第 4 章 多モード振動発電デバイス発電特性
4.2 多モード振動発電デバイスの三方向加振実験
前節で、振動モードとPZTの発電関係についての実験を行った。自動車振動の計測で、
水平方向と鉛直方向の 2 方向を計測しており、その周波数特性が一致していることが確認 できた。そこで、本節では振動発電デバイスに対し、3方向からの加振を行い各方向におけ る周波数特性を確認する。その周波数特性に合った設置方向を決めることで、より振動を 回生しやすくすることを目的とする。実験条件は表 4.2 とし、多モード振動発電デバイス に対する振動方向の定義決めを図 4.10に示す。実験条件は、前章と同じとし、計測信号を 入力信号のベースの加振方向とし、出力の計測加速度方向を 3 方向としている。振動方向 の定義決めとして、デバイスに対して鉛直方向をZ 軸、デバイスのピッチ方向の振動を X 軸、デバイスのロール方向の振動を Y 軸としている。デバイスは従来型のモデルを用い、
各パラメータは表4.3に示す。
表4.2 方向加振実験条件
実験条件
加振方向 鉛直方向
入力信号 M系列信号(周期:255)
入力振幅 0.5 [V]
加振時間 2.04 [s]
サンプリング時間 2 [ms]
同定条件
同定モデル ARXモデル 次数決定法 クロスバリデーション
入力信号 デバイスのベース加速度[m/s^2] 加振方向 出力信号1 デバイスの一層加速度 [m/s^2] 3方向 出力信号2 デバイスの二層加速度 [m/s^2] 3方向 出力信号3 PZTの出力デバイス[V] 一層・二層
- 67 -
表4.3 デバイス各パラメータ
同定対象
板ばねの長さ 0.04 [m]
板ばねの幅 0.02 [m]
板ばねの厚さ 0.0007 [m]
重りの重さ 38×10-3 [kg]
図4.10 振動方向の定義
Z
Y X
- 68 - 4.2.1 Z方向加振
鉛直方向の計測方向の写真を図4.11に、その周波数特性を図4.12に示す。図4.11と図4.12 の各矢印の色と線の色がそれぞれ対応している。大きな共振周波数としては、58.4 Hz, 154
Hz, 226 Hzにピークが見られ、前章の周波数特性とほぼ一致する。しかし、今回の計測から
追加している、X軸の計測結果から、154 Hzの振動はX軸の振動が一層、二層共に大きく 出現していることが分かる。振動方向と、PZTの関係を示すため、図4.13にPZT出力の周 波数応答を示す。58.4 Hz,154Hzに共通したピークがあり、17.8Hzは一層、226Hzは二層に 見られる共振のピークとなる。また、ねじれの振動となるY軸の共振として見られる、34.2Hz
と116HzではPZT出力に影響がないことが確認できる。
図4.11 Z方向加振
Z 方向加振
Z
Y X
Z
Y X
- 69 -
(a) 二層 加速度周波数特性
(b) 一層加速度周波数特性
図4.12 Z方向加振周波数特性
101 102 103 104
10- 2 10- 1 100 101 102 103
Frequency (rad/s)
Amplitude
58.4Hz 154Hz 226Hz 17.5Hz
34.2Hz 116Hz
: Z
: X
: Y
101 102 103 104
10-2 10-1 100 101 102 103
1
Frequency (rad/s)
Amplitude
58.4Hz 155Hz 224Hz 17.5Hz
34.5Hz 115Hz
: Z
: X
: Y
- 70 -
図4.13 Z方向加振 PZT出力
101 102 103 104
10-3 10-2 10-1 100 101 102 103
Frequency (rad/s)
Amplitude
From u1 to y1
:u2(二層)
:u1(一層)
58.4Hz 154Hz 226Hz 17.8Hz
- 71 - 4.2.2 X方向加振
鉛直方向の計測方向の写真を図4.14に、その周波数特性を図4.15に示す。図4.14と図 4.15の各矢印の色と線の色がそれぞれ対応している。大きな共振周波数としては、17.5Hz,
