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2. 小規模火力発電の望ましい自主的な環境アセスメント

2.2 自主的な環境アセスメントの手順

2.2.4 モニタリング

環境アセスメントは、事業の実施前に調査・予測・評価を行い、環境保全措置を検討するもの ですが、環境アセスメントを行うこと自体が目的ではなく、その結果が実際の事業計画に反映さ

2 か月 2 か月

運転開始予定 自治会長

への説明

年末挨拶

造成工事 着工 説明会

実施

事業説明

電気工作物 基礎着工 自治会長

への説明 9 か月

れ、適切な措置により環境が保全されることが重要です。関係法令で求められている測定事項等 も踏まえ、環境保全措置やモニタリングを実施し、その結果について公表することにより、環境 アセスメントの結果が実際に事業に反映されていることを確認し、説明することは、継続的な住 民等の信頼の確保、透明性・客観性の確保の観点から、大規模な火力発電と同様に小規模火力発 電においても極めて重要です。

また、地方公共団体からも、「住民等が結果を把握できた方が、不安解消にもつながる」「アセ スの実施有無にかかわらず、事業活動の環境保全対策の一環として、実施された取組が広く公表 されることが望ましい」「自主的な環境アセスメントの結果に実行性を持たせる上で、必要と考え るため」といった理由から、運転開始後に、環境保全措置の実施状況、モニタリング結果等を公 表するとよいとの意見が多くあります。さらに、事業者の環境保全に関する取組状況やその成果 について住民等へ適切に情報提供を行い、環境保全に向けて努力していく姿勢を示すことは、事 業者の社会的評価を高めることにつながり、事業者自身にとっても CSR に関する取組を社会的に アピールする上でも有効です。

(参考事例 7)運転開始後に継続的に住民等とのコミュニケーションを行っている事例 一般社団法人日本化学工業協会では、規制だけでなく自主的に環境・安全・健康面の対策を行 い、その成果を公表する「レスポンシブル・ケア活動」を推進している。レスポンシブル・ケア活 動の実施項目は、「環境保全」「保安防災」「労働安全衛生」「化学品・製品安全」「物流安全」「対 話」の 6 項目であり、このうち「環境保全」に関しては、地球温暖化防止や産業廃棄物削減、化 学物質排出削減、大気汚染・水質汚濁防止、土壌・地下水防止、PCB 対策、環境投資、生物多様性 等について取り組んでいる。

レスポンシブル・ケア活動の実施状況は、各社が CSR レポート等において取りまとめている。

協会の会員企業の 90%弱が事業者単位でレポートを発行しており、また会員企業の約 3 割は工場 単位のレポートも発行している。会員企業のレポートでは、大気汚染・水質汚濁防止の自主管理 値の遵守状況に加え、CO2や大気汚染物質の年間総排出量等も取りまとめている。レポートは、近 年各社のホームページに掲載することが多い。さらに、1~2 年に一度、地域対話集会を開催し、

その場で地域住民へ説明している。その際に、地域住民から悪臭等についてご意見があれば、対 策を行うこともある。

このような活動は、消費者の化学製品への理解につながり、また工場の操業においても、地域 住民の正しい理解により、通常の操業でも起こりうるちょっとしたトラブルで不安とならないな ど地域との問題発生の予防になることから、事業者としても有意義であると考えているとのこと である。

参考:一般社団法人日本化学工業協会ホームページ レスポンシブル・ケア RC 報告書 https://www.nikkakyo.org/organizations/jrcc/rc-report-page/

(参考 8)事業者向け公害防止ガイドライン

環境省と経済産業省は、平成 19 年 3 月に「公害防止に関する環境管理の在り方」に関する報告 書を取りまとめ、事業者が実効性のある公害防止に関する環境管理を実践するための行動指針を 示した。公害防止管理者制度の適切な運用に向けて役立つ情報をまとめた経済産業省の「公害防 止ガイドライン」のサイトでは、事業者の公害防止に関する環境管理の基本的な方向性について の 5 つの行動指針(方針の明確化、組織の構築、予防的取組、事後的取組、関係者との連携)等 が解説されている。

出典:経済産業省ホームページ 公害防止ガイドライン

http://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/environmentguideline/index.html

これらのことから、小規模火力発電の運転開始後において、環境保全措置の実施状況やモニタ リング結果について必要に応じ報告・公表します。具体的な方法は以下のとおりです。

(1) 施設の稼働に伴う大気質への影響・騒音の発生

大気汚染防止法(昭和 43 年法律第 97 号)の対象となるばい煙発生施設(一定規模以上のボ イラ、ガスタービン、ガス機関等)については、ばい煙排出者はばい煙量又はばい煙濃度を測 定してその結果を記録・保存する義務があります。また、発電所において騒音規制法(昭和 43 年法律第 98 号)の特定施設に該当する電気工作物として、一定規模以上の空気圧縮機及び送風 機等があり、これらの設置に際しては届出が必要であるほか、騒音規制法に基づく指定地域に 位置する場合は、特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準を遵守する義務があり ます。

また、多くの小規模火力発電では、地方公共団体との間に、大気汚染や騒音に関して公害防 止協定等を締結しており、協定の履行状況を締結先に報告しています。地方公共団体の中には、

