蓄のある言葉 は、参加者にとって大いに参考になったことと思います。

② フィジカルフィットネスリフレッシュ研修会

 サッカーにおけるフィジカルトレーニングは、サッカーのパ フォーマンスを向上させるためのもので、サッカーの特性に応じた ものであるべきことは、これまでも各指導者養成講習会や本誌、各 種指針等で周知されているところです。サッカーのパフォーマンス を向上させるためにフィジカルトレーニングが重要であることは理 解されてきましたが、それを、より現場に生かせる工夫として、あ るいは最新情報を確実に伝えていく手段として、2008年度から フィジカルフィットネスリフレッシュ研修会を開催することになり ました。今回は体幹トレーニングをメインテーマとして実施しまし た。

 はじめはどれくらいの参加希望があるのか不安がありましたが、

多くの方々に興味・関心を示していただき、関係者として安堵しま した。むしろ、多くのニーズがあることに気づかされたというのが 本音です。今後はさらに内容を充実させて、継続的に取り組んでい こうと思います。受講者は「難しい内容、言葉だと思っていたこと が、大変分かりやすく整理され、伝わってきました。現場に応用し ていける自信がわいた」と言われていました。

③ アカデミーリフレッシュ研修会

 世界のサッカーの傾向から導き出される日本の育成の方向性の1 つのモデルであるJFAアカデミーでの育成に関してさまざまな発信 はしていますが、実際に接してより深く理解していただく機会をつ くるためにこの研修会が企画されました(詳細は28ページ参照)。

 ユース育成の重要性は言うまでもありません。2006 FIFAワール ドカップ ドイツでのイタリア代表マルチェロ・リッピ監督は、

UEFAのカンファレンスで、ユースコーチングは基本的に異質の仕 事であることを認めています。「これは応急処置的な仕事ではな い。自分たちがやっていることに深い確信を持っている人のための

フィジカルフィットネスリフレッシュ研修会より

指導者養成事業報告

仕事である。シニアチームをコーチングしたいなどという考えを頭 から追い払った人たちのための仕事である。若いタレントを向上さ せることに、完全に打ち込まなくてはならない。私はユースコーチ ングを3年で離れたが、その理由は、私自身はリスクや緊張、結果 を求めるということの方を好むということに気づいたからである。

だから私は自分のアドベンチャーを開始したのである」。

④ キッズリーダーリフレッシュ研修会

 キッズリーダー研修会が47FAで多く開催されていることは大変 うれしく思います。受講対象となる方々は、キッズに関わる年代の 指導者がほとんどです。日本の進むべき方向性の中で「JFA2005年 宣言」を果たしていくためには、日本の10年後、30年後を見据え た中長期的な取り組みが重要です。そう考えると、U-12年代の指導 は非常に重要であり、2007年に公認A級コーチU-12養成講習会を 開始しました。しかし、U-12年代を充実させていくためには、さら にその下の土台の準備が重要です。戸外で動くことが好きになり、

サッカーが好きになり、もっとサッカーがうまくなりたいと感じる キッズ年代の重要性をあらためて痛感しています。そこで、2009 年度は、そのキッズの中でも才能のある子に対して、将来開花させ られるような質の高い刺激を与えていけるためのノウハウを研修で きるキッズエリートコーチ(仮称)研修会の開催を検討していま す。

 それに加えて、キッズ年代の取り組みや考え方を、より多くの 方々に理解していただくために、C級リフレッシュ研修会の教材に キッズリーダー研修会を組み込むことができるようにしました。狙 いは、種別を超えた年代の指導者にもキッズの取り組みを理解して いただき、その積み重ねに自分たちの年代があり、そして上の年代 にどのように送り出していくのかを考えていただくことです。キッ ズから大人までを考えた一貫指導の具現化を目的としています。

47FAチーフインストラクターが開催するリフレッシュ研修会は、C 級保持者が対象です。そこで、C級保持者の方々にキッズリーダー リフレッシュ研修会に参加していただくためには、47FAチーフイ ンストラクターが企画運営に携わり、講師にキッズリーダーインス トラクターを招いて実施することで、各FAの技術委員会とキッズ委 員会の連携がとれるようになればと考えています。さらに言うなら ば、キッズからU-12年代へのスムーズな連携と深まりが、この取り 組みによって、さらに確固たる組織になっていくことを期待してい るわけです。こういった主旨を踏まえ、多くの方々にキッズの理解 が深まればと思いますので、各FAで積極的な取り組みをお願いした いと思います。

⑤ ゴールキーパーリフレッシュ研修会

 GKコーチリフレッシュ研修は今回からリフレッシュポイントが 20ポイントつくコースとなりました。これに伴い、参加資格も、

GKコーチライセンス保持者だけでなく、一般のライセンス保持者 にも拡大されたことが大きな変更点です。

 今回は、GKの指導に関するレクチャーやディスカッション・指 導実践などを通じて、指導者としてのレベルアップを図ることを目 的に、UEFA EURO 2008、北京オリンピックにおけるGKの分析、

その傾向に関する情報の共有を図ることを主題にしました(詳細は 前項参照)。

 最後にまとめとして、特に育成年代の指導者に最も求められてい ることについて考えてみたいと思います。指導者には、サッカーに おける技術・戦術的な能力よりも重視されている部分があります。

それは人間的、教育的なクオリティーです。具体的に言うと、それ は人として重要なクオリティーであり、あるときは父親的な存在と なり、またあるときは友人になれる資質です。そのためには、誠実 かつ謙虚で、忍耐力と理解力があること、そして向学心を持ち、常 に自信に満ち溢れていることが大事であると思います。子どもたち に、サッカーを好きにさせ、自らの力で今よりもうまくなろうとす る気持ちを育むことができ、さらにその成長に目を細めて見守るこ とのできる姿勢があることが、大変重要だと思います。こうした姿 勢のある方は、子どもたちや選手と、今よりもさらに上のレベルま で一緒になって向上しようと努力するため、サッカーを突き詰めて いこうとする努力を惜しみません。

 各指導者養成講習会で、「ライセンスを取得したから終わりなの ではない」ということを伝えています。常に向上心を持って子ども たちに接していくと、終わりがないということに気づいてほしいか らです。ましてや世界のサッカーが常に進歩していることを考え合 わせると際限がなく、気が遠くなりますが、だからこそ楽しいのか もしれません。サッカーのより専門的な面では、サッカーにおける 知識やスキル指導の方法論、プレーヤーの評価について深く学んで いく必要があります。そのために、われわれ指導者には、自立しつ つ、常に再教育を受けようとする態度が必要です。つまり、オープ ンマインドであることが重要な鍵を握っているのです。

 「JFA2005年宣言」を達成するために、指導者は、地道にゆっく りと一歩ずつかつ確実に、そして着実に前に進んで行きましょう。

47FA チーフインストラクター研修会より

まとめ

指導者養成事業報告

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