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ABSTRACT

第1部 ポスターセッション

臍部皮脂厚肥満判定値を用いた縦断的評価

伊藤巨志 子ども学科

【目的】

本研究は 3 歳児(年少)から 5 歳児(年長)までの 3 年間を同一検者と器具で身長,体重,皮脂厚を計測 し,縦断的な発育評価を実施した。具体的には,幼児期の発育評価として用いられている肥満度と臍部 皮脂厚のクロス評価から発育評価の細分化を行い,肥満や痩せと判定される該当者数の年齢推移を検 討した。

【方法】

1.対象及び観察期間 2010年に幼稚園と保育所に3歳児クラスに在籍し,5歳児までの3年間各年度 で保護者に承諾を得られた幼児を対象に実施した。新潟県内の幼稚園,保育所計40カ所に通園する 健康な幼児,男児405人,女児351人,合計756人を分析対象とした。観察期間は2010年7月〜12月,

2011年7月〜12月,2012年7月〜12月である。年齢は,Microsoft Excelの日付(シリアル値)に基づいて 計算した。また,同様に月齢を求めた。 2.計測方法 計測項目は,身長,体重および皮脂厚の3項 目である。皮脂厚計測は,竹井機器製栄研式皮下脂肪測定器(TK-11258)を使用した。計測部位は,

①上腕背部,②肩甲骨下部,③臍部の3部位とし,右体側で計測を行った。身長,体重,皮脂厚の計測 者は3年間同一人で実施した。 3.資料の分析 1)統計及び検定 身長,体重,皮脂厚(上腕背部,

肩甲骨下部,臍部),肥満度は,性別,年齢階級別に平均値と標準偏差を算出した。年齢間の差の検定 は対応のあるサンプルのt検定を用い,性差の検定は独立したサンプルのt検定を用いた。有意水準 5%をもって「差がある」と判定した。統計解析にはMicrosoft Excel 2011 for Mac,および SPSS Ver.21 for Mac を使用した。 2)皮脂厚と肥満度のクロス評価 皮脂厚の判定は,臍部皮脂厚判定値を用いて 分類した。肥満度の判定は,平成12年乳幼児身体発育調査報告書に基づき分類した。皮脂厚の評価と 肥満度の評価を用いてクロス評価を行い,性別,年齢階級別に該当人数を求めた。

【結果と考察】

肥満度は,男児において4歳児より3歳児と5歳児,3歳児より5歳児の方が有意に大きかった。女児に おいて4歳児より3歳児と5歳児の方が有意に大きかった。性差は無かった。発育経過は,肥満度で見る 限り男女児とも同じである。上腕背部皮脂厚と肩甲骨下部皮脂厚は,男児において3歳児と5歳児の方が 4 歳児より有意に大きかった。女児において 5 歳児の方が 3 歳児と 4 歳児より有意に大きかった。臍部皮 脂厚は,男女児とも 4 歳児と 5 歳児の方が 3 歳児より有意に大きく,5 歳児の方が 4 歳児より有意に大き かった。皮脂厚の縦断的傾向は計測部位,性別によって違いがあった。また,皮脂厚は全ての年齢で女 児の方が男児より有意に大きかった。皮脂厚に性差があるが,肥満度では性差がないという結果から,同 じ身長と体重である場合には,女児に皮下脂肪の割合が高いことが考えられる。

臍部皮脂厚と肥満度によるクロス評価を行った結果,肥満度+15%「太りぎみ」以上に該当した人数は,

5 歳児では3歳児・4歳児に比べて増加した。また,臍部皮脂厚判定では3歳児男児「太りぎみ」6 人,「や や太りすぎ」2人,「太りすぎ」1人,女児「太りぎみ」5人,「やや太りすぎ」3人であったが,4歳児,5歳児と 年齢が上がるにつれ増加し,5歳児男児「太りぎみ」14 人,「やや太りすぎ」16 人,「太りすぎ」8人,「極め て太りすぎ」8人,女児「太りぎみ」25 人,「やや太りすぎ」11 人,「太りすぎ」11 人,「極めて太りすぎ」2人と 増加した。縦断的にみても「太っている」子どもの数の増加だけでなく,極度の肥満化が進むことが分かっ た。また,痩せている子どもは,男児よりも女児に多く見られ,4歳児から多くなることが分かった。

