第4章 プロジェクトの妥当性の検証
4-1 プロジェクトの効果
本プロジェクトの実施により期待される直接的な効果は以下のとおりである。
現状と問題点 本計画での対策
(協力対象事業)
計画の効果・改善程度
1) 保管スペースが不足しており、ラ ックも不十分であるために医薬 品の大半は床に山積みされてい る。
必要保管スペースを整備 し、必要容量のパレットと ラックを整備する。大型資 材用として平置き保管スペ ースを設ける。
保管スペース、パレットと ラックが整備され、保管物 品は全てラック及び平置き スペースに保管される。こ れにより適切な保管ロケー ション管理が行えるように なる。
2) 保管スペースの不足により適正 な保管ロケーション管理が行え ておらず、入出庫のための十分な 作業スペースもないために、保 管・入出庫作業に時間を要してい る。
保管・入出庫作業が効率的 に行えるようになる。
3) 向精神薬・劇物、可燃・危険物等 は区分保管されずに倉庫内に混 在している。保冷設備もないた め、保健スポーツ省の保冷庫を借 用している。
保管対象に応じて区分保管 のための必要保管スペース を確保し、必要容量のイシ ューイングラックを整備す る。
保冷品用の保管スペースを 設け、薬用冷蔵庫を整備す る。
保管される全ての医薬品 類・資材は適切な環境の下 で区分保管管理される。
4) 大容量のボトルで購入している 錠剤は地方センターにおいて不 適切な環境の下で手作業により 小分けされ、安全性に問題のある ビニール袋の形で消費者に配布 されている。
ブリスター機を整備し、衛 生的に管理された作業環境 の下でブリスター加工を行 えるようになる。
ブリスター化された医薬品 の供給量が、取り扱い医薬 品全体の10%(2005年)から 増加し、安全な医薬品の供 給量が増加する。
中央センターに大型トラッ ク2台、冷蔵装置付き中型 トラック1台、地方センタ ーに小型トラック11台を 整備する。
最大20日程度を要している 中央センターから地方セン ターへの医薬品配送日数が 短縮され、適切な温度管理 下で配送できる医薬品の比 率が20%(2005年)から増加 する。
5) 中央センターから各地方センタ ーへの配送は保有車両の不足に より全体のおよそ80%を民間業 者に委託しているが、経由地で留 め置きされるために到着日が確 定できず、最大で20日間も要し ている。また、冷蔵車両もないた め、温度管理のなされない環境下 での配送を強いられている。11 箇所の地方センターの内、配送車 両を保有しているのは8箇所に すぎず、その内7台は老朽化のた め配送に支障をきたしている。
6) 民間業者による配送は他の建設 資材等と区別されることもない 上に盗難にも遭いやすく、配送 途中での破損・損失を招いてい る。
医薬品の配送時に生じる破 損・紛失率が取り扱い 医薬品全体の10%(2005年) から減少する。
7) 中央センターはエルアルトの民 間借用倉庫を使用し、本部機能 はラパスの保健スポーツ省施設 を間借りしている。ラパスから エルアルトまでは片道30分以 上を要し、オンラインシステム もないため、運営上の負担とな っている。
中央センター施設内に事 務室をはじめとする本部 機能諸室を整備する。
倉庫部門と運営管理部門が 一体化され、効率的な運営 が行えるようになる。
また、間接的な効果として以下が期待できる。
保管・配送環境が整備されることにより、CEASSが取り扱う医薬品の供給量が増加し、
ボリビア国民の安全且つ安価な医薬品に対するアクセスが向上することで貧困層に裨益 する。
4-2 課題・提言
本プロジェクトの効果が十分に発現、持続するためにボリビア国側が取り組むべき課題 として以下が挙げられる。
• 保管ロケーション管理システムの導入
CEASS が現在使用している在庫管理システムには保管ロケーションを管理する機能は
備わっていない。現在のシステムでも事業遂行に支障はないが,CEASSの医薬品取扱量は 今後も継続的に増加していくことが予想されるため、効率的な保管・配送を行うことによ り在庫回転率を高めていくことが必要となるところ、将来的には保管ロケーション管理シ ステムを導入することが望ましい。
• プログラム医薬品供給体制の改善
プログラム医薬品は保健スポーツ省が管轄し、CEASS は保管と配送の一部のみ行って いるが、保健スポーツ省における担当窓口はプログラム毎となっている。プログラム医薬 品に関する保健スポーツ省とCEASS間の情報共有化を強化し、CEASSがより効率的な 保管・配送を行うためには担当窓口の一元化が望まれる。
4-3 プロジェクトの妥当性 1) 裨益対象
ボリビアでは2006年5月にSUMI拡大計画が実施され、将来のユニバーサルプライマ リー基礎保健(SUPB:仮名)への発展も既に視野に入っていることから、公的医療機関 を通しての医薬品ニーズは増大する傾向が顕著であり、今後は SUMI/SUPBを通じて、
これまで手薄となっていた地方部・貧困層に対して医薬品を普及させることが課題とされ ている。CEASSはSUMI対象必須医薬品および保健スポーツ省が計画するプログラム医 薬品を全国の公的医療施設に供給する国内唯一の非営利公的機関であり、本プロジェクト の整備はボリビア国民全体871万人(2001年)に裨益する。
2) プロジェクトの目標
