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ベクトル解析 86

ドキュメント内 Fubini (ページ 86-93)

3.1.3 対称テンソル,交代テンソル

2階の共変テンソル(双1次形式)が対称であるとはφ(v, v) =φ(v, v)をみ たすことであり,交代であるとはφ(v, v) =−φ(v, v)をみたすことである.

3.1.4 高階のテンソル

反変ベクトル全体V について,どの成分についても線形な写像φ: VkR をk重1次形式,またはk階の共変テンソルという.k個の共変ベクトル(1 次形式)φ1, . . . , φkがあれば,反変ベクトルv1, . . . , vkについて

φ(v1, . . . , vk) =φ1(v1)× · · · ×φk(vk) で定義すればk重1次形式が得られるが,これをテンソル積

φ=φ1⊗ · · · ⊗φk

で表す.対称テンソル,交代テンソルも2階のときと同様に定義される.

共変ベクトル(1次形式)φ1, φ2について

1, φ2] =φ1⊗φ2−φ2⊗φ1

を交代積または外積という.これは2階の交代テンソルである.

3次元ならば4階以上の交代テンソルは0だけである.実際,φ(v1, v2, v3, v4) は各viは基底ベクトルによって決定されるが,必ず,その中に同じものがあ ることになる.交代テンソルならば,同じものがあれば,0に等しいことか らわかる.

3.1.5 スカラー場,ベクトル場,テンソル場,微分形式

空間V の各点に,スカラー,ベクトル,テンソルが対応するものを,それ ぞれ,スカラー場,ベクトル場,テンソル場という.スカラー場は,共変ベ クトルと見なせる.ベクトル場aについて,(a, v) =φ(v)とおけば,1次の 微分形式(共変ベクトル場)が作れる.また,(a×v, v) = det(a, v, v)は2次 の微分形式(共変テンソル場)が得られる.

k次の共変テンソル場をk次の微分形式という.1次の微分形式φ, ψにつ いて,交代積により,2次の外微分形式

ω= [φ, ψ]

を外積という.3次の外微分形式も3つの1次の微分形式φ, ψ, τから[φ, ψ, τ] も作れる.これも外積という.

3.1.6 勾配,全微分

C1級のスカラー場fについて,

gradf = (∂f

∂x,∂f

∂y,∂f

∂z )

はベクトル場になる.

(gradf, v) =df(v)

により,1次微分形式(共変ベクトル場)dfを定義する.このdfをスカラー場 f の全微分とよぶ.

1次微分形式ω

ω=ωxdx+ωydy+ωzdz

と表す.すなわち,ベクトルv= (vx, vy, vz)に対応する値は ω(v) =ωxvx+ωyvy+ωzvz

となる.このとき,スカラー場f の全微分は df= ∂f

∂xdx+∂f

∂ydy+∂f

∂zdz と表されることになる.

各点(x, y, z)に対して,x方向の値xを対応させるスカラー場の全微分は

dxで表されるとみなせる.すなわち,全微分はdx, dy, dzを基底とする線形 空間になる.

3.1.7 拡散 (div)

拡散を2つの見方から説明しましょう.

閉曲線から出て行く量 平面R2に速度v =v(x, y)の流れがあるとしましょ う.CをR2の単純閉曲線とします.Cの小さな部分∆から外へ出る量は∆ での法線ベクトルnとの内積(v,n)×∆と考えられます.Cの中から出て行 く発散量は,Cを1周するのですから,

C

(v,n)ds で与えられます.

29 v= (1,0),Cは単位円とします.そのとき,発散量はC(t) = (cost,sint) とおいてds=√

x(t)2+y(t)2dt=dtですから

C

(v,n)ds=

0

cost(−sint+ cost)dt= 0

30 Cは単位円とします v(x, y) =

( x

x2+y2, y x2+y2

)

のときは(x, y) = (cost,sint)とおくとv= 1r(cost,sint) = (cost,sint)です

から ∫

0

1ds= 2π

小さな正方形から出て行く量 ここでも直感的にわかりやすくするために,

F = (f, g)をR2の上のベクトル場とします.このとき,

divF =∂f

∂x+∂g

∂y

です.1辺がhで左下の点を(x, y)とする正方形を考えましょう(図3.1).左側

f(x, y) f(x+h, y)

(x, y) (x+h, y)

図3.1: x方向への拡散

の辺から入ってくる量はf(x, y)×h,右側の辺から出ていく量はf(x+h, y)×h, したがって,差し引き

f(x+h, y)h−f(x, y)h ∂f

∂xh2

となります.同じように,下側の辺から入り,上側から抜けていく量を考え れば,全体でdivF ×h2だけ,この正方形から出ていきますから,単位面積 あたりの出て行く量が拡散divF ということになります.

記号ナブラ= (∂x ,∂y )をベクトルのように考え,ベクトル場と内積をと るとみなせば

divF = (∇,F) とも表せます.