【結語】

互いの評価だけでは見逃されてしまう子どもの存在がある。太っている子どもの早期発見,早期対応を 踏まえるならばクロス評価は互いの評価から漏れる子どもも判定する有用な方法である。また,小学校就 学前の早い時期において保健指導の必要性が示唆された。

○角張慶子 小池由佳 齋藤裕

子ども学科

【問題と目的】

現代社会の子育てにおいて、育児不安・ストレス・子育ての困難感などの存在が懸念されている。

それらを軽減する要因として「ソーシャル・サポート」があり、他者からのサポートが育児不安等 の軽減に寄与していることが明らかになっている。ソーシャル・サポートについて検討していく際 には、サポートの受け手の認知を考慮することが重要であり、それがサポートの有効性を決定づけ る要因であると考えられている(迫田・田中・淵上,2004)。本研究では、日常的な子育て中の意識お よびその中で母親自身が周囲の人からのサポートをどのように認知しているかについて検討を行う。

【方法】

調査対象:A県内の地域子育て支援拠点(2012年4月現在)の利用保護者。調査方法:質問紙法によ る(配布:支援拠点、回収:郵送法)。配布2165、回収892(回収率41.2%)。なお、回収892のうち、

回答者は母親が882名(98.9%)、その他(父親、無回答など)が10名(1.1%)であった。そのため、本 研究においては回答者の属性を統一するため、母親のみのデータを分析の対象とする。調査時期:

2013年9-11月。調査内容:子育て中の意識(2項目)、ソーシャル・サポート認知(5項目。子ども、

パートナー、家族、地域の人、社会、それぞれに支えられていると感じているか否か)

【結果と考察】

(1)基本的属性:<年代>20歳代209名(23.7%)、30歳代568名(64.4%)、40歳代94名(10.7%)< 子どもの数>1人462名(52.4%)、2人以上420名(47.6%)<家族形態>核家族563名(63.8%)、拡大 家族319名(36.2%)<就業状況>正規52名(5.9%)、非正規63名(7.1%)、育休中178名(20.2%)、離 職中589名(66.8%)<地域(市町村人口規模別)>政令市276名(31.3%)、10万人以上305名(34.6%)、 5万人以上10万人未満144名(16.3%)、5万人未満157名(17.8%)

(2)子育て中の意識について:子育ての毎日の中で「ホッとする時間」有743名(84.2%)無136名

(15.4%)、「子どもと離れたいと思うこと」有689名(78.1%)無189名(21.4%)。

(3)ソーシャル・サポート認知について:「子ども」有811名(92.0%)無58名(6.6%)、「パートナー」

有791名(89.7%)無82名(9.3%)、「家族」有798名(89.9%)無80名(9.1%)、「地域の人」有595名(67.5%) 無281名(31.9%)、「社会」有535名(60.7%)無324名(36.7%)。

(4)属性による意識および認知の違いについて:年代、地域、子ども数、家族形態、就業状況、の違 いによる、意識・認知の差の有無について、それぞれχ検定を行った。有意差が認められたのは 以下である。年代×「ホッとする時間」(χ2(3)=8.34,p<.05)「離れたい」(χ2(3)=9.90,p<.05)

「パートナー」(χ2(3)=12.70,p<.01)「地域の人」(χ2(3)=18.83,p<.01)、子ども数×「離れた い」(χ2(1)=6.90,p<.01)、家族形態×「家族」(χ2(1)=4.87,p<.05)、就業状況×「家族」(χ2(3)

