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プロジェクト実施の背景

ドキュメント内 ホンジュラス共和国 (ページ 32-100)

3-1 ホンジュラスにおける関連政策と現状 3-1-1 関連国家政策・計画

(1)ホンジュラス国家ビジョン、国家計画、政府計画

現政権(2010年~2014年)は、今後28年にわたる長期的な国家像を示した「国家ビジョン(2010 年~2038年)」を作成し、その国家ビジョン内で、中期計画である「国家計画(2010年~2022年)」

において、今後12年間の戦略と達成目標(指標)を示している。さらに、現政権の4年間で実現 すべき事項を示した「政府計画(2010年~2014年)」を発表している。

国家ビジョン(2010年~2038年)では、以下の4つの柱が設定されている。

1) 極貧が無く、教育があり健康で、社会的団結がある体制を伴う国家 2) 安全性が確保され、暴力の無い、民主主義の発展のある国家

3) 資源の持続的管理、環境の脆弱性低減の下での生産性を持ち、雇用が創出される国家 4) 近代的で、透明性が確保され、効率的で競争力のある国家

3番目の柱では、目標の1つとして、150万haの森林地の生態的回復を図ることを掲げている。

国家計画(2010年~2022年)では、地域開発・自然資源・環境分野のビジョンとして、2022年ま でに、「持続的環境開発の枠組み内で、社会経済成長のためのマネジメントモデルとして地域開発を 強化していく」ことを挙げている。また、すべての保全地域に関して、有効な運営計画を作成する ことを目標に挙げている。

「政府計画(2010年~2014年)」では、国家ビジョンと同じ4つの目標を掲げ、自然資源・環境 に関わる一般目標として「持続的な環境改善を住民参加型で、政府機関と民間セクターが密接に協 力しつつ、リスク要因と生態的脆弱性を低減させる」ことを目指している。そのための政策手段と して、森林資源の保全と持続的管理、水資源と水文流域の総合的管理が重点項目に含まれている。

3-1-2 関連セクターの国家政策

(1)森林政策

ア)国家ビジョン(2010年~2038年)と国家計画(2010年~2022年)の森林政策

ホンジュラスの政府の自然環境や森林政策の全体的な機軸は、国家ビジョン(Visión de País)2010 年から2038年と国家計画(Plan de Nación)2010年から2022年で示されている。この計画書では、

第4章に、国家計画の戦略の枠組みが示されており、86ページから102ページには「地域開発・

天然資源・環境」に関して述べられている。計画書の本文は、分野ごとの「現状分析」が主にな っており、森林に関しては次のように現状分析されている。

まず、「森林はホンジュラスで主要な土地利用であり、面積は約560万ha(国土の49%)を占め ているが、年間約7万ha(推定)の森林が消失している」。また、「国土の74%は林業に適した土

壌である一方、約430万haは、伝統的な農業に使用されるか低木に覆われている」と分析してい る。

次に、森林資源の管理に関する政府の規範として、「森林・保護地域・野生生物法」を挙げてい る。

天然資源・環境の主要な課題として、「天然資源や環境管理」のために、制度の近代化、行政の 円滑化、地方分権、権限委譲と適切な予算配分などのプロセスを発展させることや、法的枠組み を調整し、全国的なシステムを構築することが挙げられている。加えて、「国の天然資源の利用、

保全、保護の主要アクターとしての市民社会や地域社会」が明記され、「市民を巻き込むこと」の 重要性が述べられている。

国家計画では森林分野の将来へのビジョンとして、2022年までに「森林面積の減少が(年間)

70%削減されること」を挙げ、「現在、劣化状態にある40万haの(森林に適する土壌の)土地を

炭素クレジットの世界市場へ参入するプログラムに組み込むことを目指す」としている。また、

すべての保護地区において実効性のある運営・管理計画を策定するとし、「生態系サービスに対す る支払い(Payment for Ecosystem Services:PES)モデル」が(運営・管理の)財源の80%を生み 出すことができるようになる」との目標をあげている。

