第 1 項 マーケティング・チャネルの選択
マーケティング・チャネルの選択としては、多くの場合、メーカー視点に立ち、ど のような卸売、小売を選ぶのかを課題として研究されている。本研究では、顧客の視 点に立ち、マーケティング・チャネルの選択を検討していく。顧客はその状況によっ て、マーケティング・チャネルに対する選択が異なっている。現在、インターネット と実店舗は、顧客に対する主要なマーケティング・チャネルとして考えられる。以後、
顧客がこれらのマーケティング・チャネルをいかに選択しているのかについて探求す る。Chu et al. (2007) は、企業が選択したマーケティング・チャネルは製品の価格に 影響している。そのため、企業は価格とチャネルのバランスをよく取らなければいけ ない。
マーケティング・コミュニケーションはチャネル選択に重要な役割を果たしている
(Kumar & Venkatesan 2005,Thomas & Sullivan 2005;Ansari, Mela & Neslin 2008)。
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Neslin et al. (2006)は、顧客がマーケティング・チャネルを選択する際の影響要因とし
て、チャネル属性、顧客キャラクター、マーケティング、ショッピング・シチュエー ションの 4 つがあるとした。さらに、顧客がチャネルを選択する際の決定要因として つぎの 6 つを挙げた。それらは、①企業マーケティング・エフォート(marketing efforts)、②チャネル属性(channel attributes)③チャネル統合(channel integration)、④社会 的影響(social influence)、⑤状況変数(
situational variable)、⑥個人差(individual difference)である。①電子メールやカタログなどはチャネルに対する影響があり、多
様なプロモーションは、消費者を特定なチャネルに導くことができる。②チャネル属 性には、チャネルや消費者の意思決定プロセスによって、異なっている役割を果たし ている。③優れたチャネルの統合は、望ましい消費者行動を生み出すことができる。例えば、インターネット上で実店舗立地情報を提供することによって、消費者を実店 舗まで誘導できることを実証研究で検証した。④Verhoef, Neslin & Vroomen(2005)は 消費者のチャネル選択は、自分に似ている人の選択に影響されることを証明した。チ ャネルの選択は、生活習慣や人に影響される。⑤Nicholson et al.(2002)は消費者のチ ャネル選択について、周囲の自然環境(天気など)、社会的環境(友達と買い物するな ど)、時間的要因(日付、緊急購買など)、タスクの定義付け(商品の種類など)、先行 条件(気分など)、という
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つの状況変数を示した。⑥消費者がインターネットを使用 して買い物をする際、各人によって感想は異なる。インターネットでの買い物は便利 で時間を節約できると考える人がいる一方、検索も複雑で使いにくいと考える人もい る。インターネットというチャネルは、消費者に利便性を提供しているが、一定の限界 も存在している。インターネットチャネル使用する際は、コンピューターやスマート フォンでの技術的な操作が求められている。そのため、ネットショッピングを利用す る客層は限定されており、コンピューターを使用できる若い年齢層のユーザーが多く を占めている。
一方、実店舗のチャネルは、店舗の雰囲気や商品などネットショッピングがカバー できない優位を持っている。利用できる客層が広く、どの年齢層でも使いやすいチャ ネルである。しかし、実店舗のチャネルで買物するには、店舗まで足を運ぶコスト、
買い物時間が限定されること、在庫不足のリスクなど、顧客に対する利便性は実店舗 を改善する要素とも考えられる。
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第 2 項 実店舗とネット店舗の比較
ここで、このマーケティング・チャネル選択という問題は、実店舗とネットショッ ピング両方使用できる人に存在している。
①実店舗ショッピング
実店舗は、顧客との信頼構成に優れている(実際に触れる、見る、店員、アドバイ ザーがいるなど)。消費者の感情的な要素を満たすことができ、顧客と共感することに より、顧客ロイヤルティを育ていくことができる。実店舗ショッピングは、 実店舗が 扱っている商品によって評価が異なっている。本研究では、消費者の立場から、実店 舗ショッピングのメリットとデメリットを整理分析した。一方、企業にとっては、実 店舗を運営する際にかかる人件費、光熱費、家賃などコストがネット店舗より高いと 考えられる。
1)実店舗ショッピングのメリット:
・実際に商品と接触することができる。特にアパレル商品の試着など。
・店員の説明を聞いて、商品を買う傾向がある。
・家族と一緒に商業設備を楽しむことができる。
・店舗をまわりながら、新たな発見を得られる。
・購買の失敗が少ない。
・店員によるサービスを受けることができる。
2)実店舗ショッピングのデメリット:
・営業時間が存在する。
・商品の在庫量には限界がある。
・店舗まで足を運ぶ必要がある。
②ネット店舗ショッピング
Noble, Griffith & Weinberger(2005)は、インターネットと実店舗という 2 つのチャ
ネルは顧客に異なる実用的価値を提供している、とする。インターネットは顧客に「情 報収集」の実用的価値を提供することに対し、実店舗は顧客に「価格比較」や「商品43
所有」の実用的価値を提供する。ネット店舗ショッピングの出現は、実店舗に大きな 危機をもたらした。ネット店舗ショッピングのメリットとデメリットを検討する場合、
基本的には実店舗のメリットがネット店舗ショッピングのデメリットになり、デメリ ットはメリットになる。以下、その内容を詳細に述べたい。
1)ネット店舗ショッピングのメリット:
・店舗まで足を運ばなくて良い。
・場所、時間に関係なく 24 時間営業である。
・品揃えが豊富であり、在庫量が多い。
・商品間属性の比較をしやすい。
・検索カテゴリーがあるため、商品検索しやすい。
・商品の郵送サービスがある。
・近所で販売していない商品がある。
・実店舗より安く、キャンペーンが多い。
・実際に購入した人のレビューを参考にすることができる。
商品は配送されるため、実店舗まで足を運ばなくでも、商品を受け取ることができ る。時間や場所を問わず、パソコンがあれば顧客は情報収集から最終購買までのプロ セスを済ますことができる。インターネット内にある大量のデータによって、膨大な 品揃えを消費者に提供することができる。商品を表示する際には、関連する商品デー タも下に提示し、他の商品との比較を容易にしている。ネット通販サイトによって異 なるが、商品を検索する際にカテゴリーに基づいて絞ることができ、ターゲット商品 を見つける時間を節約ができる。
2)ネット店舗ショッピングのデメリット:
・買い物の楽しさが実店舗より少ない。
・アフター・サービス、特に返品やクレームを出た時の対応が面倒である。
・郵送する必要があるため、すぐに商品を入手できない。
・商品購買の失敗が発生しやすい。
・コンピューターの操作が必要であるため、ターゲット顧客の範囲が限られる。
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