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ポリエーテル系抗生物質の定量に用いる塩基性アルミナの検討

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N NHCO 2 CH 3H

Scheme 1 Analytical procedure for measurement of degree of starch gelatinization

1 ポリエーテル系抗生物質の定量に用いる塩基性アルミナの検討

千原 哲夫*1,橋本 仁康*2,進藤 富枝*3

1 緒 言

飼料分析基準 1)に収載されたポリエーテル系抗生物質の微生物学的定量法 2)~7)で用いるカラムク ロマトグラフ用塩基性アルミナは,サリノマイシンナトリウム(SL)及びモネンシンナトリウム

(MN)ではAlcoa製のActivated Aluminas F-20又はこれと同等のもの,ナラシン(NR)ではAlcoa Indstrial Chemicals製のActivated Aluminas CG-20又はこれと同等のもの(粒径はいずれも74~177 µm

(200~80メッシュ))を用いることが注記されている.なお,Activated Aluminas CG-20はActivated Aluminas F-20 を精製し たものであり,Activated Aluminas CG-20 が流通してからは,Activated Aluminas F-20の入手が困難になったことから,Activated Aluminas CG-20をActivated Aluminas F-20 の同等品として扱ってきた.

平成18年7月時点での調査では,上記の2種類の塩基性アルミナは,一般に流通しておらず,ま たAlcoa Indstrial Chemicalsは塩基性アルミナの製造を停止し,Almatis AC,更にEngelhardがその製 造を引き継いだとの情報が得られた.

各試験室内のActivated Aluminas CG-20の在庫が尽きた場合に,微生物学的定量法によるポリエ ーテル系抗生物質の定量に支障を来すことが考えられるために,今回,現在流通しているカラムク ロマトグラフ用塩基性アルミナを調査,検討し,これらの代替となる同等品としての知見を得たの で,その概要を報告する.

2 実験方法 2.1 試 料

抗菌性物質を含まない市販の中すう育成用配合飼料及び肉用牛肥育用配合飼料をそれぞれ 1 mmの網ふるいを通過するまで粉砕し,供試試料とした.

各配合飼料の配合割合は,表1のとおりである.

なお,サリノマイシンナトリウム及びナラシンでは中すう育成用配合飼料,モネンシンナトリ ウムでは肉用牛肥育用配合飼料を用いた.

*1 独立行政法人肥飼料検査所本部,現 (独)農林水産消費安全技術センター名古屋センター

*2 (独)肥飼料検査所本部,現 (独)農林水産消費安全技術センター神戸センター大阪事務所

*3 (独)農林水産消費安全技術センター肥飼料安全検査部

1 配合飼料の配合割合

飼料の種類 原材料の区分 割合(%) 原材料名 中すう育成用 穀 類 69 とうもろこし

植 物 性 油 か す 類 13 大豆油かす そ う こ う 類 7 米ぬか 動 物 質 性 飼 料 5 魚粉

そ の 他 6 アルファルファ,りん酸カルシウム,

炭酸カルシウム,食塩,飼料添加物 肉用牛肥育用 穀 類 59 とうもろこし,大麦,マイロ

そ う こ う 類 35 ふすま,コーングルテンフィード 植 物 性 油 か す 類 5 大豆油かす

そ の 他 1 炭酸カルシウム,食塩,飼料添加物

2.2 試 薬

1) サリノマイシンナトリウム標準液

常用標準サリノマイシン適量を減圧下(0.67 kPa以下),60°Cで3時間乾燥した後,20 mg(力 価)相当量を正確に量って100 mLの全量フラスコに入れ,メタノールを加えて溶かし,更に標 線まで同溶媒を加えてサリノマイシンナトリウム標準原液を調製した(この液 1 mLは,サリ ノマイシンナトリウムとして0.2 mg(力価)を含有する.).

使用に際して,標準原液の一定量をメタノール-水(9+1)で正確に希釈し,1 mL中に10 µg(力 価)を含有するサリノマイシンナトリウム標準液を調製した.

2) ナラシン標準液

常用標準ナラシン20 mg(力価)相当量を正確に量って100 mLの全量フラスコに入れ,メタノ ールを加えて溶かし,更に標線まで同溶媒を加えてナラシン標準原液を調製した(この液1 mL は,ナラシンとして0.2 mg(力価)を含有する.).

使用に際して,標準原液の一定量をメタノール-水(9+1)で正確に希釈し,1 mL中に8 µg(力 価)を含有するナラシン標準液を調製した.

3) モネンシンナトリウム標準液

常用標準モネンシン20 mg(力価)相当量を正確に量って100 mLの全量フラスコに入れ,メタ ノールを加えて溶かし,更に標線まで同溶媒を加えてモネンシンナトリウム標準原液を調製し た(この液1 mLは,モネンシンナトリウムとして0.2 mg(力価)を含有する.).

使用に際して,標準原液の一定量をメタノール-水(9+1)で正確に希釈し,1 mL中に6 µg(力 価)を含有するモネンシンナトリウム標準液を調製した.

