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マニピュレータの改造

ドキュメント内 untitled (ページ 32-48)

5.1

はじめに

本研究で提案している打撃制御とスナップ制御に共通して言える事であるが,

振りかぶり期に,アームから正確な初期速度を対象物に与える事ができなけれ ば,その後の指先での速度制御を正確に行う事はできない.そこで本研究室の 研究テーマの

1

つである「皿状エンドエフェクタを持つマニピュレータによる 物体の運搬」の研究で実験機として用いられている

3

リンクマニピュレータを 改造し,実機にて検証することにした.まずは指先での制御は考えずに,棒状 対象物を手先にセットし

1Link

で投げる機構において,どれぐらいの精度で対象 物に目標の初速度を与えることができるかを検証するための,投擲実験を行う ことにした.

2.3

でも述べているが,早い段階で実機に触れることにより,実際に実機を使 ったことで見つかった問題をシミュレーションや理論構築等にフィードバック できたり,打撃制御とスナップ制御の理論が確立した後,スムーズに実機作製 に移行する事ができると考えられる.

5.2

皿状エンドエフェクタを持つマニピュレータとは

  現在,一般的に工場などで用いられるマニピュレータでは,作業物体を直接

把持し一つずつ運搬している.しかしもし硬さや形,大きさなどの違う作業物

体を一度に運ぶためにはプレートのようなものの上に乗せて運ばなければなら

ない.例を挙げるとファーストフード店においてマニピュレータを用いた場合

などでは,液体の入った飲料やハンバーガーなどを一度に運ぶために,その飲

料をこぼさないようにまたハンバーガーを落とさないように運ぶ.人間にとっ

てこのような物体をプレートに乗せ運搬することは,大した意識もせずに行う

ことができる.作業物体が滑落または転倒しそうになれば,人間は手首を器用

に使い,それを阻止することができる.しかしマニピュレータでこのような動

作を行うことは簡単ではない.この研究ではエンドエフェクタをプレートにし

その上に作業物体を乗せ,与えられた軌道に沿って作業物体を滑落・転倒させ

ずに運ぶことのできるマニピュレータの開発を行っている.また手首返し動作

を取り入れることにより,より速く,より正確に作業物体を運搬することがで

きるであろうと考え,鉛直面内におけるマニピュレータの軌道追従制御につい

ての研究を行っている.この研究で実験機として用いられているマニピュレー

タを

Fig.5-1

に示す.

Fig.5-1

マニピュレータ実験機

5.3

マニピュレータの運動方程式

Fig.5-2

の様に設定したリンクパラメータをもとにラグランジュ法を用いて運

動方程式を誘導した.以下に求めた運動方程式を示す.

+

+ +

+

+

=

3 2 1

3 2 3 1 2 3

2 2 2 1

2 1

32 31

22 21

12 11

3 2 1

33 32 31

23 22 21

13 12 11

3 2 1

2 2

2 0

0 0

G G G H

H

H H

H H M

M M

M M M

M M M

θ θ θ θ θ

θ θ θ

θ θ

θ θ τ

τ τ

&

&

&

&

&

&

&

&

&

&&

&&

&&

(5-1)

ここで

3 2 1 3 2 3 1 3 3 2 2 2 1 2 3 2 2 2 1 3

2 2 1 2 2 2 1 2 2 1 1 11

)) cos(

2 cos 2

cos 2 (

) cos 2

(

I I I l

l l

l l

l l l l m

l l l l m l m M

g g

g

g g

g

+ + + + +

+ +

+ + +

+ + +

=

θ θ θ

θ θ

3 2

3 2 3 1 3 3 2 2 2 1 2 3 2 2 3 2 2 1 2 2 2

12 ( cos ) ( cos 2 cos cos( )

