協力プログラムを策定するにあたっては、対象が先住民族であることから以下のような事項に 留意する必要がある。
先 住 民 族 の 文 化 的 、 先 住 民 族 の 文 化 的 、 先 住 民 族 の 文 化 的 、 先 住 民 族 の 文 化 的 、
先 住 民 族 の 文 化 的 、歴 史 的 な 背 景 を 理 解 し 尊 重 し た 協 力 内 容 と す る歴 史 的 な 背 景 を 理 解 し 尊 重 し た 協 力 内 容 と す る歴 史 的 な 背 景 を 理 解 し 尊 重 し た 協 力 内 容 と す る歴 史 的 な 背 景 を 理 解 し 尊 重 し た 協 力 内 容 と す る歴 史 的 な 背 景 を 理 解 し 尊 重 し た 協 力 内 容 と す る
先住民族の行動や生活様式には外部の人間が見ると一見不合理に見えることがある。しかしな がらよく観察するとそこには必ず合理的な理由がある。先住民族に対して「変化を拒絶する無知な 農民」といった偏見や先入観はまず捨てるべきである。
また先住民族の開発問題には必ず強弱はあるにしても「国民国家(Nation State)」の概念と相反す るアイデンティティの問題がかかわってくることになるため、十分に注意する必要がある。例え ば、スペイン語で先住民族全体を指す言葉は「Indígena(インディヘナ)」という単語が一般的であ るが、エクアドルでは先住民族全般を指す言葉として「Nacionalidad(ナシオナリダ)」という言葉を 使っている。この言葉の本来の意味は「国籍」とか「自治」であり、エクアドルの先住民族の非常に 強い民族的アイデンティティを表現したものである。つまり現在はエクアドルという領域に住ん でいるが、自分たちはエクアドル人ではなく、ルナであるとかオタバロであるといったエスニッ ク・グループにアイデンティティを置いていることの現れである。
したがって先住民族の文化や社会、歴史的な背景を熟知している人類学や社会学の専門家をプ ログラム、プロジェクトの調査、形成段階から参加させることが必要である。
貧 困 の 度 合 い が 最 も 高 い 地 域 や グ ル ー プ を 対 象 と す る 貧 困 の 度 合 い が 最 も 高 い 地 域 や グ ル ー プ を 対 象 と す る 貧 困 の 度 合 い が 最 も 高 い 地 域 や グ ル ー プ を 対 象 と す る 貧 困 の 度 合 い が 最 も 高 い 地 域 や グ ル ー プ を 対 象 と す る 貧 困 の 度 合 い が 最 も 高 い 地 域 や グ ル ー プ を 対 象 と す る
都市部よりは農村部、男性よりは女性、非先住民族よりは先住民族における貧困問題がよりひ どく深刻である。現在以上に貧困の度合いが高くならないよう、格差が広がらないようにすると いう観点からは貧困層にも裨益するといった介入ではなく、最も貧困の度合いが高い地域やグ ループを対象として直接介入するべきである。
地域としては、市町村レベル23の比較的人口規模の小さな行政区等を対象地域として絞り込み、
プロジェクトやプログラムを実施する。広範囲での介入は成果が見えにくく、モニタリング、評 価が困難である。また成果を目に見える形にするためには莫大な資源の投入が必要となる。
対象とするグループは貧困の度合いが最も高い女性や子供を中心にする。特に女性の開発は多 くの貧困関連事象と密接な関係があり、女性の貧困状態の解決や地位の向上は多くの貧困にまつ わる問題の解決につながる。女性の教育レベル・識字率と合計特殊出生率、子供の健康状況(特に
栄養状況)、子供の教育レベル(就学率、学習到達度、放棄率、進学率)には強い相関関係がある ことが実証されており、女性の教育レベルの向上によって人口増加の抑制、子供の健康改善、次 世代への貧困の移転防止が可能となる。
プ ロ ジ ェ ク ト の 安 全 管 理 に は 十 分 配 慮 す る プ ロ ジ ェ ク ト の 安 全 管 理 に は 十 分 配 慮 す る プ ロ ジ ェ ク ト の 安 全 管 理 に は 十 分 配 慮 す る プ ロ ジ ェ ク ト の 安 全 管 理 に は 十 分 配 慮 す る プ ロ ジ ェ ク ト の 安 全 管 理 に は 十 分 配 慮 す る
先住民族はしばしば、現地の行政機関でさえも完全に把握できないような遠隔地に住んでいる。
また極端な貧困や居住領域の天然資源の帰属問題などにより、反政府組織に取り込まれるケース も多々ある。さらに麻薬の栽培など犯罪組織が関係している場合もある。前項と矛盾するような 事であるが、プロジェクトに従事するスタッフの安全を考慮すると、このような地域での協力は 極力避けるべきである24。どうしても協力対象地域にせざるを得ない場合は、その地域に対する協 力方法は安全確保を最優先として策定するなど、慎重に対処する必要がある。
ただし安全であると思われている地域でも、上記のような地域と隣接していたり、気がつかな いうちに反政府組織が進出していたということは十分あり得ることである。常時現地当局や村民 からの情報には十分に注意を払っておく必要がある。
先 住 民 族 組 織 の 参 加 を 伴 っ た 介 入 を 図 る 先 住 民 族 組 織 の 参 加 を 伴 っ た 介 入 を 図 る 先 住 民 族 組 織 の 参 加 を 伴 っ た 介 入 を 図 る 先 住 民 族 組 織 の 参 加 を 伴 っ た 介 入 を 図 る 先 住 民 族 組 織 の 参 加 を 伴 っ た 介 入 を 図 る
