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6. その他の仮想通貨

6.4 ブロックチェーンを使わないもの

賛同しないマイナーたちはEthereum Classic(ETC)としてFrontierのイーサリアムを続 けている。Metropolisと呼ばれる第3段階とSerenityと呼ばれる第4段階の内容と実施時 期は未定であるが、あと2 回ハードフォークして4 種類のイーサリアムが併存する可能性 がある。利用者側からすると、ハードフォークの際に当事者同士でどちらの系列で取引を続 けるのか決めておく必要がある。新系列に移行するためには、ソフトウェアなどの更新が必 要になる可能性が高く、多くの関係者が参加するグループでは全ての参加者のアップデー トを待つまでに一定の時間がかかるため、あえて旧系列での取引を続けることも考えられ る。

を保有しているわけではなく、Ripple社やシステムに対する信用により成り立っている。

Rippleの口座にはXRPだけでなく、JPYやUSDなども入れることができる。XRPは 後述する準備金やトランザクションフィーに利用されるが、必要最低限の残高があればよ

い。Rippleには、カスタマー、業者(オンラインショップなど)、ゲートウェイ、マーケッ

トメイカーという 4 種類のノードが存在する。ここでは、カスタマーと業者を合わせてユ ーザーとする。ゲートウェイはユーザーの台帳を管理するノードであり、ユーザーはゲート ウェイにJPYなどを預けて借用証書(IOU:I owe you)を受け取る。これは預かり証であ り、銀行預金の通帳に相当する。ユーザーはゲートウェイに対する預け入れ限度額(与信枠 という)を設定する必要があり、普段の利用額よりも少し多めに設定しておけばよい。

Rippleでの送金はIOUのやり取りという形で行われる。ユーザーは通常1つのゲートウェ

イを使うが、複数のゲートウェイを使ってもよい。この場合、複数のゲートウェイから預か ったIOUを統合したり分割したりできる。つまり、ゲートウェイに作った口座間の資金を 移動できるが、この操作をリップリング(Rippling)という。ユーザーから見ると、ゲート ウェイは銀行として機能している。実際の銀行制度と異なり預金保険制度がないため、ゲー トウェイが破綻すると口座残高は失われてしまう。ゲートウェイ選びを慎重に行う必要が ある。

図表 20 Rippleのネットワーク

(出所)Ripple wikiホームページ。

図表20での青丸や緑丸がユーザー、灰丸がゲートウェイを表している。ゲートウェイは 通常1 種類の通貨を担当しており 26、他の通貨への送金をするためには、対応ゲートウェ

26 ゲートウェイ所在地の通貨を担当し、通貨取り扱いのための現地の法制度に従う。

イを利用する必要がある。ゲートウェイ同士をつなぐのがマーケットメイカー(黄丸)であ り、外国為替取引所として機能している。

送金するには、送金金額とは別に 20XRPの準備金が必要になる。20XRP の口座残高は 送金するための資格として必要であり、攻撃者が何度も送金してシステムをダウンさせる ことを防ぐために導入されている。送金の手数料は10drop(0.00001XRP)であり、これは 破棄されてしまうため、長期的にはXRPは減少していくことになる。

Rippleにはマイナーはなく、承認者(validator)が取引を承認する。承認者のうち80%

以上が取引を承認すると取引が成立する。承認は数秒で終わる。Ripple は送金にかかる時 間は 4 秒だとしている。承認者は相互評価をしており、きちんと機能していない承認者は リスト(ユニークノードリスト:UNL)から削除される。承認者は事実上Ripple社が決め るため、承認作業は集中的に行われているといえる。分散型を目指す他の仮想通貨と異なっ ている。

Rippleは銀行間の決済も仲介している。銀行がRippleに接続することにより、銀行の顧

客は国際送金を銀行→Ripple→相手先銀行という経路で実施することができる。銀行は

SWIFTなどを用いずに素早く送金できるサービスを提供でき、企業は取引先銀行を通じて

国際送金を低コストで実現できる27。すでに多くの金融機関がRippleを導入している。

*Stellar (XLM:ルーメン):2014年7月開始、発行額第13位(約3億8,000万USD)

StellarはRippleからフォークして作られたため、Ripple と同じようなシステムを採用 している。当初はステラという通貨単位を用いていたが、2015 年にルーメンに改めた。

Ripple が金融機関をターゲットにしているのに対して Stellar は個人をターゲットにして

いるといわれている。 XRPと異なり、XLMは1%ずつ増加するように設定されている。

1XLMは100万stroops。

送金には100 stroops の手数料が必要で、5×信用枠設定数+20XLM の残高が口座にな

ければならない。

27 送金手数料は銀行が設定するが、Ripple利用コストが低いため顧客に提示する手数料を低くできる。

参考資料

 アンドレアス・M・アントノプロス(2016)『ビットコインとブロックチェーン』NTT 出 版。

 川野祐司(2016)『ヨーロッパ経済とユーロ』文眞堂。

 George Danezis and Sarah Meiklejohn (2016)、Centrally Banked Cryptocurrencies、 :www0. cs.ucl.ac.uk/staff/G.Danezis/papers/ndss16currencies.pdf。

 European Central Bank(2015)、Virtual Currency Schemes。

 Satoshi Nakamoto(2008)、Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System. Webで入手 可。

 Yuji Nakamura and Lulu Yilun Chen(2017)、“Bitcoin Miners Signal Revolt Amid Sluggish Blockchain、” Broomberg、March 13。

 Arvind Narayanan、Joseph Bonneau、Edward Felten、Andrew Miler and Steven Goldfeder(2016)、Bitcoin and Cryptocurrency Technologies、WEBで入手可。

統計・情報サイト

 Bitcoin日本語情報サイト:https://jpbitcoin.com/

 Blockchain.info:https://blockchain.info/

 Coin Dance:https://coin.dance/stats

 Bitcoin Wisdom:https://bitcoinwisdom.com/

 Map of Coins:https://mapofcoins.tumblr.com/

 CryptoCurrency Market Capitalizations:https://coinmarketcap.com/

仮想通貨公式ホームページ

 Bitcoin:https://www.bitcoin.com/

 Litecoin:https://litecoin.org/

 DASH:https://www.dash.org/

 Zcash:https://z.cash/

 Primecoin:http://primecoin.io/

 Bytecoin:https://bytecoin.org/

 NXT:https://nxt.org/

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