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プラズマ振動

ドキュメント内 多体問題 (ページ 41-46)

TDAとの大きな違いは, 引力が強いときの集団状態の励起エネルギーである。(3.9)で示したよう に, TDAではκ≤κTDA のとき負の励起エネルギーが現れるが, RPAでは

κ≤κRPA= 1

DRPA(0) = 1 2∑

ph

|fph|2 ϵph

=κTDA

2

になると, 集団状態の励起エネルギーは実数ではなく複素数になる。これも引力に対する系の不安 定性を表す。

粒子–空孔エネルギーϵphϵに縮退している場合, (3.26)の解は

(ℏωλ)2=ϵ2

1 + 2κ ϵ

ph

|fph|2

 となる。残留相互作用が弱くて

κ

ph

|fph|2≪ϵ のとき

ωλ≈ϵ+κ

ph

|fph|2

で近似できTDAの結果に一致する。一方, 引力が強くなるとω2λ<0 となるから,前に述べたよう にωλは実数ではなくなる。

になる。ただし,mを電子の質量としてEk=ℏ2k2/(2m)

Ckσ,kσ(q) =k+qσ ,kσ|v|kσ ,k+qσ Bkσ,kσ(q) =k+qσ ,kqσ|v|kσ ,kσ である。v は電子間のクーロン力

v(1,2) = e2

|r1r2| を反対称化した行列要素を表す。一般に

k1σ1,k2σ2|v|k1σ1,k2σ2=δσ1σ 1δσ2σ

2

e2 V2

d3r1d3r2

exp (

i(k1k1)·r1+i(k2k2)·r2 )

|r1r2|

=δσ1σ 1δσ2σ

2

e2 V2

d3r2 exp (

i(k1k1+k2k2)·r2

)

×

d3r

exp (

i(k1 k1)·r )

r

=δσ1σ1δσ2σ2δk1+k2,k1+k2

e2 V

1

|k1k1|2 ただし, (2.14)を使った。したがって

Ckσ,kσ(q) =k+qσ ,kσ|v|kσ ,k+qσ

=k+qσ ,kσ|v|kσ ,k+qσ⟩ − ⟨k+qσ ,kσ|v|k+qσ, kσ⟩

= 4πe2 V

( 1

|q|2 δσσ

|kk|2 )

Bkσ,kσ(q) =k+qσ ,kqσ|v|kσ ,kσ

=k+qσ ,kqσ|v|kσ ,kσ⟩ − ⟨k+qσ ,kqσ|v|kσ,,kσ⟩

= 4πe2 V

( 1

|q|2 δσσ

|kk+q|2 )

になる。q=|q|が小さいとき|k| ≤kF,|k±q|> kFを満たす k|k| ∼kF である。したがって, 平均的には|kk| ∼kFであり,C,B の括弧内の第2項は1/q2に比べて無視できる。以下では

Ckσ,kσ(q) =Bkσ,kσ(q) =v(q)

V , v(q) =4πe2 q2 とする。(3.28), (3.29)に上式を代入すると

(ℏω−Ek+q+Ek

)

X= v(q) V

(∑+ kσ

Xkσ+∑ kσ

Ykσ

)

(

ω+Ekq−Ek )

Y= v(q) V

(∑+ kσ

Xkσ+∑

kσ

Ykσ

)

したがって

N =∑+

X+∑

Y

とおくと

X= v(q) V

N

ω−Ek+q+Ek, Y =−v(q) V

Nω+Ekq−Ek これをN の定義式に代入すると

F(ω,q) =2v(q) V

(∑+ k

1

ω−Ek+q+Ek

k

1 ℏω+Ekq−Ek

)

= 1 (3.30) になる。因子2はスピンの自由度(σの和)である。

θk=

{ 1, |k| ≤kF

0, |k|> kF

とするとF(ω,q)

F(ω,q) = 2v(q) V

k

( θk(1−θk+q)

ω−Ek+q+Ek θk(1−θkq) ℏω+Ekq−Ek

)

である。第2項でkk に置き換えθk=θk,Ek=Ek を使うと F(ω,q) = 2v(q)

V

k

(θk(1−θk+q)

ω−ωk,q −θk(1−θk+q) ℏω+ωk,q

)

= 2v(q) V

k

θk(1−θk+q) 2ℏωk,q

(ℏω)2(ℏωk,q)2,ωk,q =Ek+q−Ek (3.31) と表すこともできる。

F(ω,q)ωの関数として図示すると下図のようになる。F(ω,q)ω=±ωk,qで発散し,ω→ ∞ では 1/ω2 に比例する。系の体積 V が有限ならばk は離散的であるから ωk,q も離散的な値をと る。破線は

ω=ωk,q = ℏ 2m

(

2k·q+q2 )

, ただし |k| ≤kF, |k+q|> kF (3.32) である。交点ωF(ω,q) = 1の解を与える。

F(ω,q)

1

0 ω

図から分かるように解には2種類ある。1つは破線に挟まれた解である。V → ∞ では破線の間 隔は無限小になるから,この解はωk,q になり連続的に分布する。これは粒子・空孔励起である。粒 子・空孔励起のω には|k| ≤kFであるため上限ωmaxがある。(3.32)より

ωk,q = ℏ 2m

(

2k·q+q2 )

2m (

2kq+q2 )

2m (

2kFq+q2 )

=ωmax(q) である。

残りの解は,前図で1/ω2で減少していく曲線との交点である。これは粒子・空孔励起とは別の種 類の励起で集団励起である。プラズマの場合,この励起状態はプラズマ振動と呼ばれ,粒子・空孔励 起よりも高い励起エネルギーに現れる。プラズマ振動の励起エネルギーω を求めよう。(3.31)の