92.9 Hz, 159 Hz, 218 Hzにピークが見られる。17.5 Hzは、Z方向加振の時にも見られたX方
向の振動であり、X方向の加振により顕著に現れた。また、Z軸方向で最も大きく生じた
58.4 Hzでは共振を持たず、92.9 Hzで共振を持っており、加振方向により共振周波数が変わ
ることが確認できる。図4.16にPZT出力の周波数応答を示す。周波数の特性としては加速 度の特性と一致しているが、17.5 Hzにおいて、一層の出力が大きくなった。これは、一次 の曲げモードに近い振動が、17.5 Hzで生じており、一層のマスに大きく応力がかかってい るためと考えられる。また、X軸加振においても、Y軸方向の共振はPZT出力への影響は 小さい結果となった。
図4.14 X方向加振
X 方向加振
Z
Y X
Z
Y X
- 72 -
(a) 二層 加速度周波数特性
(b) 一層 加速度周波数特性
図4.15 X方向加振周波数特性
101 102 103 104
10-2 10-1 100 101 102 103
Frequency (rad/s)
Amplitude
From ugto g2
80Hz 159Hz 221Hz 17Hz
28.6Hz 92.7Hz
: Z
: X
: Y
- 73 -
図4.16 X方向PZT出力電圧
101 102 103 104
10-2 10-1 100 101 102 103
159Hz 221Hz 17Hz
92.7Hz
Frequency (rad/s)
A m pli tud e
From u1 to y1
:u2
:u1
- 74 - 4.2.3 Y方向加振
鉛直方向の計測方向の写真を図4.17に、その周波数特性を図4.18に示す。図4.17と図 4.18の各矢印の色と線の色がそれぞれ対応している。他の方向の加振と比べ振動のピーク にばらつきがあり、ピークの大きさとしても小さい傾向にある。図4.19にPZT出力の周波 数特性を示すが、加振方向のY軸方向より、Z軸、X軸の共振の影響が大きく見られる。
図4.17 Y方向加振
Y 方向加振
- 75 - (a)二層周波数特性
(b)一層周波数特性
図4.18 Y方向加振周波数特性
101 102 103 104
10-2 10-1 100 101 102 103
Frequency (rad/s)
Amplitude
From u1 to y1
73Hz 149Hz 229Hz 25Hz
45Hz 90Hz
149Hz 229Hz
101 102 103 104
10-2 10-1 100 101 102 103
Frequency (rad/s)
Amplitude
From u1 to y1
73Hz 149Hz 229Hz 25Hz
45Hz 90Hz
149Hz 229Hz
- 76 -
図4.19 Y方向PZT出力電圧
4.2.4 三方向加振の比較
以上の比較結果より、PZTの発電にはZ方向、X方向、Y方向の振動が順に大きく影響 し、それぞれの振動方向により、生じる共振周波数も異なることが確認できた。このこと から、デバイスの設置方向としては、最も共振時に振動が大きく、他の振動三方向の振動 も大きく恩恵の受けられるZ軸を最も振動の生じる方向に設置することが、最適と考えら れる。2章の振動解析結果より、鉛直方向の振動が最も大きいため、自動車の上下方向に、
デバイスZ方向を設置する。また、2つ目の方向として、X軸方向がPZTの発電として大 きいため、X軸方向を自動車振動の前後方向の振動方向に設置する。前後方向の振動は、鉛 直方向に比べ、低周波が大きく出現する点もみられ、低周波域に大きく共振を持つX方向 での設置は有効と考えられる。また、その他の高い共振周波数は、自動車振動でも200Hz までは前後方向で相関があり、デバイスの共振においても近い値で出現しているため、上 下方向にZ軸、前後方向にX軸が最適であると考えられる。
Frequency (rad/s)
Amplitude
From u1 to y1
73Hz 149Hz 25Hz
45Hz 90Hz
149Hz
101 102 103 104
10-2 10-1 100 101 102
- 77 -