=9.83,p<.05)「社会」(χ2(3)=11.82,p<.01)。住んでいる地域においては有意差は見られなかっ

た。上記の結果から、例えば40歳代においてパートナーからのサポート認知が他の年代より低い ことや20歳代において地域の人からのサポート認知が低いこと、30歳代後半・40歳代において子 どもと離れたいと思う割合が多くなるなど、属性によりサポート認知および子育て中の意識に差が あることが示唆された。

【全体的考察】

これらの結果を踏まえ、保護者のもつ属性をはじめとした背景および子育て支援に関するニーズに 沿った、一律ではない子育て支援のあり方が求められると考えられる。

子育て支援におけるサービス利用者の認識からみた提供体制の課題に関する研究

小池由佳1、角張慶子1、齋藤裕1

1 子ども学科

【目的】

地域子育て支援サービスは、少子化対策や児童虐待の防止を目的にその拡充がなされてきた。その 一方「サービスにつながらない利用者」に注目が集まっている。山縣は、社会福祉の構成要素の一つに

「援助者・援助技術」を示しているが、その必要性として 「どの支援が適切かわからない」「支援を利用す るための制度が複雑すぎる」「社会に適切な支援が存在しない」とする利用者の存在を挙げている。

同様のことが、地域子育て支援サービスでも起こっているために利用者がサービスにつながっていない のではないか。この仮説を検証することは、子育てに必要なサービスを適切に利用しながらの子育てに つながる。本研究では子育て支援における「相談」に着目し、利用者の認識から上記理由につながるサ ービス提供体制の課題を明らかし、サービス提供体制として必要な取り組みについて提言する。

【方法】

調査対象:A県内地域子育て支援拠点(2012.4 現在)を利用する保護者及び自治体の子育て相談 担当方法:質問紙調査(保護者対象:配布=支援拠点、回収=郵送 自治体:配布・回収いずれも郵送)

調査期間:2013.9-11

回収結果:利用者対象=2165 配布 892 回収(回収率 41.2%)自治体対象=30 配布 14 回収(回収率 46.7%)

調査内容:利用者対象=子育てに関する相談[①子どもへの関わり方②子どもの成長や発達③日常的な 家事のサポート④緊急的な子どもの保育]サービス経験の有無と利用しなかった理由 自治体=各子育 て相談担当者のサービス提供体制に対する認識と課題

【結果と考察】

利用者調査より、自治体調査で回答のあった 14 自治体在住の利用者(N=711)を抽出、分析を行う。

利用者調査:各相談内容別に「相談したいことはあったがしなかった」と回答したのは①14.5%②9.0%

③25.1%④11.4%であった。そのうち、サービス提供体制の課題に関する理由(相談先がわからなかった/

相談できるところがなかった/相談しても解決しないと思った)を挙げたのは①52.5%②36.5%③55.7%④ 65.0%(いずれも複数回答)となった。

自治体調査:いずれの相談内容についても各自治体では相談窓口を設けており、その周知を行って いた。相談体制について「改善の必要あり」と回答した自治体数は、①6②3③2④2 であった。

両調査の結果、「子どもの成長や発達」に関する相談は窓口に関する周知も充実し、相談していない理 由としてもその体制が与える影響は他の相談内容よりも低くなっている。自治体の体制としても現状で可と 認識していることから、利用者・提供者双方にとって望ましい仕組みが作られつつある。一方、その他の 相談は、機関につながらない理由に半数以上がそのサービス提供体制を掲げているにもかかわらず、自 治体として改善の必要性を認識している回答は少ないという結果であった。相談内容によってサービス提 供体制の課題が「サービスにつながらない利用者」を生み出していることが示された。

【今後の課題】

相談窓口が設置されているにも関わらず「相談先がわからなかった」「相談できるところがなかった」と 認識している利用者に対し、自治体としてその理由を再考する必要がある。その際「子どもの成長・発達」

相談に関する相談体制に着目することが再考の視点となるのではないか。また「相談しても解決しないと 思った」とする利用者について、その理由を詳細に分析することが今後の課題である。

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