4) カラムクロマトグラフ用塩基性アルミナ

比較試験を行った塩基性アルミナは,表2のとおりである.

ポリエーテル系抗生物質の定量に用いる塩基性アルミナの検討 83

2 塩基性アルミナの種類

製品名 粒度 製造番号 製造(販売)業者

① Activated Aluminas CG-20 80-200 mesh A1-192 Alcoa Indstrial Chemicals

② Alumina Activated #670 Alcoa #CG20 80-200 mesh P567098 GFS Chemicals

③ Alumina Activated #670 Alcoa #CG20 80-200 mesh P672606 GFS Chemicals

④ Chromatographic alumina CG-20 80-200 mesh 803-04 Engelhard

⑤ Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 70-230 mesh TA1237076 Merck

⑥ Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 70-230 mesh TA1306676 Merck

⑦ Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 70-230 mesh TA1326276 Merck

⑧ Aluminum oxide Type F-20 80-200 mesh 112K0955 Sigma-Aldrich

⑨ Alumina, Activated, Basic Brockmann I 40-200 mesh L137915 GFS Chemicals

2.3 装置及び器具

1) 液体クロマトグラフ

溶 離 液 用 ポ ン プ:島津製作所製LC-9AD オ ー ト サ ン プ ラ ー:日本分光製AS-950 紫外可視吸光光度検出器:島津製作所製SPD-10AV 反 応 液 用 ポ ン プ:島津製作所製LC-9AD 反 応 槽:島津製作所製CRB-6A カ ラ ム 恒 温 槽:島津製作所製CTO-6A デ ー タ 処 理 機:島津製作所製C-R6A 2) マグネチックスターラー:柴田科学製 MU-4

2.4 定量方法 1) 抽 出

試料(サリノマイシンナトリウム及びナラシンでは中すう育成用配合飼料,モネンシンナト リウムでは肉用牛肥育用配合飼料)10.0 gを量って200 mLの共栓三角フラスコに入れ,標準液

100 mLを加え,マグネチックスターラーで20分間かき混ぜた後,ろ紙(5種A)でろ過し,

カラムクロマトグラフィーに供する試料溶液とした.

2) カラムクロマトグラフィー

カラムクロマトグラフ用塩基性アルミナ12 gをカラム管(内径14 mm)に乾式で充てんし,

クリーンアップ用カラムを調製した.試料溶液をカラムに入れ,流出液5 mL 毎の画分を採取 し,液体クロマトグラフィーに供する試料溶液とした.

3) 液体クロマトグラフィー

試料溶液及び標準液20 µLを液体クロマトグラフに注入し,クロマトグラムを得た.

測定条件

検 出 器:紫外可視吸光光度検出器(測定波長:520 nm)

カ ラ ム:Shim-pack VP-ODS(内径4.6 mm,長さ150 mm,粒径5 µm) 溶 離 液:メタノール-水-酢酸(94+6+0.1)

反 応 液:硫酸10 mLをメタノール475 mLにかき混ぜながら徐々に加えた後,バ

ニリン15 gを加えて溶かす(用時調製).

流 速:溶離液0.6 mL/min,反応液0.6 mL/min カラム槽温度:40°C

反 応 槽 温 度:95°C 4) 計 算

得られたクロマトグラムからピーク面積を求め,各標準液におけるピーク面積に対する各試 料液におけるピーク面積の比を求め,各抗生物質の回収率として算出した.

3 結果及び考察 3.1 液体クロマトグラフィーによる回収率の確認

1) サリノマイシンナトリウムについて

中すう育成用配合飼料にサリノマイシンナトリウム標準液(10 µg(力価)/mL)を添加した試 料液を表3の①から⑨の各カラムクロマトグラフ用塩基性アルミナに入れ,各流出画分を採取 し,サリノマイシンナトリウムの回収率を求めたところ,表3,図1の結果となった.

通常使用してきた①のカラムクロマトグラフ用塩基性アルミナと同等の挙動を示すものとし ては⑤及び⑧があり,0~5 mLの画分で吸着が認められたが,10 mL以降の画分でほぼ同等の挙 動を示すものとして⑥,⑦及び⑨があった.また複数のロットが入手可能であった②及び③並 びに⑤,⑥及び⑦ではロット差が認められた.

ポリエーテル系抗生物質の定量に用いる塩基性アルミナの検討 85

3 サリノマイシンナトリウム

中すう育成用配合飼料:10 µg(力価)/mL

回収率:%

~5 ~10 ~15 ~20 ~25 ~30

① Activated Aluminas CG-20 A1-192 97 97 97 100 101 96

② Alumina Activated #670 Alcoa #CG20 803-04 53 104 105 108 107 102

③ Alumina Activated #670 Alcoa #CG20 P567098 25 109 110 110 110 108

④ Chromatographic alumina CG-20 P672606 6 95 107 108 108 105

Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 L137915 91 96 100 101 101 97

Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 TA1237076 76 98 102 103 100 101

Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 TA1306676 71 97 98 102 107 106

⑧ Aluminum oxide Type F-20 TA1326276 104 100 101 100 103 103

⑨ Alumina, Activated, Basic Brockmann I 112K0955 77 92 96 96 100 104 流出画分(mL)

製造番号 製品名

図1 サリノマイシンナトリウム

0 20 40 60 80 100 120

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

画分(mL)

回収率(%)

2) ナラシン

中すう育成用配合飼料にナラシン標準液(8 µg(力価)/mL)を添加した試料液を表3の①から

⑨の各カラムクロマトグラフ用塩基性アルミナに入れ,各流出画分を採取し,ナラシンの回収 率を求めたところ,表4,図2の結果となった.