S=∑

k

θkθk+q

2ℏωk,q

(ℏω)2(ℏωk,q)2 =∑

k

θkθk+q

2(Ek+q−Ek) (ℏω)2(Ek+q−Ek)2 の部分でk=k+qとすると

S=∑

k

θkqθk

2(Ek−Ekq) (ℏω)2(Ek −Ekq)2 k =kとすると

S =∑

k

θk+qθk 2(Ek−Ek+q)

(ℏω)2(Ek−Ek+q)2 =−S であるからS= 0になる。したがって

F(ω,q) =2v(q) V

k

θk

2ℏωk,q

(ℏω)2(ℏωk,q)2 = 2v(q) V

k

( θk

ω−ωk,q θkω+ℏωk,q

)

=v(q) (

f(ω,q) +f(−ω,q) )

になる。ただし

f(ω,q) = 2 V

k

θkω−ωk,q

である。kの和を積分で表すと f(ω,q) = 2

V V (2π)3

kF 0

d3k 1

ω−ωk,q = 1 2π2

kF 0

dk k2

1

1

dt 1

ω−ℏ(2kqt+q2)/(2m) ここで,t= cosθ,θqk のなす角である。更に

k=kFk, x= mkFq

(

ω−q2 2m

)

とすると

f(ω,q) = mkF222q

1 0

dkk (

log|k+x| −log|k−x|)

= mkF222q

[

2xk+ (k2−x2) log k+x

k−x ]k=1

k=0

= mkF2

22qg(x), g(x) = 2x+( 1−x2)

log 1 +x

1−x

であるから

F(ω, q) =v(q) mk2F22q

(

g(x+) +g(x) )

, ただし x± = mkFq

(

±ω−q2 2m

)

(3.33) になる。係数

v(q) mkF2

22q =e2mk2F π2q3

x± の次元は無次元である。例えば,ここで採用しているCGS静電単位系では,無次元の微細構 造定数αα=e2/cであることに注意すると

e2mk2F π2q3 = α

π mc2kF2

c q3 = [エネルギー][長さ]2

[エネルギー×長さ][長さ]3 =無次元

である。

q 0 のとき F(ω, q) = 1 の解を求めよう。ω ̸= 0 とすれば q→0 のときx± → ± ∞ になる。

x→ ± ∞では

g(x) = 2x+(

1−x2)2 x

( 1 + 1

3x2 + 1 5x4+· · ·

)

= 4 3x

( 1 + 1

5x2 +· · · )

であるから

F(ω, q) =v(q) mkF222q

( 1 x+ + 1

x +1 5

( 1 x3+ + 1

x3 )

+· · · )

これと

1 x+

+ 1

x kFq

q2

, 1 x3+ + 1

x3 3 (ℏkFq

)3

q2 より

F(ω, q) =v(q) k3Fq222

( 1 +3

5 (ℏkFq

)2

+· · · )

(3.34) である。したがって

ωp=

√ 4πe2

m k3F2 =

√4πe2ρ

m , ρ= k3F

2, vF=ℏkF

m とするとF(ω, q) = 1

ωp2 ω2

( 1 + 3

5 v2Fq2

ω2 +· · · )

= 1,ω≈ωp

( 1 + 3

10 v2Fq2

ωp2 )

(3.35) になる。ωpをプラズマ振動数という。vFはフェルミ速度である。

(3.33)を用いて F(ω, q) = 1を数値的に解いた結果を下図に実線で示す。破線は近似解(3.35)を 表す。電子密度ρとして金属中での電子密度ρ≈1023cm3= 100 nm3 を用いた。

mc20.5×106eV,c≈200 eV nm, α= e2c 1

137 であるからωpを概算すると

ωp=

√4πα(ℏc)3ρ mc2

√4π×(200)3×100

137×0.5×106 eV = 80

π

137eV = 12 eV

である。粒子・空孔励起エネルギーの最大値ωmaxに対してω(q) =ωmax(q)となるq以上では,プ ラズマ振動に対応する実数解は存在しない。

ωmax (q)

2kF

kF

ωp

10 20

10 20 30

ω(eV)

q(nm1) 粒子・空孔励起

プラズマ振動は次のような簡単な古典力学的議論でも導ける。電子の平衡状態の密度をρ0 とす る。平衡状態ではプラズマは電気的に中性であるから,正電荷の粒子の密度ρBρB =ρ0である。

正電荷粒子は電子に比べて重いため, その電荷密度は電子の運動に無関係に常に ρ0 とする。電子 の密度がρ=ρ0+δρ(r, t)に変化したとすると,ポアソン方程式から

∇·E= 4πe (

ρB(

ρ0+δρ(r, t) ))

=4πe δρ(r, t)

の電場E が発生する。電子ガスの速度場をv(r, t) , 圧力をP(ρ)とすると,運動方程式は微小量の 1次まで考えると

0∂v

∂t =P(ρ0+δρ)−eρ0E=−κδρ−eρ0E, κ= ∂P

∂ρ

ρ=ρ0

である。また,連続の方程式は

∂ρ

∂t +·ρv= ∂δρ

∂t +ρ0∇·v= 0 である。したがって

2δρ

∂t2 =−ρ0∇·∂v

∂t = κ

m2δρ+0

m ∇·E= κ

m2δρ−4πe2ρ0

m δρ (3.36)

になる。長波長(q→0 )では右辺第1項は第2項に比べて無視できるから

2δρ

∂t2 =4πe2ρ0

m δρ これからδρは角振動数 √

4πe2ρ0 m で振動する。

ドキュメント内 多体問題 (ページ 41-46)

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