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1. 太陽光発電設備の撤去・運搬・処理に関する検討

1.1 太陽光発電設備の撤去・運搬・処理に関する調査と現状分析

1.1.6 リサイクルシステムの経済性

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ための長寿命化やリユースなどを推進していくことが必要である。

太陽電池モジュールの排出メカニズムに関する情報収集が十分ではなく、製品寿 命も不確実性が高いため、引き続きデータを収集していき、状況が変化すれば適 時対応を見直していくことが必要ではないか。

排出見込量の不確実性が高いことから、今後の方向性を検討するにあたっては、

排出見込量や排出ピーク時期等について、ワーストケースを想定した検討も必要 ではないか。

寿命の設定等の条件により排出見込量は異なるが、例えば、地震や台風、大雪等 の災害時に故障品が短期間に大量排出される可能性についても留意が必要であ る。

2)地域偏在性

地域別に埋立処分場の容量と排出見込量を比較した結果より、一定の地域偏在性が存 在することが示唆された。特に関東や九州において埋立処分容量に占める排出見込量 埋立の割合が高い。このため、太陽電池モジュールの排出見込量や受入可能量につい ては、地域別に把握・分析しておく必要がある。

今後、リサイクルのインフラを整備する場合には、地域偏在性に配慮し、静脈物 流やリサイクル施設等の拠点を配置していく必要があるのではないか。

地域偏在性の分布は、家電や自動車等とは異なる(人口密集地域で大量に排出さ れるわけではない)点についても留意が必要である。

34 回収⇒中間処

①近隣の産廃業者に持ち込み、破砕後、埋立処分

②一次集積所(SY)に持ち込み、まとまってから専用の中間処理施設へ。

専用の中間処理施設では有用金属・ガラスのリサイクルを実施(回収シス テム及び技術開発をイメージ)

表 1-11 試算対象としたケース

ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 排出見込量 10,000t 100,000t 10,000t 50,000t 100,000t 回収⇒

中間処理

埋立 埋立 SY・技術開発 SY・技術開発 SY・技術開発

図 1-32 関係者の利潤の算定範囲

検討を単純化するために試算対象範囲に含める品目は太陽電池モジュールのみとし た(パワコンや架台等は含めないこととした)。

撤去費用は、屋根置きでは平成25年度に実施した建物解体業者向け及び施工業者向 けアンケートから設定した。また、平置きではシステム価格(40 万円/kW と仮定)

の 5%程度と想定した(なお、非住宅用についての撤去費用は、システム価格の 5%

がFIT買取価格算定の際に考慮されている)。

具体的には、屋根置き:3.75万円/kW(15万円/件)、平置き:2万円/kWと設定。

ただし、屋根材一体型等の多様なモジュール形態が存在することや、設置する規 模・立地等によって撤去費用は大きく変動する可能性がある点には留意が必要で ある。

費用対効果分析結果は次表の通り、関係者の利潤について段階別の採算性評価を行う とともに、最終処分場の延命効果を整理した。

撤去費用を除く運搬・処理に関しても全てのケースで費用が便益を上回る形となった。

また、同一の排出見込量を処理するケースでは、リサイクルする方が、費用対効果が 大きい結果となった。

また、アルミフレームの取り外し費用・売却収入を除いた費用対効果分析結果も併せ て示す。アルミは有価で取引されるため、これを除くとアルミフレームを含むケース よりも採算性は低くなる。

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表 1-12 太陽光発電設備の撤去・運搬・処理に関する費用対効果分析結果

注)量が多くなる場合のコスト単価低減は織り込んでない(以下同様)。

表 1-13 太陽光発電設備の撤去・運搬・処理に関する費用対効果分析結果

(撤去を除く)

ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 排出見込量(t) 10,000 100,000 10,000 50,000 100,000

回収⇒中間処理 埋立 埋立 リサイクル リサイクル リサイクル

便益(百万円) 段階別収益 103 1,032 675 3,373 6,747

撤去 0 0 0 0 0

一次物流~保管 0 0 0 0 0

二次物流 0 0 0 0 0

中間処理 103 1,032 529 2,646 5,292

三次物流 0 0 0 0 0

金属等回収 0 0 145 727 1,455

管理・運営 0 0 0 0 0

費用(百万円) 段階別費用 3,532 35,320 4,000 19,580 39,055 撤去 3,225 32,250 3,225 16,125 32,250 一次物流~保管 100 1,000 100 500 1,000

