モデル2では図2のように粒子2500個をドーナツ型に分布させたものを時間発展させた。現 在、5次元時空でのブラックリング解の存在が知られており、将来的にこのブラックリングの 性質を研究するために、モデル2ではドーナツ型に分布した粒子を考えた。
このシミュレーションは、測地線方程式を用いたプログラムで時間発展を行い、モデル1と 同様にブラックホール形成の判定を行う。粒子の質量はモデル1と同じM = 0.00006とし、粒 子の初速度は0とした。まず始めに、総質量をドーナツ型の体積で割った密度を式(6.1)に代入 し、そのfree-fall timeをtf f0とする。結果として、図22の粒子のスナップショットと、図23 の座標(xn,0,0)での計量gxxを示す。
図 22: ドーナツ型分布を時間発展したときの粒子のスナップショット(線状に崩壊するまで)
図 23: 計量gxxの移り変わり(線状に崩壊するまで)
図22をみると、ドーナツ型に分布した粒子が時刻tf f0付近で線上に集まっている様子がわか る。また、図23からも、線状に粒子が集まっている部分でgxxの値が増大しているのがわかる。
ドーナツ型分布の場合、まず粒子が線状に崩壊していくことがわかった。
次に、モデル1のように球対称に分布させた場合のfree-fall timeをtf f1とし、モデル2のドー ナツ型分布した粒子が最終的に一点に崩壊していくfree-fall timeをtf f =tf f0+tf f1とおいた。
図25に粒子のスナップショットと、図24の座標(xn,0,0)での計量gxxを示す。
図 24: 計量gxxの移り変わり(一点に崩壊するまで)
図 25: ドーナツ型分布を時間発展したときの粒子のスナップショット(一点に崩壊するまで) 図25のスナップショットと、図24の計量gxxのグラフからもわかるように、時刻tf f 付近で原 点に粒子が集中していることがわかる。また、図26は時刻t = 1.06tf fでの脱出速度を示して いるが、r= 0.3付近で脱出速度の値が大きくなっている。尚、モデル2の時間発展で、脱出速 度によるブラックホール形成の判定を行ったが、脱出速度が光速を超えることはなかった。
図 26: t= 1.06tf f での脱出速度
図 27: ドーナツ型分布を時間発展したときの速度の平均値
図 28: ドーナツ型分布を時間発展したときの運動量誤差
図27より、モデル2に関してもtf f 以降に速度の平均が光速の30%を超えた。また、誤差に 関しても、モデル1と同様、図28より時刻tf fを越えたあたりで運動量誤差が大きくなった。
以上のように、時刻tf f付近で粒子が原点付近に集中し、また、脱出速度の値が大きくなった ことから、ドーナツ型分布した粒子を初速度0で時間発展した場合、まず線状に集まっていき、
その後一点に向かって崩壊していくという結果は、ある程度正しいと考えられる。しかし、時 刻tf f を過ぎてから運動量誤差が増大したことから、Post-Newton近似でのシミュレーション では、粒子が集中して強い重力が働くようなケースには対応できないことがわかった。