協定の履行状況や事業者の自主的な環境保全活動の状況を年 1 回、地方公共団体のホームペー ジで広く公表している例もあります(参考事例 8,9 参照)。

これらを踏まえ、大気質についてはばい煙量及びばい煙濃度について定期的に、騒音につい ては敷地境界の測定結果について工事完了時に、環境影響評価書(確定版)を情報共有した市 町村等に報告するとともに、環境保全上特に配慮を要する事項が判明した場合には、速やかに 市町村等と協議を行い、所要の対策を講じます。さらに、これらの状況について、施設見学会 やインターネット等により公表することが、継続的な住民等の信頼の確保のために有効です。

なお、公害防止協定等に基づき、報告や公表等を行う場合には、別途行う必要はありません。

(2) 施設の稼働に伴う二酸化炭素の排出

発電事業者(電気事業法第 2 条第 1 項第 15 号に規定する発電事業者をいう。以下同じ。)は、

省エネ法第 5 条に基づき定められた「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業 者の判断の基準」(平成 21 年経済産業省告示第 66 号)において示されている、電気供給業に関 するベンチマーク指標について、ベンチマークの状況や省エネルギーのために実施した措置を、

経済産業省に毎年度報告する義務があります。バイオマス混焼を行う場合には、実際に使用し たバイオマス燃料の種類や混焼率等を、ベンチマーク指標の向上に関して共同取組を行ってい る場合には、その措置を報告することとされています。また、電気供給業におけるベンチマー ク制度の見直しについて取りまとめた「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギ ー分科会省エネルギー小委員会火力発電に係る判断基準ワーキンググループ最終取りまとめ」

(平成 28 年 3 月 29 日経済産業省)においては、「電力供給業のベンチマーク制度の対象事業者 は、CSR 報告書や環境報告書などで自らのベンチマーク指標に関する情報を掲載することに努 めるべきである。」とされています。

これらを踏まえ、省エネ法に基づき報告する内容を基本に、ベンチマーク指標の目指すべき 水準の達成に向けた取組内容・達成状況を公表します。この際、バイオマス混焼を行っている 場合には、実際に使用したバイオマス燃料の種類や混焼率等を、ベンチマーク指標の向上に関 して共同取組を行っている場合は、共同する事業者等をあわせて公表することが、事業者とし ての継続的な取組内容を社会的にアピールするために有効です。なお、当然のことながら、公

表する内容に企業秘密を含む必要はありません。

二酸化炭素の排出については、地球環境保全に関わるものであり、地域の住民に加え、より 広範な方々と十分なコミュニケーションを図ることが重要であることを踏まえ、公表の方法は、

CSR 報告書や環境報告書等に記載し、インターネット等により公表することが基本となります。

省エネ法に基づくベンチマーク指標については、2.5.3 を参照してください。

(3) 必要に応じた評価項目

施設の稼働に伴う大気質・騒音・CO2以外の必要に応じた評価項目(2.4.2 参照)について評 価を行う場合には、モニタリングについて、関係法令で求められている測定事項等を踏まえ、

事業者の負担や住民等の意見を考慮し、モニタリング方法やその結果の報告・公表方法を検討 します。

【モニタリング結果を公表する際の留意事項】

モニタリング結果を整理する際は、環境アセスメントにおける予測の際にその前提となる環 境の状況として設定した条件等も合わせて記載し、予測条件・結果とモニタリング結果が比較 できるようにすることが、わかりやすさの観点から有効です。なお、運転開始後に、環境保全 に関する新たな施策等が決定されるなど環境保全に関する施策の変更が生じた場合には、モニ タリング結果を、環境アセスメントの条件・結果との比較に加え、新たな環境保全に関する施 策とも比較することが、適切な環境配慮のために有効です。

一方で、予測には常に誤差や不確実性があることに留意する必要があります。例えば、大気 汚染物質の濃度の予測は、設定した気象条件や排出条件を用いて、大気汚染物質の濃度の平均 値を求めるものであることから、ある変動幅をもった平均値として計算するものです。これら を踏まえ、2.5 で示すように、一般に予測に当たっては安全側の見地から影響の程度を勘案して 条件を設定するため、予測結果と比較して環境影響が小さい場合も多くあります。予測条件・

結果と比較してモニタリング結果の環境影響が小さかった場合に、その要因を分析し、積極的 な環境保全措置の効果であると認められる場合に、その旨を公表することは、住民等の安心感 につながるとともに、事業者の積極的な取組をアピールする観点からも有効です。また、仮に、

予測に反してモニタリング結果の環境影響が大きかった場合には、その原因を考察し、必要に 応じ追加の環境保全措置等を実施することと合わせて、丁寧に経緯や内容等を公表することが、

住民等の信頼を確保する上で有効です。

【環境アセスメントの結果の活用】

住民等の意見を考慮し事業者が実行可能な範囲で環境影響を最小化するための環境保全措置 を検討した環境アセスメントの結果を、実際に事業に反映し、また環境保全に取り組んでいる ことを客観的に説明することは重要です。例えば、環境アセスメントと公害防止協定等は異な る取組ですが、地方公共団体との協議によりこれらを組み合わせ、環境アセスメントの結果を 踏まえ協定値を設定して公害防止協定等を締結することは、環境アセスメントの結果を有効に 活用する事例です。