二次物流 67 670 67 335 670

中間処理 140 1,400 309 1,545 3,090

三次物流 - - 56 280 560

金属等回収 - - 138 689 1,379

管理・運営 - - 105 105 105

B-C -3,429 -34,288 -3,325 -16,207 -32,308

撤去 -3,225 -32,250 -3,225 -16,125 -32,250

一次物流~保管 -100 -1,000 -100 -500 -1,000

二次物流 -67 -670 -67 -335 -670

中間処理 -37 -368 220 1,101 2,201

三次物流 - - -56 -280 -560

金属等回収 - - 8 38 76

管理・運営 - - -105 -105 -105

B/C 0.029 0.029 0.169 0.172 0.173

撤去 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

一次物流~保管 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

二次物流 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

中間処理 0.74 0.74 1.71 1.71 1.71

三次物流 - - 0.00 0.00 0.00

金属等回収 - - 1.06 1.06 1.06

管理・運営 - - 0.00 0.00 0.00

最終処分場の延命効果(m3) 1,896 18,959 12,250 61,252 122,504

ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 排出見込量(t) 10,000 100,000 10,000 50,000 100,000

回収⇒中間処理 埋立 埋立 リサイクル リサイクル リサイクル

便益(百万円) 段階別収益 103 1,032 675 3,373 6,747

撤去 0 0 0 0 0

一次物流~保管 0 0 0 0 0

二次物流 0 0 0 0 0

中間処理 103 1,032 529 2,646 5,292

三次物流 0 0 0 0 0

金属等回収 0 0 145 727 1,455

管理・運営 0 0 0 0 0

費用(百万円) 段階別費用 307 3,070 775 3,455 6,805

一次物流~保管 100 1,000 100 500 1,000

二次物流 67 670 67 335 670

中間処理 140 1,400 309 1,545 3,090

三次物流 - - 56 280 560

金属等回収 - - 138 689 1,379

管理・運営 - - 105 105 105

B-C 合計 -204 -2,038 -100 -82 -58

一次物流~保管 -100 -1,000 -100 -500 -1,000

二次物流 -67 -670 -67 -335 -670

中間処理 -37 -368 220 1,101 2,201

三次物流 - - -56 -280 -560

金属等回収 - - 8 38 76

管理・運営 - - -105 -105 -105

B/C 合計 0.336 0.336 0.870 0.976 0.991

一次物流~保管 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

二次物流 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

中間処理 0.74 0.74 1.71 1.71 1.71

三次物流 - - 0.00 0.00 0.00

金属等回収 - - 1.06 1.06 1.06

管理・運営 - - 0.00 0.00 0.00

最終処分場の延命効果(m3) 0 0 12,250 61,252 122,504

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表 1-14 太陽光発電設備の撤去・運搬・処理に関する費用対効果分析結果

(アルミフレームの取り外し費用・売却収入除く)

表 1-15 太陽光発電設備の撤去・運搬・処理に関する費用対効果分析結果

(アルミフレームの取り外し費用・売却収入除く:撤去を除く)

ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 排出見込量(t) 10,000 100,000 10,000 50,000 100,000

回収⇒中間処理 埋立 埋立 リサイクル リサイクル リサイクル

便益(百万円) 段階別収益 0 0 571 2,857 5,715

撤去 0 0 0 0 0

一次物流~保管 0 0 0 0 0

二次物流 0 0 0 0 0

中間処理 0 0 426 2,130 4,260

三次物流 0 0 0 0 0

金属等回収 0 0 145 727 1,455

管理・運営 0 0 0 0 0

費用(百万円) 段階別費用 3,462 34,620 3,930 19,230 38,355 撤去 3,225 32,250 3,225 16,125 32,250 一次物流~保管 100 1,000 100 500 1,000