I I

l l l

l l

l l l m l

l l m

M g g g g g

+ +

+ +

+ +

+ +

+

= θ θ θ θ θ

3 3 2 3 1 3 3 2 2 3 3

13 m (l l l cos ll cos( )) I

M = g + g θ + g θ +θ +

12

21 M

M =

3 2 3 3 2 2 3 2 2 3 2 2 2

22 m l m (l l 2l l cos ) I I

M = g + + g + g θ + +

3 3 3 2 2 3 3

23 m (l l l cos ) I

M = g + g θ +

13

31 M

M =

23

32 M

M =

3 2 3 3

33 m l I

M = g +

)) sin(

sin sin

( 21 2 2 31 2 2 31 3 2 3

11 = m l lg θ +m ll θ +m l lg θ +θ

H

)) sin(

sin

( 3 2 3 3 3 1 3 2 3

12 = m l lg θ +m l lg θ +θ

H

11

21 H

H =

) sin ( 3 2 3 3

22 m l lg θ

H =

12

31 H

H =

22

32 H

H =

)) sin(

) sin(

sin (

)) sin(

sin ( sin

3 2 1 3 2 1 2 1 1 3

2 1 2 1 1 2 1 1 1 1

θ θ θ θ

θ θ

θ θ θ

θ

+ + +

+ +

+

+ +

+

=

g g g

l l

l g m

l l

g m gl

m G

)) sin(

) sin(

( )

sin( 1 2 3 2 1 2 3 1 2 3

2 2

2 =m glg θ +θ +m g l θ +θ +lg θ +θ +θ

G

) sin( 1 2 3

3 3

3 =m glg θ +θ +θ

G

θ 3

X

1

l

g

3

l

g

1 Link

Link3

2

, I

2

m

l 1

l

2

θ 2

Y

θ 1

2

l

g

2 Link

1 1

, I m

θ 3 3

θ

X

1

l

gg1

l

3

l

gg3

l 1

Link 1 Link

Link3 Link3

2

, I

2

m

2

, I

2

m

l 1 1

l

l

22

l

θ 2 2

θ

Y

θ 1 1

θ

2

l

gg2

l

2 Link 2 Link

1 1

, I m

1

, I

1

m

g

:重力加速度

li

:リンクiの長さ

lgi

:関節iからリンクiの質量中心までの長さ

θi

:関節iの回転角度

θdi

:関節iの回転角度の目標値

θ&i

:関節iの角速度

θ&&i

:関節iの角加速度

mi

:リンクiの質量

Ii

:リンクiの質量中心を通りZ軸に平行な軸まわりの慣性モーメント

τi

:各関節にかかるトルク

Fig.5-2

マニピュレータの解析モデル

ここで求めたマニピュレータの運動方程式を用いることにより,ある軌道を 目標軌道とするマニピュレータの追従シミュレーション実験を行うことができ,

この実験より各関節にかかるトルクを求めることができた.またこの実験によ り,実験装置を製作するときに各関節に用いるモータの選定にも役立つと考え ることが出来た.しかし実際に実験装置を製作するときには,各関節に働く摩 擦力を考慮する必要がある.実際にマニピュレータを動作させた場合の入力ト ルクに近づかせるためには,この摩擦力を補償する項を付加する必要性がある.

よって今後,運動方程式に各関節に働く摩擦力を補償する項を付加する必要が あることが分かった.

5.4

制御システム

制 御 用 の コ ン ピ ュ ー タ と し て

NEC

社 製

PC-9821Xb(CPU: Intel Pentium

100MHz)

を用いることにした.本実験で用いる制御システムのブロック線図を

Fig.5-3

に示す.まず軌道データをコンピュータに入力し,コンピュータからの

指令電圧は

D/A

変換機を用いてアナログ量に変換する.それからパワーアンプ をとおして

DC

サーボモータを駆動させ,マニピュレータ本体を動作させる.ま たマニピュレータの各関節角度はモータ直結のロータリーエンコーダより検出 し,エンコーダカウンタを通してデジタル信号に変換しコンピュータに情報を 転送するシステムになっている.

Trajectory

Data Joint

Angle AMP

サーボランド SMCM-6AI SMCM-10AI

Manipulator

A/D Converter

MICROSCIENCE ADM1698BPC

Encoder Counter

MICROSCIENCE UDC4298CPC

Computer

NEC PC-9821Xb

D/A Converter

MICROSCIENCE QDA-2998BPC

Encoder

Acceleration Sensor

CROSSBOW CXL04LP3

DC Servo motor

山洋電気

Fig.5-3

マニピュレータの制御システム

5.5

初期設定

マニピュレータ実験機の質量,重心位置などのパラメータについて

Table.5-1

に示す.

