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7.1

標準と基準(注1)

自動車基準認証国際化研究センター発行の日本の自 動車安全・環境に関する制度 - カントリーレポートに よれば、「標準」と「基準」の違いは、「標準」は技術 仕様であって遵守することが義務づけられていないも のであり、「基準」は法律に基づき遵守することが義 務づけられたものである。

標準とは鉱工業製品に関して生産、流通、使用(消 費)の各方面を通じて適用される技術的使用の標準で あり、原材料、機械、器具などの種類、寸法、性能お よび試験方法などが定められたものとなっている。

自動車に関係する標準には、

(1) 団体標準:日本自動車技術会の標準である JASO

( 自 動 車 団 体 標 準 )、 米 国 自 動 車 技 術 会 の SAE Standard などがあり、国家標準である JIS や国 際標準の ISO を補完している。このうち SAE 規 格は自動車に関してはかなりの部分が ISO 化さ れている。

(2) 国 家 標 準: 国 家 的 に 認 め ら れ た 標 準 機 関 に よ っ て 制 定 さ れ た 標 準 で 日 本 で は JIS が 相 当 する。JIS は積極的に国際標準 ISO との整合化

(harmonization)を図っている。

(3) 国際標準:国際標準化機構(ISO)の定める ISO 標準、

国際電気標準会議(IEC)の定める IEC 標準など が自動車に関連する代表的な国際標準である。図 7.1 に基準と標準の体系図を示す。

7.2

ブレーキ基準とブレーキ技術

日本で自動車に関する基準は昭和 26 年 7 月 28 日運 輸省令第 67 号道路運送車両の保安基準で平成 20 年 7 月 7 日国土交通省令第 59 号として改正されたものが 現在最新のものである。それまでに百数十回の改正が 行われ新しい規制が追加されている。制動装置に関す る条項は第 12 および 13 条である。その条文は二系統 ブレーキ(常用ブレーキと駐車ブレーキ)以外に何を 規制しているのかを知るには、別に定められた告示お よび別添を見る必要がある。

また欧州では 1970(昭和45)年に国連欧州経済委員 会(ECE)でブレーキの基準として R13 が制定され た。この基準には路面摩擦係数(μ)利用率の制定 などがあり、後輪液圧制御装置の装着が必須である。

1998 年に国連機関である ECE の技術基準との国際調 和を図る協定(グローバル協定)が結ばれ、現行の 保安基準(制動装置に関する 12 条および 13 条)は ECE R13H と全く同一の内容となっている。米国では FMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standard)

No.105 が昭和 42(1967)年に制定され二重ブレーキと 圧力失陥警報装置の装着を義務付けている。これとは 別に、小型車のカテゴリーの基準として ECE R13H と 整 合 さ せ た FMVSS 135 を 1998(平成10)年 に 制 定 しており、ブレーキの安全基準はほぼ世界中同じ規格 と な っ て い る。FMVSS に し て も ECE R13H に し て も数十回の改正をへて現在の基準となっているのは保

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57

7 ブレーキに関する法規制

7.1 標準と基準(注1)

自動車基準認証国際化研究センター発行の日本の 自動車安全・環境に関する制度-カントリーレポートに よれば、「標準」と「基準」の違いは、「標準」は技術仕様 であって遵守することが義務づけられていないものであ り、「基準」は法律に基づき遵守することが義務づけら れたものである。

標準とは鉱工業製品に関して生産、流通、使用(消 費)の各方面を通じて適用される技術的使用の標準で あり、原材料、機械、器具などの種類、寸法、性能およ び試験方法などが定められたものとなっている。

自動車に関係する標準には、

(1) 団体標準: 日 本 自 動 車 技 術 会 の 標 準 で あ る

JASO(自動車団体標準)、米国自動車技術会の

SAE Standard

などがあり、国家標準である

JISや国

際標準の

ISO

を補完している。このうち

SAE

規格 は自働車に関してはかなりの部分が

ISO

化されて いる。

(2) 国家標準: 国家的に認められた標準機関などに よって制定された標準で日本では

JIS

が相当する。

JIS

は 積 極 的 に 国 際 標 準

ISO

と の 整 合 化

(harmonization)を図っている。

(3) 国際標準: 国際標準化機構(ISO)の定める

ISO

標準、国際電気標準会議(IEC)の定める

IEC

標 準などが自動車に関連する代表的な国際標準で ある。

7.1 に基準と標準の体系図を示す。

*  Traffic Safety and Nuisance Reserch Institute's Automotive Type Approval Test Standard (新型自動車の試験方法)

図7.1 基準と標準の体系図(自動車基準認証国際センター カントリーレポートから)

J A S O J S A E

J I S J I S C 経済産業省

T R I A S * 道路運送車両の

保安基準 I S O

国土交通省

国連 ECE 標準 (任意) 基準 (強制)