2034年までのビジョンとして、天然資源の持続的利用の分野で中米のリーダー国になることを 目指し、森林に関しては、年間の森林減少がゼロになることを目標としていることや、現在、劣 化している100万haの(森林に適する土壌の)土地が、炭素クレジット世界市場で取引されるこ とを目標としている。

保護地区に関しては、すべての保護区において実効性のある管理計画が策定され、PESモデル により、管理費用が100%捻出されることを目標としている。

最後に、国家計画には、「国家計画進捗状況モニタリングのための指標マトリックス」が、ベー スライン年(2009年)から2038年まで、表3-1のとおり示されている。

表3-1 国家計画進捗状況モニタリングのための指標マトリックス(森林関係)

No. 指標 2009

ベースライン

2013年 2017 2022年 2038

38 炭素クレジット国際市場で取引きされ ながら生態的・生産的に回復されている 土地面積(haICF

0 100,000 250,000 400,000 1,000,000

40 持続的財政メカニズムを伴う管理計画 を有する保護地区の割合 %ICF

12 50 100 100 100

出典:Visión de País 2010 – 2038 y Plan de Nación 2010 – 2022(ホンジュラス国、国家ビジョン2010年~2038年、国家計 2010年~2022年)戦略指針 第7番:地域開発・天然資源・環境 (p145~146

(2)流域管理(水資源管理)政策

ア)国家ビジョン(2010年~2038年)と国家計画(2010年~2022年)の流域管理(水資源管理)

政策

政府の流域管理(水資源管理)政策 1の機軸として、国家計画2010年から2022年では、水資源 管理の基本政策として、「貯水池や多目的ダムの建設により、中・長期的なベンチマークを作り、

全国の水資源利用率を高める」ことが謳われている。国家計画では、水資源の活用度の向上は「生 産性と経済成長と国民の生活の質を向上するため」に不可欠だとの認識が述べられている。

水資源管理に関する国の規定として、「水と衛生分野に関する枠組み法(2003年)」や「森林・

保護地域・野生生物法(2007年)」「国内上下水道自治サービス法(1961年)」「国内水利用法(1927 年発効以来有効)」などが水資源管理のための具体的な規定として示されている。また、「水基本 法(2009年)」が最近発効したと述べられている。

国家計画の水資源分野のビジョンとして、2022年までに「水資源の純利用率と生産的な目的の ためのダムの許容量を5%(2009年)から17%に増加させる」ことを目標としている。2022年に は、エネルギー需要の60%が「再生可能エネルギー」によって賄われることを目標とし、水源涵

養地域の70%において管理計画が策定されることを目標としている。

2034年までのビジョンとして、水資源の堰止め(ダム)率や水資源純利用率が中米で最も高い 値(25%)になる目標を掲げている。また、水源涵養地域の100%で管理計画が策定されることを 目標としている。国家計画では、水資源管理に関して、表3-2のような国家計画進捗状況モニ タリングのための指標マトリックスが示されている。

表3-2 国家計画進捗状況モニタリングのための指標マトリックス(水資源・流域関係)

No. 指標 2009 2013 2017 2022 2038 37 水資源堰き止め率と使用率 (%)

SERNA

5 7.5 12.5 17 25 39 水資源堰き止め率と使用率 (%)

SERNA

10 35 55 70 100 出典:Visión de País 2010 – 2038 y Plan de Nación 2010 – 2022(ホンジュラス国、国家ビジョン2010年~2038年、国家計 2010年~2022年)戦略指針 第7番:地域開発・天然資源・環境(p145~146)

イ)SERNAが担当する流域管理に関する政策

SERNAでの聞き取りにおいて、以下を確認した。「流域に関する政策(案)」が、2000年から

2008年にかけてSERNAにより策定された。しかしながら、クーデターの影響で承認作業が中断 し、現在に至っても承認されていない。現在、微修正を加えながら、年内の承認を目指し、手続 きを進めている。

また、流域管理の政策は国家計画(Plan de Nación)で述べられている2。流域に関する政策と同 期的に、SERNAにより作成された「水基本法」は2009年に承認されており、水資源に関する最 新の法令であり、政策を含んでいる。