Table.5-1  パラメータ

Link1 Link2

リンク長 

[m] 0.314 0.300

重心位置 

[m] 0.143 0.128

質量 

[kg] 1.27 2.06

つぎにフィードバックゲインを

Table.5-2

に示す.フィードバックゲインの選定

には

Ziegler

Nichols

の経験的方法

[2]

を参考にし,この方法の中の限界感度法を

用いた.

Table.5-2

  フィードバックゲイン

1

関節 第

2

関節 第

3

関節

位置ゲイン 

Kp 40.80 26.21 0.32

速度ゲイン 

Kd 0.919 0.574 0.007

積分ゲイン 

Ki 240.0 159.5 3.8

5.6

軌道生成

ロボットマニピュレータの経路の設計は,一般に最短経路や障害物回避等の 条件をもとに設計される.また,マニピュレータの軌道制御はダイナミクス

(

動 力学)を考慮する必要があり,一定速度で移動するにしても経路が十分に滑らか でないと不要な振動が生じたりする.今回は変位θと時間

t

5

次関数によって 経路の生成を行うこととした.その関数を以下の式に示す.

5

次関数のそれぞれ の次数の係数は,位置,速度,加速度による境界条件を与えることによって決 定した.

0 2 1

3 2 4 3 5 4 5

1(t) a t a t a t a t a t a

θ = + + + + + (5-2)

の関数を用いて軌道を生成することとし,

TA

θ1 =

       

(5-3)

A θ

T1 1 =

       

(5-4)

から係数行列

A

を決定した.以下にそれぞれの行列式について示す.

 

=

) (

) 0 (

) (

) 0 (

) (

) 0 (

1 1 1 1 1 1

n θ θ

n θ θ

n θ θ

&&

&&

&

&

θ1

       

(5-5)

=

0 1 2 3 4 5

a a a a a a

A

           

(5-6)

=

0 0 2 6 12 20

0 0 2 0 0 0

0 1 2 3 4 5

0 1 0 0 0 0

1 1 0 0 0 0 0

1 2 3

1 2 3 4

1 2 3 4 5

n n n

n n n n

n n n n n

t t t

t t t t

t t t t t

T

       

(5-7)

Fig.5-2

において

Link1

がθ

1=0rad

で静止した状態から

2

秒間で終端位置θ

1=

π

rad

に静止した状態に移す目標角軌道を

5

次の時間多項式を用いて生成した.また 目標角軌道を時間

t

で微分し,目標角速度軌道を求めた.求めた目標軌道関数を 式(5-8),(5-9)に,軌道を

Fig.5-4

,Fig.5-5 に示す.

3 4

1(t) 0.58875t5 2.94375t 3.925t

θ = + (5-8)

2 3

1(t) 2.94375t4 11.775t 11.775t

θ& = + (5-9)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

0 0.5 1 1.5 2

時間[s]

Link1の[rad]

Fig.5-4

目標角軌道

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

0 0.5 1 1.5 2

時間[s]

Link1の[rad/s]

Fig.5-5

角速度軌道

5.7

制御方法

実験機における追従制御実験に用いる制御方法について述べる.今回はロボ ット制御法として代表的な

PD

制御による追従制御実験を行うことにした.目標 軌道としては

5.6

で生成したものを用いることとする.よってここではこの制御 法について簡単な説明をする.

PD

制御

目標角度

θd

が実際の角度

θ

と比較され,その角度の差に位置ゲインが乗じてア クチュエータへの出力が生成される.安定度を与えるために式

(5-10)

の様に実際 の速度に速度ゲインを乗じた減衰項が出力に加えられる.

θ θ

θ

τ =Kp( d − )−Kd &

         

(5-10)

また式(5-10)の場合,速度の最も速い期間中,特に必要の無いところに大きな 減衰が存在してしまうので,これを補償するために式

(5-11)

のような目標角速度 をもつ

PD

制御が提案される.