日本工業標準調査会 国際標準化機構

日本自動車技術会

自動車団体標準

図 7.1 基準と標準の体系図(自動車基準認証国際化研究センター カントリーレポートから)

自動車用液圧ブレーキ技術の系統化調査

249

安基準と同様である。その改正に伴いブレーキの技術 開発、改良が行われてきた。

現行の保安基準の 12 条および 13 条に付随する告示 と別添は ECE R13H と調和させてある。この保安基 準のブレーキに関する最初のエポックは、「二重安全 ブレーキ」装着の義務づけである。二重安全ブレーキ は、ホイールブレーキはそのままで、マスターシリン ダをタンデムマスターシリンダに変更することで達 成できる(大型車はセーフティーシリンダでも可能)。 当初は昭和 42(1947)年 8 月、大型自動車への装着を 義務づけ、ついで昭和 48(1973)年 7 月に全車種への 装着を義務づけた。これは FMVSS に追随した結果で

ある。乗用車のタンデムマスターシリンダは既に昭和 39(1964)年に一部車種への採用が始まり、昭和 48 年 までには小型商用車を含むほとんど全ての車種に採用 されていた。

昭和 49(1974)年には主ブレーキの故障警報装置を 義務化した。FMVSS では圧力失陥警報装置が規定さ れていたが、保安基準ではそのころまでに広範囲に 採用されていた液面警報装置でも可能となり、後に 1975 年に FMVSS 105-75 で液面警報を認めた。

もう一つのエポックは平成 2(1990)年には大型トラ クターへアンチロックブレーキを義務化したことであ ろう。日本における大型車(特にトラクター・トレー 㪌㪏㩷

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昭和26(1951)年 ・ 運輸省令第67号として制定

昭和39(1964)年 ・

タンデムマスターシリンダ採用 ディスクブレーキ採用(オポー ズド型、フローティング型)

昭和42(1967)年 ・ 大型車に二重安全ブレーキの装 着義務付

・FMVSS105制定 二重ブレーキ

ブレーキ失陥警報装置義務付

差圧警報バルブの採用 液圧制御弁の採用 フローティング型ディスクブ レーキの採用拡大

昭和44(1969)年 ・ 後2輪制御ABSの採用

昭和45(1970)年 ・ECE R13制定 ・ 液面警報装置の採用

昭和46(1971)年 ・ セミクローズドスライド・フィスト

型ディスクブレーキ採用 昭和48(1973)年 ・

二重安全ブレーキ装着の全車種 への拡大

ブレーキ操作力低減

昭和49(1974)年 ・ ブレーキ液漏れ警報装置(失陥 警報装置)の義務付

昭和51(1976)年 ・FMVSS105-75乗用車性能要件強 化(フロントディスブレーキ化促進)

昭和53(1978)年 ・

フィスト型(フローティング)ク ローズドスライドディスクブ レーキの採用拡大 4輪制御ABS採用 昭和58(1983)年 ・FMVSS105-83小型トラックおよび

バンへの性能要件強化(同上) 平成2(1990)年 ・ 大型トラクタなどへのABSの装着

義務付 平成5(1993)年 ・

乗用車のブレーキ性能要件強化 ブレーキ操作力低減

ABS装着義務付を中型トラクタ、

トレーラーに拡大

・FMVSS121大型車に摩擦材の自 動調整装置の装着義務付

平成8(1996)年 ・ ブレーキ操作力の低減

平成9(1997)年 ・FMVSS121大型車エアブレーキの アンチロックブレーキ装着義務付

(その後液圧ブレーキ車に拡大)

平成10(1998)年 ・

FMVSS135の制定 ECE R13Hの制定 平成11(1999)年 ・ 乗用車に自動摩耗調整装置の

装着義務付

年 日本のブレーキ関連事項

(初めて採用された事項のみ)

海外法規の動向 国土交通省令 保安基準

表7.1 内外のブレーキに関する基準の改正経緯とブレーキ技術の関連

(引用文献)

(注1) JASICカントリーレポート「日本の自動車安全・環境に関する制度」 2007年度版 6P99-100から

(注2) JASICカントリーレポート「日本の自動車安全・環境に関する制度」 2007年度版 P34、35 の表からブレーキ関連基準のみピックアップの上、海 外法規の動向及びブレーキ関連事項を追加して作成

(参考文献)

自動車工業会 安全公害委員会 安全対策部会 「保安基準・FMVSS・ECE・EEC 比較対応表」 昭和 55 年 自動車工業会 技術委員会 海外技術管理部会 「各国技術法規比較表」 1985 年12

国土交通省 保安条例第12条(制動装置)

表 7.1 内外のブレーキに関する基準の改正経緯とブレーキ技術の関連

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