先住民族コミュニティには女性、教育、保健、農業等の各種の組織がある。貧困問題の解決は 単に助成金や物資の配布、施設の建設のみでは達成できない。そこには必ず受益者のライフ・ス タイルの変革が不可欠となり、外部からの介入のみでは変革は難しい。したがってコミュニティ のニーズや条件を一番理解している先住民族自身が計画の当初から参加することが必要である、
プログラム、プロジェクトが対象とする地域の規模、対象分野、対象者によって最も適切な先住 民族組織をカウンターパートとすることが重要である。
また対象とする地域や地区の住民は必ずしも先住民族のみであるとは限らない。したがって先 住民族に対象を絞り込むためにも先住民族組織の参加を伴った計画や先住民族組織を通じた支援 が必要となる。
さらにプロジェクトの成否と持続可能性については、プロジェクト・サイトにおける社会関係 資本25の形成や蓄積に大きく左右される。事前の調査によって対象地域の社会関係資本の有無や 形態を十分調査し、どのようなアプローチ方法26を協力内容に盛り込むかを検討する必要がある。
単 独 の 分 野 へ の 投 入 で は な く 、 単 独 の 分 野 へ の 投 入 で は な く 、 単 独 の 分 野 へ の 投 入 で は な く 、 単 独 の 分 野 へ の 投 入 で は な く 、
単 独 の 分 野 へ の 投 入 で は な く 、同 時 に 複 数 の 分 野 に 介 入 を 図 る同 時 に 複 数 の 分 野 に 介 入 を 図 る同 時 に 複 数 の 分 野 に 介 入 を 図 る同 時 に 複 数 の 分 野 に 介 入 を 図 る同 時 に 複 数 の 分 野 に 介 入 を 図 る
貧困・格差の是正は所得、雇用、保健医療、教育、電気、上下水道、通信、住宅等の多岐にわ
24 個人的な意見であるが、危険地域での協力を避けるといった安全管理策ばかりではなく、派遣されるスタッフ のコミュニケーション能力(特に語学力)の向上といったポジティブな対応の強化も必要であると感じている。
25社会関係資本(Social Capital)という言葉は、「援助と社会関係資本」(2001 年、アジア経済研究所)に依った。ま た概念は『哲学する民主主義 伝統と改革の市民的構造』(2001 年、パットナム)における概念を想定している。
26アプローチの種類には「活用アプローチ」、「除去アプローチ」、「醸成アプローチ」がある。「援助と社会関係資本」
(2001 年、アジア経済研究所)
たる問題である。またそれらが複雑につながっており、一つの問題があるときは原因となり、あ るときは結果となっている。個別の問題の解決のみでは逆効果もあり得る。貧困層を対象に乳児 死亡率を低下させるプログラム・プロジェクトを単独で実施し効果があった場合、同時に適切な 家族計画の実施や所得向上が図られていなければ、いたずらに貧困者を増加させる結果になり、
貧困問題の解決にはならない。
そのため複数の分野に対して複数の援助資源を投下することが必要である。
例えば、女性の教育レベルや識字率の低さをもたらす一つの典型的なパターンとして以下のよ うなことが考えられる。一般的に農村部では生産性の低い小規模農業のために家計レベルの所得 が低い。そのため副業や出稼ぎが必要になるが多くの場合男性が中心となる。男性が不在の間、家 事や育児などの労働に加え、男性が行っていた労働を負担せざるを得なくなり、女性の教育機会 は減少する(また母親の代わりに女児が育児をすることも同様に教育機会を減少させる)。この場 合、農業の生産性の向上といった介入によって最終的には女性が受益者となる可能性がある。し たがって直接女性の貧困や開発に介入していないと思われるプロジェクトやプログラムでも、設 計や期間次第では女性が潜在的なターゲットとなり、同時に直接介入するプロジェクトやプログ ラムを実施している場合には双方からのアプローチとなり成果の発現のスピードや大きさに正の 影響を与えることが予想される。
ただし、これは我が国がすべての分野に対して援助をしなければならないという意味ではない。
あらかじめ貧困や格差是正のためのプロジェクト・コンポーネント*を用意し、対象地域で相手国 政府(地方政府を含む)、他のドナーや NGO によって実施されている各種のプログラムやプロジェ クト、基礎インフラの整備予定を入念に調査し、不足している分野に対して戦略的に及び柔軟に コンポーネントを組み合わせて投入し、結果として対象地域の貧困問題解決に必要な資源をでき るだけ多くして短い時間で多くの問題に対処するということである。したがって、こうした戦略 的な投入にあたっては、他ドナーや NGO との協調も視野に入れる必要がある。
*プロジェクト・コンポーネント
プロジェクト・コンポーネントの選択・策定にあたっては、図 6 − 1 の先住民族開発課題体系図中の中間目標 のサブ目標にあるような課題がそれぞれどのように関係しているかを把握し、戦略的にコンポーネントとして 組み合わせる必要がある。そのために図 7 − 1 のような開発課題ごとの関係が視覚的に分かるようなツールの開 発も必要ではないかと思う。
図 7 − 1 は、図 6 − 1 で示したサブ目標の課題を抜粋し作成したものである。例えば「識字教育の拡充」と「公 衆衛生知識の向上」という課題には関連性があり、前者が後者に対して強い影響がある場合は、上向きの矢印
(↑)をいれる。もし双方が原因にも結果にもなる場合は双方向(↑↓)を入れる。また関係の強弱を矢印の太さ
(↑)で表現する等、それぞれの課題の関係を検討する。そしてほかの課題との関連性が高いものや、ある課題 の原因ともなり得るようなものを優先的にコンポーネントとして選択しプロジェクト設計する。