• 検索結果がありません。

ホール ICL は従来の後房型有水晶体眼内レンズ ICL の中心部に小さな穴が開いたレンズです。

現在はまだ厚生労働省の認可が下りていませんが、倫理委員会承認の元で使用しています。

ICL はレンズが完全に瞳孔領を塞ぐために術前に虹彩切開をしておくか、手術中に虹彩切除 が必要でした。ごく稀に虹彩切開の穴が小さいような場合は瞳孔ブロックを起こす危険性が あり、術前のレーザー虹彩切開の処置は患者さんにとっても負担がありました。

このホール ICL を使う場合、房水がレンズ中心部の穴から抜けるために虹彩切開は必要あり ません。術後の眼圧も非常に安定しており穴があることによる視機能低下も無いことが報告 されています。

我々は、より詳細にホール ICL 挿入をした患者さんの術後データを検討し、夜間視機能など に影響がないか評価しています。

ホール ICL 手術後細隙灯顕微鏡写真

屈折・矯正

33

SMILE (small incision lenticule extraction)

SMILE とはフェムトセカンドレーザーのみを用いた屈折矯正手術です。手術の概念はレーシ ックと似ていますが、レーシックではエキシマレーザーで角膜を切除し角膜曲率を変化させ るわけですが、SMILE ではフェムトセカンドレーザーで正確に切除し、角膜の表面に開けた 3mm 程度の切開から切除した角膜実質を抜き取ることになります。

メリットとしては角膜フラップを作成しないので、知覚神経の切断が少なくてすみ、ドライ アイが起こりにくいことが挙げられます。また角膜周辺まで予定通りの切除が行えるため、

高次収差低減効果も期待できる治療として現在収差やドライアイなどに注目して研究も行っ ています。

●SMILE 手術の流れ

1.フェムトセカンドレーザーVisumax(Carl Zeiss 社)

で角膜内に Lenticule(角膜片)を作成します。

2.Lenticule を2〜4mm 程度の創口から引き抜きます。

3.最終的に Lenticule に相当する屈折矯正が行われる ことになります。

円錐角膜治療

円錐角膜治療は、2012 年にフェムトセカンドレーザーの角膜リング用プログラムを導入しま した。これで円錐角膜治療のオプションがほぼ全て揃ったことになります。

以下に、名古屋アイクリニックで行うことが可能な円錐角膜治療のリストを挙げます。

●名古屋アイクリニックにおける円錐角膜治療(2013 年 1 月現在)

1. 各種ハードコンタクトレンズ

患者さんが快適に日常生活が送れるように、目の状態にあったコンタクトレンズを提案し ています。サンコンタクトレンズ社、レインボーコンタクトレンズ社の円錐角膜用レンズ、

ローズ K などを揃えております。

34 2. ボストンレンズ

通常のハードコンタクトレンズは年齢とともに 装用が難しくなるケースが多く、最近は 40 歳 以降の方への処方が多くなっています。

違和感は通常のハードレンズと比べてずっと 少ないのが特徴で、基本的にレンズが角膜に さわらないので、どんな重症円錐角膜にも対応 できます。

最近では中国、韓国など海外からの患者さんも 増えてきています。

自費診療で両眼 50 万円(1 年間の診察料込み)と なります。

3. 角膜クロスリンキング

現在しっかりしたエビデンスのある唯一の 円錐角膜進行予防治療です。

学生の方が治療希望で多いため、夏休み、

春休みは比較的混み合いますから早めの ご予約をお願いします。

自費診療で片眼 10 万円となります。

4. 角膜リング

以前からお問い合わせの多かった治療ですが、

最近当院のフェムトセカンドレーザーがリング 対応となったためにようやく導入できました。

ハードコンタクトレンズのフィッティングが悪 い方や裸眼での視力を少しでも改善したい方向け の治療方法です。

自費診療で片眼 18 万円となります。

5. ICL(Implantable Collamer Lens)

円錐角膜で進行が止まっている方向けの屈折矯正方法です。この治療は眼鏡でもある程度 視力矯正が可能な方が対象となります。

6. 角膜移植

愛知県アイバンク及びアメリカのアイバンクからドナー角膜の提供を受け施行していま す。円錐角膜は角膜の内側の部分は悪くないので、その部分だけを残して行う深層移植と いう方法を行っています。この方法の利点は拒絶反応のリスクがないことです。最近では フェムトセカンドレーザーを用いて角膜を切開して移植を行っており、より正確な手術が 行えるようになってきています。2012 年は名古屋アイクリニックで計 12 眼の角膜移植を 施行しています。

