第 5 章 分析ツールの開発
5.5 プロット
本手法では、1つのカテゴリを1つの小さな円として表現する。これをプロットと呼ぶ。プ ロットの描画は、高速化のためOpenGLを利用している。
5.5.1 ブレンドモード
OpenGLは、すでに描画されているオブジェクトの上に新たにオブジェクトを描画する際、
重なり合う部分の着色をどのようにするかを決めることが出来る。本手法では、プロット同 士が重なりあった部分着色のブレンドモードとして、上書き(図5.20)と加算(図5.21)の 2種類を用意した。
図5.20:ブレンドモード:上書き 図5.21:ブレンドモード:加算
上書き
上書きは、すでに描画されているオブジェクトの上に重ねて描画する。このモードは古い 描画が埋もれていくため、表面に見えているプロットは新しいものとなる。
加算
加算は、すでに描画されているオブジェクトの色と、新しく描画する色を加法混色によっ てブレンドする。上書きでは大きなプロットの下に小さなプロットが隠れてしまうことがあ るが、加算では隠れたプロットも見通すことが出来る。RGBチャンネル同士を加算した色で 描画していくため、大量にプロットした場合は色の値が最大値に達し、図5.21のように白く なってしまうことがある。
ブレンドモードを加算にしている場合、着色の明度を下げると、1つのプロットのRGBの 値が小さくなり、描画結果が白くなってしまうのを抑えることが出来る(図5.22)。また、明 度をさらに下げると、プロットの色の傾向が見えるようになる(図5.23)。
図5.22:加算で明度を60%で描画 図5.23:加算で明度を10%で描画
5.5.2 テクスチャ
OpenGLを使ったプロットの描画には、円形のテクスチャを用いている。このテクスチャ
は、ユーザー操作によって自由に変更できる。テクスチャやプロットサイズ、5.5.1で述べた ブレンドモードの設定によって、プロットの分布が見やすくなる、色の量が見やすくなるな どの変化が生まれる(図5.24)。
5.5.3 魚眼レンズ
本提案手法では、プロットを大量に描画する。この時、プロット同士の位置関係を詳しく 見たい場合や、大量のプロットを掻き分けて見たい場合にこの魚眼レンズ機能を用いる。次 元ビューの円内にマウスカーソルが侵入すると、マウスカーソルの近くにあるプロットは周 囲に押しのけられるように移動する(図5.25)。このツールはリアルタイムにプロットを描画 するため、マウスカーソルを動かすと逐次押しのけられた結果が表示される。マウスカーソ ルを円の外に出すと、プロットは元の位置に戻る。また、魚眼レンズの半径はユーザーが任 意に変えることが出来る。
図5.24:テクスチャとブレンドモードによるバリエーション
図5.25:魚眼レンズを使ったインタラクション
5.5.4 データの詳細表示
本手法ではレコードをカテゴリデータとしてまとめている。カテゴリは重心の他にカテゴ リの名前、カテゴリに属するレコード数の合計、重みの次元が設定されている場合は重みの 合計を詳細データとして表示することが出来る。重みの合計とは、次元ビューに対して重み の次元が設定されていた時、カテゴリに属するすべてのレコードの、重みとして指定された 次元の値の合計である。
魚眼レンズを使ったインタラクション中、マウスのすぐ近くにあるプロットのカテゴリ名、
レコード総数、重みの合計、の順番でカテゴリの詳細が表示される(図5.26)。マウスが侵入 している次元ビューでは、マウスを始点としたプロット位置の延長線上に詳細データを表示 してプロットと線で結ぶ。それ以外の次元ビューでは、マウスが侵入しているビューにおけ る位置と同じ位置に詳細データを表示し、プロットと線で結ぶ。
図5.26:データの詳細表示