二次物流 67 670 67 335 670

中間処理 70 700 239 1,195 2,390

三次物流 - - 56 280 560

金属等回収 - - 138 689 1,379

管理・運営 - - 105 105 105

B-C -3,462 -34,620 -3,359 -16,372 -32,640

撤去 -3,225 -32,250 -3,225 -16,125 -32,250

一次物流~保管 -100 -1,000 -100 -500 -1,000

二次物流 -67 -670 -67 -335 -670

中間処理 -70 -700 187 935 1,870

三次物流 - - -56 -280 -560

金属等回収 - - 8 38 76

管理・運営 - - -105 -105 -105

B/C 0.000 0.000 0.145 0.149 0.149

撤去 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

一次物流~保管 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

二次物流 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

中間処理 0.00 0.00 1.78 1.78 1.78

三次物流 - - 0.00 0.00 0.00

金属等回収 - - 1.06 1.06 1.06

管理・運営 - - 0.00 0.00 0.00

最終処分場の延命効果(m3) 1,896 18,959 12,250 61,252 122,504

ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 排出見込量(t) 10,000 100,000 10,000 50,000 100,000

回収⇒中間処理 埋立 埋立 リサイクル リサイクル リサイクル

便益(百万円) 段階別収益 0 0 571 2,857 5,715

撤去 0 0 0 0 0

一次物流~保管 0 0 0 0 0

二次物流 0 0 0 0 0

中間処理 0 0 426 2,130 4,260

三次物流 0 0 0 0 0

金属等回収 0 0 145 727 1,455

管理・運営 0 0 0 0 0

費用(百万円) 段階別費用 237 2,370 705 3,105 6,105

一次物流~保管 100 1,000 100 500 1,000

二次物流 67 670 67 335 670

中間処理 70 700 239 1,195 2,390

三次物流 - - 56 280 560

金属等回収 - - 138 689 1,379

管理・運営 - - 105 105 105

B-C 合計 -237 -2,370 -134 -247 -390

一次物流~保管 -100 -1,000 -100 -500 -1,000

二次物流 -67 -670 -67 -335 -670

中間処理 -70 -700 187 935 1,870

三次物流 - - -56 -280 -560

金属等回収 - - 8 38 76

管理・運営 - - -105 -105 -105

B/C 合計 0.000 0.000 0.810 0.920 0.936

一次物流~保管 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

二次物流 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00

中間処理 0.00 0.00 1.78 1.78 1.78

三次物流 - - 0.00 0.00 0.00

金属等回収 - - 1.06 1.06 1.06

管理・運営 - - 0.00 0.00 0.00

最終処分場の延命効果(m3) 0 0 12,250 61,252 122,504

37 (2) リサイクルシステムの経済性に関する現状分析

費用便益分析の結果、撤去費用を除く運搬・処理に関しても全てのケースで費用が便 益を上回る形となった。ケース別に経済性を分析すると、埋立よりもリサイクルする ケースの方が、費用便益比が大きく、リサイクルの有効性を確認することができた。

また、アルミフレームの取り外し費用・売却収入を除くとリサイクルの採算性は更に 悪化することが確認できた。この結果より、有価性の高いアルミフレームだけを取り 外して転売する撤去事業者や収集運搬業者が現れた場合には、アルミフレームを取り 外したモジュールを引き取るリサイクル事業の採算性はより低くなることが懸念さ れる。

撤去費用を除いたとしても、リサイクルシステムの経済性は高くない。資源価格 の変動やリサイクルの採算性に大きく影響する銀の含有量が減少傾向にあるこ とを鑑みれば、安定的なリサイクルの受け皿を確保するためには、リサイクルシ ステムの構築・運営には何らかの政策的措置が必要ではないか。

現状は、埋立とリサイクルの費用便益分析しか実施できていないため、リユース 等のその他のオプションを考慮した場合の経済性評価も必要ではないか。その他、

以下の点にも考慮する必要がある。

特にメガソーラーなどの規模の大きい発電事業では、有価性の高い銅線や架 台等を多く使用する。今回の試算では、これらの有価性や撤去費用が当該試 算では反映されていないこと。

FIT制度ではプロジェクトコストの5%程度を撤去費用として見込んでいる が、資本費から撤去費用を負担し、さらにどの程度の余剰があるのか等につ いては今回の試算対象となっていないこと。

屋根材一体型等の多様なモジュール形態が存在することや、設置する規模・

立地等によって撤去費用は大きく変動する可能性があること。

排出量や排出時期の見通しが変化した場合や、リサイクルの技術開発が進展した 場合、また、リサイクルシステムがより具体的に想定できる場合など、社会情勢 の変化を踏まえた経済性の再評価が必要ではないか。なお、経済性の再評価を行 うためにも、経済性の評価に必要となるデータを継続的に収集することが必要で はないか。