35

■手術実績について

レ ー ザ ー 屈 折 矯 正 手術

LASIK(レーシック) 475

LASEK(ラゼック) 83

SMILE(スマイル) 43

有 水 晶 体 眼 内 レ ン ズ ICL 107

ほ か 角膜クロスリンキング 9

PTK(レーザー治療的角膜切除術) 38

■まとめ

現在、眼科疾患治療は単に見えるようになる時代から、よりよく見えるようにする時代に変化 しつつあり、治療に対する要求度も高まっていると感じます。

このような状態において我々の屈折矯正分野の担う役割は大きいと感じています。

今後も患者さんの Quality of vision を高めることを目標に臨床・研究を進めていきたいと思 います。

36

■スタッフのご紹介

医師

横山吉美 前田真理子 津久井真紀子

(*前田医師は 2012 年 7 月~2013 年 3 月米国カリフォルニア大学アーバイン校留学中)

■現在の取り組み(トピックス)

当院では乳児内斜視に対し、生後 6〜8 ヶ月以内の超早期手術を推奨しており、長期経過観察症 例を検討した結果、超早期手術を施行した症例では、正常立体視に近い立体視を獲得した症例 もでてきています。(2012 年日本弱視斜視学会総会シンポジウムにて発表〈横山吉美〉)

また、次の新しい取り組みとして、日本人の斜視で最も多数を占める間欠性外斜視において、

その発症原因を骨格の面から調査しています。

■手術実績について

小児斜視手術 62 例

外斜視 38 例 うち斜筋手術併施 9 例 内斜視 15 例 うち斜筋手術併施 1 例

上斜筋麻痺 8 例

眼振 1 例

成人斜視手術 25 例

外斜視 18 例 うち斜筋手術併施 1 例

内斜視 3 例

麻痺性斜視 1 例

下斜視 2 例

眼振 1 例

小児内眼手術 11 例 17 眼

先天白内障 2 例 4 眼

発達白内障 3 例 4 眼

水晶体偏位 1 例 2 眼

外傷性白内障 1 例 1 眼

先天緑内障 3 例 5 眼(追加手術含む)

続発性緑内障 1 例 1 眼

弱視斜視・小児眼科

37

■まとめ

以前より、この分野を専門とする医師の不足が言われています。

眼科の中では決してメジャーな分野とは言えず、この分野を学ぼうと思ってもよき指導医に恵 まれるのもある意味、運なのかもしれません。

また、日本の教科書では内容が限られており、主に海外の教科書や参考書、論文などを頼りに しているのが現状です。

しかしその分、非常にやりがいのある分野だと思います。

幸いよき指導医に恵まれ、海外留学の経験もさせていただき、現在は近隣や遠方の病院、医院 から多数の患者さんをご紹介いただき、充実した日々を送らせていただいています。最新かつ 適切な医療を常に考えながら、当院に受診してよかったと思っていただけることを目指して 日々診療を行っています。

外来のご案内

毎週水曜日午後に社会保険中京病院にて斜弱専門外来を行っています。

完全予約制になりますので病診連携室経由で予約をお願いしていますが、

早期治療が必要と思われる患者さんにおいては、直接眼科外来にお電話にてご相談ください。

左から:岡戸朋子 ORT、横山吉美医師、津久井真紀子医師

38

■スタッフのご紹介

医師

田邊吉彦 星野彰宏 安里崇徳

■現在の取り組み(トピックス)

主に眼瞼、眼窩、涙道疾患に対する診療を行っています。

・先天性疾患(先天性眼瞼下垂、内反症など)

・加齢性変化(老人性眼瞼下垂、内反症など)

・外 傷(眼瞼損傷、涙小管断裂、眼窩骨折など)

・炎症性疾患(霰粒腫、眼瞼炎、眼窩蜂窩織炎、甲状腺眼症など)

・涙 道 疾 患(鼻涙管閉塞、涙嚢炎など)

・腫瘍性疾患(眼瞼皮膚腫瘍、結膜腫瘍、眼窩腫瘍など)

・眼 瞼 痙 攣

2012 年 4 月の医療報酬改正に伴い、「涙道内視鏡を用いる涙管チューブ挿入術」が新たに加わり、

7 月に横浜で開催されたフォーサムにおいて第 1 回涙液涙道学会が行われました。

それにより涙道内視鏡手術が注目されるようになり、全国的に普及しています。

社会保険中京病院と飯田市立病院でも 8 月より開始しました。

涙道内視鏡(セッティング) SEP(Sheath-guided Endoscopic Probing)

N-S tube 内視鏡の画面(涙嚢内)

関連したドキュメント