3次元の場合にも同じように定義できます.3次元の場合には.ベクトル場 F = (f, g, h)について

divF = ∂f

∂x +∂g

∂y +∂h

∂z となります.内積を用いて形式的に

divF = (∇,F) =





∂x

∂y

∂z

,

 f g h





と表すこともできます.

2つは同じ 示すべき式は閉曲線Cの内部をV で表すと,v= (f, g)として

C

(v,n)ds =

∫ (f(x(t), y(t)) g(x(t), y(t)) )

· (

y(t)

−x(t) )

dt

= ∫ (

−f(x(t), y(t))y(t) +g(x(t), y(t))x(t)) dt

=

C

f(x, y)dy−g(x, y)dx=

V

∂g

∂y +∂f

∂xdxdy=

V

divvdxdy となりますこれはGreenの定理になります.

3.1.8 回転 (rot)

まず,平面上の回転を考えてみましょう.速度v=v(x, y)の中を単純閉曲 線Cに沿って左回りに1周します.C上の点(x, y)でdsの方向の単位ベク トルをtと表してv·tが単位長さds当たりの回転の力と考えられるので,そ れを1周積分すれば ∫

C

v·tdsCに与える回転と考えます.

31 x軸に平行な流れv(x, y) = (1,0)として,単位円を1周しましょう.

Cを(cost,sint)でパラメータ付けすると,t= (sint,cost)なので,回転は

0

sint dt= [

cost ]

0 = 0 32

v(x, y) = ( x

x2+y2, y x2+y2

) という流れの中で単位円上を1周しましょう.

0

costsint

r +sintcost r dt= 0

これもGreenの定理を用いて面の積分にしましょう.v = (f(x(t), y(t)), g(x(t), y(t))) として∫

C

v·tds=∫ (

f(t)x(t)+g(t)y(t)) dt=

C

f dx+g dy=

D

∂g

∂x−∂f

∂ydxdy 回転は右ねじの法則のように,閉曲線Cに直交する方向に力が働くと考えた 方が自然です.したがって,回転を3次元で考えるようにしましょう.これ までに定義してきたgradやdiv などと違うことに注意しましょう.上の式の 右辺はz軸方向への回転の量と考えようというわけです.

(x, y, z)

f(x, y, z)

(x+h, y, z) g(x+h, y, z)

(x+h, y+h, z) (x, y+h, z)

−f(x, y+h, z)

−g(x, y, z)

図3.2: 回転 F = (f, g, h)をR3のベクトル場としましょう.

rotF = (∂h

∂y −∂g

∂z, ∂f

∂z −∂h

∂x, ∂g

∂x −∂f

∂y ) と定めます.外積を用いて形式的に

rotF =∇ ×F =





∂x

∂y

∂z





×

 f g h



とも表せます.

xy平面内に(x, y, z)を左下の点として1辺hの正方形を考え,それを左回 りに1周しましょう.(x, y, z)から(x+h, y, z)へ移動する際に,それを手助 けしてくれる力はf(x, y, z)×h,逆に(x+h, y+h, z)から(x, y+h, z)に戻 る際に,手助けしてくれる力は−f(x, y+h, z)×hなので,差し引き

−f(x, y+h, z)h+f(x, y, z)h≈ −∂f

∂y h2,

同様にy方向に移動するときに得る量は

g(x+h, y, z)h−g(x, y, z)h≈ ∂g

∂xh2

であるので,1周するときに手助けしてくれる力は,単位面積あたり

∂g

∂x −∂f

∂y

というわけです.この回転の力を右ねじの法則を考えるように,xy平面に直 角なベクトルとして与えることにします.同様にyz平面やzx平面に回転す る力を考えたのが回転rotであるというわけです.

3.1.4 grad, div, rot に関する公式

ベクトル量に対する微分演算を行って,さまざまな関係式を研究すること をベクトル解析と言い,物理学では基本的な道具として利用します.以下の 式では現れる関数やベクトル場は十分に滑らかであること,すなわち必要な だけ微分可能であることを仮定しています.まず,微分の和や積の公式から 次のような関係が成り立つことは容易に確かめられます.

grad(af+bg) =agradf+bgradg grad(f g) =gradg+gradf, 同様に,fを関数,F,Gをベクトル場とするとき,

(∇,(aF +bG)) = a(∇,F) +b(∇,G) (∇,(fF)) = f(∇,F) + (∇f,F) も微分の和や積の公式から容易に導けます.

よく使われる重要な式としては

div(gradf) = ∆f (3.1)

rot(gradf) = 0 (3.2)

div(rotF) = 0 (3.3)

rot(rotF) = grad(divF)∆F (3.4) があげられます.どれも一見,難しそうに見えますが,定義に戻って計算す るだけで何も特殊なテクニックを用いることなく確かめることができます.

証明. 式(3.1)は

div(gradf)) = div (∂f

∂x,∂f

∂y,∂f

∂z )

=

∂x (∂f

∂x )

+

∂y (∂f

∂y )

+

∂z (∂f

∂z )

= ∆f

ドキュメント内 Fubini (ページ 86-93)

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