) ( )

(θ θ θ θ

τ =Kp d Kd &d & (5-11)

この制御系は,ロボットのモデル(動特性)を含まず,各関節に独立な

1

入力

1

出力系として扱っているので,機構が簡単であり,現在多くの産業ロボットの ほとんどはこの

PD

制御を用いている.本研究でもこの制御を用いて実験を行う ことにする.Fig.5-6 にその使用する

PD

制御のブロック線図を示す.

θd −

θd

Kd Kp

+ τ

R

θ θ

Fig.5-6PD

制御

5.8

追従実験

5.6

で生成した軌道を目標軌道とし,

PD

制御による追従実験を実機にて行った.

なお本研究ではまず

1Link

のみで投擲実験を行うこととしているので,マニピュ

レータの

Link1

のみを使用して軌道追従実験を行った.実験結果を

Fig.5-7,

Fig.5-8

に示す.

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

0 0.5 1 1.5 2

時間[s]

Link1の[rad]

目標値 実験値

Fig.5-7

目標角度と実験値の比較

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

0 0.5 1 1.5 2

時間[s]

Link1の[rad/s]

目標値 実験値

Fig.5-8

目標角速度と実験値の比較

実験の結果,この軌道ではほぼ目標軌道に追従してアームを動かすことができ

た.しかし,投擲実験ではさらに早いスピードでアームを回転させる必要があ

るので今後は実際の投打と同じ速さの軌道を生成し,それに正確に追従するこ

とが出来るかどうかを検証する必要がある.

5.9

投擲方法と投擲実験用ロボットアームの制御システム

マニピュレータの

Link1

を使用し,対象物を投擲するためには,まず対象物を 把握し,目標の速度を与えた後に放す機構が必要になる.ここでは把握部の機 構を考え,アクチュエータの選定,把握部の設計と製作,そしてマニピュレー タで使用されている制御システムとプログラムに変更を加え把握部の動作実験 を行った.

Fig.5-9

に制御システムを示す.マニピュレータの制御システム

Fig.5-3

に加えた

部分を青で示している.なお,今回はマニピュレータで使っていた加速度セン サーは使用しないものとする.投擲方法としては,アームを時間多項式により 生成した軌道に

PD

制御で追従させ,把握部ではエンコーダーから読み込まれた 角度がリリース時の角度になったら,ソレノイドのスイッチを切り,対象物を 放すこととする.

Computer

NEC PC-9821Xb

Computer

NEC PC-9821Xb

D/A Converter

MICROSCIENCE QDA-2998BPC

D/A Converter

MICROSCIENCE QDA-2998BPC

AMP

サーボランド SMCM-6AI SMCM-10AI

AMP

サーボランド SMCM-6AI SMCM-10AI

DC Servo motor

山洋電気

DC Servo motor

山洋電気

Manipulator Manipulator

Encoder Encoder Encoder Counter

MICROSCIENCE UDC4298CPC

Encoder Counter

MICROSCIENCE UDC4298CPC

AMP

トランジスタを用いた 電流増幅回路

AMP

トランジスタを用いた

電流増幅回路 Solenoid

新電元

Solenoid

新電元 End-EffectorEnd-Effector

Link1

Trajectory Data Trajectory

Data Joint

Angle Joint Angle

Release Release Release

Angle Release Angle

Computer

NEC PC-9821Xb

Computer

NEC PC-9821Xb

D/A Converter

MICROSCIENCE QDA-2998BPC

D/A Converter

MICROSCIENCE QDA-2998BPC

AMP

サーボランド SMCM-6AI SMCM-10AI

AMP

サーボランド SMCM-6AI SMCM-10AI

DC Servo motor

山洋電気

DC Servo motor

山洋電気

Manipulator Manipulator

Encoder Encoder Encoder Counter

MICROSCIENCE UDC4298CPC

Encoder Counter

MICROSCIENCE UDC4298CPC

AMP

トランジスタを用いた 電流増幅回路

AMP

トランジスタを用いた

電流増幅回路 Solenoid

新電元

Solenoid

新電元 End-EffectorEnd-Effector

Link1 Link1 Link1 Link1

Trajectory Data Trajectory

Data Joint

Angle Joint Angle

Release Release Release

Angle Release Angle

Fig.5-9

投擲実験用ロボットアームの制御システム

ドキュメント内 untitled (ページ 32-48)

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