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プローブ情報を活用した安全性向上対策への展望

第 7 章 まとめ

7.2 課題と今後の展望

7.2.3 プローブ情報を活用した安全性向上対策への展望

1)観光行動を活性化する交通安全対策について

第2章で示したように観光行動における自動車利用の懸念材料の一つに「交通 事故」がある.また,高齢化社会の進展とともに,日常生活での移動だけでなく,

高齢者の観光行動において自動車の利用が増加することが想定される.一方で,

高齢者の交通事故の増加が懸念されており,身体能力が低下してくる高齢者に対 して,いかに適切な情報をタイミングよく提供し交通安全の向上に寄与できるか は非常に重要な課題となってくる.

第6章で実施した潜在的事故危険箇所対策については,プローブ情報の特性を 活用し,休日の利用が多く,急減速挙動発生率が高い箇所における交通安全対策 の実施と効果分析を行った.観光行動により休日の利用交通が多い道路では,今 回のようなプローブ情報を利用した平日・休日別の利用率や急減速挙動の発生分 析を行い,対策を実施することが考えられる.

また,注意喚起を向上する全反射テープ装着後の状況として,平日よりも休日 の方が急減速挙動の削減率が大きい状況であった.休日の観光行動の場合,始め て走行する道路と毎日活用する道路とでは,ドライバーの心理状況が大きく異な ってくると思われる.初めて走行する道路や走行経験の少ない週末ドライバーに とっては,現地における急減速挙動多発箇所等の注意警告情報は有効性が高い可 能性がある.今後は,始めて走行する道路等の個人の走行条件や高齢者などの走 行特性と急制動挙動との関連や交通安全対策の効果との関連を分析していくこ とは重要なテーマである.

2)プローブ情報を活用した交通安全対策の展望

本研究により,過去に蓄積された大量のプローブ情報を活用することは,潜在 的な事故危険箇所の特定や交通安全対策による安全性向上効果を短期間で効率 的に分析することに有効であることを示すことができた.また,潜在的事故危険 箇所対策として簡易に実施できる対策として,標識による注意喚起情報提供や急 制動挙動多発マップの情報提供等を行うことが考えられ,今回の研究では,その 有効性を示すことができた.急制動挙動多発マップや現地での情報板による注意 喚起情報提供の場合,ドライバーへの認識率の向上が課題であり,今後はカーナ ビ等による情報提供により認識率の向上を図っていくことが考えられる.

道路上の交通流や路面状況の変化がプローブ情報としてリアルタイムに取得 できるようになると以下のようなサービスも可能になってくる.7.2.1 で述べた ように,過去の蓄積されたデータにより急減速挙動発生と道路構造要因,道路交 通状況(交通量,渋滞状況)や道路路面状況(雨や雪,凍結等)の要因の関係が 整理できれば,リアルタイムに取得できた交通状況の変化や路面状況変化により,

特定路線における交通事故危険状況の変化を推定できることになり,カーナビ等 へのリアルタイムな事故危険注意情報などの情報提供を行うことも可能になっ てくる.つまり,過去に蓄積された交通事故データによる事故危険箇所注意など の標識による「静的対策」が中心となっていた対策が,今後のプローブ情報活用 により,道路交通状況をリアルタイムに把握し,交通状況変化や路面状況変化に 対応して,カーナビ等へリアルタイムな事故危険注意情報提供を行うなどの「動 的対策」へと大きな変革の時代を迎えると考えられる.

加えて,ドライバー個人の特性データ(年齢,性別,急制動発生履歴など)や

目的(観光,通勤など)を反映することで,より的確な,個人にカスマタイズさ れたデータ提供を実現できるようになると考えられる.近い将来に向けては,個 人データを活かしたドライバーごとの事故危険注意情報提供などの「利用者の真 のニーズ」に応じたサービス提供により,安全性が向上した道路利用が期待され ることになる.

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