ウ)ICFが策定した流域管理に関する流域管理の国家戦略

ホンジュラスにおける流域管理に関する(具体的な)国家戦略として、ICFが主管で作成してい る「ホンジュラス国流域管理国家戦略 2011年3」(アクエルド 2011年:Acuerdo numero-014-2011)

1 流域(河川、湖沼とその周辺)管理は、水資源の一部として取り扱われている。

2 国家計画で述べられている「流域管理や水資源管理」に関す記述は、前述の通りである。

3 ESTRATEGIA NACIONAL DE MANEJO DE CUENCAS EN HONDURAS

が存在する。この戦略では、2022年までに、全国の優先流域のすべてにおいて、総合的な流域管 理の手法に基づき、関係機関や市民社会との効果的な協調・調整を行い、流域管理のための戦略 指針を実施することを目標としている。

戦略の基本的な考え方として、自然資源の保護と管理に関わるすべてのアクターの参加を促し、

さまざまな流域管理メカニズムを最適の方法で実施するとしている。実施体制は、中央政府レベ ルでは、ICFと国家森林協議委員会(El Consejo Consultivo Nacional Forestal:COCONAFOR)が主 導し7機関1で組織される国家流域管理技術委員会(Comité Técnico Nacional para el Manejo de Cuencas:CTN-MC)などが中心となり戦略を実施するとしている。なお、この戦略の和訳(抜粋)

は、付属資料4として、本報告書に添付する。

(3)地方分権化政策の進捗と現状

ホンジュラスにおける地方分権化は、1990年代から進められ、1990年10月に施行された「地 方自治体法 (Ley de Municipalidad Decreto 134-90)」により、さまざまな行政サービスに関する業 務が地方自治体に委譲されてきた。地方自治体の予算は、自治体の自己収入(税金や許認可収入)

と中央政府からの交付金からなるが、2010年には国家予算の7%を地方交付金として地方自治体に 交付している。なお、ホンジュラスには289市があり、このうち、243市(約81%)が、小規模で 脆弱な市あるいは最も弱小で脆弱な市に分類されている〔2007年、内務司法省(当時)による分 類〕。

ほとんどの市は、小規模自治体であり、財政・組織・行政能力ともに低いため、分権化に伴っ て委譲された権限や資金を開発に活かしきれていない。そのため、住民のニーズに合わない事業 の実施や、不透明な資金の活用が顕在化しているとされている。また、選挙の度に市長が交代し、

同時に市職員も総入れ替えになる傾向にあり、市行政に知見が蓄積されにくいといった課題が確 認されている。このような状況を踏まえ、市の能力不足を補う方策として、市連合会の役割が重 要性を増している。市連合会とは、個々の市では解決が難しい課題に対して対処することを目的 に、近隣の複数の市によって設立される地域団体で、その構成する市に対して技術支援を提供す る。選挙による影響を受けにくく、各種行政サービス向上に係る知見が蓄積しやすいという強み があるため、市に対する支援の窓口として市連合会を活用するドナーが多い。

(4)土地利用計画・地域開発政策

2003年に土地利用法(Ley Ordenamiento Territorial)が制定され、2004年に施行された。そして、

2004年に土地利用法一般規定が施行された。この一般規定では、①全国土地利用計画、②地域土 地利用計画、③市土地利用計画、④特別地域土地利用計画、⑤その他を作成することが記載され ている。

また、現政権になってから、地域区分制という新しい取り組みも導入されている。地域区分制 は、地理的条件(河川流域)に基づき国土を16地域に分割し、各地域に地域開発委員会を設置し て、地域レベルの国土開発計画の策定・実施を進める計画である。この業務は、国家計画・国際 協力省(Secretaría Técnica de Planificación y de Cooperación Externa:SEPLAN)が担当している。た

1 CTN-MCを構成する7機関は、SERNA、SAG、SANAA、SGJ(内務省:Secretaria de Gobernacidn y Justicia)、COPECO、ENEE、INA なっている。

ドキュメント内 ホンジュラス共和国 (ページ 32-100)

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