本プロジェクトはCEASSの医薬品保管・配送能力とブリスター化された医薬品の供給 能力を強化することにより、安全な医薬品を適切な保管環境と配送環境の下で全国に安全 且つ計画的に供給できる体制を構築し、ボリビア国民の医薬品へのアクセスを改善するこ とである。
3) 緊急性
CEASSは貧困削減戦略において唱われたMDGs達成に向けて、必要な医薬品をボリビ ア国民に供給する使命の下で運営されているが、現状では保管規模、保管環境、配送手段、
医薬品安全性、運営事務環境の全てにおいて不十分且つ不適切な環境下での活動を強いら れており、ボリビア国民に対する医薬品流通の安全性、確実性、迅速性が脅かされている。
既にSUMI拡大計画も実施されており、早急にCEASS医薬品供給体制の強化を図る必要 がある。本プロジェクトの緊急性は極めて高い。
4) 上位計画との整合性
ボリビア政府は 2001 年貧困削減戦略を策定し、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に 向けた優先課題を定め、保健関連目標として乳幼児死亡率の削減や妊産婦の健康改善を掲 げている。保健スポーツ省は2003年にSUMIを導入し、同年、国家医薬品供給制度(SNUS)
を整備して、全国の公的医療施設に対してSUMI対象必須医薬品を安定的に供給するため
に CEASS を実施機関とする医薬品供給体制を構築した。本プロジェクト対象である
CEASSは医薬品供給にかかる唯一の非営利公的機関としてMDGs達成のために重要な役 割を担っている。
5) 維持管理能力
CEASS は保健スポーツ省の下部機関であるが、独立採算体制により運営されている。
黒字収支による順調な財務内容を維持しており、専門知識・経験を有する多数のスタッフ を擁している。本プロジェクトの実施に伴い、現在の職員 70 名に加えて、新規導入され るブリスター機関連の技術者を始めとする 20 名の職員を補充する予定である。運営・技 術上の問題はない。取扱い医薬品量は今後増加していくことが予想され、販売収入を勘案 して効率的な体制で運営に臨めば持続的な運営が十分可能である。
6) 環境への配慮
計画地はエルアルト市郊外の工業地帯であり、建設に当って自然環境の新たな改変を必 要とするものではない。また、計画施設は周囲の景観に調和する低層の施設で、汚水は敷 地内で適切に処理され環境への負の影響は無い。
4-4 結論
本プロジェクトは前述のような効果が期待されると同時に、広くボリビア国民全体の医 薬品へのアクセスに寄与するものであることから、我が国の無償資金協力を実施すること の妥当性が確認される。さらに、本プロジェクトの運営・維持管理についても、相手国側 の実施体制については要員及び技術水準は十分で問題はないと判断される。しかしながら、
本章4-2で記した課題・提言が改善・実施されることで、本プロジェクトはより円滑かつ効 果的な事業となることが期待できる。
□ 資料
1. 調査団員・氏名 2. 調査行程
3. 関係者(面会者)リスト 4. 討議議事録(M/D)
5. 事業事前計画表(基本設計時)
6. プログラム医薬品月間保管割合(2005) 7. ブリスター価格試算
8. 参考資料/入手資料リスト
Ap-1 Apéndice-1. Miembros del Equipo de Estudio 資料 1. 調査団員氏名・所属
1.1 Estudio de Diseño Básico 1.1 基本設計調査
KURAMOTO Bunkichi 蔵本 文吉
Líder del Equipo 総括
Representante Residente de la Oficina de JICA en Bolivia
JICAボリビア事務所長
KURAMITSU Minako 倉光 美奈子
Planificación y Coordinación 計画管理
Equipo de Salud, Grupo II de Gestión de Proyectos, Departamento de Administración de Cooperación Financiera no Reembolsable, JICA
JICA無償資金協力部
業務第二グループ保健医療チーム職員
KAWABE Yasuaki 河辺 泰章
Consultor en Jefe /Planificación de Proyecto
業務主任/施設計 画
Matsuda Consultants International Co., Ltd.
㈱マツダコンサルタンツ
IGUCHI Hiroyuki 井口 博之
Planificación en Arquitectura 建築設計
Matsuda Consultants International Co., Ltd.
㈱マツダコンサルタンツ
MIMURO Naoki 三室 直樹
Planificación y Adquisición de Equipos /Estimación de Costo
機材・調達計画/
積算
International Techno Center Co., Ltd.
㈱国際テクノ・センター
KAJIWARA Minoru 梶原 稔
Planificación de Ejecución
/Estimación de costo 施工計画/積算
Matsuda Consultants International Co., Ltd.
㈱マツダコンサルタンツ
MASUDA Michiko 増田 理子
Traducción 通訳
Translation Centre Pioneer 翻訳センターパイオニア