通常使用してきた①のカラムクロマトグラフ用塩基性アルミナと同等の挙動を示すものとし ては⑤及び⑧があり,0~5 mLの画分で吸着が認められたが,10 mL以降の画分でほぼ同等の挙 動を示すものとして⑥,⑦及び⑨があった.また複数のロットが入手可能であった②及び③並 びに⑤,⑥及び⑦ではロット差が認められた.

4 ナラシン

中すう育成用配合飼料:8 µg(力価)/mL

回収率:%

~5 ~10 ~15 ~20 ~25 ~30

① Activated Aluminas CG-20 A1-192 101 101 99 101 101 101

② Alumina Activated #670 Alcoa #CG20 803-04 63 104 104 106 107 108

③ Alumina Activated #670 Alcoa #CG20 P567098 28 106 107 109 108 105

④ Chromatographic alumina CG-20 P672606 21 93 112 110 109 110

Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 L137915 97 100 97 105 105 103

Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 TA1237076 83 95 97 101 101 102

Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 TA1306676 77 96 98 98 102 105

⑧ Aluminum oxide Type F-20 TA1326276 106 100 104 104 103 103

⑨ Alumina, Activated, Basic Brockmann I 112K0955 88 97 100 100 103 103 流出画分(mL)

製造番号 製品名

図2 ナラシン

0 20 40 60 80 100 120

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

画分(mL) 回収率(%)

3) モネンシンナトリウム

肉用牛肥育用配合飼料にモネンシンナトリウム標準液(6 µg(力価)/mL)を添加した試料液を 表3の①から⑨の各カラムクロマトグラフ用塩基性アルミナに入れ,各流出画分を採取し,モ ネンシンナトリウムの回収率を求めたところ,表5,図3の結果となった.

通常使用してきた①のカラムクロマトグラフ用塩基性アルミナと同等の挙動を示すものとし ては⑤,⑥,⑧及び⑨があり,0~5 mLの画分で吸着が認められたが,10 mL以降の画分でほぼ 同等の挙動を示すものとして⑦があった.また複数のロットが入手可能であった②及び③並び に⑤,⑥及び⑦ではロット差が認められた.

ポリエーテル系抗生物質の定量に用いる塩基性アルミナの検討 87

5 モネンシンナトリウム

肉用牛肥育用配合飼料:6 µg(力価)/mL

回収率:%

~5 ~10 ~15 ~20 ~25 ~30

① Activated Aluminas CG-20 A1-192 109 102 103 102 103 103

② Alumina Activated #670 Alcoa #CG20 803-04 85 110 108 107 108 106

③ Alumina Activated #670 Alcoa #CG20 P567098 3 81 120 128 131 128

④ Chromatographic alumina CG-20 P672606 0 29 87 117 130 136

Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 L137915 105 101 103 102 103 102

Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 TA1237076 102 104 105 106 105 103

Aluminium Oxide 90 Active Basic Art.1076 TA1306676 96 107 105 103 105 103

⑧ Aluminum oxide Type F-20 TA1326276 110 101 101 101 101 102

⑨ Alumina, Activated, Basic Brockmann I 112K0955 100 102 101 102 102 103 流出画分(mL)

製造番号 製品名

図3 モネンシンナトリウム

0 20 40 60 80 100 120 140

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

画分(mL) 回収率(%)

3.2 Activated Aluminas CG-20の同等品について

3.1の 1)~3)の試験結果から,また図 4~6のとおり,3種類のポリエーテル系抗生物質の定量で

用 い る カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ 用 塩 基 性 ア ル ミ ナ ①Activated Aluminas CG-20(Alcoa Indstrial Chemicals製)の同等品として,⑥Aluminium Oxide 90 Active Basic Art. 1076(Merck製)及び⑧ Aluminum oxide Type F-20(Sigma-Aldrich製)が比較的良好と判断できた.

しかし,⑥Aluminium Oxide 90 Active Basic Art. 1076 は,粒度が 70-230 mesh と①Activated

Aluminas CG-20 の80-200 meshと異なり,また多数のロットが流通しており,ロット差も認めら

れたことから,同等品として扱うには問題があると判断した.また,⑧Aluminum oxide Type F-20 は,粒度が80-200 meshと①Activated Aluminas CG-20と同じであったことから,今後はこれを同 等品として扱って問題ないと判断した.

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